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2013-12-31

2013_BEST MOVIE (洋画・日本映画・ドキュメンタリー)&パンフレットベスト

2013年_洋画・日本映画・ドキュメンタリーベスト10

Gravity

2013年_洋画お気に入りベスト10
ゼロ・グラビティ
② 世界にひとつのプレイブック
③ ムーンライズ・キングダム
④ パシフィック・リム
⑤ キャプテン・フィリップス
⑥ ウォールフラワー
⑦ パラノーマン ブライス・ホローの謎
⑧ サイド・エフェクト
⑨ クラウド アトラス
⑩ ローマでアモーレ 
次点・恋のときめき乱気流

Kaguya1

2013年_日本映画お気に入りベスト10
かぐや姫の物語
② ペコロスの母に会いに行く
③ 風立ちぬ
④ 横道世之介
⑤ もらとりあむタマ子
⑥ 舟を編む
⑦ はじまりのみち
⑧ そして父になる
⑨ ばしゃ馬さんとビッグマウス
⑩ 東京家族
次点・真夏の方程式

Bill

2013年_ドキュメンタリー映画_お気に入りベスト10
ビル・カニンガム&ニューヨーク
② キューティー&ボクサー
③ 世界一美しい本を作る男-シュタイデルとの旅-
④ 夢と狂気の王国
⑤ シュガーマン 奇跡に愛された男
次点・パブロ

2013年のベスト10は、はからずもいろいろと対(つい)になっている。洋画1位「ゼロ・グラビティ」は地球へ日本映画1位「かぐや姫の物語」は月へ。共に意味は違うけれど"Homeへと還っていく"
そして表現という分野でひとつステージを変えた作品だということ。

「そして父になる」「真夏の方程式」と福山雅治による父親像(「真夏の方程式」は父親ではないが、その視線はメンターであり擬似父親であるともいえる)2作品。

10位「ローマでアモーレ」は恒例ウディ・アレン枠で毎年新作が出る限り無条件にベスト10入り。対する日本映画にも毎年とは言えないが山田洋次監督「東京家族」

9位「クラウド アトラス」は『パフューム ある人殺しの物語』そしてキェシロフスキ監督の遺稿脚本を映画化した『ヘヴン』のトム・ティクヴァ監督が加わったことによる化学変化。そう言えば「ふたりのベロニカ」がドイツの音楽家を軸に描かれていたあたりも密かなる偶然性?

2013年は好み(アートとデザイン関連、音楽、ジブリ)のドキュメンタリー映画が多かったので別枠でベスト5を作成。

ここからは昨年に続きタイトルデザイン(タイトルシークエンス)ベスト3

2013年_タイトルデザイン_ベスト3
① ライフ・オブ・パイ(yU+co)
② パラノーマン(Laika)
③ ムーンライズ・キングダム(JESSICA HISCHE)
カッコ内は製作

1位【ライフ・オブ・パイ】はもうそれだけで独立した作品と呼べる美しさ。

2位の【パラノーマン ブライス・ホローの謎】は本編も制作したLaika

3位の【ムーンライズ・キングダム】は映画のために制作された2種類のフォント含めたアンダーソン監督の美意識。

また今年は「オズ はじまりの戦い」「アンナ・カレーニナ」「華麗なるギャツビー」「ブランカニエベス」と緞帳、幕が下ろされた劇場をイメージしたタイトルデザインが多かった。
【オズ はじまりの戦い】は「ライフ・オブ・パイ」と同じyU+coが製作。
【アンナ・カレーニナ】美しいロゴデザイン含め Main & End TITLE は Tom Hingston Studio (ジョー・ライト監督「つぐない」「ハンナ」も) 他にローリング・ストーンズのアルバム「GRRR!」など。

追記
2014年NEW YEAR!

Cinema2014

2013年度・パンフレットベスト
パンフレット(プログラム)と言っても多種多様な判型、デザイン、内容があるのでベストテン形式ではなくて大きく「特殊な判型、デザイン」「テキスト満載、まるで書籍」「600円〜700円のいわゆるパンフレット」にわけて選びました。
(注・販売されたパンフレット、全てを購入しているわけではありません。まあ、必ずシネコンだろうがミニシアターだろうが特集上映だろうが必ず中身とデザイナーはチェックして買っているので、その時点で個人的好みフィルターは通っていることになりますが…)

Program2013

タイピスト!
特殊な判型といえば、劇場で見た瞬間に「おぉっ」と思ったタイプライター型パンフ。一枚目のキャストなどが英文で書かれた(正確にはわざわざタイプで打たれた)部分がタイプライターにセットアップされたようにみえる凝った仕様。しかも印刷が特色を用いているために写真に撮ると本物?と思えるような手間のかかり方。鑑賞したら誰もが欲しくなるパンフ1位。

舟を編む
テキスト満載、どころか130ページと通常書籍としても遜色ない盛り沢山な内容。
シナリオ、出演者やスタッフ詳細紹介、辞書と同じ用紙(劇中登場する辞書「大渡海」の"ぬめり感"のある本文用紙)を使っての辞書ガイド。10年単位で展観しても印象に残るベストプログラム(背表紙にオフィシャルプログラムと入れているところに制作スタッフの心意気まで垣間見えます)

はじまりのみち
オーソドックスないわゆるパンフレットスタイル。欲しい情報(木下惠介監督「底力」全文に始まって、母を運んだみちのり、作品紹介、原恵一監督との対談3本"加瀬亮・山田太一・中島かずき"、撮影日誌、濱野保樹氏による"原恵一の実写演出"と絵コンテなど)が過不足なく入っていて、こちらがまさに基準となってほしい仕上がり。しかも最近は700円が基準になりつつある中での600円(税込)

各作品共、当ブログ内に個別記事があります。

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2013-12-30

パブロ・ベルヘル監督・脚本『ブランカ二エベス(Blancanieves)』"白雪姫"+闘牛士+モノクロとサイレント

グリム童話"白雪姫"+闘牛士モノクロサイレントの独創的ミクスチュア作品『ブランカニエベス(Blancanieves)』監督・脚本はパブロ・ベルヘル

物語・人気闘牛士の娘カルメンシータ(ソフィア・オリア)は生後間もなく母を亡くし、その後父が再婚。ところが継母(マリベル・ベルドゥ)は非常に意地が悪く、カルメンシータは継母にひどい目に遭わされながら育った。ある日、継母によって危うく殺されかけた彼女は「こびと闘牛士団」の小人たちによって助けられ、ブランカニエベス(白雪姫)という名で一座と一緒に見世物巡業の旅へと出発する。やがてカルメンシータは、女性闘牛士として才能を開花させていくが…(glay部分、シネマトゥデイより抜粋)

Blancanieves

Memo
モノクロ、そしてサイレント。音楽と字幕(あとは画面の中の演者)だけで綴られる、"Black&White"Tapestry
近年の「赤ずきん」「ヘンゼルとグレーテル」「スノーホワイト」「白雪姫と鏡の女王」…と続く童話現在解釈系映画の系譜。
さまざまなアプローチで創られた作品群の中でも異彩を放つシンプルだからこその強度を持つ映画。
継母のマリベル・ベルドゥ、どこかで見た事あるなぁと思っていたら「パンズ・ラビリンス」で家政婦のメルセデス役を演じていました。(海外のポスター関連でもメインビジュアルに使用されているので結構人気?)
足音や床の軋む音、闘牛場の歓声、それらはサイレントであるが故に余計意識され、口紅、血、毒リンゴ、それらのモノクロで撮られたことによって色彩をイメージする。オープニングの赤い緞帳(幕)のみ赤い色がついていて、唯一、音楽以外の音が入る箇所が花火のシーンとなっている。
サイレント映画なのにサイレント映画だったという印象がないのは音楽(アルフォンソ・デ・ビラリョンガ)が流麗につないでいってくれてるから。
闘牛場の地面がモノクロであることによって(色がついていないことによって)真っ白に映しだされて、それがまた効果的。(もしカラーの場合、闘牛の黒色と地面の白色はここまでハッキリと残っていないかも)
またカルメンシータが男装の麗人っぽさを醸し出していて女性闘牛士のイメージとしても鮮烈(宝塚歌劇の作品としてミュージカル化できそう!)
Cristina García Roderoの写真でみた小人闘牛士団が本作インスピレーションとなったと語っている(その写真、出典リンクが不明確なので直リンク無し)

パンフレットデザイン(宣伝デザイン)は大島依提亜さん。
映画館に置かれているのを見た瞬間は小型フライヤー?→折り畳んだ状態、中央にリンゴ。実は広げると"あな恐ろしやの継母が闘牛場でカルメンシータにリンゴを手渡す際の黒い服姿"のポスターになる仕様。

Blancanieves_f

映画『ブランカニエベス』公式サイト
http://blancanieves-espacesarou.com/

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2013-12-29

ザッカリー・ハインザーリング監督『キューティー&ボクサー(CUTIE AND THE BOXER)』篠原有司男&篠原乃り子 "A LOVE STORY"

ニューヨークに在住する81歳の日本人前衛芸術家・篠原有司男と、その妻である篠原乃り子をめぐるドキュメンタリー『キューティー&ボクサー(CUTIE AND THE BOXER)』。監督はザカリー・ヘインザーリング

キャンバスをボクシングのグローブで殴るようにして絵を描く"ボクシングペインティング"で注目を浴びた芸術家、ギュウちゃんこと篠原有司男。1969年にアメリカへ渡った彼は、その3年後に美術の勉強にやって来た20歳以上も年下の乃り子と出会って恋に落ち、結婚する。学業を放棄したとして実家からの仕送りを止められる乃り子だったが、妻、アシスタント、母として有司男を支え息子のアレックス・空海の育児に奔走。59歳となって息子も成長したことから彼女は夫婦の道のりを題材にしたドローイングの創作に取り掛かる。(Grayishskyblue部分、シネマトゥデイより抜粋)

Catb

Memo
最初、あれ?ここは日本?と思うような住まい(本棚に多分「まんが日本の歴史」?が目立って並んでいる)からポンポン飛び交う会話とフットワークの軽さに驚き。
そしてふたりの愛の深さと芸術の業の深さとが綯い交ぜになった描かれ方にグルングルン。
「スピルバーグはジョーズだな」
「最初の作品が1番いいって、あなた言ってたじゃない」
ショートケーキに大きなキャンドル。80歳の誕生日。
肩を揉む。制作風景。手際よく魚をさばいて手巻き寿司。
個展へギャラリーに作品搬入などが次々と映し出される。
家賃が払えないぐらいに困窮した時にはチャッチャと作品を売りに行く。
「これ、売ってくる」
「日本で買いたいって人がいるから」
「ダメよ、そんな値段で売っちゃあ」
「100万ぐらいで売らないと」
すごくリアルに赤裸々に語る二人の会話。
どーみても入らない鞄に作品を入れようとすると「ほら、やっぱり無理だ」とピシリとひと言。けれどギュウちゃんを送り出す後ろ姿はとても心配そう。
ひとりで地下鉄の駅までかばん(キャリー)を持って行きササッと折り畳んで階段を降りていくパワー!
見てすぐに多分そうだろうなぁと思っていたら以前、北野武監督が『アキレスと亀』を撮った際に"ほぼ日"内の記事、北野武×糸井重里対談でふれられていました。武さんも70年代の篠原有司男さんのことを知っていた上で撮った映画だったのですね。
場面を繋ぐブリッジとして清水靖晃の音楽(サックス)がかぶさって、描かれる街や情景のショット。ニューヨーク映画としても秀逸。
最初、作家としての篠原有司男に焦点を合わせて撮り始めた監督がやがて乃り子にもポイントを合わせ始める。
分身であるキャラクター、そして自伝的物語でもある"キューティ"のドローイング。
黒と薄墨、モノクロで描かれたふたりの物語がアニメーションとなって動き出す。その合間に当時撮られたテレビドキュメンタリー映像などがカットバックされていく。
エンドクレジットは上記ポスター画像に使われているシーン。"ボクシングペインティング"で殴り合う姿。美しく愛おしいヴァイブレーション。
キネ旬1月上旬号で1970年代から、おふたりと交流があった小野耕世氏の映画批評に当時、初めてニューヨークで出会ったときのことなどが書かれています。

映画『キューティー&ボクサー』公式サイト
http://www.cutieandboxer.com/

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2013-12-25

「ヒックとドラゴン」の監督のひとり、クリス・サンダースによる傑作!『クルードさんちのはじめての冒険(Croods)』(劇場未公開)

クルードさんちのはじめての冒険(Croods)』監督は「リロ&スティッチ」「ヒックとドラゴン」(クリス・サンダース&ディーン・デュボア共同監督)のクリス・サンダース

Croods_2

Memo
今年の全米興行ランク1位を獲得し興収1億8700万ドル、世界興収では5億8700万ドルというメガヒット作品が何故か日本では見事に劇場未公開にしてソフトスルー。
洞穴から出ないクルードさんち。
何故なら外は危険でいっぱいだから。
「新しいものはダメ」
「好奇心も、夜遊びもダメ」
「楽しいことは全部ダメ」
「とにかくダメ」
それでも落ちる夕陽を見に洞穴の岩肌を登る娘、イープ。
ある日、イープは夜中なのに洞穴に差し込んでくる光を追って丘の上に。
そこで火を使うことが出来るガイと出会う。
彼は世界は終りに近づいているから、ここを離れて高い山に向かうしかないというのだ。
一緒に行こうと誘われるが家族をおいてはいけないイープ。
「生き延びたらこれで連絡して」と貝の笛を渡される。
そして、その時(世界の終わりの始まり)はすぐにやってきた…
ボイスキャストが素晴しい!
父親役にニコラス・ケイジ、逆に今いる世界の外へと出ていきたい娘イープをエマ・ストーン、家族を失い連れ出すガイにライアン・レイノルズ
もし実写で何か別の映画を撮ったとしてもはまりそうな組み合わせ。
出てくる原始世界のアニマルや植物が美しい!←「アバター」のふわふわ系植物想起(これ3Dだと、かなり綺麗に浮くはず)。
虎(の始祖?カラーリングが鳥類)が「ヒックとドラゴン」のトゥースレスみたいで猫好きもふにゃ~ってなる映画。手がカワイイ!(なんと火のついた松明まで持てる!)←ここの最初は獰猛な虎かと思っていたら「猫かよ〜」になる終盤のシーンは笑った。
そしてガイの相棒、ベルト(ホントにベルト、そしてとても賢い)。
「THE END」のあとの指揮(?)ぶりも。
さらにエンドクレジット後にラテン系振付の象ネズミ(?)3匹も。
冒頭の朝食・卵争奪戦(約10分近く走りまくる)からクルードさんちのキャラ紹介、チームワークのよさが描かれる手際よい導入部(せっかく得た卵を順にすするのだが、最期に順番がまわってきた父親には一滴残ったのみ。「いいんだ、この前も食べたし…」)。
この食事のための狩りのシーンは中盤、もう一度登場するが今度は頭を使って鳥を捕まえる方法に。そして分け合うという考えも。
考えるということをレクチャーするガイ。
岩に絵を描いて「ここで考える」と脳を指さす。
(イープの弟、タンクの絵も描いている)
そこでこの台詞。
「パパ、僕には脳がない」
この後、いよいよ迫り来る大地殻変動から怒涛のラストへと本当に見事なたたみかけ方です。(イープと父親の関係もしっかりと)
音楽はアラン・シルヴェストリ

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2013-12-24

フランシス・フォード・コッポラ監督、ジーン・ハックマン主演『カンバセーション…盗聴…(The Conversation)』

フランシス・フォード・コッポラ監督・製作・脚本によるサスペンス映画の傑作『カンバセーション…盗聴…(The Conversation)』(1974年製作)。出演はジーン・ハックマン、他多数(後述)。カンヌ映画祭グランプリ。

物語・プロの盗聴屋ハリー・コール(ジーン・ハックマン)は通称"専務"(ロバートデュヴァル)からの依頼であるカップルの会話を録音。しかしテープを渡す段になっての相手側の対応(会う約束の際、専務ではなく秘書が代わりに受け取ると言い出したり)に疑問を抱きテープを再生して内容を知ってしまう…

Conversation

Memo
俯瞰ショットから始まるオープニング(まるでスナイパーのようなガンマイク、最初に目につくパントマイマー、紙袋にマイクを忍ばせ近づくチームが盗聴しているカップルを次々と映しとる)から不安を漂わせる室内を捉えたラストシーンまで無駄な部分が全くない途切れることがないサスペンス。
ハリー・コールはニューヨークで行った盗聴が原因で3人の死者が出ていることを知り、その地を離れた。が、業界は狭いというのか情報は漏れているというのかハリーの仕事ぶりは既に知れ渡っている。(業界のコンベンションに参加した際にまるでスターにでもあったかのように「ハリーさんでしたか…せめて我が社の製品と一緒に写真でも写してもらえませんか」と言われる始末)
終了後ハリーの仕事場に打ち上げ(パーティの続き)として流れこむ同業者やスタッフ。この部分が中間点。ここからハリーの強迫観念と実際にテープが盗まれたり徐々に怖さが増していく。
ラスト、知られているはずのない電話番号に秘書(ハリソン・フォード)から電話が。
「気づいたようだな」
「盗聴してるからな」
(盗聴屋に盗聴しているという声)
プロの盗聴屋だからこそ、わかる手口。
照明器具を調べ、コンセントを分解し、床や壁を剥がし、部屋中を探しつくしボロボロになった部屋でサックスを吹くハリー。
映画はそこで静かに終わる…。
コッポラ=ルーカス=スピルバーグのラインが浮かび上がるキャスト。(接続ポイントとでも呼ぶべきかも)
テリー・ガー→未知との遭遇
ハリソン・フォード→スターウォーズ、インディ・ジョーンズ
ロバート・デュバル→ゴッドファーザー、地獄の黙示録
フレデリック・フォレスト→ワン・フロム・ザ・ハート
ジョン・カザール→ゴッドファーザー
撮影はビル・バトラー(「雨のなかの女」「ジョーズ」「カッコーの巣の上で」など70年代の傑作群を数多く撮影)。
元々、音響技師だったウォルター・マーチが編集も兼任として初参加。のちに数多くの編集と音響に携わることに。(「地獄の黙示録」「イングリッシュ・ペイシェント」など)
思い浮かんだこと→この雰囲気を「アルゴ」や「裏切りのサーカス」は醸し出していたのだなぁ、と(←どちらも好みの作品たる、ひとつの要素)
初見は大阪・梅田地下劇場(現在のTOHOシネマズ梅田)で『アメリカン・グラフィティ』とのロードショー2本立て公開で(今思うと贅沢な2本立て!)。
奇しくも「アメリカン・グラフィティ」に出ているハリソン・フォードとシンディ・ウィリアムズが本作にも出演していた。

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2013-12-22

ジム・ジャームッシュ監督『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(Only Lovers Left Alive)』トム・ヒドルストン、ティルダ・スウィントン、ミア・ワシコウスカ、ジョン・ハート"外出は革の手袋着用で"

『ブロークン・フラワーズ』『リミッツ・オブ・コントロール』のジム・ジャームッシュ監督約4年ぶりの新作『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ(Only Lovers Left Alive)』出演はトム・ヒドルストンティルダ・スウィントンミア・ワシコウスカジョンハート、他

物語・吸血鬼でありながらミュージシャンとして活動中のアダム(トム・ヒドルストン)。アンダーグラウンドな音楽シーンに身を置いて人間たちと共存しているが、何かと自己破壊的な言動を取る彼らに対して複雑な思いを抱いていた。そんな中、何世紀も恋人として愛し合ってきた同じ吸血鬼のイヴ(ティルダ・スウィントン)が、アダムが暮らすデトロイトへとやって来る。久々の再会を楽しもうとする二人だが、イヴの妹エヴァ(ミア・ワシコウスカ)が現われる。(DarkRed部分、シネマトゥデイより抜粋)

Olla_1

Memo1
デトロイトとタンジール、遠距離恋愛中(?)のややペシミスティックにして芸術審美眼に長けたヴァンパイア、アダムとイヴ(アダムは音楽、イヴは文学)。iPhoneとPCで21世紀的FaceTime(一瞬なので未確認?)通話。久々の再会にBlood-ICE-Candyで乾杯、そしてアナログレコードのようにクルクル。ところがイヴの妹・超現代っ子エヴァがLAから乱入して事態は非ぬ方向へ…。
ギターだろうとリュートだろうと弦楽器おまかせのアダムと(これは最強姉妹だ→)イブとエヴァにティルダ・スウィントンとミア・ワシコウスカ(ドラムも披露)。ギター好きにはギブソンやグレッチのレアものが登場したり、いろいろ楽しめる。近作のジャームッシュでは1番好き。
ミア・ワシコウスカが見事なハジケっぷり(こういう役はあまり記憶がないので新鮮。しいてあげるならば「永遠の僕たち」の途中までの感じ)。ドラムも披露。ちょうどストーリーの中間地点でここを機にアダムとイヴのゆったりと流れていた時間は崩れ去る。
タンジール、デトロイトでの夜間ロケが素晴しい(ヴァンパイアなので全て夜)。タンジール市街地の坂を生かした(ヴァンパイアにはキツイ)Yellowamberな色彩、デトロイトでの人の空気が途絶えてしまったかのようなDarkToneとカラーコーディネート的にも素晴しい。もちろんDarkRedのBloodも。
台詞いろいろ
・まあ、昔に比べると人口の増え具合が凄まじすぎて、ゆったりと自分のヴァンパイア時間で過ごしたいのにアダムからしてみればこういう台詞が出てくるのもわかる。(しかも何回も)
「ゾンビめ」
・現れたエヴァに「お腹空いた」とふたりのために用意していた病院からの血液を出すことに。(この時のイヴの目線が「妹のためなの、お願い」と告げているようで可笑しい)
で、しばらくしてアダムの台詞
(落胆気味に)
「O型ばかり飲まれた…」
・「ソウル・ドラキュラ」のPVを見るエヴァに。
「どこでこんなの見つけてきた」
「YouTubeで」
・とうとう人ひとり亡くなってエヴァを追い出すアダム。荷物や洋服もドアから放り投げる。それに対して言い返すエヴァ。
「なにさ!気取ってばかりのインテリ(スノッブ野郎)」
これ、もしかするとそのままジャームッシュ自身が自己批評して揶揄してるとも取れる(少し穿った見方すぎるか…)

Memo2
音楽はジャームッシュ監督とユニットも組んでいるジョゼフ・ヴァン・ヴィセム(Jozef Van Wissem)
アルバム「The Mystery of Heaven」(Sacred Bones Records)より
"Etimasia" (Official Music Video)
http://youtu.be/kOiTS76FeZ4
撮影カメラはArri Alexa
タイトルデザイナーはRandall Balsmeyer(プロデュースはBig film Design)
(コーエン兄弟、スパイク・リー監督作、他手がけているBig film Designでのクレジット名義が多い)
↓(こちらは本作は入っていませんが)BFD!のVFXのデモリール
Demo Reel(Randy Balsmeyer/Big film Design VFX Reel)
http://www.imdb.com/video/user/vi572302105

Olla_2

衣装デザイナーはアルモドバル作品、他多数手がけているBina Daigeler
公式Web(Imagesから本作のスケッチなどが見られます
上記ティルダ・スウィントン衣装の刺繍周囲なども)
http://www.binadaigeler.com/

映画『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ』公式サイト
http://onlylovers.jp/



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2013-12-18

山下敦弘監督、前田敦子主演『もらとりあむタマ子』

「苦役列車」に続いて山下敦弘監督前田敦子が再びタッグを組んだ『もらとりあむタマ子』脚本は盟友、向井康介。出演は康すおん鈴木慶一伊東清矢、中村久美、富田靖子

物語・東京の大学を卒業した23歳のタマ子(前田敦子)は、父親がスポーツ用品店を営む甲府に戻って来る。彼女は特に就職活動をするわけでもなく、ほぼ毎日惰眠をむさぼり、ぐうたらな日々を送っていた。父親に仕事を探せとせっつかれても聞く耳も持たず、たまに起きているときはマンガやゲームに没頭していたが…(Brown部分シネマトゥデイより抜粋)

Tamako

Memo
「ゼロ・グラビティ」が遙かなる宇宙から"Home"を見ているとするならば、こちらは半径1㎞周辺の"Home"を中心としたミニマム宇宙。しかしながら、どちらも傑作というところが映画の面白いところ。前作『苦役列車』でこれ以上ない見事な間(ま)で頭突きを食らわした前田敦子が本作でも予測不可能な方向からリアクションを返してくる。
ほぼ、あて書きによるオフビート感たっぷりの山下敦弘監督と前田敦子によるユルく見えて実は強度たっぷりの映画。
必ず言及される食べるシーン
と、いうかこれだけ食べ物出てきたらそれはそれは印象に残るはず。いきなりロールキャベツをガッツリと食べる、で、まだ口に残っているけど食べる、食べる(これなら三口で食べ終わる)
そのロールキャベツ、炊き込み御飯と秋刀魚、すいか、ゴーヤーチャンプルー、カレーライス、団子、春編の(オーディションを受けるためのダイエット中って分り易すぎるタマ子)温野菜レンジでチンまで、準主役のように出てくる出てくる。(この特別でない食事がまたイイ)

秋から始まるタマ子の物語はちょうど一巡して夏に終わる(はず)←はずですよね?(←続編、期待)
・秋〜映画冒頭
父親・善次が店の看板を出しマットを引き洗濯を干すシーンから。タマ子の下着も淡々と干す父。
とにかく見て見ぬふりなのか切り出せないのか、どうもモゾモゾしていた父だが、あまりのグータラぶりにさすがに切れ気味に怒る。
対してタマ子
「その時が来たら動く!」
「少なくとも……今ではない!」
・パシリのように写真撮影や後述の父親のお見合い相手偵察に行かされる中学生・仁。
1番笑った、そして劇場でウケていた会話
「恋に部活に大忙しなんだよね、誰かさんと違って」

その彼女と帰宅途中、タマ子の待伏せ
彼女が仁に。
「誰?」
「好きなの?」「脅されてるの?」
「違うよ」
「あのひと、友だちいないんだ」
・翌年の夏
父親が妙に嬉しそうなので、じーっと観察。
どうやら"ねるとん"(←と、会話から察知)してきたみたいだ。これは自分の居場所危機と思ったか、今でも連絡をとっている母親とのこともあるからなのかにわかに行動に出るタマ子。
駅前でアクセサリー教室をやっているらしいと聞きつけ第一陣、中学生・仁を偵察に。
続いて(仁の話ではイメージが浮かばなかったのか自ら)様子をのぞきに行ったところアクセサリー教室で体験授業を受けて話し込むことに。
(もしかすると、この人いい人かもと思い始めるタマ子。で、ここで父親のことをなんだかんだと話している姿に「どうして再婚しないのかなぁ、と思ったんだけど、なんかわかった気がする」「だって、タマ子ちゃん面白いもん」と先生)
このアクセサリー教室の先生役が富田靖子。
今年は奇しくも"さびしんぼう"富田靖子と"時をかける少女"原田知世という大林宣彦監督つながりのおふたりに、それぞれ別の映画でスクリーン再会。しかも、本作「もらとりあむタマ子」「ペコロスの母に会いに行く」共に傑作ということも嬉しい。

・お店の前のベンチで
アイスクリームを食べながら
(ダラーと足を前にだしてダレた感じで)
「え、彼女は?」「別れた」
「どうして」
「自然消滅」
「自然消滅って久々に聞いた」
・店の看板を出しマットを引き洗濯を干すタマ子
(ただし、冒頭父親と違って洗濯物カゴから父親のパンツが出てきた時は嫌〜な顔をして干す、で、干した手を洗ったばかりのタオルで拭く)
でも、これは一年経って(一周廻って)ほんの少しだけだけれども、1歩進み始めだしたことがわかる、いいシーン。
離婚して、23歳の娘にどう対処していいのかわからないけれど愛情いっぱいの父親・善次役の康すおん唯一のお友だち(笑)中学生、仁役の伊東清矢のふたりがうまくて、可笑しみいっぱい。
元々は音楽専門チャンネルからのオーダー「番組の合間に流す映像を前田敦子主演で」から始まって「秋冬編」だけ出来上がっていたものを追加&再構築した作品。撮影が違っているのはそのため。(この辺りの詳細はオフィシャルサイト・プロダクションノートに記載されています)

映画『もらとりあむタマ子』 オフィシャルサイト
http://www.bitters.co.jp/tamako/

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2013-12-17

ジュゼッペ・トルナトーレ監督、ジェフリー・ラッシュ主演、エンニオ・モリコーネ音楽『鑑定士と顔のない依頼人(THE BEST OFFER)(La migliore offerta)』

注・内容(ネタバレ)、台詞、ラストに触れています。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督
によるミステリー『鑑定士と顔のない依頼人(THE BEST OFFER)(La migliore offerta)』出演はジェフリー・ラッシュジム・スタージェスドナルド・サザーランドシルヴィア・ホークス他。音楽はエンニオ・モリコーネ

物語・天才的な審美眼を誇る美術鑑定士ヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)は、資産家の両親が遺した美術品を査定してほしいという依頼を受ける。屋敷を訪ねるも依頼人の女性クレア(シルヴィア・ホークス)は決して姿を現さず不信感を抱くヴァージルだったが、歴史的価値を持つ美術品の一部を見つける。その調査と共に依頼人の身辺を探る彼は…(DarkBrown部分、シネマトゥデイより抜粋)

Best_offer1

Memo
内側に閉じこもった(文字通り部屋の中に閉じこもった)依頼人クレアを人を寄せ付けない潔癖症の鑑定士ヴァージル・オールドマンが外側へ出そうと。最初は姿さえ見せない。次第に翻弄されるオールドマン。
美術品修復の天才ロバート(ジム・スタージェス)のアドバイスも受け(平静さを装っていても)のめりこんでいく。そのことによって次第に人と接することが出来るようになっていき、恋に落ち(クレアもこころをひらきはじめ恋に落ち)ついに外の世界へと出るクレア。
やがて結婚という段になり、はじめて誰も入れたことがない手袋ルームの奥の無数の肖像画(女性ばかり!)が飾られた秘密の部屋へと招き入れる。

と、表向きのお話の筋はこうなるのだが…実は

この絵画(肖像画ばかりのコレクター)
必ず手に入れた肖像画の頬と髪のあたりを撫でるのだが、それをクレアにも全く同じような撫で方をするシーンがある。オールドマンにとっては最初は美術絵画のような気持ちがあっただろうし、だからこそ女性と目を合わせて会話すらしない彼の心が揺れ始めたのだろう。
今年(2013年)名古屋、横浜、神戸と巡回展のあった「プーシキン美術館展 フランス絵画300年」に飾られていたピエール=オーギュスト・ルノワールの「ジャンヌ・サマリーの肖像」も壁に飾られている!(目立つ!)
その他数多くの肖像画が。
印象的なのはクレアの邸宅で見つけたものと同時期の歯車が書かれた絵画の前に出てきたブーグローの「ヴィーナスの誕生
それを鑑定するオールドマン。
なんといっても本作、トルナトーレ監督初のデジタル撮影(Arri Alexa StudioとRed Epic)作品。絵画やちょっと暗い室内部分など、作品にピッタリマッチ。
潔癖症にもほどが…
食事はひとり。
ぽつんひとりレストランで(専用の食器ケースまで設えられて常に用意されている)自らのロゴ入り食器で食べる。手袋を必ず着用(たとえ握手の時でもはずさない)
電話、携帯電話すべてハンカチでくるんで会話。
出てくる絵画と美術品の中でキーとなるのはペトルス・クリストゥス 「若い女の肖像」とジャック・ド・ヴォーカンソンのオートマタ(機械人形)
※ちなみに攻殻機動隊に出てくるジャック・ヴォーカーソンはこの人の名前から(他にも使われていたような)
クリストゥスもヴォーカンソン機械人形も実は映画「スティング」でも出てきた"HOOK"ひっかけになっている、と、いうことは映画冒頭から観客丸ごとのHOOKだったと判る(2巡目が楽しいのはそのため)
この「若い女の肖像」カビだらけの板切れを見つけるオールドマン。「貴重なものなの?」の問いに「いや、たいしたことはない」と(内心は、もしやと思いつつ顔に出さずに)鑑定依頼人(三人)に話す。
クレアも屋敷の管理人もロバートもロバートの彼女サラもビリー(オークションの影の相棒・ドナルド・サザーランド)も全てオールドマンのコレクションを盗むチームだったのだが、実は既にこの部分から既に始まっていたとは!

Best_offer2

ひとつだけ本当だった話(場所)
14歳の時、クレアが行ったというプラハの"NIGHT AND DAY"というお店。
「お店はあったんだ…」という顔で入っていくヴァージル・オールドマン。
無数の時計。機械仕掛けの工芸品。
呆然とするオールドマンにウェイターが「おひとりですか?」
一瞬、つまって…「あ、いや、人を待っている」
しかし誰も現れることはなく静かにカメラがひいていく。
時計の音を刻みながら…

映画『鑑定士と顔のない依頼人』公式サイト
http://kanteishi.gaga.ne.jp/index.html

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2013-12-16

デヴィッド・リーン監督、ピーター・オトゥール主演『アラビアのロレンス(Lawrence of Arabia)』 "Nothing is written"

デヴィッド・リーン監督ピーター・オトゥール主演『アラビアのロレンス(Lawrence of Arabia)』は今までで1番、劇場でスクリーンで見てきた作品。そして、これからも変わらず生涯ベストワン。

Lawrence_of_arabia

Memo1
名シーンが多数(その一部を)
前半のイギリス軍エジプト基地から「ファイサル王子に会いに行け」という命令を受け意気揚々と砂漠へ向かうロレンス(マッチの火を口でふっと吹き消すと砂漠に登る朝日へのカットへと変わるタイミングの素晴らしさ)〜アカバ襲撃〜シナイ半島を横断してのスエズ運河到着までがスペクタクルあり詩的でもあって特に好きだ。
もちろん後半部分、鉄道急襲〜サイクス・ピコ条約を知ってダマスカス侵攻までの心情を強く描いたパートもいい(前半、四季に例えると春〜夏パート、後半は秋〜冬←実際に砂漠にも冬は訪れる〜そしてまた春パートと分けられる)
"Nothing is written"
2回使われる、この台詞。
そのひとつ。
アカバ襲撃のために砂漠を横断する際、隊列からはぐれ、迷子になったべドゥインのひとりガシムを助けるために単身砂漠へ引き返し救出に向かうロレンス。
「せっかく渡ってきた、この砂漠に戻るなんてアカバ襲撃はどうするんだ!イングリーッシュ!イングリーッシュ!」と激昂するアリ(オマー・シャリフ)
そして見事に救出し戻ってきたロレンスがアリにいった台詞がこれでした。
ラストシーンの砂漠を離れていくロレンス。
ジープで走っていく傍らを駱駝に乗ったべドゥインらしき隊列が。
思わず立ち上がり(アリたちを探す)
だが、すぐまた、うなだれるように座るロレンス。
その横をバイクが砂塵をあげて走り抜けていく。
静かに音楽…
(ファーストシーンのバイク事故とリンクする)

Memo2
「アラビアのロレンス」は映画館(シネコンではなく)との思い出とも密接。
最初に見たのは心斎橋にあった「戎橋劇場」という名画座(今はH&M、その前は「ブラックレイン」の撮影に使われたキリンプラザ大阪)。『ロミオとジュリエット』との2本立てだった。砂漠、ロマンス、モーリス・ジャール、ニーノ・ロータ。夢の二本立て。戎橋劇場は2階席もあるかなり大きな劇場と記憶。
次に『アラビアのロレンス』を見た名画座は「大毎地下劇場」。何故かロバート・ゼメキス監督『ユーズド・カー』と2本立て。同じコロンビア映画繋がりか。関西エリアで最も閉館を惜しまれた名画座。別のホールで特集上映も企画していて、ここだけで毎月8本ほどの映画が観られた(『アルゴ探検隊の大冒険』や『スケアクロウ』などなど60~70年代の映画をよく観た)。
さらに『アラビアのロレンス』を映画館(ホール等の特集上映ではなく)で観たのは1980年、オリジナル版(短い方)最後の上映にして正式リバイバルだった「梅田東映パラス」(チラシがゴールドの下地にロレンスのシルエット)。ここも巨大スクリーンの一館。(湾曲角度が150度。同じく閉館した阪急プラザ劇場もD150方式と呼んでいた包みこむようなスクリーン)

Arabia

リバイバル表記最後の『アラビアのロレンス』チラシ

その後は復元された完全版が映画館が閉館される際には必ずと言っていいほど上映されるように(そして大きな劇場でも閉館というと突如満員になるという、皮肉)。
映画発祥※の地・南街会館の最後の上映(最も巨大な南街劇場)も『アラビアのロレンス』だった。
※今もTOHOシネマズなんばの一階エレベーター横に経緯が書かれた碑が残っている。

※午前十時の映画祭(新・午前十時の映画祭)でも上映。
(最初の第一回はフィルム版で上映)
序曲もインターミッションも終曲も有り。

2013年12月16日
ピーター・オトゥールの訃報が。
(1932年8月2日 - 2013年12月14日)
「おしゃれ泥棒」「冬のライオン」「チップス先生さようなら」(この辺りは名画座で)やリアルタイムにロードショー公開時に見たものだと「ローズ・バッド」「ラスト・エンペラー」溥儀の家庭教師役や「フェアリーテイル」でのコナン・ドイル役「レミーのおいしいレストラン」料理批評家アントン・イーゴの声、そして直近「ヴィーナス」の老俳優役といろいろあるけれど、やはり1作品をあげるとなると「アラビアのロレンス」に。

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2013-12-14

ソフィア・コッポラ監督『ブリングリング(THE BLING RING) 』"Let's go shopping!" 出演 : エマ・ワトソン、他

ハリウッドセレブの家に侵入し、総額3億円もの強盗を繰り返したティーン窃盗団の実話をベースに描く『ヴァージン・スーサイズ』『ロスト・イン・トランスレーション』のソフィア・コッポラ監督最新作『ブリングリングTHE BLING RING)

物語・セレブの豪邸が立ち並ぶ高級住宅街カラバサス、華やかな生活に憧れを抱くニッキー(エマ・ワトソン)ら5人の少年少女たちは、パリス・ヒルトンやオーラン ド・ブルームなどセレブの豪邸をインターネットで調べ、留守宅への侵入と窃盗を繰り返していた。それはほんの悪ふざけのつもりだったが、やがて彼らは後戻りできないところにまで足を踏み入れてしまう。(Darkglay部分シネマトゥデイより抜粋)

Blingring1

Memo1
パリス・ヒルトンやミーガン・フォックス、オーランド・ブルームらセレブたちのハリウッド邸宅を狙ったティーン強盗団の事件を題材としたヴァニティフェア(Vanity Fair)誌掲載のナンシー・ホー・セールスによる記事「ルブタンを履いた容疑者たち」が元原作(加筆後書籍化)。その後の事やソフィア・コッポラ監督との映画化への経緯、他が詳細に書かれていて本作を見る上でのサブテキストとして面白い。(内面や逮捕後に会ったことは?なども)
ポンポンッと塀を乗り越える5人。一応フードはかぶるものの堂々と入り口から入っていく。そして"Let's go shopping!"レベッカ(ケイティ・チャン)のこの台詞で幕を開ける。
パンクロックデュオ、スレイベルズ(Sleigh Bells)のクラウン・オン・ザ・グラウンド(Crown on the Ground)にのせてタイトルロール。無数のブランド品をなめるようにカメラが映しだす(合間にFacebook画面、セレブ達の映像)←このリズムは最後まで続く。裁判所を出てくるマークやインタビュアーに囲まれるニッキー。カラバサスの住宅群を映しだし、そして1年前の文字。
10年前では不可能、10年後では陳腐となるTMZとtwitter、Facebookリアリティ番組に対しての考察を含んだ、この時期にこそ撮ることができた作品。そしてソフィア・コッポラ監督ならでは。エンドタイトル部分を除くと本編部分が80分強程度の短さ。誰かを擁護することも批判することもなく「エッ、これで終わり」と思ってしまうかもしれないが実際に起きた事件であること(プラス進行形であること)と映画化により再び脚光を浴びることも踏まえると、この描き方になったのではないかと推測する。
エリア自体が結構裕福な家庭の子供たち。親が全く気づいていないというのは世の東西問わずして同じことのようだ。
(主役が誰ということでもなく)
タイトルロールでも、わかる通りエマ・ワトソン演ずるニッキーがメインということではなく並列にフラットに描かれているが、ことの発端となるマーク(イズラエル・ブルサール)とレベッカが軸。(実際の事件そのままに)

Memo2
衣装デザインはマーク・ジェイコブスに師事していたステイシー・バタット(Stacey Battat)。ソフィア・コッポラ監督前作「SOMEWHERE」や(2014年公開の)「メイジーの瞳」「アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち」など。
本作に対して数多くのブランドが実際に製品を提供してくれたとインタビューで。

撮影は「SOMEWHERE」に続いてハリス・サヴィデス(サヴィデスに師事してきたクリストファー・ブローベルトと)。そして最後の作品!
「永遠の僕たち」と同じくフィルムルックスを持つデジタル撮影。
カメラはRed Epic
タイトルデザイナーは「マリー・アントワネット」「SOMEWHERE」と同じくPeter Miles (PETER MILES STUDIO) 本編タイトルロールに使われている黄色フォントの色は「SOMEWHERE」と同じ黄色?

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映画『ブリングリング』公式サイト
http://blingring.jp/


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サンドラ・ブロック、ジョージ・クルーニー主演、アルフォンソ・キュアロン監督『ゼロ・グラビティ(Gravity)』"LIFE IN SPACE IS IMPOSSIBLE"

注・内容、台詞について触れています。
事故によって宇宙空間に放り出された宇宙飛行士と科学者。映画冒頭に出てくる字幕"LIFE IN SPACE IS IMPOSSIBLE"(宇宙で生存することは不可能)。はたして生還は?ジャンル分け不可能な映像体験『ゼロ・グラビティ(Gravity)』監督は「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」「トゥモロー・ワールド」のアルフォンソ・キュアロン。出演はサンドラ・ブロックジョージ・クルーニー

物語・地表から600キロメートル離れた宇宙で、ミッションを遂行していたメディカルエンジニアのライアン・ストーン博士(サンドラ・ブロック)ベテラン宇宙飛行士マット・コワルスキー(ジョージ・クルーニー)。想定外の事故が発生し、ふたりは一本のロープでつながれたまま漆黒の無重力空間へと放り出される。

Gravity

Memo1
息詰まるどころか気がついたらサンドラ・ブロックと共に自分も思わずノーブレス状態で見入ってしまった91分間。何を書いてもネタバレ。早めに鑑賞をオススメします。
IMAX 3D試写と通常スコープサイズ3Dで見ましたが、視点ポジションの差異はさほど感じず。だが、しかしとにかく3Dに対しての現時点での解答編です。是非3Dで
出来ればIMAX 3Dで、と言っても(全国の劇場数からみて)誰もが観に行ける状態ではないと思うので→なるべく大スクリーンで3D、いつもは通路側に座っている人もセンターで(リアスピーカーからの音も大事)←カメラがライアンの宇宙服マスク内からの客観映像になったときにライアンの声はリアスピーカーから聴こえる
過去に(今はなき)天保山・IMAX 3Dシアターでフル規格『HUBBLE 3D』を見ているので"宇宙ポツネン感"は予想範疇。というよりキュアロン監督とサンドラ・ブロック&ジョージ・クルーニータッグが"映画的ケレン味"に昇華させているのが好きなところ。科学的にありえないとか言い出す人がいることも判った上での"映画的外連味(けれんみ)"
(ほぼサイレントのような静けさを予想していたら劇伴がバンバン鳴って驚いたぐらい"これはフィクションであり映画だよ"と、言っているようだ)

何気ない会話や場面が後々のシーンにつながっていること多々。
「ソユーズは?」「訓練で」「オペレーションシステムはソユーズと一緒だ」「なんども墜落させた」→地球へ帰還する際の中国"神舟"のシーンの幾つかへ。
「瞳の色」→冒頭修理中のシーンとコワルスキーの最期のシーンとの2回。
「良いニュースと悪いニュースがある」こちらもコワルスキーの口癖のようなフレーズ。とにかくコワルスキーはよく喋る。またそれがライアンを励ましていることもよくわかる。そしてユーモア。
「良いニュースだ。宇宙遊泳記録、これは誰にも抜けない」
対してソユーズに乗り込み遠くへ放り出されたコワルスキーに対して必死に通信を試みるライアンの台詞。
「ケープカナベラからずっとしゃべり続けていたじゃないの」
場面でも
・ソユーズ内部の小さな火の粉を観客には「あれ?大丈夫なの?」と思わせつつスルーして(気がついていない)、どんどん奥に入っていくライアン→しかし予想を超えるほどの火災とボンベ爆発を誘発しさらなる危険に。
・ソユーズに絡まったパラシュートの紐によって(まさに紐一本で)助かったライアンは、いざ中国のステーションへ向かおうとする時にそのパラシュートがからまることによって切り離せない窮地に。
・最初の字幕
THERE IS NOTHING TO CARRY SOUND
NO AIR PRESSURE
NO OXYGEN
LIFE IN SPACE IS IMPOSSIBLE

ANSWERはラスト、
そのまま反転して"地球にいる生の瞬き"へ。
見上げる青い空。
(カメラがそれこそ地面に近い位置、初めてほぼフィックスで)
ラストの台詞はひとこと
水辺から立ち上がろうとして
「ありがとう」
そのライアンは娘を亡くしてからほとんど仕事だけの虚無的な生活ぶりだったことが途中、コワルスキーとの会話から伺える。
「朝起きて、仕事に行ってドライブしている、ただ、それだけ」
そう答えていたライアンだが頼みの綱である"神舟"に燃料がないことが判り地球へ(アナログ波?)で交信を図る。そこでつながった地球から(※)聞こえてくる赤ん坊の泣き声、犬の声、など。
思わず涙が溢れる(こぼれる)
それは小さな点で。
やがて大きな雫となって画面のこちら側に近づいてくる(すごくいい3Dの使い方!)
そして(ちょっとソラリス想起のコワルスキーが出現シーン)を経て、思いつく帰還方法。
※このシーンの地上では誰が、どのように交信していたかがわかるスピンオフムービー→'Gravity' Spinoff Aningaaq

長回しについて
タイトルが出てゆっくりと廻る地球、近づいてくるシャトル、そこにかぶさるライアンとコワルスキーの会話〜他国の衛星破片によりシャトルが破壊されひとり宇宙空間に放り出されるライアン。あっという間に小さな点のように遠くへ。←ここまで(約10数分)がカットで割らずに長回しの形で、すーっと映し続けられる。
「トゥモロー・ワールド」の時にも長回しの形(もちろん2つとも長い)を取りつつ繋げている手法と同じ形で上手く切れ目がないように撮られている(しかも今回は天地無用の宇宙だ!)。2回目鑑賞の感覚での感想から書くと画面上からふたりとも消えて地球のみのシーンが二ヶ所あったので、おそらくそこが繋ぎ目かと。
この流麗にしてくるくると周囲を廻っていく撮影編集手法があってこその宇宙没入感だと思います。
撮影はエマニュエル・ルベツキ!
音楽(スコア)は『アタック・ザ・ブロック』『ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!』のスティーヴン・プライス

Memo2
いくつかのリンク
Gravity: IMAX Behind the Frame
http://youtu.be/39w4Ow5QDGQ 
(IMAXmovies 公式サイト)

上記"IMAX Behind the Frame"でキュアロン監督も
言及していた『HUBBLE 3D』のホームページ
http://www.imax.com/hubble/

(前述の)日本で唯一フル規格上映だった天保山IMAXシアター、期間限定でもいいから「ゼロ・グラビティ」上映のために復活してくれないかなぁ(建物はそのまま残っているけど内部は不明ですが)

映画『ゼロ・グラビティ』オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/gravity

 

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2013-12-12

小津安二郎監督 生誕 110年(没後50年)

2013年12月12日
「google」トップロゴが「小津安二郎監督 生誕 110年(没後50年)」にあわせてスペシャルロゴに。「東京物語」の終盤、義理の父・平山周吉(笠智衆)と戦死した二男の妻、紀子(原節子)、尾道でのシーン。

小津監督作品は70年代には、あまりよくわからず(洋画ばかり見ていたこともあり)全く見る機会がなく80年代に入ってレーザーディスクで鑑賞したのが最初(当時、ハリウッドメジャー作品はほとんどディスク化されず20世紀FOXのみが出ていたぐらい。何故か小津作品がLD化されていた←VHDという別システムはCIC配給系洋画が出ていて熾烈なる争いが始まっていた)
その小津作品初見時もピンとこなかったのもご多分にもれず。
のちにフィルムで特集上映(原節子出演作品として)であらためて見た時に「何っ、これ…。」とただならぬ美意識に衝撃を受けました(ある年齢を過ぎると急に感じいるところが多くなるというのも小津作品の不思議であり魅力だなぁ、と思います)。

Ozu2

(ハスミン関連書籍以外では)定番の2冊「小津安二郎の美学」「小津安二郎を読む」と今から20年前の没後30年の区切りに出た浜野保樹著「小津安二郎」(この本はサイズのこともさることながら、その時点で初めて知るエピソードなども数多く掲載されていてすごく参考になりました)

Ozu3

Ozu4

80年代後半から急速に高まってきた小津監督評価に伴って特集上映などが頻繁に行われるようになってきた際のチラシなど。
(「静」の文字が書かれているものはレーザーディスク発売10周年のLD-BOXセット、片面60分しか収録できないので17枚組29面でした)
左側チラシは今年(2013年)宝塚シネピピアで開かれた特集上映。松竹の小津監督が宝塚映画に出向して撮った作品「小早川家の秋」の一場面。

小津安二郎 生誕 110年
http://www.shochiku.co.jp/ozu/
小津安二郎の図像学
http://www.momat.go.jp/FC/ozu2013/

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2013-12-07

赤木春恵、岩松了主演、森崎東監督『ペコロスの母に会いに行く』"母ちゃん、おいたい、ゆういちばい"

漫画家・岡野雄一が、自分が経験したことをヒントに描いたエッセイコミックを実写化したペコロスの母に会いに行く森崎 東監督による素晴らしき傑作。出演は赤木春恵、岩松了、原田貴和子、加瀬亮、他

物語・長崎で生まれ育った団塊世代のサラリーマン、ゆういち(岩松了)。ちいさな玉ねぎ「ペコロス」のようなハゲ頭を光らせながら、漫画を描いたり、音楽活動をしながら、彼は父さとる(加瀬亮)の死を契機に認知症を発症した母みつえ(赤木春恵)の面倒を見ていた。(Brown部分、シネマトゥデイより抜粋)

Peco

Memo1
これは今年見逃したら損な一本。軽妙洒脱!新しき哉、介護喜劇映画。
喜劇映画(コメディ映画という呼称ではなく喜劇映画)としての笑い。クスクスとかプッとか「ほらほら、そろそろくるぞー」という予測がついての「ほら、キターっ」笑いなどの様々な形の笑いが散りばめられていて素晴しい。(オープニングアニメもエンドタイトル部分も素敵だ)
まずペコロスさんありき、そして喫茶店マスターに温水洋一、で、とどめに竹中直人という(ちょいと反則な)3人絵面(えづら)だけで、もう何が起こるか判る可笑しさ。(竹中さん、本作では超暴走なしで笑いを誘いつつ同じ痴呆症の親を持つ息子の役を好演)
岩松了さん演ずるペコロスさん。決してジメーッとならず母親との接し方とかめちゃくちゃいいんですよねー。痴呆症が進んできて"ゆういち"の事がわからなくなってきているけど、つるつる頭だけはわかるらしくパッと帽子を脱いで「母ちゃん、おいたい、ゆういちばい」「あー、ゆういち〜」と頭を撫でる間と雰囲気の良さ。
森崎監督というと劇中に登場する歌が楽しみのひとつ!本作も(とても大事なキーとなる歌)「早春賦」や(森崎監督の「藍より青く」にも出てきた故郷長崎の民謡)「でんでらりゅう」が。
"でんでらりゅうば でてくるばってん
でんでられんけん でてこんけん
こんこられんけん こられられんけん
こーん こん"
そして原作者の岡野さん唄う「寺町坊譚」も実際(本人歌として)登場。あの手作り丸いギター(漫画「ヨコハマ買い出し紀行」のアルファさんが弾く月琴みたいなもの?)でジャンジャカと歌われる(←実はライブで歌っていたのに会社へ嘘をつく本職へのテキトー感が、また可笑しい)。
またしても時をかける少女に!
エンドタイトルで友情出演ではなくてこうなっていました→原田知世(愛情出演)。そして、なんと姉妹共演シーンも!(そして時空を)
「ボケるのも悪かとばかりじゃなかかもしれん」
その台詞が語られる通り、ランタン祭りで会いたかった人たちと(彼岸と此岸を超えて、時空を超えて)再会できた母みつえ(母には見えている)。それを喜ぶゆういちたち。
母みつえの苦労した少女時代や酒乱だった夫との生活、また、ゆういちの父親との思い出、母との不思議な体験(自殺を思いとどまらせる手紙)など細かいエピソードの積み重ねの上におとずれる、このラストはしっくりと心に染み入る。
森崎 東監督作品といえば寅さんや他作品と、2本立てロードショーとしてかかっていて(後述)、本作にその頃の匂いを感じた。
森﨑東監督の公式ホームページ
http://hadasi.jp/

Memo2
森崎 東監督「時代屋の女房」「女咲かせます」「塀の中の懲りない面々」は、男はつらいよや他作品と2本立てだったなぁ、とチラシをチェック!
(この頃は邦画各社、2本立てロードショーが多数。「うる星やつら2」も「すかんぴんウォーク」←大森一樹!も2本立てで見た)

Morisaki

映画『ペコロスの母に会いに行く』公式サイト
http://pecoross.jp/


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"Hybrid 47 Ronin; Ako Roshi"『47 RONIN』キアヌ・リーブス、真田広之、浅野忠信、菊地凛子、柴咲コウ、赤西仁、他

注・内容に触れています。
歌舞伎や映画、ドラマなどで不動の人気を誇る「忠臣蔵」を大胆にアレンジして映画化『47 RONIN』監督はカール・リンシュ。出演はキアヌ・リーブス真田広之浅野忠信菊地凛子柴咲コウ赤西仁田中泯、他

物語・大石(真田広之)率いるサムライたちは、吉良(浅野忠信)とミステリアスな女ミヅキ(菊地凛子)のたくらみによって主君を殺され、自然が豊かな赤穂の領地を追われてしまう。さらなる謀略を企てる吉良の野望を阻止し、主君の敵を討つべく集まった47人の浪士たちは、かつて主君浅野内匠頭に拾われ助けられたはぐれ者の混血青年カイ(キアヌ・リーヴス)と手を組むことに。そして…(Darkgreen部分、シネマトゥデイより抜粋)

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Memo1
RONINと聞くと「幕末青春グラフィティ坂本竜馬 RONIN」やフランケンハイマー監督「RONIN」が浮かんでくるけれど、これは赤穂浪士四十七士の討ち入り、忠臣蔵を骨格としたダークファンタジーの趣を持った"もうひとつの日本"とでも呼ぶべき彼地で起こった話としての復讐劇。もっとトンデモ系に振り切っているのかと思ったけれど最後の切腹含め意外と本筋に忠実(脚本はクリス・モーガンとホセイン・アミニ)
麒麟(冒頭の角切に出てきた怪物)、天狗(烏天狗のイメージだったけれど本作の造形、結構いいかも)、龍と出てくるあたり、深作欣二監督「里見八犬伝」から「仮面の忍者赤影」(3部の話ではなく蝦蟇法師などが出てきた第1部・金目教編の感じ)を連想。
そして既視感たっぷりの様々なシーン。かつてカイを育ててくれた天狗の地へ刀をもらいに行った時の"試練"が「スターウォーズ帝国の逆襲」の(ヨーダとルークの)シーン、あと後述の「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「ロード・オブ・ザ・リング」など多数。大ボス(吉良)、中ボス(ミヅキ=Witch=龍)、小ボス(巨大甲冑サムライ)の配置が"いかにも的"で楽しい。
今年は「ウルヴァリン SAMURAI」もあって本当に真田広之Year。「ラストサムライ」から一貫して日本を(日本的な舞台を)描くとき"とんちんかんなもの"にならないよう作品全体に寄与してきたことが、これまで読んできたインタビューなどで伺える。そして本作も。殺陣のバリエーションが様々な形で用意されている。モブシーンの殺陣まで普通ならゴチャゴチャして(しかも夜のシーン)判りにくくなるところをスッキリ見えるのは真田広之ありきだなぁ、とつくづく。
浅野忠信が浅野内匠頭(Load Asano)ではなく吉良上野介(Load Kira ややこしw)←ちなみに浅野内匠頭を演ずるのは田中泯!。菊地凛子の役名、IMDbではそのまま Witch (笑)
まん丸の徳川綱吉を演じたのはCary-Hiroyuki Tagawa(IMDbで写真見て、ひっくり返りましたが←「鉄拳」で三島平八役!)
※Load→主人、支配者、首長、領主
字幕監修が冲方丁ということで、いつもの"直訳意訳端折り訳"気味から冲方さんによるものと思われるけれど、ちょっと面白いものに→カイの事を英語ではハーフブリード→それを"鬼子"。今までだと元々の英語では将軍SHOGUNというパターンが多かったところをハイネス→それを"上様"。カイが追放された場所を"出島"。逆に血判状のシーンで判ったことだけれど"カイ"は漢字では"魁"と書くのですね(めちゃくちゃ達筆!!)

Memo2
衣装デザインは「パイレーツ・オブ・カリビアン」などのペニー・ローズ(カイが追放された"出島"が海賊船に取り囲まれたような場所で、なるほどの衣装多数)。裃からイメージしたのかもしれないデザインが全体に踏襲されている。あの有名な四十七士の衣装も「使わないのかなぁ」と思っていたら婚礼の儀に呼ばれた技芸団の衣装がそうでした(この中に紛れ込んで城の中に入っていく)。
タイトルデザインはPicture Mill。ユニバーサルロゴがくるりと一周してズームアップして日本に近づいていき「47RONIN」のロゴが。そう言えば「ウルヴァリン SAMURAI」の縦書きフォント・エンドタイトルもPicture Millでした。

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映画『47RONIN』公式サイト
http://47ronin.jp/

 


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2013-12-01

トム・ハンクス主演、ポール・グリーングラス監督『キャプテン・フィリップス(captain philips)』を4K上映で

2009年のソマリア海域人質事件を船長リチャード・フィリップスが著したノンフィクションを元にトム・ハンクスを主演に映画化した『キャプテン・フィリップス(captain philips)』監督は『ボーン』シリーズや『ユナイテッド93』などのポール・グリーングラス

物語・2009年4月、ソマリア海域を航海中のコンテナ船、マークス・アラバマ号を海賊が襲撃。武器を所持していた4人の海賊に、武装していなかったアラバマ号はあっという間に占拠されてしまう。船長のリチャード・フィリップス(トム・ハンクス)は、20人の乗組員を自由にしてもらう代わりに自らが海賊の人質となり…(Darkolivegreen部分シネマトゥデイより抜粋)

Captain_philips1

Memo
カメラの揺れと船舶の揺れとのダブルパンチ状態。これはかなり体調が良いときに鑑賞しないと感想どころではなくなる人も多いかも(まあ、実のところはセンスのよいハンディカメラと巧みな編集、上手い劇伴の入れ方で"揺らせばいいってものじゃないでしょーという凡百のゆれゆれ画面監督"とは一線を画していますが)。
「ボーンアルティメイタム」(シリーズ屈指の傑作)でカメラマンごとジャンプして窓へ飛び移る「おいおいおいおいマジかよ」シーンを撮影したグリーングラス監督の「ユナイテッド93」の空の上に続いて海上での密室サスペンス。コンテナ船上での立体的な緊迫感から小さな(本当に船長含め5人だけの)ファイバーグラス製救命ボートでの緊張感まで観客が気を緩められるところはない。(上映終了後の周りの感想はひとこと「疲れたー」を連発)
4K上映で鑑賞。
フレームレートを上げているわけではないので滑らかさよりも鮮明さが増した画面。(SONYのBRAVIA 4KのCMがあったけれど、これは4K上映の時のみ?)
通常のデジタル上映と直接比較したわけではないので断言はできませんが夜間シーンとかの印象はかなり違うのでは?(カラーグレーディングにはDaVinci Resolve使用)
その事例記事→PRONEWS : デジタル映像制作Webマガジン
http://www.pronews.jp/m/e/1310161950.php

海賊役は世界中からオーディションで配役された。海賊側のリーダー、アブディワリ・ムセ役のバーカッド・アブディは本作より俳優デビュー。本編で「アメリカに行きたい」と語っていた本人は見事、実生活で夢を実現したこととなる(賢さと粗雑さが入り交じった役は本物感プンプンで見ているこちらにも緊張が伝わる)
ラストシーンで、フィリップス船長を手当てする看護師長役が実際の海軍衛生兵の方という記事をどこかで読みましたが救出されて呼吸が乱れ混乱しているフィリップス船長に対しての声のかけ方、対処などが本物の迫力(本物ですが)。助かった後にまで緊張感溢れるシーンを作り出していた。
そして最後に。
トム・ハンクスの演技者としての素晴らしさをまざまざと見せつけられた。開巻すぐは、まだトム・ハンクスが出ていると認識しているのだが、いつの間にかフィリップス船長と共に人質にとられたひとりのような錯覚に陥るほど映画自体に入り込んでしまうほど、そこに演者はいなくなっていたのだ。(もちろん演出と編集の凄さもあるのだが映っているものはドキュメンタリーではなく演じている者なのだから)
撮影に使用されたカメラをIMDbのTechnical Specificationsで調べると11種、マスターフォーマットは4K(いくつかのフォーマットソースの中には16mmも。いかにもグリーングラス監督らしい様々なバリエーションフォーマットを細かく編集したかが伺える)
衣装デザインは「アーティスト」でアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞したマーク・ブリッジス(Greenbergこと「ベン・スティラー 人生は最悪だ! 」「ザ・マスター」他ポール・トーマス・アンダーソン監督作品多数)
TITLEは数多くのタイトルデザインを手がけているMatt curtis
エンドクレジットにて確認(IMDbには特に記載なし)

Captain_philips2

キャプテン・フィリップス |オフィシャルサイト
http://www.captainphillips.jp

 

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