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2013-12-07

赤木春恵、岩松了主演、森崎東監督『ペコロスの母に会いに行く』"母ちゃん、おいたい、ゆういちばい"

漫画家・岡野雄一が、自分が経験したことをヒントに描いたエッセイコミックを実写化したペコロスの母に会いに行く森崎 東監督による素晴らしき傑作。出演は赤木春恵、岩松了、原田貴和子、加瀬亮、他

物語・長崎で生まれ育った団塊世代のサラリーマン、ゆういち(岩松了)。ちいさな玉ねぎ「ペコロス」のようなハゲ頭を光らせながら、漫画を描いたり、音楽活動をしながら、彼は父さとる(加瀬亮)の死を契機に認知症を発症した母みつえ(赤木春恵)の面倒を見ていた。(Brown部分、シネマトゥデイより抜粋)

Peco

Memo1
これは今年見逃したら損な一本。軽妙洒脱!新しき哉、介護喜劇映画。
喜劇映画(コメディ映画という呼称ではなく喜劇映画)としての笑い。クスクスとかプッとか「ほらほら、そろそろくるぞー」という予測がついての「ほら、キターっ」笑いなどの様々な形の笑いが散りばめられていて素晴しい。(オープニングアニメもエンドタイトル部分も素敵だ)
まずペコロスさんありき、そして喫茶店マスターに温水洋一、で、とどめに竹中直人という(ちょいと反則な)3人絵面(えづら)だけで、もう何が起こるか判る可笑しさ。(竹中さん、本作では超暴走なしで笑いを誘いつつ同じ痴呆症の親を持つ息子の役を好演)
岩松了さん演ずるペコロスさん。決してジメーッとならず母親との接し方とかめちゃくちゃいいんですよねー。痴呆症が進んできて"ゆういち"の事がわからなくなってきているけど、つるつる頭だけはわかるらしくパッと帽子を脱いで「母ちゃん、おいたい、ゆういちばい」「あー、ゆういち〜」と頭を撫でる間と雰囲気の良さ。
森崎監督というと劇中に登場する歌が楽しみのひとつ!本作も(とても大事なキーとなる歌)「早春賦」や(森崎監督の「藍より青く」にも出てきた故郷長崎の民謡)「でんでらりゅう」が。
"でんでらりゅうば でてくるばってん
でんでられんけん でてこんけん
こんこられんけん こられられんけん
こーん こん"
そして原作者の岡野さん唄う「寺町坊譚」も実際(本人歌として)登場。あの手作り丸いギター(漫画「ヨコハマ買い出し紀行」のアルファさんが弾く月琴みたいなもの?)でジャンジャカと歌われる(←実はライブで歌っていたのに会社へ嘘をつく本職へのテキトー感が、また可笑しい)。
またしても時をかける少女に!
エンドタイトルで友情出演ではなくてこうなっていました→原田知世(愛情出演)。そして、なんと姉妹共演シーンも!(そして時空を)
「ボケるのも悪かとばかりじゃなかかもしれん」
その台詞が語られる通り、ランタン祭りで会いたかった人たちと(彼岸と此岸を超えて、時空を超えて)再会できた母みつえ(母には見えている)。それを喜ぶゆういちたち。
母みつえの苦労した少女時代や酒乱だった夫との生活、また、ゆういちの父親との思い出、母との不思議な体験(自殺を思いとどまらせる手紙)など細かいエピソードの積み重ねの上におとずれる、このラストはしっくりと心に染み入る。
森崎 東監督作品といえば寅さんや他作品と、2本立てロードショーとしてかかっていて(後述)、本作にその頃の匂いを感じた。
森﨑東監督の公式ホームページ
http://hadasi.jp/

Memo2
森崎 東監督「時代屋の女房」「女咲かせます」「塀の中の懲りない面々」は、男はつらいよや他作品と2本立てだったなぁ、とチラシをチェック!
(この頃は邦画各社、2本立てロードショーが多数。「うる星やつら2」も「すかんぴんウォーク」←大森一樹!も2本立てで見た)

Morisaki

映画『ペコロスの母に会いに行く』公式サイト
http://pecoross.jp/


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