スティーヴン・フリアーズ監督『あなたを抱きしめる日まで(PHILOMENA)』主演ジュディ・デンチ、スティーヴ・クーガン
注・内容に触れています。
マーティン・シックススミス著作「The Lost Child of Philomena Lee」をベースにスティーヴン・フリアーズ監督が映画化『あなたを抱きしめる日まで(PHILOMENA)』出演はジュディ・デンチ、スティーヴ・クーガン、他
物語・1952年アイルランド、未婚の母フィロミナは強引に修道院に入れられた上に息子の行方を追わないことを誓約させられてしまう。その後、息子をアメリカに養子に出されてしまった。それから50年、イギリスで娘と暮らしながら常に手離した息子のことを案じ、ひそかにその消息を捜していたフィロミナ(ジュディ・デンチ)は、娘の知り合いのジャーナリスト、マーティン(スティーヴ・クーガン)と共にアメリカに旅出つ。そして…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)
※Memo1
●今年おじいちゃん映画「ネブラスカ」に続いておばあちゃん映画の傑作!しかも同じロードムービーの趣(おもむき)をもった、とても丁寧な作り。
●スティーヴ・クーガン演じるマーティン
皮肉屋でやや杓子定規、信仰心がない。
BBCのキャスターを辞めたばかり。
そんな"ブータレ"マーティンへのフィロミナの接し方が面白い。そしていつしか母のように。
(実際に息子が亡くなっていたことを知り落胆しているフィロミナの部屋の電話が通じないことで心配になりホテル側に「母です」と嘘をつき部屋に入れてもらう。その時の顔と顔)
最初、ちぐはぐな会話だったフィロミナとマーティン。
時に説教されたり、時にロマンス小説のあらすじを全部話されたり(←いるいる、こんなおばちゃん 笑)「神は信じない」と言うマーティンの頑ななこころを揉みほぐしたりと。
そして気がつけば本当の親子のようになっている、その過程の語り口の素晴らしさ。
●そのフィロミナを演じたジュディ・デンチ。
もう、素晴しいの一語に尽きる。顔のアップと表情だけで全てが語れてしまう上手さ。そして、その雰囲気(Atmosphere)と態度(Attitude)
何も知っていなさそうで実は機知に富んでいて会話にもウィットがある。息子マイケルのことも小さい時からゲイの傾向があることもよくわかっていて、実際にその事実にふれても全く驚きをみせない。むしろ、自分と同じように(レーガン政権下でのスタッフという立場上)ゲイということを隠し続けなければならなかったことに対して「つらかったでしょうに…」と慈しむ。
そして持ち続けた贖罪。隠し続けられた真実を知ったとき、出た言葉が(罵倒でも怒りでもなく)「シスター、ヒルデガード。わたしはあなたを赦します」
それは、ある意味最も強烈な楔のような言葉でもあるのですが…
●エンドクレジットに実際の作者マーティン・シックススミスとフィロミナの写真、近況が出たとき、一瞬ザワっとした。実話だったんだぁ…ということに対してのざわ。
※映画「マグダレンの祈り」で実際にそのようなことが行われていたことを知った。
本編でも「マグダレン」に触れる台詞が一箇所出てきます。
●ラストの台詞
マーティンとフィロミナの車が走っていくところを俯瞰で。
あらすじを喋り続けるフィロミナ
こう締めくくる
「最高の結末、100万年に一回よ」
※Memo2
●メインタイトルデザインはMatt Curtis
既に何回も当ブログ記載通り、ダニー・ボイル作品多数。
ジュディ・デンチ出演作ではイギリスのFugitive Studios Produced名義で「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」も手がけている。
映画『あなたを抱きしめる日まで』公式サイト
http://www.mother-son.jp/
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原題 PHILOMENA
製作年度 2013年
製作国・地域 フランス/イギリス
上映時間 98分
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脚本 スティーヴ・クーガン/ジェフ・ポープ
監督 スティーヴン・フリアーズ
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受信: 2014-03-23 00:07
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----えっ、ダメ?
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受信: 2014-04-04 10:49
» 「あなたを抱きしめる日まで」 [ヨーロッパ映画を観よう!]
「Philomena」2013 UK/USA/フランス
フィロミナに「007 スカイフォール/2012」のジュディ・デンチ。
製作、脚本、出演(マーティン・シックススミス)に「メイジーの瞳/2012」のスティーヴ・クーガン。
若き日のフィロミナにソフィ・ケネディ・クラーク。
フィロミナの娘ジェーンに「Jの悲劇/2004」「ジェイン・オースティンの秘められた恋/2007」のアンナ・マックスウェル・マーティン。
サリー・ミッチェルにミシェル・フェアリー。
シスター・ヒルデガードに「ナイン... [続きを読む]
受信: 2014-04-05 19:41
» ある母の記/ 「寛容」 についての物語~『あなたを抱きしめる日まで』 [真紅のthinkingdays]
PHILOMENA
アイルランド出身で、英国に娘と暮らす老婦人フィロミナ(ジュディ・デンチ)は、
50年前に未婚のまま、アンソニーという名の男の子を出産していた。修道院
から養子に出されたまま行方知れずの息子を、フィロミナは捜す決心をする。
BBCの元キャスターで求職中のジャーナリスト、マーティン・シックススミス(ス
ティーヴ・クーガン)とともに...... [続きを読む]
受信: 2014-04-23 10:09
» 『あなたを抱きしめる日まで』をシネマート新宿1で観て、パズル論議ふじき★★★★ @tamiki [ふじき78の死屍累々映画日記]
五つ星評価で【★★★★チラシに書いてある「感動」とは別の感情だと思う】
まず、面白い。
でも、チラシに書いてある「感動の実話」と言うのとはニュアンスが違う。
「感動 ... [続きを読む]
受信: 2014-05-03 09:35
» 劇場鑑賞「あなたを抱きしめる日まで」 [日々“是”精進! ver.F]
母子の絆は、絶対に切れない…
詳細レビューはφ(.. )
http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201405170000/
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受信: 2014-05-17 14:40
» あなたを抱きしめる日まで [C’est joli〜ここちいい毎日を♪〜]
あなたを抱きしめる日まで
14:イギリス・アメリカ・フランス合作
◆原題:PHILOMENA
◆監督:スティーヴン・フリアーズ「クィーン」「わたしの可愛い人 シェリ」「がんばれ、リアム」
◆主演:ジュディ・デンチ、スティーヴ・クーガン、ソフィ・ケネディ・クラーク、ア...... [続きを読む]
受信: 2014-08-10 20:29
» 息子探しの果てに [笑う社会人の生活]
25日のことですが、映画「あなたを抱きしめる日まで」を鑑賞しました。
18歳で未婚の母となったフィロメナは親から強制的に修道院に入れられ、息子をアメリカに養子に出されてしまう。
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» あなたを抱きしめる日まで [いやいやえん]
【概略】
50年前に生き別れた息子を捜そうとする主婦と、その記事に再起を懸ける元ジャーナリストの旅の行方を描く。
ドラマ
未婚で身籠ったため修道院に預けられた挙句、産まれた子供を勝手に里子に出された母親が、50年経ってその息子を探しに行くというお話。
てっきり、その手助けをするジャーナリストが巡りめぐった実の息子だなんて展開だったら都合よすぎるお涙頂戴だったけれども、そうはならなかったのが良かった。
笑いが多めですね〜シリアスな展開かと身構えてると笑わしに来るんですよ。
主... [続きを読む]
受信: 2014-10-28 07:50