エマ・トンプソン、トム・ハンクス主演、ジョン・リー・ハンコック監督『ウォルト・ディズニーの約束(Saving Mr. Banks)』
注・内容に触れています。
1964年のミュージカル映画『メリー・ポピンズ』の誕生秘話を描いた『ウォルト・ディズニーの約束(Saving Mr. Banks)』監督はジョン・リー・ハンコック。出演はエマ・トンプソン、トム・ハンクス、ポール・ジアマッティ、コリン・ファレル、ジェイソン・シュワルツマン、他
物語・1961年、パメラ・L・トラヴァース(エマ・トンプソン)はウォルト・ディズニー(トム・ハンクス)が長年熱望する「メリー・ポピンズ」の映画化について話し合うためにロサンゼルスに向かう。傑作児童文学の著者である彼女は気難しい性格で周りを困惑させる。スタッフたちはどうにかしてトラヴァースに映画化の契約書に署名してもらおうと心を砕くが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)
※Memo1
●「メイキング・オブ・メリー・ポピンズ」ではなく、どちらかというと"その背後に隠されていた物語"がキーポイントになっている。
とはいえ、ディズニーファンがわくわくするようなシーンも用意されている。
ウォルト・ディズニー本人がパメラ(トラヴァース夫人)を案内するディズニーランドのシーンでは1960年代当時のディズニーランドを再現。
面白いのは入場者(おっと、ゲストですね)からサインをねだられると予め用意していたサイン入りの小さいカードを配っているところ。
シャーマン兄弟(ジェイソン・シュワルツマンとB・J・ノヴァク)と脚本家ドン・ダグラディ(ブラッドリー・ウィットフォード)を交えてのやり取りも最高に楽しい。
ボードに貼りだされたスケッチ、その場で作られていく歌詞など文字通りの創作の現場!
●「メリー・ポピンズ」を見てから鑑賞すると本作自体のさりげないところが多くリンクされていることに気づく。
・冒頭、父親のトラヴァース(コリン・ファレル)が唄うように語るナレーション
「東の風が吹いたら〜」は「メリー・ポピンズ」大道芸人バートが公園でくちずさむように唄う台詞と同じ。
・ディズニーランドで「これだけは是非乗ってほしかった」とウォルトがパメラと乗る回転木馬シーンは「メリー・ポピンズ」のアニメと実写合成パートを連想させる。
・パメラのロンドン自宅前には桜の木。そして「メリー・ポピンズ」にも(完成した映画の披露試写会場レッドカーペット両サイドにも桜並木が)
●ビバリーヒルズホテルの部屋に入ってビックリ。
部屋中に置かれたミッキーやプーさんのディズニーキャラクターのぬいぐるみ。
そのプーさんを見てひと言
「かわいそうなA・A・ミルン」
この"お金か原作のスピリットを守るか"のせめぎあいは内と外で繰り広げられる。それは、またかつてウォルトも経験してきたこと。こんな台詞が出てきていました→
「彼女が頑なになるのもわかる」
「私も"ねずみ"の権利(※)を奪われてしまうかどうかという選択をせまられたことがあるから」
※パット・パワーズとの契約をめぐるトラブル(ミッキー生みの親でもあるアニメーター、アブ・アイワークスを巻き込んでの有名な話)
●パメラは何故、梨がNG(ホテルの部屋のバルコニーからプールへ放り投げる)なのか、何故急に赤い色を使いたくないと言い出したのかが終盤近くでわかる。
●それにしても、かなり意地悪で頑なで皮肉屋で意固地なキャラクターとして描かれているパメラ。
・ディズニースタジオで秘書から
「あ、それから彼のことは"ウォルト"と」
「"ディズニー"と呼ばれることを嫌いますので」
で、いきなり初対面の際に
(聞く耳持っていないのか、わざとか)
「"ディズニー"さん」と挨拶するパメラ
一瞬「!?」となるウォルト。
「"ウォルト"と呼んでください。"ディズニー"は父の名前だから」←実はこの台詞、かなりの前フリだけど、ウォルトの子供の頃の秘密が)
自分のことはパメラではなく"トラヴァース夫人"と呼ばせている(何度も出てくる。そして言いなおしている)←このことは同じくパメラの頑なさの理由のひとつでもある。
・さらに、自分の原作「メアリーポピンズ」にアニメは使わせないということを言った際の台詞
「あなたの"金のなる木"にはさせない」とスッパリ
("金のなる木"英語ではプリンティングマシンって言ってたw)
・また紅茶をウォルトにいれてもらっているのに命令口調で
「紅茶はミルクから」
などと、かなり慇懃無礼。
●専属の運転手ラルフを演じたポール・ジアマッティがいいなぁ。
"運転手映画"というジャンルがあるとしたら「ドライビング・ミス・デイジー」と並んで選ぶ一作。
ラルフとの交流はパメラが徐々にこころを開いていくきっかけとなっている。
(「今日はいい天気でよかった」の理由、車椅子で不自由な生活をおくっている娘のことを知ったことも)
空港での台詞
「あなたが唯一、好きになったアメリカ人だわ」と。
※Memo2
●タイトルデザイン(main-on-ends)はShine STUDIO
(エンドタイトルシークエンスの動画あり)
http://shinestudio.com/saving-mr-banks/
●『メリー・ポピンズ』
幾度となくリバイバル公開された時のチラシ▼
ウォルト・ディズニーの約束 | ディズニー映画
http://www.disney.co.jp/movies/walt/
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1961年に製作されたディズニー映画の『メリー・ポピンズ』の
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P.L.トラヴァースが『メリー・ポピンズ』の作品にこめた思いと
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1964年の名作ミュージカル映画「メリー・ポピンズ」の製作秘話です。とにかく役者が巧い。最初は、偏屈で映画化に難癖ばかりつける鼻持ちならないトラヴァース夫人。しかし、なぜ、トラヴァース夫人は作品にここまでこだわるのか、さらにウォル... [続きを読む]
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» メリー・ポピンズが出来るまで、 [笑う社会人の生活]
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映画の製作者たちが提案する脚本のアイデアをことごとく却下、なぜ...... [続きを読む]
受信: 2014-10-20 00:31