『とらわれて夏(LABOR DAY)』ジェイソン・ライトマン監督、ケイト・ウィンスレット、ジョシュ・ブローリン、ガトリング・グリフィス、他
注・内容、台詞に触れています。
『とらわれて夏(LABOR DAY)』
ジェイソン・ライトマン監督
ケイト・ウィンスレット
ジョシュ・ブローリン
ガトリング・グリフィス、他
物語・9月初めのレイバーデーの連休が迫るアメリカ東部の閑静な町。シングルマザーのアデル(ケイト・ウィンスレット)とその息子である13歳のヘンリー(ガトリン・グリフィス)は、逃亡犯のフランク(ジョシュ・ブローリン)と出くわしてしまう。絶対に危害は加えることはないという言葉を信じアデルは彼を自宅にかくまうことに。やがて、家や車を修理し料理を作りヘンリーに野球を教えるフランクに安らぎを覚え、魅了させられていくアデル。そして…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)
※Memo1
●小説未読。
原作者がサリンジャーとの恋の顛末を綴った「ライ麦畑の迷路を抜けて」のジョイス・メイナードであることを後で知る。
作者が本作の日本語版が出版された折に寄せたメッセージを読むとファンタジー的とも称されたロマンティシズムさも理解できるなぁ。
(メッセージ出典) Matogrosso
http://matogrosso.jp/torawarete/torawarete.html
他にニコール・キッドマン主演『誘う女』原作の『誘惑』も。
●時間が経過
主人公(ここでの主人公とは?ということを考えると、これは相当上手い手法をとっている)と過ごす"9月の忘れ得ぬ5日間" 観終わった後もそのあとも、しばらくしてからもじわ〜っといろいろ染み入るいい映画でした。
(ちなみに時代設定が80年代中〜後半ということが母親と『ダリル』を映画館に見にいったり、テレビでは『未知との遭遇』を放送、壁には『E.T.』のポスターが貼られていることで判る)
●再生されていく話。
実際、3人ともにその語られるべき次元は違えども、こころになんらかの傷を負っている(フランクも過失による、それもかなり同情を得るに価する事情があった上での)
その上でのそれぞれの気遣いが垣間見えるからこその忘れえぬ数日間になっているのだ。
(それは、その後の人生を決定づける)
●いい台詞が多数。
・ラスト、警察に取り囲まれ、いよいよ捕まってしまうという、その間際に。
「20年刑期が延びたとしても、あと3日間君と過ごしたい」
・ヘンリー少年が成長した(そして本作の語り部であることが判明する)役をトビー・マグワイアが(それにしてもよく似た子役を見つけたものだ。さらにトビー・マグワイアのことをなるべく伏せた形で宣伝しているのも素晴しい)
フランクが逮捕され、最初は元の父親のもとで生活していたが結局馴染めず母親のところに戻る。
「高校最後の夏、母のキッチンで、初めてパイを焼いた」
そのヘンリーも成人してパイの店を始めることに(フランクから伝授された、あのパイ)。その記事を見つけて手紙を書いてきたフランク(まもなく仮出所だ)
そのフランクの「どこにいるのかがわからないのでは?」といった危惧に。
「すぐ見つかると思う」
(そして、あの数日過ごした家での再会シーンへと)
●と、ここまで書いてきて思うのは、キャスティングが至極うまくいった作品ともいえる。
ケイト・ウィンスレットはもちろんのこと、その広場恐怖症に陥っていた母を見守り続け、フランクとの出会いによって(モノローグでも語られていた「愛を失っていた」)母が徐々に女性として徐々に変化していくさまを自身も思春期を迎えときめきを持ちはじめる微妙な時期の少年ヘンリーを演じたガトリング・グリフィス。
それにしてもジョシュ・ブローリンは本作の後にあの「オールド・ボーイ」ハンマー男を演じるわけですから落差たるやスゴイものが…。
※Memo2
●タイトルデザインはジェイソン・ライトマン監督作品を全て手がけてきたGareth Smith & Jenny Lee
「JUNO」や「マイレージマイライフ」の印象的なタイトルシークエンスではなく極めて控えめな本作にふさわしいデザイン。
Smith & Lee Web
(「とらわれて夏」のタイトル部分動画あり)
http://smithleedesign.com/projects/#/labor-day/
映画『とらわれて夏』公式サイト
http://www.torawarete.jp/
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『とらわれて夏』 を鑑賞しました。
今日は映画の日ですが、増税後なので¥1,100-でした。
今までの¥1,000-から¥100の値上げですが、この¥100が行く気を削ぎますね(笑)
【ストーリー】
9月初めのレイバーデーの連休が迫る、アメリカ東部の閑静な町。シングルマザーのアデル(ケイト・ウィンスレット)とその息子である13歳のヘンリー(ガトリン・グリフィス)は、逃亡犯のフランク(ジョシュ・ブローリン)と出くわしてしまう。絶対に危害は加えることはないという言葉を信じ、アデルは彼を自宅にかく... [続きを読む]
受信: 2014-05-14 23:13
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評価:★★★【3点】(11)
ケイト・ウィンスレットのひとり芝居でも成り立つとか?(笑) [続きを読む]
受信: 2014-05-15 06:20
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(原題:LABOR DAY)
----『とらわれて夏』…
ちょっとカッコいいタイトルだよね。
文学的と言うか…。
「うん。
原題は『LABOR DAY』(労働者の日)。
この内容で、そんなタイトルつけたら、
配給会社が狙っているターゲットは
そっぽを向いてしまう」
----どんなお話ニャ...... [続きを読む]
受信: 2014-05-15 14:01
» とらわれて夏 [to Heart]
原題 LABOR DAY
製作年度 2013年
上映時間 111分
原作 ジョイス・メイナード
監督 ジェイソン・ライトマン
出演 ケイト・ウィンスレット/ジョシュ・ブローリン/ガトリン・グリフィス/トビー・マグワイア/トム・リピンスキー/ジェームズ・ヴァン・ダー・ビーク/ディラン...... [続きを読む]
受信: 2014-05-15 22:38
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受信: 2014-05-19 13:03
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【概略】
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ドラマ
ケイト・ウィンスレット、ジョシュ・ブローリン共演。
癖のある役者やメロドラマ的なタイトルかと思っていたらとても見応えのある作品で驚いた。
精神的に不安過敏な母親アデルと一人息子ヘンリー(元夫は再婚して新しい家庭を持った)、ある日、スーパーマーケットへの買い物の際、一人の男と出会う。彼は息子を盾にとり車に乗り込み、アデル... [続きを読む]
受信: 2015-05-31 09:38