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2014-07-20

『思い出のマーニー』米林宏昌監督、高月彩良、有村架純

注・内容、台詞に触れています。
思い出のマーニー
監督 : 米林宏昌
原作:ジョーン・G・ロビンソン
脚本:丹羽圭子/安藤雅司/米林宏昌

物語・心を閉ざした少女杏奈(高月彩良)は、ぜんそくの療養を目的に親戚が生活している海沿いの村にやって来た。そんなある日、彼女の前に誰もいない屋敷の青い窓に閉じ込められた、きれいなブロンドの少女マーニー(有村架純)が姿を見せる。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Ma_1

Memo1
舞台は北海道に移してあるけど、かなり元原作に忠実につくっている。
アンナ→杏奈、マーニー→マーニー、ミセス・プレストン→頼子・おばちゃん(と、呼んでいる養母、のち"母です"と紹介するシーンが用意されている)
プリシラ→さやか(湿っ地屋敷に新たに住むことになった女の子。マーニーが書いた古い日記を見つける。最初、屋敷を見ていた杏奈のことをマーニーだと思って声をかける←今までのジブリキャラの系譜からいくと完全コメディリリーフとなる感じだが、こうき心旺盛な非常に良い子として登場している←やがて杏奈と古い日記のことを探っていくうちに最後は本当の友だちとなる)、ギリー→久子(湿っ地屋敷の絵を描いている。マーニーのこと、そこで起こっていたことを知っている)
風車小屋→サイロ、等々…

児童文学である上に米林監督がインタビューで「映画にするのは難しいだろうなぁ」と答えているとおり、大きなスペクタクルが用意されているわけでも大事件が起こるわけでもないふたりの会話の物語。
脚色していく際にもう少しミステリー要素に振りきることやマーニーの真実についのネタばらしシークエンスをケレン味ある見せ方にすることも可能だったかもしれないが、そこはあえてやらなかったのかなと思える部分が多々。

いくつかの台詞。
・「私はわたしのことが嫌い」
冒頭、公園でひとり運動をする輪から外れて絵を描いている杏奈。
(上手いが人物が描かれていない。描こうとして消してしまう)
近づいてくる先生。
「どれどれ、見せてくれる」
(もう、その所作から"わたしにかかわらないで""放っておいて"オーラが漂っている杏奈)
握りしめた鉛筆がスケッチブックの端で軋む。
・村の七夕祭りで短冊に書いた言葉
「毎日、普通でいられますように」
その時に「何書いたの、ちょっと見せてよ」と村の子に言われ、嫌がる杏奈。
つい、"太っちょ眼鏡ブタ"と叫んでしまう。
返された台詞が
「あなたは(気づいていないけど)見たとおりに見えている」
真実を言い当てられた杏奈。
そのことが更にこころの奥へといざなってしまう。
そして、湿っ地屋敷でマーニーと出会うこととなる。
(前段階として、まるで何かに惹かれるように屋敷近くまで行くシーン、そこで一瞬、誰もいないはずの屋敷に灯りがついているのを見ている)
「ふたりのことは誰にも秘密よ」
マーニーと心通わせていく杏奈。
やがてマーニーにも人に言えなかった秘密が…。
(ここから杏奈が次第に周囲に対して、接し方が少しずつ変わりはじめ良い方向に向かっていく。逆にマーニー側に微妙な変化が現れ、反転現象が丹念に描かれていく)
・「あなたのことが好きよ」
これは本作全体を貫く大事な台詞。

散りばめられている謎に対するヒント。
・全く描かれていない実の両親のこと、大好きな祖母のこと。
・前述の村の子に、こう言われる。
「ほら、杏奈ちゃんってよく見ると眼の色がすごく青くない?」
・両親が亡くなったとき、誰が育てるかでもめている親戚たち。
その影に怯える杏奈。
ギュッと抱きしめている人形の姿(洋服、ブロンドの髪)は、まさにマーニー。
そう、マーニーとは…
(以下ネタバレ)
ラスト、決定的な出来事となるサイロでの件(くだり)
やがてマーニーとの別れが…。
「わたしのこと、赦してくれる」
そこでのぽろぽろと溢れでて流れ落ちる涙。
マーニーを許すことはすなわち自分を許す(赦す)こと、
湿っ地屋敷の話を聞かせてくれたマーニーお祖母ちゃんを許すこと(正確には承認すること)
ひいてはマーニーの娘、そう自分の母を許すこと。
全ての自分を取り巻く世界全体を許すこと…。
※マーニーは日本人と結婚してるので杏奈の実の母親はハーフ、そして(どういう相手か描かれていないが)父は日本人、で、杏奈はクオーター。
(ある疎外感はそこに一因があったかもというのは深読みし過ぎだろうか)

実は最初に公開されたチラシに書かれていたコピー
そこには既に本作の結末を匂わせていた言葉。
この世には目に見えない魔法の輪がある。

Memo2
美術監督は種田陽平さん。
日テレ「笑ってコラえて」ジブリ特集。
実写と同じように模型を作っていることが紹介されていました。アニメーターの方々は絵がかけるので間取りなどの図面が描かれることはあっても、模型を作ることはなく本作が初めて、とも。
『借りぐらしのアリエッティ』はアリエッティの洋服の、本作では庭になってるトマトの
共に草の緑に対しての補色。
(見事に映える)
あと、西瓜のも印象的。
本作の魅力のひとつは湿っ地の水の表現だと思うのですが米林監督の色彩的ワンポイントとして赤という色が今後も印(しるし)として描かれるのかもしれないと、ふと思った。
そして、もうひとつカラーポイント。
ムシャリンドウの紫の花
(原作ではシーラベンダー)
主題歌は「Fine On The Outside
プリシラ・アーン(2013年末に「三鷹の森ジブリ美術館」で開催されたクリスマス・コンサートに参加)。

Ma_2

映画『思い出のマーニー』公式サイト
http://marnie.jp/index.html

思い出のマーニー×種田陽平展
http://www.marnietaneda.jp/

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2014-07-16

タイトルデザイン_44. PROLOGUE FILMS(Kyle Cooper)『GODZILLA ゴジラ』ギャレス・エドワーズ監督

注・内容、ラストに触れています。
GODZILLA ゴジラ
監督 : ギャレス・エドワーズ
アーロン・テイラー=ジョンソン渡辺謙
エリザベス・オルセン
ブライアン・クランストンジュリエット・ビノシュ、他

物語・1999年、日本。原子力発電所で働くジョー(ブライアン・クランストン)は異様な振動が続くことに対して停止を決意。しかし、その矢先、振動は激しさを増し、ついに発電所は崩壊、一緒に働いていた妻サンドラ(ジュリエット・ビノシュ)を亡くしてしまう。それから15年後、アメリカ軍爆発物処理班の隊員であるジョーの息子フォード(アーロン・テイラー=ジョンソン)は、日本で暮らす父が原発崩壊事故の原因を調べようと侵入禁止区域に立ち入って身柄を拘束されたと連絡を受ける。そして…(物語項、シネマトゥデイより部分抜粋)

Godzilla1

Memo1
以前、ニューズウィーク誌のゴジラ評ページに掲載された怪獣が出てくるまでの時間ランキング(パシフィック・リムが記録的に早い)でも、かなり下位に属するぐらいゴジラ登場は遅い。しかしムートー(オス)は30分過ぎには全容を表すので全体構成としては十分なタイミング。
背びれは重要。
冒頭、ニュースフィルム映像に映る背びれで始まった映画はラスト、サンフランシスコ湾へと潜り去っていくゴジラの背びれで終わる。(最後は水面だけに)
インタビュー等で答えているとおりスピルバーグを意識(無意識的にも含め)した創り。背びれはまさに「JAWS」(俯瞰ショットから捉えたゴジラの泳ぐ姿、特に尻尾の動きは鮫のよう)。
また隔離されたエリア(橋の向こう側に明るく見える施設←まさにマザーシップが降り立つデビルスタワー!)や、周囲から言説を信じてもらえない父親、原子力潜水艦が陸地に放り出されているイメージ(砂漠に貨物船)など、いろいろ「未知との遭遇」想起。
ムートー(MUTO※)の生態系、ゴジラが天敵とする理由など、やや駆け足(ほんの少しのセリフで説明)な部分もあるが、そんなことはどうでもよくて、ただこの怪獣映画に酔えば良いのだ。
※Massive Unidentified Terrestrial Organism(未確認巨大陸生生命体)
しかし、このムートー。
最初見たときは、なんだかギエロン星獣+ギャオス+スターシップ・トゥルーパーズのアラクニド・バグズを足して三で割ったようなイメージだったけれど、実際オスとメスの極端なサイズ違い含め、動いているとなかなかよくできてるなぁ、と感心。(この辺も入念に調べた上でデザインされたのかな?)
フォードはムートー、ゴジラ共に目が合うというシーンが用意されていて、ちょっと驚きのシーンが。
最後のムートー(メス)へのゴジラの一撃(青白い放射熱線を口の中に向けて放つというところが素晴しい!)
首をバサっと取って頭上へかかげる姿はまさに大見得きっての「討ち取ったりー」
さらには一度は倒れたと思いきや、目覚め、立ち上がり、倒壊したビルの間から見える去っていく後ろ姿にちょっと任侠映画!?、なんてことも思い浮かべたり。
とにかくゴジラが画面に現れるたびに趣向を凝らした見せ方(ホノルル国際空港でのターミナル内から脚のショット、避難所の大型ビジョンに映し出されるムートーとの戦い後の姿等々…)が用意されていて、なんとも見事な"怪獣愛"溢れる映画となっています。

Memo2
メインタイトルデザイン : PROLOGUE FILMS
タイトルデザイナー : Kyle Cooper
ガンガン盛り上がるアレクサンドル・デスプラの劇伴に乗せて過去のニュース映像フィルムを模したビキニ環礁実験、モナーク計画などの映像に公文書の機密扱い箇所をマジックで消していく形のスタッフ、キャストロール。
このフェイクニュース映像が実によくできていて、ところどころに一瞬映るゴジラの背びれなどに注目(もしかすると本物のニュース映像が少しは使われていると思いますが未確認)
そう言えば10年前、一度一区切りとなった『ゴジラ FINAL WARS』のエンドタイル(Main On End)もPROLOGUE FILMSによるものでした。
※『ゴジラ FINAL WARS』
下記、エンドタイトル部分動画あり
http://prologue.com/media/film/projects/godzilla-final-wars
エンドクレジットはBlack on Whiteタイプで約6分30秒。
キャストの後、プロデューサーに続いてすぐにadditional visual effects designerとしてジョン・ダイクストラの名前が!

Memo3
大阪プレミア試写会・フェステイバルホール
開場15分前より大階段で芹沢猪四郎役を演じた渡辺謙さんによるオープニングイベントが開かれました。
試写上映前に舞台挨拶も。

Go1

Go2

上:黒布で覆われた部分に牙が。
下:そのゴジラの牙。
入場者はゴジラの口の中に入っていってエントランスへ向かうという趣向。

Go3

同時に公開された1億5千万円の純金製ゴジラ

映画『GODZILLA ゴジラ』公式サイト
www.godzilla-movie.jp/

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2014-07-13

『ジゴロ・イン・ニューヨーク(Fading gigolo)』ジョン・タトゥーロ監督・主演、ウディ・アレン、ヴァネッサ・パラディ、シャロン・ストーン

注・内容、特に劇中セリフに触れています。
ジゴロ・イン・ニューヨーク
Fading gigolo
脚本・監督・主演 : ジョン・タトゥーロ
ウディ・アレンヴァネッサ・パラディ
シャロン・ストーン

物語・不況で書店を閉めることになったマレー(ウディ・アレン)は花屋を営む友人フィオラヴァンテ(ジョン・タートゥーロ)をジゴロにして男娼(だんしょう)ビジネスで金を稼ぐことを思い付く。早速友人を説得し開業すると、クールで男前なジゴロは裕福な女性たちにモテモテ。商売は繁盛するがジゴロがある未亡人アヴィガル(ヴァネッサ・パラディ)に恋をしてしまい…

Gigolo

Memo1
最初から最後までウディ・アレンが出ずっぱり。そして初めから喋る喋る喋る!
ウディ・アレンが自身の監督作品以外の作品に出演するのは「ヴァージンハンド」以来14年ぶり。まあ、そういうこともあってか嬉々としてウディ・アレンがウディ・アレンを演じています(その上アクティブ!)←素晴しい(?)ピッチング姿も見られます。
・レッドソックス・ネタでケビン・ユーキリスのバッティングフォームを真似て見せるシーンも
・アヴィガルの子供たちと自分の子供たちとで試合をしようということになった時、「そんなことに意味が」とかいろいろ言うアヴィガルの子供らにマレーが
「体にいいぞ」←笑
ジョン・タトゥーロがユダヤ系のしかも神学校に行っていたという設定自体が「おいおい」とツッコミものですがラテン語やフランス語などを少しだけ話せたりするあたりが怪しいけどちょっと信じてみようかな、とさせるあたりの描き方が上手い。
マレーがポン引きを始めるきっかけとなったセレブな女医役でシャロン・ストーン。なにやら過去作のセルフパロディ的な役回りイメージ。
笑った台詞、シーン。
・店をたたむことになった書店で本を整理しながらフィオラヴァンテに言うセリフ。
「今では希少な本を買う人が希少だ」
・何故、自分をジゴロに選んだのかという問いに。
「顔じゃないんだ」
「ミック・ジャガーを見ろ。あの口を開けて歌っている姿を。まるでホラーだ」←い、いいのかぁーw
・シャロン・ストーン演ずる女医と電話で話すマレー。
「3人でプレーしたことあるの」
「ニューヨーク大停電の時に」
「何も見えなかったけど」
・マレーのポン引きのことやアヴィガルとフィオラヴァンテの関係などがバレてラビによる審議会の議場で。
その時の弁護士との会話がいちいち面白い。
「もし有罪の場合は…」
「石打ちの刑だ」
「大丈夫。過去何十年も執行されていないから」
あと、審議会にアヴィガルが現れて全てのことを告白した際にいらぬことを喋る弁護士に。
「空気、読めよ」(←ここのタイミングは絶妙なので是非、劇場で)
本作はある意味、ヴァネッサ・パラディ演ずる高名なラビだった夫を持っていた未亡人アヴィガルのお話でもあります。
戒律のこともあって夫の死後、誰とも肌を触れ合うことが許されず(握手もダメ)地毛を人目に晒すこともNGでずっとウィッグをつける生活を続けてきたアヴィガル。
そんな彼女のこころをときほぐしたのがフィオラヴァンテ。
背中のマッサージをうけながら、それまで耐えてきたものから解放され、こらえきれず涙する。
ショーウィンドウに足を止めて飾られた洋服に見入るやわらかい表情。ときめきが写りこんでいる。
結局、ラストは別れることとなるのだがフィオラヴァンテとの出会いがアヴィガル自身が一歩、前に進みだしたきっかけとなったことは確かなのだから。
終盤、本編に流れる歌をヴァネッサ・パラディが。
(サントラ11曲目)
Vanessa Paradis
Tu Si Na Cosa Grande

Memo2
宣伝デザイン(パンフレットも)は大島依提亜さん。
大きな声で言えないけど(←言ってますが 笑)本国ビジュアルより絶対、本作のちょっとエスプリの効いたユダヤ系フレンチ小噺みたいな物語には、日本版デザインの方がピッタリだと思っておりますです。
イラストは「モンテーニュ通りのカフェ」ポスターや中島さち子TRIO CD「REJOICE」ジャケット、「コララインとボタンの魔女」のコンセプトアートなども手がけられた上杉忠弘さん。
タイトルデザイナーはDana Schechter
(古い8ミリフィルム想起のオープニングに重なるタイトル)

映画『ジゴロ・イン・ニューヨーク』公式サイト
※ニューヨークロケ地マップあり
http://gigolo.gaga.ne.jp/

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2014-07-09

『サボテンの花 (Cactus Flower)』(1969年) ジーン・サックス監督、ゴールディ・ホーン、ウォルター・マッソー、イングリッド・バーグマン

サボテンの花』(1969年)
Cactus Flower
監督 : ジーン・サックス
脚本 : I・A・L・ダイアモンド
音楽 : クインシー・ジョーンズ
ゴールディ・ホーン、ウォルター・マッソー
イングリッド・バーグマン

物語・独身主義のプレイボーイ・開業歯科医のジュリアン(ウォルター・マッソー)は結婚していると嘘をついて、トニー(ゴールディ・ホーン)という女性とつき合っていたが自殺騒ぎをきっかけに真剣に彼女との結婚を考えるようになる。そこでジュリアンは、美人だが男からは“軍曹”とからかわれる、生真面目な看護師ステファニ-(イングリッド・バーグマン)を自分の妻ということにして、トニーを説得してもらおうとする。そして…(物語項、Yahoo!映画より抜粋)

Cactusflower

Memo1
ゴールディ・ホーンの顔の半分が目ではないかという小顔ぶりとチャーミングさ。イングリッド・バーグマンの聡明な美しさ(堅物なイメージとして、ふと『ニノチカ』のグレタ・ガルボを思いだした)。ウォルター・マッソーの年齢いってるのか、いってないのかわからない独特の面構え(現在、この人に置き換わるポジションの人っているのだろうか?)といった絶妙なキャスティング。
そしてビックリするのがゴールディ・ホーンとイングリッド・バーグマンのダンス共演!
しかも並んでバーグマンがゴールディ・ホーンに合わせていくという!
衣装や小物、アクセサリー、インテリア。メイクアップなど当時(撮影時1968年頃)の雰囲気が見ているだけで楽しい。
・ジュリアンとトニーが観に行く映画がフランコ・ゼフィレッリ監督『ロミオとジュリエット』(←オリビア・ハッセーが主演の)←入っていくところと出ていくところのカットがだけ珍しい切返しショット←左のドアから入って右のドアから出てくる、ホントに映画見たの?
・トニーが務めるレコード店"STEREO HEAVEN"の店内ディスプレーがジャケットを主体とした「おぉっ!これぞレコード店!」といった感じ。
壁面にビートルズのアルバム(「ラヴァーソウル」他)が飾られていたり、"ホロヴィッツの新譜"といった台詞が何回も←このセリフが普通に通るぐらい当時、頻繁に録音アルバムが出ていたこともうかがえます。
ジュリアンがそのレコード店を訪ねてきたときのトニーの台詞
トニーが梯子で高いところにあるレコードを取っている。
すごいミニスカート(キュロットだったかも)
「いつもハシゴに?」
「クラシックファンは見ないのよ」
I・A・L・ダイアモンド脚本ということでビリー・ワイルダー作品想起となるが同じウォルター・マッソー主演の『おかしな二人』(本作と同じジーン・サックス監督、原作・脚色はニール・サイモン。ジャック・レモンとの名共演)イメージでもあります。
ステファニーの受付の机に置いてあるサボテン(ラストでは見事に花が咲く)やミンクのストール(ジュリアンがトニーにプレゼントするのだが巻いてみると全然似合っていない、丈が長くて地面につきそうなぐらい。それをなんとはなしにわかってしまう二人。さらにそのストールはステファニーのところに送られることとなり…)などキーポイントとなるアイテム使いも洒落ている。
ゴールディ・ホーンは本作(映画出演としては2作目)で第42回アカデミー賞・助演女優賞を受賞。

Memo2
ニューヨークロケ地
トニーとジュリアンがデートするグッゲンハイム美術館やトニーのアパートなど現在の写真と合わせて紹介。
(40年以上経っているので残っていない場所も多くapple storeになっている場所も)
Cactus Flower Film Locations - On the set of New York.com
http://www.onthesetofnewyork.com/cactusflower.html

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2014-07-07

『オール・ユー・ニード・イズ・キル(Edge of Tomorrow)』ダグ・リーマン監督、トム・クルーズ、エミリー・ブラント、他 "目覚めたら私を捜して"

注・内容、ラストに触れています。
オール・ユー・ニード・イズ・キル
Edge of Tomorrow
原作 : 桜坂洋
監督 : ダグ・リーマン(ダグ・ライマン)
トム・クルーズエミリー・ブラント
ビル・パクストン、他

物語・近未来。突如、対侵略者"ギタイ"と戦うことになったウィリアム・ケイジ少佐(トム・クルーズ)。彼は何度か戦死しているうちに自分がタイムループに巻き込まれていることに気づく。そんなループを繰り返すうちに、特殊部隊のリタ・ヴラタスキ(エミリー・ブラント)に出会う。そして…

Eot1

Memo1
誰が付けたのかtwitterで回ってきた「100万回生きたトム」は秀逸にしてなるほどー、なネーミングw
まあ100万回かどうかは置いておいても"LIVE. DIE. REPEAT"をループする、その展開の仕方は好み。
ループものというと"永遠に続く学園祭をやっていたいなぁー"ループが描かれる押井守監督『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』や作品としての評価も高く、そして主人公の女性の名前が同じリタという意味でも本作との繋がりを一番感じる『恋はデジャ・ブ』や近作だと8分前からの出来事を繰り返す『ミッション: 8ミニッツ』(←これ、かなり好きな作品!)などがすぐに思い浮かぶ。
で、取りざたされるのは整合性だったりするのだが、そんな部分を感じさせないぐらいのすっ飛ばし具合を本作は持っている。
一般的なゲームと同じく一兵卒からスタートするへっぴり腰のケイジ。広報担当で戦場には一度も行ったことがないという前フリ時点からちょっと笑える。
案の定、降下時点からベシャッと着地、ヨレヨレとパワードスーツで歩き、安全装置の外し方もわからない。
この辺りの繰り返すさじ加減が難しいところ(長いと単調、短いと成長度合いが省略されすぎ)
個人的にはもうあと2ループぐらいヨレヨレトムがあってもよかったかもと思いますが 笑
そして、自分がタイムループに陥っていることに気がつき徐々に前に進めるようになったときに、その勇猛果敢な戦う姿から“ヴェルダンの女神”(出撃前にやたらと見たバスや壁面の広告で見た女性兵士という認識しかなかったが)と呼ばれるリタと遭遇。
何度となく助けているうちに、こう告げられる。
目覚めたら私を捜して
ここからリタもタイムループの能力を持っていたこと、そのことによって“ヴェルダンの女神”となったこと、"ギタイ"の時間操作能力のこと、そしてその倒し方のヒントなどが徐々に解明されていく。
それと同時にリタのケイジへのスパルタ特訓やバディものよろしくの戦場突破シーンなど飽きることなく描かれていく。
もちろん本作のバックボーンである惹かれ合うふたりも。
(コーヒーに砂糖は四杯あたり)
もし出撃せずリタと出会わなかった場合として(やや、唐突に)ケイジがいつもと違うルートを辿ってロンドン市内にバイクで入っていくシーンが出てくるがその時の"ギタイ"が川から押し寄せてくるところが遡上する鮭みたいな、とちょっと笑った(笑うところではないがw)

Eot2

この腕立て伏せをするリタ(エミリー・ブラント)のショットが印象的。
それもそのはずで幾度となく登場するこの場面と続く台詞
何か用?
そう、ラストではこのシーンとその台詞、そしてトム(ここではケイジというより、もはやトム・クルーズスマイルだ)の大写しの笑顔で終わるのだから。
(面白いのはここでのケイジは途中、一度失ってしまったタイムループ能力が戻っているということ、そして新しい時間が始まっているということ)

Memo2
End Title Designはダニー・ボイル作品や「あなたを抱きしめる日まで」など多数手がけるMatt Curtis (Fugitive Studios)
使用楽曲はJohn Newman "Love Me Again"
前述のラスト、ケイジがリタに満面の笑みで答えて、さっとエンドクレジットに入るタイミングでこの曲が流れる。
この辺、ダグ・リーマン監督のこだわりなのか『ボーン・アイデンティティ』の楽曲とエンドタイトルのイメージ(ものすごく切れのよい入り方)と同質のものになっている。使用楽曲はMobyの"Extreme Ways"
下記、公式サイトに2つのゲーム
・スマホ(iOS/Android)無料ゲームの「LIVE. DIE. REPEAT. GAME」誰かクリアした人いるのだろうか?セーブがなくてひたすらリピート(できればエミリーブラントに"Again"と言ってほしいけど 笑)
・もうひとつはWeb GameとしてUDF(※) COMBAT SIMULATOR
素早い動きのギタイに対してのシュミレーターが体験できます(ジャンプとか横に逃げるとかしゃがむとか)
※UDF→ UNITED DEFENSE FORCE

映画『オール・ユー・ニード・イズ・キル』公式サイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/edgeoftomorrow/

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2014-07-03

『ホドロフスキーのDUNE』フランク・パヴィッチ監督 “実現しなかった映画”についての話にもかかわらず見ていて元気になってくるドキュメンタリー。

ホドロフスキーのDUNE
監督 : フランク・パヴィッチ
出演 :
ミシェル・セドゥーニコラス・ウィンディング・レフン、他

1975年に企画されるも、撮影を前に頓挫したSF大作、ホドロフスキーの『DUNE』。「映画化不可能」と言われた小説、フランク・ハーバートの「DUNE」を原作に、そうそうたる面子をキャスト・スタッフ(メビウスH・R・ギーガーダン・オバノンピンク・フロイドクリス・フォスサルバドール・ダリオーソン・ウェルズミック・ジャガー)に配し、莫大な予算と、12時間にも及 ぶ上映時間を予定していたというその企画は“映画史上最も有名な実現しなかった映画”と言われ、伝説となっている。(この項目、公式サイトより抜粋)

Dune1

Dune2

Memo
とにかくホドロフスキー監督がチャーミングでかわいらしい。(すごく若々しい←キネ旬での横尾忠則さんとの対談の中で出てきた再婚相手がミューズとしての一因かも)
1番可笑しかったのは結局頓挫してしまった「DUNE」をデヴィット・リンチ監督が撮ることになり「あー、これは絶対傑作になるに違いない」とがっくりして見にいった際、徐々にウキウキした気分になり最後は嬉しくなった話を嬉々として話すホドロフスキー監督
(要は失敗している、とw)
「彼のような才能のある監督でもうまくいかないことがあるんだ。きっとプロデューサーがよくなかったんだな」
あと、ダグラス・トラブルがタカビーだったと憤慨。
で、バッサリと「彼は技術だけでいい」と。
そして、白羽の矢が立ったのがちょうど「ダークスター」が公開されていたダン・オバノン。
「オバノン」という言いまわし(イントネーション)にも笑った。←このイントネーションは是非、劇場でw
ピンク・フロイドに会いに行った時の話も面白い。
メンバーに「世界の歴史を変える映画の話してるのにビッグマック食ってる場合か!!」って初対面の相手に言うあたりも
とにかく会いたいと思ったら初対面であろうがなかろうが、すぐに会いに行くというホドロフスキー監督の行動力。
さらには会った途端に人々を魅了してしまう不思議なパワー(当時も今も口調が変わっていないとしたら、なぜだかある種、噺家のようなイメージをうけた)
段取り云々の小賢しさが全くなくホント、素晴しいです!!
オーソン・ウェルズ監督『黒い罠』オープニングの長回しが素晴しいと絶賛。
『DUNE』それをやってみたい、と。
その『黒い罠』オープニング
Touch of Evil - Opening Scene

http://www.youtube.com/watch?v=E8AXd1ayxrg
絵コンテを元に『DUNE』オープニングが再現される。
寄って寄って寄っていくカメラ。それが延々と続く(これ、実際に撮っていたら技術的な意味も含めて大変な作業だと思うのですが…。だから故、未完であることによる"終わらない完成品"でよかったのかも、とも思う。もちろん見てみたいということにかわりはありませんが)
監督が飼っている猫が絶妙のタイミングで登場。
(話に割って入るように)
この猫も戦士ですね 笑
本ドキュメンタリーを監督したフランク・パヴィッチは1973年生まれ。
ちょうど、このおっちゃんたち(失礼m(_ _)m)が映画を企てた辺りでは映画の「え」も知らないわけで、そんな彼だからこその純粋に「こんな企画があったのかー」という思いにかられて撮ったことが項を奏した “実現しなかった映画”についての話にもかかわらず、最後は見ているこっちまでもが元気になってくるドキュメンタリー。
そして、このさらにホドロフスキー監督の新作へもつながっていくという結果までもうみだすこととなる→『リアリティのダンス』へ

チラシとは別に作成されたガイドと横尾忠則さんの図録(冒険王)を、ふと思いたって並べてみました(なんという地続き感!)

Dune3

映画『ホドロフスキーのDUNE』公式サイト
http://www.uplink.co.jp/dune/

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