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2014-08-03

『複製された男(Enemy)』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ジェイク・ギレンホール、サラ・ガドン、メラニー・ロラン、イザベラ・ロッセリーニ

複製された男
Enemy
監督 : ドゥニ・ヴィルヌーヴ
原作 : ジョゼ・サラマーゴ
(原題 : The Double)
ジェイク・ギレンホールサラ・ガドン
メラニー・ロランイザベラ・ロッセリーニ

物語・何も刺激のない日々に空虚なものを感じている、大学で歴史を教えているアダム・ベル(ジェイク・ギレンホール)。ある日、何げなく映画のDVDを観ていた彼は、劇中に出てくる俳優が自分自身とうり二つであることに驚く。彼がアンソニー・クレア(ジェイク・ギレンホール)という名だと知ったアダムは、さまざまな手を尽くして彼との面会を果たす。顔の作りのみならず、ひげの生やし方や胸にある傷痕までもが同じであることに戦慄する。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Enemy1

この作品、先に小説を読むのと後で読むのとでは印象がかなり変わるのでは?(ちなみに後者です)
10年以上前に書かれているのでアンソニーが出ている映画はVHSだし、他の出演作も検索エンジンでささっと見つけるところが随分と時間がかかったり、なによりも名前が…。

Memo
ヴィルヌーブ監督は、はっきりと「これは潜在意識についての体験だ」と語っているがはたして、そうか?
この「はたして、そうか?」と語らせたり、考えさせられたりしてしまうこと自体が監督の術中に嵌められているということだろうか。そしてまさしく、本作のポイント。
冒頭、秘密クラブのハイヒールで踏みつぶされた蜘蛛で始まった映画は(猫化か!)と思わせる天井張り付き巨大蜘蛛がガサゴソっと動くところで終わる。
また、(マンションのコンシェルジュが"また呼んでくださいよ"とエレベーターでにじり寄る)その秘密クラブ(頻繁に鍵が変えられるようだ)の新しい鍵はアダムが手にして終わる。
原作にはない蜘蛛のイメージが差し挟まれている。それは都市の上をまたぐ巨大なオブジェのような蜘蛛から、蜘蛛人間、割れたフロントガラス、路面電車の高架線など多岐に渡る。
滝本誠氏がキネ旬連載「セルロイドの画集」で書かれていたとおり(それはある種)サラ・ガドン演ずるヘレンの妊娠しているお腹=蜘蛛のお腹と重なってくる。
(妊娠六ヶ月にしては大きいお腹は、あきらかに意図的なるもの?)
※実際、蜘蛛のオブジェ自体存在していて見ることが出来るのも滝本氏の連載で知りました。
映画原題の「Enemy」
内なる敵は自分という解釈。
文字通り「敵」という解釈。
あるいはヘレンから見た「害するもの」という解釈。
(暗喩的ではあるが)実際に同じ人間がいて、浮気癖があり母親からは「いつまでもふらふらと」と言われている二流役者アンソニーは消え、最後はヘレンの夫へと入れ替わるアダムという図式もある。(原作はこの方向)
そして「潜在意識」が創りだしたアダムは消え、同じく浮気相手のメアリー(メラニー・ロラン演ずる、このメアリーの存在自体が極めて希薄。しかもヘレンとは同一画面には出てこない)も消え、自分はアンソニーだったんだ、と「ハッ」として終わる図式。
そして、さらにはアンソニーが創りだした別人格としてのアダム。そう精神分裂という部分も考えられる。物語の時間軸がバラバラなので(本来はヘレン巨大蜘蛛の前シーンだった)アンソニーとメアリーが事故にあったシーンが実際のエンディングとすると、いろいろと辻褄があってくるという図式。

それにしても、なんともいえない色調。
そのうちPhotoshopあたりに"ヴィルヌーヴレンズフィルター"とか出てくるんじゃないの、と思ってみたり。

Enemy2

映画「複製された男」公式サイト
http://fukusei-movie.com/

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