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2014-12-21

『ゴーン・ガール(Gone Girl)』デヴィッド・フィンチャー監督、ベン・アフレック、ロザムンド・パイク、他

注・内容について触れています。
ゴーン・ガール
(Gone Girl)
監督 : デヴィッド・フィンチャー
出演 : ベン・アフレックロザムンド・パイク
ニール・パトリック・ハリス、タイラー・ペリー
キム・ディケンズ、キャリー・クーン
パトリック・フュジット、デヴィッド・クレノン

Gonegirl

Memo1
やー、寒波が押し寄せる外気に対して劇場内もパキパキと凍りついた(そして、何故か苦笑いするカップルw)。
Forbesの記事(2014年10月5日)によると北米上映館での51%が女性観客だったというところが何かを物語っているか、と。
主演女優賞には是非(ノミネートは確実だろうし)ロザムンド・パイクを。
そして、授賞式であの物語が転調してから映ったドアを閉める瞬間にもらす微笑を再現してもらいたいものです。
ひたすら夫の死刑判決を待つために太ってだらしない姿格好にしての身を隠すための変装や、ずっと想いを寄せ続けていたデジーに助けを請う時とそのあととデジーの望む姿にくるくると変わっていく見事さと(最も変装というよりはロールプレイングのように成り切って演じる…そう、全てが望まれる人物になっているのだ)、
エイミーが最初にニックに出会うシーン。一瞬なので再見しないとなんともいえないのだがはじめに目にしたのは別の男性だったのでは?すぐにニックが話しかけてきているので判りにくいのだけれど、要は自分好みに演じてくれる男性を物色しているようにも思える(後から思えば)
さてニックを演じたベン・アフレック。初めて役者として評価されている声が多数。"ニック嘘ツカナイ"のアゴ隠しポーズやただつったっているだけでやたらと脇が甘い雰囲気、ここ笑っちゃあーダメでしょーというところでの嘘っぽい笑いとか
冒頭のシーンとラストが繋がっている。
ニックのモノローグ
「何を考えているのか、割って中を確認してみたい衝動にかられる」
そしてニックの手が頭にのびて、くるっと顔をこっちへ向けた瞬間にぞぞぞっとしてエンドタイトル。
(冒頭では、そういう意味のモノローグということがわからなかっただけに、この最後のふぃっと上げるエイミーの目は本当に恐い…)
ニックは生まれてくる子供を盾とされ、これからも"完璧なエイミー"の望む"完璧なニック"を演じていくことになる。この結末で思い出したのはウディ・アレン監督『マッチポイント』(ヒューイット家のために子孫を残すだけの都合よい旦那として暮らしていくこととなるクリス。そう言えば犯人なのに犯人でなくなるというこれでよいのかオチも似ているし、捕まったほうが幸せだったのでは?と思わせるニュアンスも)
あとで知ったことだけど刑事役のパトリック・フュジット「あの頃ペニーレーンと」のウィリアム少年だったのですねー。

Memo2
タイトルデザインはNeil Kellerhouse
キービジュアルとなるポスター類も(「ソーシャル・ネットワーク」「ドラゴン・タトゥーの女」)
(公開日にtwitter版にも書いたけれどクライテリオン版の『ふたりのベロニカ』パッケージもNeil Kellerhouseによるもの)
http://www.kellerhouse.com/
撮影はジェフ・クローネンウェス
カメラはRED DRAGON
『ゴーン・ガール』は史上初の全てが6K(6144×3160)で撮影された作品(「ソーシャル・ネットワーク」が4K「ドラゴン・タトゥーの女」は5K)
(詳細は下記記事リンクへ)
"フィンチャー監督とLight Ironが解像度の限界を超える"
http://jp.red.com/news/fincher-and-lightiron-6k-gonegirl-jp
カラーリストはイアン・ヴァートヴェック(Ian Vertovec)、サウンドデザイナーはレン・クライスとどちらもフィンチャー監督にとって欠かせない存在。
そして音楽は(絶対に欠かせない)トレント・レズナーアッティカス・ロス

映画『ゴーン・ガール』オフィシャルサイト
http://www.foxmovies-jp.com/gone-girl/




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2014-12-19

『紙の月』吉田大八監督、宮沢りえ主演。"はじめから全部ニセモノ"

注・内容、台詞に触れています。
紙の月
監督 : 吉田大八
出演 : 宮沢りえ池松壮亮
大島優子田辺誠一
小林聡美近藤芳正中原ひとみ
石橋蓮司

Mon

Memo1
監督が語っていたとおり読後感からくる"疾走感""挑戦する姿勢"が如実に現れた作品。
トリガーとなる出来事が幾つも描かれるが、どれかが決定打となっているわけではない。ある種、達観的(ペシミスティックなプラス思考的な)梨花の想いというものが蓄積されて(あるいは元々内包していた)起っていったといえる。
印象的な台詞が多々。
その台詞に付随してシーンが思い起こせるぐらいに印象的
・「はじめから全部ニセモノ
・夫とのペアウォッチを買う梨花。(最初金額の高い方を見るのだが、我慢して安いほうを選ぶ)
その時のつれない台詞(と、いうより言った本人は何の悪意もない無自覚さからくる残酷な、そして冷たい言葉)
「ゴルフにでもつけていくよ」
・200万円の札束を前に不倫相手の年下の大学生、光太(池松壮亮)
「これ受け取ったら、何かたぶん変わってしまうよ」
その言葉通りに、ここを境に横領の手口、金遣いがすさまじくなっていく。
・「行くべきところへ行くだけ」
・顧客のひとり(そして横領するひとり)
たまえ(中原ひとみ)の部屋は物で溢れかえっている。
「いつも必要ないものばかり買ってしまって」
そしてアクセサリーを見てポツリと梨花が。
「ニセモノなのに」
「いいのよキレイだったら」
(騙されていることを判っているようなドキッとする台詞)
・大島優子演じる銀行の同僚(後輩)、相川恵子。
原作に無い役柄ながら銀行シーンでの梨花が横領に走っていくトリガーとなる台詞。
「ありがち?」
「そう、ありがち」
「ダメですよ、見られてるんですから」
「使わないお金なんてちょっと借りてもお客さん意外と気付かないと思うんですよね」「ちょっと借りて、あとで戻すとか」
・小林聡美演じる隅より子。
めちゃくちゃ上手い!そして恐い!
徐々に梨花を追い詰めていく。
(物語を引っぱっていくサスペンス要素)
ラスト手前、会議室でのシーン。
証拠をつきつけて全てが明るみになる。
「あなたが行けるのはここまで」
それに対して梨花は椅子で窓ガラスを割り、振り返って
「一緒に来ますか?」
さっと飛び降り走り去る梨花。
あ然とする隅。
決定的な台詞。
はじめての朝帰り。
ホームの上でのシーンに梨花のモノローグが重なる。
月を見上げて
「すごく幸せだけど、いつか終わると思ってた。悲しいんじゃなくてあたり前に。だってそういうものだから。本物に見えても本物じゃない。はじめから全部ニセモノ」
それにしても宮沢りえのメイクアップならぬメイクダウン(このような表現は元の言葉からすると無いとは思いますが、まあメイクダウン)
アップがすごく多いのだけれど最初から捉えどころのない、なんともいえない透明感を醸し出していてビックリ。
ラストはまるで(例えは違うかもしれないが)『羊たちの沈黙』レクター博士(←こちらは南米)のようにバンコクの雑踏の中に消えていく梨花。
そう、彼女はどこまでも行けるのだ。
そしてヴェルヴェット・アンダーグラウンド・アンド・ニコの「Femme Fatale(邦題:宿命の女)」が。

Memo2
パンフレットデザインは大島依提亜さん、中山隼人さん。
お札(紙幣)をイメージする重なり具合。そこに「紙の月」「Pale Moon」と判が押されている。
出演者、監督、脚本(早船歌江子)、原作者(角田光代)インタビューとレビューが5本(蜷川幸雄、三浦大輔、大澤真幸、大根仁、唯川恵)、プロダクションノート、キャスト・スタッフプロフィールが40ページにぎっしり収まっている。
表紙をめくったところに前述のあの台詞「一緒に来ますか?」と書かれているところがグッとくる。(写真がホーム上で月を見上げる梨花というベストなショット)
神戸ロケが素晴らしい。(予備知識なく見ていても気がついた!)
神戸市営地下鉄山手線 県庁前駅、長田駅、名谷駅、西神中央駅、そごう西神店、Kamine旧居留地店、ホテルオークラ神戸、三宮センターサウス通り、神戸市役所1号館など広範囲。
詳細は下記へ
神戸市交通局沿線NAVI『紙の月』ロケ地ガイド
http://ktbsp.jp/kaminotsuki/
『紙の月』がPerformerでリンクレイター監督『6才のボクが、大人になるまで。(Boyhood)』がiMac Bondi blueと、同時期に続けて見た2作品がapple製品繋がりだった。(年代を表すのに使われているという点でも。さらに『紙の月』ではプリントごっこも大活躍)

『紙の月』公式サイト
http://www.kaminotsuki.jp/

 

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