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2015-01-15

『薄氷の殺人(白日焰火:Black Coal, Thin Ice)』ディアオ・イーナン監督、リャオ・ファン、グイ・ルンメイ

注・内容、犯人に触れています。
薄氷の殺人
(白日焰火:Black Coal, Thin Ice)
監督 : ディアオ・イーナン
出演 : リャオ・ファングイ・ルンメイ
ワン・シュエビン、他

物語・中国・華北地方で切断された死体の断片が次々に発見され、刑事ジャン(リャオ・ファン)が捜査に当たるが、容疑者の兄弟が逮捕時に射殺されたため詳細は誰にもわからなくなってしまう。5年後、しがない警備員となっていたジャンは以前の事件と手口が類似した猟奇殺人が発生したことを知り、独自に調査を開始。 やがて、被害者たちはいずれもウー(グイ・ルンメイ)という未亡人と近しい関係だったことを突き止めるが…(DarkRed部分、シネマトゥデイより抜粋)

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Memo
いろいろなところで目にする日本語タイトル「薄氷の殺人」よりは原題の方がよかったのでは?説。
「白日焰火」"白昼の花火"は直接的に事件と結びつくクラブの名前とラストでの文字通りウーに向けての花火とのダブルミーニングとしてよかったかし、英語タイトル「Black Coal, Thin Ice」も石炭の黒と氷の白をイメージさせてしっくりしているなぁ、と感じた。
ただ、この映画の不思議な雰囲気(※)は全てのタイトルを混ぜてイメージすることが1番ピッタリとする。
※フィルム・ノワールというよりはファム・ファタールもの(正確にはこれも違うかもしれないが)といちいちエクスキューズしたくなるという意味でも。
フィックスショット、移動撮影のテンポ、影の捉え方、色彩設計(カラコレ)、フォーカスの合わせ方、と、もういろいろと好み。
さらには印象的なシーンとなっているスケート場シーン。
ウーのリンクから逸れた横道を滑っていくシャーシャーというスケート靴の音、最強の音響設備で聞いてみたい。
遠くに聞こえる風の音も。
ひんやりとした空気を残してのカラコレで好みなのはフィンチャー作品全般なのだけれども本作、もう、これ相当のものです。
スターダストもきらきらと写る夜のスケート場での絶対Yellowをしっかりと残して暗部は潰さないとか、冒頭いきなりの銃撃シーンの舞台となる美容室の派手な色合いや、クラブ"白昼の花火"のそのまま写せばけばけばしいものとなる照明のネオンサインをどの程度まで残すかとか元同僚と疑わしきウーを車で尾行するシーンの空気感とか。
時間経過(1999年→2004年)を表す、トンネルのシーン。
夏の場面から抜け出た場所は雪降り積もるトンネルの出口。
こういう表現手法も好み。
そして2004年に入ってからは、ウーと会うほとんどが夜間シーンというところも素晴らしい。そういうことがあっての、ラスト澄み切った空への白昼の花火となるわけだ。

ジャンが冒頭でみせた、まさに離婚の瞬間、駅での粗野な行動とそのあとの死体発見現場での投げやりな態度。結局容疑者と同僚を亡くしてしまう不注意な美容室シーン。そういった部分(行動原理、性格)がラストでも唐突なダンスホールでの(半ばヤケ気味)ダンスや伝えきれないウーへの感情、そして昼間の屋上花火打ち上げなどに繋がっていると思うのだが?(はっきりと言い切っていないので、いろいろ取り方はあると思いますが…)
グイ・ルンメイ演じるウー・ジージェン。
1999年。ウーを庇って身代わりとなり死体(クリーニングされた革のジャンパーが傷んでいるといちゃもんをつけてウーに迫った"白昼の花火"オーナーの夫が実際の死体)と入れ替わった、夫リアン・ジージェン。
その後も遠くから彼女に近づくものを始末していたリアン。
その逃れられない関係性(呪縛)から解き放たれたいという想いもどこかにあったのでは?と思わせられる行動原理(観覧車でのシーンなど。これまた、はっきりと言い切っていないので、いろいろ取り方はあると思いますが…概ね、そういうことだと解釈しました)。

『薄氷の殺人』公式サイト
http://www.thin-ice-murder.com/


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