『さよなら歌舞伎町』廣木隆一監督、染谷将太、前田敦子、イ・ウンウ、南果歩、松重豊、他
注・内容、台詞、ラストに触れています。
『さよなら歌舞伎町』
監督 : 廣木隆一
出演 : 染谷将太、前田敦子、イ・ウンウ、南果歩、松重豊、大森南朋、他
※Memo
●群像劇はこーでなくっちゃ!
『メビウス』が衝撃的だったイ・ウンウ。
本作も大胆にしてセンシティブな役柄。ある意味、"歌舞伎町"というこの物語の中心軸とも言える。
前田敦子による『苦役列車』頭突き『Seventh Code』回し蹴りに続く"痛いだろうなー"ビンタ一撃が本作もあり(定着)
5時間ほど撮影した弾き語りシーンも。
『月のあかり』(下田逸郎作詞、桑名正博作曲)
●本作を見て思い浮かんだのは村上春樹『アフターダーク』(←評価があまり芳しくなかったと記憶するけれど個人的にはお気に入りの中編)
その類似ポイント。
一晩の出来事、チャプター的現在時刻表記、ラブホテルが出てくる(←こちらは「アルファヴィル」という名前。場所は特定されていないがおそらく渋谷)など。
もちろん全く別の話だが、ふと。
●自転車に~乗って~ベルを鳴~らし、と高田渡さんの唄を口ずさみたくなる二人乗りシーン。で、あながち遠からずな"全体通してのゆるめの音楽"がピタリとおさまり誰なのかなぁ?とクレジット見てたらつじあやのさんでした。
これは本編を軽やかなものにする手立てとしてめちゃくちゃ功を奏しているのでは?
●冒頭。
「ねえ、しよ」という誘いに乗らない徹。
そして沙耶との「式とか徹のホテルでできないの?」みたいな会話に??と思ったら、一流ホテルに就職できずに、そのことを隠して内緒でラブホテルに務めていることを嘘をついていたことが、しばらくして判る。
このような小さい嘘(隠していること、秘めたることを)持った人々が集まってきて起こる一夜の出来事。
●台詞いろいろ
・妹にバッタリ。
(AV撮影に来ていた)
「と、いうかお兄ちゃん、なんでここにいるの?」
「また来る」「もう来るな」
(ここでの、やりとりがあってラスト、宮城へ帰っていくバスのシーンがこの上なく広がって見える)
・翌朝、神社の境内で。
「小せえなぁ」(←この独特の口調は『もらとりあむタマ子』を思い起こした)
「いいじゃない。マクラ営業でも。デビューできるんだし」
・本作、もっとも得したな〜キャステイングの南果歩、松重豊による時効間近の逃亡犯。
隠れているマンションの一室。
アジの開きを食べながらボソッと。
「一匹、まるまる食べたいね」
「ダメよ2匹だと怪しまれるから。
大家さんのチェック厳しいんだから」
(細かい台詞にふいた)
●ラスト
(本当のラスト)
エンドクレジット後に続くシーン。
時効数時間前にラブホテルでバッタリ刑事に出くわし逃亡をはかったふたりのマッハちゃりんこ漕ぎの果て、みごと"その時"を刻む電光掲示板の時刻表示で幕を下ろす。
映画『さよなら歌舞伎町』公式サイト
http://www.sayonara-kabukicho.com/
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