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2015-03-07

『幕が上がる』本木克英監督、平田オリザ原作、ももいろクローバーZ、黒木華、ムロツヨシ、他

幕が上がる
監督 : 本木克英
原作 : 平田オリザ
出演 : ももいろクローバーZ(百田夏菜子、玉井詩織、高城れに、有安杏果、佐々木彩夏)
黒木華ムロツヨシ清水ミチコ、他

物語・地方都市の県立富士ケ丘高等学校2年生の高橋さおり(百田夏菜子)は、部長を務める演劇部最後の1年を迎えようとしていた。それぞれに個性豊かな部員たちと共に年に1度の大会、地区大会突破を目標に稽古に励む中、元学生演劇の女王だという吉岡先生(黒木華)が赴任してくる。吉岡の指導の下、全国大会出場を目指し彼女たちの演劇に打ちこむ日々が始まる。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Makuga

※Memo
ドキュメンタリー的印象
見た誰もが感じる実際の演者(演出家)としての成長と映画の中での(ももクロの)成長がシンクロしている。その一直線の清々しさに素直に感動せずにはいられない、愛すべき作品。
黒木華演ずる吉岡先生。
やる気あるのだかないのだか、最初は演劇部員たちと妙な接し方(つきはなすでもなく、演劇には興味ありそうでなさそうな)だったのが、実は!!!という即興演技を見せた途端の台詞。
「あー、やっぱ、ダメだな」
ひっくり返るほどビックリした黒木華の豹変ぶり。
ここから(吉岡先生が事実上の顧問になってから)を起点にみるみる変化していく演劇部員。
(そして、演劇部にたずさわることによって結果的には吉岡先生も元の演劇の世界に再チャレンジするきっかけとなる←最後に読まれる手紙に心情が!)
先輩の出演した舞台公演を見に行った演劇部と吉岡先生。終了後の楽屋前通路でのワーッとした感じとか、ほんの一瞬のシーンにもきらめきが映しだされている。
高校演劇の大会(確かに予選から勝ち抜いて、しかも年一回だけ開かれるのだからまさに甲子園)があることを本作で知った。
(面白いのは制限時間のある仕込み部分も含めての審査だということ)
悪夢の(誰かを思わせるかのような)灰皿投げ演出家の再現夢のシーン。うどんは煮える、画面は暑い暑い暖色ギラギラとハイテンションで。(ここは、大林宣彦監督作品へのオマージュ的な意味合い?)
コメディリリーフとしてのムロツヨシの上手さ!
ムロさんのラジオで監督に「何かやってよ」と言われてアドリブでいろいろやった結果があーいう形で出てたのですね(ゲストが黒木華さんで「ムロさんの引き出しの多さにビックリした」と語っていました)
そしてももクロ側で対となるのが"がるる"(高城れに)
冒頭の新しい部長が選ばれるシーン。
「部長カンチョー、ブチョーカンチョー」
(これは決まってた台詞かアドリブかわからない面白さw)
何故"がるる"かということに対しての台詞。
「がるるって、ほらなんとなくがるるって感じ」
恋愛感情のない(もしくは薄い)ドラマでひとつの目的に向かってのひたむきさのようなものを描いた作品としては同じ演劇部の物語「櫻の園」はもちろんだがブルーハーツを学祭で演奏する「リンダリンダリンダ」や女子ボート部を描いた「がんばっていきまっしょい」など良作が多いが本作も、そこに連なる見事な青春映画
(そういえば本作にもプールに脚ポチャシーンや堤防や自転車など、王道なシーンがいっぱい)
「私たちは舞台の上でなら、どこまでも行ける」
これは演劇部が演じた「銀河鉄道の夜」の"ふたりならどこまでも行ける"と呼応する。
ラスト、様々な出来事を乗り越えての県大会の舞台袖。
「ふぁいとー、おー」(客席に聞こえないように小さな声であわせる感じと真っ直ぐ上を指す手が素晴らしい)
そして、幕が上がる。
(タイトルの出し方がまさに!
ここから、さらに成長していく5人の姿が想像できて秀逸な終わり方)

映画『幕が上がる』公式サイト
http://www.makuga-agaru.jp/

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