『プリデスティネーション(Predestination)』ピーター・スピエリッグ&マイケル・スピエリッグ監督、イーサン・ホーク、サラ・スヌーク
注・内容、台詞、他いろいろ触れています(ネタバレ)。
『プリデスティネーション』
(Predestination)
原作 : ロバート・A・ハインライン
監督・脚本 :
ピーター・スピエリッグ
マイケル・スピエリッグ
1970年、ニューヨーク。とあるバーを訪れた青年ジョン(サラ・スヌーク)は、バーテンダー(イーサン・ホーク)に自身が歩んだ人生を語る。それは女性として生まれて孤児院で育ち、付き合っていた流れ者との子を宿すも彼に去られ、さらに赤ん坊を何者かに誘拐されたという壮絶なものだった。それを機に男性として生きることを選んだジョンに、バーテンダーは未来からやって来た時空警察のエージェントだと明かす。そして…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)
・セーラ・スヌークは公式サイト準拠でサラ・スヌークで表記
※Memo
●鶏が先か卵が先か。
いわゆるタイムパラドックスものの作品だが、全体を貫くセンスの一貫性に大拍手!!
特に原作通りの展開(前半、バーでの話、後半目まぐるしく展開する時間移動)をそのまま映画でも再現していて驚く。
しかも、ほぼピッタリの時間配分。
エンドクレジット表記もきっちりとバーテンダーと未婚の母となっていました(まさか、◯◯◯と◯◯◯◯が!!さらに…も、そーだったのかぁぁぁぁ!!!の表記はしていませんでした…って、あたりまえか 笑)
●冒頭、イーサン・ホークが目覚めたときに目にする貼り紙
Never do yesterday what should be done tomorrow.
If at last you do succeed, never try again.
↑これとくり返し出てくる、この台詞(言葉)
「自分を破滅させた男が目の前に現れたら?」
●何よりもサラ・スヌーク。
時にジョディ・フォスター、時にディカプリオと様々な表情をみせる。
「クライング・ゲーム」や「オルランド」想起な出来事(←と、書くとこの作品に対してのネタバレでもあるか…。)
そもそもが、この転換点(まさに転換点)がある故の「輪廻の蛇」
そこに"追いかけている爆弾魔は誰なのか?"もからませて更に深化させた脚色は見事というしかない。
●先に挙げた2作品以外にも「ダークシティ」「カフカ」そして「クラウド アトラス」(←ラストの真実が判る1分間の音楽とカットの積み重ねなどは、まさに)
スペースコープ社でのVRグラスは「ブレインストーム」(と、いうかダグラストラブル"ショースキャン"か)
●自己相似形とは、いかようなものなのかという命題に踏み込んでいくエモーショナルなものが作品に内包されているのは監督が双子であるということと関係しているのかもしれない、などと、ふと。
見ているこちら側に訴えかけてくるものが単なるSFではない魅力に溢れているのは、そのせいでもあると思う。
1960年代でのジェーンとジョンのエピソードが切なさを持って描かれている。そしてこれは途切れることのない永遠の孤独とも繋がる部分で描き方としても申し分がない素晴らしさ。
(1965年から1945年への赤ちゃんを抱いての時間移動から続いていくシーンが特に…)
●ダイヤル式の時航器。
これで任務終了と思って合わせたダイヤル
「DECOMMISSION」
しかし勝手にリセットされるダイヤル
「FAIL-ERROR-FAIL」
「何が起ったんだ?」
渡されていた封筒を開けるバーテン
そして…
(原作を読んでいてもひっくり返りました、いやホントに…)
●各年代で使用された楽曲
"1970(I FEEL ALRIGHT)"
THE STOOGES
"Is It Over"
Emma Bosworth
"I'M MY OWN GRANDPA"
RONZO AND OSCAR
(↑これが最も意味深 w)
●プロダクションノートに記載されていた年代ごとのカラーパレット設定
「1940年代はドライなグリーンと汚れた感じ。1960年代は清潔感あるブルーを基調にシルバーとピーコック・グリーンでスペースコープ社のモダンなテイストを。1970年代はブラウン、オレンジといったアース系のカラー。そして1980年代と1990年代は、モノクロ基調でタイムレスな感じ」(以上転載)
映画『プリデスティネーション』公式サイト
http://www.predestination.jp/
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セーラ・スヌーク
【ストーリー】
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**
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