"恋は魔法?"『マジック・イン・ムーンライト(Magic in the Moonlight)』ウディ・アレン監督、コリン・ファース、エマ・ストーン、他
注・内容、台詞、ラストに触れています。
『マジック・イン・ムーンライト』
Magic in the Moonlight
監督 : ウディ・アレン
出演 : コリン・ファース、エマ・ストーン
ジャッキー・ウィーヴァー、マーシャ・ゲイ・ハーデン
アイリーン・アトキンス、ハミッシュ・リンクレイター
サイモン・マクバーニー
物語・魔法や超能力など信じない皮肉屋のイギリス人マジシャン、スタンリー(コリン・ファース)は、ある大富豪をとりこにしているアメリカ人占い師の正体を暴いてほしいと頼まれる。南フランスの富豪宅を訪ねるも占い師ソフィ(エマ・ストーン)が発揮する驚異的な透視能力にただただ驚かされ、それまでの人生観を覆される羽目に。その上、かれんな容姿で明るく活発な彼女に魅了されてしまい…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)
※Memo1
●「タロットカード殺人事件」のウディ・アレン本人によるトランプマジックあたふたも楽しかったけど本作におけるコリン・ファース演ずるスタンリー(モデルがいるらしい)の"天才悪魔フーマンチュー"的というか"ハイ、わたし中国は広島の生まれ"ゼンジー北京師匠的マジシャン姿もいきなり怪しオモシロでつかみバッチリ!しかも超毒舌(ファンがサインを求めてきても「あー、ハイハイ」とばかりに無視 w)
●本作の時代設定もあって、いわゆる妖精事件を扱ったシャーロック・ホームズをピーター・オトゥールがフーディニをハーヴェイ・カイテルが演じていた『フェアリーテイル』を思いだした。(神秘主義と科学のせめぎ合いという意味でも)
●ウディ・アレン作品の中では軽め(とはいえ職人芸)だが、この上なくロマンティックなトーンとラストシーンをもった本作、いいなぁー
突然の雨に逃げ込んだ天文台。
子供の頃、空が怖かったというスタンリー(このあたりの会話で実は未知なるもの、大いなるものに対して畏怖の念を持っていたのだなーということが垣間見られる)
天体望遠鏡のための天井を開けたとき見えたのは雨が上がった空に輝く月。
●"人生は喜劇か悲劇か"
それはウディ・アレン作品の幾つかの作品でもよく見られるテーマ。(『メリンダとメリンダ』のように、それこそ同じ事柄をふたりのメリンダから喜劇編、悲劇編とはっきりとわけて描いていた作品もある)
そして今回はマジックか本物のの占い師(霊能)か、ロジックかスピリチュアルかの対照的図式。
●スタンリーが初めてソフィに会ったとき「中国に何か関係している?」と言い当てられてドキッとしたのと同時に実はソフィに対して一目惚れ的にもドキッとしていたのでは?
(その後スタンリーが信頼している伯母さんとの自分だけしか知らない秘密を当てられてすっかり、これは本物の超能力霊能だ!とあっさり信じてしまう←この転向具合がアレンらしい隠しアイロニーw)
よくよく考えてみると友人がスタンリーを騙すために仕組んだ大芝居。このことがないとスタンリーとソフィは出会ってなかったわけだから、そう、それこそまさに"恋は魔法"
●ラスト
(前段階として降霊術シーンで返事として机を叩くような音が1回の場合はイエス)
自分がどんなにソフィーのことを愛していたかを告げているスタンリー
「その大きな瞳と笑顔にもう一回会いたい。聞こえるなら返事をしてほしい」
するとドンと机を叩く音が1回。
「ソフィー?」
もう一度机を叩く音が1回
「僕と結婚してほしい」
また1回
ふりかえるスタンリー。
ソフィの姿が。
キスをする二人でエンドクレジットへ。
※Memo2
●撮影はダリウス・コンジ
『ミッドナイト・イン・パリ』『ローマでアモーレ』のトーンは本作にも引き継がれアレン好みのウォームカラーで整えられている。
●タイトルデザイン
Black on Whiteによるお馴染みのタイトルカード
Typefaceは他の多くの作品と同じWindsorでした。
(特に「&」の部分に特徴がよくでています)
●衣装デザイナーはウディ・アレン作品には欠かせないソニア·グランデ。
スケッチと電話インタビュー。デザインに際して使用した写真や絵画も掲載されたNational Post記事
http://news.nationalpost.com/arts/movies/woody-allens-costume-expert-on-magic-in-the-moonlight
監督が青色について嫌がっていること(前述通りウォームトーン好み)を常に念頭においているということや素材についても語っている。
●ソフィの(ラスト近く、スタンリーと仲違いして富豪と結婚することに!?となった際の)婚約指輪と伯母さんにまつわるジュエリーがVan Cleef & Arpelsのハイジュエリーが用いられていました。
(エンドクレジットの一番最後に謝辞が)
●『王様のブランチ』でのウディ・アレン特集。
アレンの仕事場「マンハッタン・フィルム・センター」でのインタビュー。
地上波でこれぐらい長い特集は初めてかもという約15分。既出インタビューだと思うけど『マジック・イン・ムーンライト』コリン・ファース&エマ・ストーンインタビューも少々。
演出術などを語ったのち『マジック・イン・ムーンライト』についてこう締めくくり→「とてもロマンティックでマジカルな映画をつくりました。見れば気に入ると思うけど、もし気に入らなかったら僕に電話して文句を言えば善処するよ」
映画『マジック・イン・ムーンライト』公式サイト
http://www.magicinmoonlight.jp/
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