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2015-08-25

『ラブ&マーシー 終わらないメロディー(LOVE & MERCY)』ビル・ポーラッド監督、ポール・ダノ、ジョン・キューザック、エリザベス・バンクス、ポール・ジアマッティ、他

ラブ&マーシー 終わらないメロディー
LOVE & MERCY
監督・製作:ビル・ポーラッド
音楽:アッティカス・ロス
出演 : ポール・ダノジョン・キューザック
エリザベス・バンクスポール・ジアマッティ

物語・バンド「ザ・ビーチ・ボーイズ」の人気が過熱していた1960年代のカリフォルニア。うなぎ上りの人気とは裏腹に、新たな音楽を模索してスタジオで曲作りに没頭するブライアン(ポール・ダノ)は、新作へのプレッシャーによって精神的に参ってしまう。それから二十数年、ブライアン(ジョン・キューザック)はメリンダ(エリザベス・バンクス)と出会ったことで…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Lovemercy

Memo1
60年代をポール・ダノ、80年代をジョン・キューザックがそれぞれブライアン・ウィルソンを演じる。
はっきりと前半、後半で分ける方式ではなく交互に織り込まれていくスタイル。60年代は父親からの抑圧とプレッシャー(その父親→子供の頃は虐待、大人になってからも自分が仲間はずれにされたことによる妬み、あろうことか著作権を7000万ドルで売り払ってしまうというシーンも)、80年代は精神科医(ポール・ジアマッティが演じている。最初、出てきた時、そのカツラ度合にふいてしまったが、これがまた逆に観ているこちらをイライラさせる風体)による薬物依存体質に陥れてのマインドコントロールと二重に映し出されていく。
それだからこそのメリンダ(エリザベス・バンクスのドシ〜ンとした感じがとても良い)との出会いとラストの歌(One Kind of LoveとLove & Mercy)は「あぁ、よかったなぁ」と心の底から拍手を贈りたい紡ぎ方となっている。
あの名盤『ペット・サウンズ』のレコーディング風景が再現されている!そして『Good Vibrations』!
テルミンも動物も謎だった弦楽録音も、いろいろな試行錯誤が全て登場していて興味津々。
(名盤と書いているけれど映画の中にも出てくるように当時は「何?これ?」状態だった←メンバーからも)
twitterで青山真治監督が「もう今年は『岸辺の旅』と『赤い玉、』と『ラブ&マーシー』しか見ないつもりになっている」とつぶやいているぐらい、この映画、というかブライアン・ウィルソンに思い入れのある年代の方が多い(自分はリアルタイムではなく、やや後追い)
※追記
その後、青山監督が鑑賞後にツイートしていましたが冒頭ポール・ダノによる「サーフズ・アップ」の完全版、確かに観たい!!
冒頭部分、実際のザ・ビーチ・ボーイズのフィルムではなくキャストによって再現されたものが幾つも流れてきて「おぉっ!!」と感激が先にたって(油断して)あっという間に終わってしまったので、もう一度ゆっくり見たい!(もしやBlue Ray発売の際に特典映像で入るとかないかな?と、期待)
キネ旬8月上旬号『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』記事。高田漣さんへのインタビュー。再現して欲しかったシーンとしてSNLでベルーシ&エイクロイドがブライアン・ウィルソンに「ビーチボーイズを名乗っていてサーフィンできない罪で逮捕」場面をやってほしかったっと 笑
これ、確かSNL総集編ディスクで見たけれどブライアン・ウィルソンとベルーシ&エイクロイドで海に出かけて本当にサーフィンするシーンへと続いていく。いいのかぁーって思った記憶。
『ペット・サウンズ』(ジム・フジーリ著)の翻訳をした村上春樹あとがきに当時高校3年生だった時『ペット・サウンズ』が発売され、その頃のことやこのアルバムがいかに凄いかについて語られています。ビートルズ『サージェント・ペパーズ〜』と『ペット・サウンズ』の比較でヘミングウェイとフィッツジェラルドが例えとして出てくるあたり面白い。

Memo2
エンドロールでのブライアン・ウィルソンのライブシーン。照明の色がブルーの時はエンドクレジット文字の色がブルー、そして演奏終了後ブライアンはじめバンドメンバーが前に出てきたときに照明はオレンジに。そして文字も!このかわる色変えタイミングが絶妙!
TITLE DESIGN > Teddy Blanks (CHIPS)
http://www.imdb.com/name/nm2688443/

そのCHIPS-NYのサイト
(Lena Dunham Letterheadや『キューティ&ボクサー』のOpening Titles & End Titlesなども)
http://chips-ny.com/

Lovemercy2

『ラブ&マーシー 終わらないメロディー』公式サイト
http://www.loveandmercy-movie.jp/

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2015-08-20

『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール(GOD HELP THE GIRL)』スチュアート・マードック監督・脚本、エミリー・ブラウニング、オリー・アレクサンデル、ハンナ・マリー

注・内容、台詞、主な楽曲と各シーンに触れています。
ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール
GOD HELP THE GIRL
監督・脚本:スチュアート・マードック
出演 : エミリー・ブラウニングオリー・アレクサンデル
ハンナ・マリー

物語・スコットランド、グラスゴー。拒食症の治療で入院しながら、たった一人でピアノに向かっては作曲に没頭するイヴ(エミリー・ブラウニング)は、街へと飛び出してライブハウスに行く。そこで彼女は、アコースティックギターを手にしたジェームズ(オリー・アレクサンデル)と知り合う。やがて彼にキャシー(ハンナ・マリー)という少女を紹介され、3人で音楽活動に乗り出していく。こうして音楽と青春と友情を謳歌するイヴだったが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Ghtg

Memo1
なんともチャーミングな可愛らしい映画。PVを繋ぎあわせたようなという評もあるが、元々が楽曲先行(映画本編はまだだけれども、そのサントラ)で出来上がっていたものだから、それは当然。(経緯については劇場パンフレット、プロダクションノートに記載あり)
大好きなシーンが幾つも。
(各楽曲毎にあったりするので、それは後述)
3人の距離がぐんと近づいてバンド結成へ向かうきっかけとなったカヌー(ボート)での川下りシーン。
「カヤックって言うんだ」
「私の国ではカヌーよ」
ゆったりとボートを漕ぎながら進む、ここのシーンでキャシーのこと、グラスゴーのちょっとした歴史などが語られる。
その川下り。
早朝、ジェームズとイヴがキャシーを誘うシーン。
「出てこない?」
少し間をおいて、何故を勘違いしたのかキャシーが2階の窓からシーツをつなげて出てこようとする。
「普通に玄関から出て」
ラスト。
イヴとの駅での別れのシーン。
ジェームズのモノローグ
(途中でイヴがひとこと口を挟むと「ここは僕のモノローグなんだから、わりこまないで」とジェームズ)
そして、こういう台詞。
「この夏、起ったことが最高傑作」
エミリー・ブラウニングのイメージは『ゴーストシップ』の幽霊役(←これも良いですが)でも『スリーピング・ビューティー』『エンジェル ウォーズ』でもなく『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』での発明する時に髪をリボンで結ぶ長女役が一番近い。
それにしてもエミリー・ブラウニングがこんなに歌えるとは知らなかった!(歌は別の人によるものかと思っていたら、しっかりとクレジットされていた)
山崎まどかさんがパンフレットやトークショーでハル・ハートリー『シンプルメン』に言及しているのを読んで思ったけれど"前髪パッツン映画の系譜"ってできそう。最近もレイチェル・マクアダムス『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』が公開されていたし。

Memo2
主な楽曲と各シーン

"Act of the Apostle"
病院を抜け出しグラスゴーに向かう列車の中イヴが歌いだすオープニングナンバー

"I Dumped You First"
BarrowLandでいかにも場違いな感じでジェームズが野次られる中、アコースティックギターで歌った曲(イヴとここで出会う)

"Pretty When the Wind Blows"
病院のピアノで切々と歌われる美しい曲。

"God Help the Girl"
サッカーユニフォームのまま再び病院を抜け出すしたイヴ。ジェームズの隣の部屋に住むことに。タイトル楽曲。夜、自分の部屋のベッドに横たわりスマホのアプリキーボードで話すように歌われる。

"The Psychiatrist Is In"
ブルーのワンピース(大きな白い襟)に白衣をまとって精神科医よろしくジェームズのギターに合わせて歌う曲。

"If You Could Speak"
キャシーも加わり3人で歌い踊るゴダール監督「はなればなれに」想起シーン。

"Pretty Eve in the Tub"
イヴの部屋の前でジェームズが歌う微妙な想い。

"A Loving Kind of Boy"
バンド募集大作戦。まさにリチャードレスターである。キャシーがカッコイイ男子にフラ〜ッとついて行くシーンやサウンド・オブ・ミュージック"マリア"キャラが出てきたりと楽しいシーン。

"Come Monday Night"
バンドを結成して最初のセッションシーン。
ドラム、ベースのリズム隊にイヴのカウント。
ジェームズのギターが入り、続けてストリングス、ボーカルと連なる


"I'll Have to Dance with Cassie"
イヴ、キャシー共に一番好きなシーンに挙げているイヴ赤のワンピにキャシーカンガルーダンス(like a boxing kangarooという歌詞が)

"Musician, Please Take Heed"
大事な自分の歌を録音したカセットテープをラジオ局DJに渡していないことが発覚し恋人に怒り、頼りのジェームズにも無視され失意のイヴ、自暴自棄となり大量の薬を。スローテンポから激しく移るメロディラインが鮮烈。
フェイドアウト後にスタンダードサイズで映しだされる3人(ポスターやアルバムジャケットに使用されている場面)


"I Just Want Your Jeans"
キャシーが甘く歌うソロ曲。
この後にこの台詞が。
If you two don't get together,
then every song
and every film and every book
I've ever heard, seen,
and read are wrong.
(キャシーとジェームズがピアノに並んで座って)


"A Down and Dusky Blonde"
ついに行われたライヴ。もうブルネットではないと歌うイヴのヘアーはブロンドに。
歌詞の中には殻から一歩踏み出したイヴの決意が。


"Dress up in You"
ラスト。
ロンドンへ向かう列車の中のイヴを捉えて静かにフェードアウト。
エンドクレジット
(楽曲はベルセバ)

Memo2
撮影が『メイジーの瞳』『綴り字のシーズン』などを手がけたジャイルズ・ナットジェンズ
16mmフィルムによる独特の質感。
エンドクレジットにフィルムストックKodakの表記が。
タイトルデザインやイヴが着ていたサッカーウェア、フェスティバルポスターなどのグラフィックを手がけた D8.
(Web内にあるMagazine Vol5にスチュアート・マードックへのインタビューもあり)
http://d8.uk/work/god-help-girl
パンフレットデザインは大島依提亜さん
7インチレコードサイズスリーブ入り。
本文ページ中に劇場内にディスプレー(エレベーターやロビーなど)されていた無数のレコードジャケットデザインが掲載されたページあり。

映画『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』公式サイト
http://www.godhelpthegirl.club/

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2015-08-19

1975年『吉田拓郎・かぐや姫 コンサート in つま恋』から40年

今から40年前。
1975年8月2日。
静岡県掛川市・つま恋多目的広場。
日本の音楽史上初となる5万人野外オールナイトコンサート『吉田拓郎・かぐや姫 コンサート in つま恋』が開かれた。

19750802

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Memo
1975年開催時の写真を見ると現在のつま恋は内周道路(通路)の内側が使用されていて、その周囲を樹々が取り囲んでいる。
2点目の写真・2010年撮影の、この道路が内周部分。ひと回り小さくなっていることがわかる。(←とは言っても巨大な広場ですが)
それだけ、当時前例のない巨大イベントが全くの手探りで行われたことに驚かされる。(野外イベントとしては中津川フォークジャンボリーやピンク・フロイドが出演した箱根アフロディーテなどが開催されていた)
開演時間が12時間コンサートの意味合いもあって17時と早い。映像を見ると明るいし日差しもきつく暑いのがよくわかる。
(同じオールナイトイベント1979年の篠島コンサートでは19時開演へ)
つま恋のホームページによると観客数は6万5千人が一応、公式なアナウンス。
【音楽イベント コンサートの歴史】
http://www.tsumagoi.net/play/music/history.php
(ここに記載された年表、最近の3年連続開かれているアミューズによるイベントBBQからエキシビジョカホールで開かれたものまで掲載されています。ポプコンも!)
同年、秋にかけてフィルムコンサートが各地で開かれた(翌年にも)。
手元にあるチラシでは大阪・フェスティバルホールで11月8日に昼・夜2回上映されている(前売り800円・当日1200円)
(BSもCSもネットもない時代のフィルムコンサート、今だとライブストリーミングの形式で劇場上映となるのかな?)
その後、拓郎さんによる"つま恋"イベントは1985年2006年と2回開かれている。(その他1981年体育館ツアー公開リハーサルやツアー内に組み込まれた形でのエキシビションホールコンサートもあり)



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