『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール(GOD HELP THE GIRL)』スチュアート・マードック監督・脚本、エミリー・ブラウニング、オリー・アレクサンデル、ハンナ・マリー
注・内容、台詞、主な楽曲と各シーンに触れています。
『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』
GOD HELP THE GIRL
監督・脚本:スチュアート・マードック
出演 : エミリー・ブラウニング、オリー・アレクサンデル
ハンナ・マリー
物語・スコットランド、グラスゴー。拒食症の治療で入院しながら、たった一人でピアノに向かっては作曲に没頭するイヴ(エミリー・ブラウニング)は、街へと飛び出してライブハウスに行く。そこで彼女は、アコースティックギターを手にしたジェームズ(オリー・アレクサンデル)と知り合う。やがて彼にキャシー(ハンナ・マリー)という少女を紹介され、3人で音楽活動に乗り出していく。こうして音楽と青春と友情を謳歌するイヴだったが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)
※Memo1
●なんともチャーミングな可愛らしい映画。PVを繋ぎあわせたようなという評もあるが、元々が楽曲先行(映画本編はまだだけれども、そのサントラ)で出来上がっていたものだから、それは当然。(経緯については劇場パンフレット、プロダクションノートに記載あり)
●大好きなシーンが幾つも。
(各楽曲毎にあったりするので、それは後述)
3人の距離がぐんと近づいてバンド結成へ向かうきっかけとなったカヌー(ボート)での川下りシーン。
「カヤックって言うんだ」
「私の国ではカヌーよ」
ゆったりとボートを漕ぎながら進む、ここのシーンでキャシーのこと、グラスゴーのちょっとした歴史などが語られる。
●その川下り。
早朝、ジェームズとイヴがキャシーを誘うシーン。
「出てこない?」
少し間をおいて、何故を勘違いしたのかキャシーが2階の窓からシーツをつなげて出てこようとする。
「普通に玄関から出て」
●ラスト。
イヴとの駅での別れのシーン。
ジェームズのモノローグ
(途中でイヴがひとこと口を挟むと「ここは僕のモノローグなんだから、わりこまないで」とジェームズ)
そして、こういう台詞。
「この夏、起ったことが最高傑作」
●エミリー・ブラウニングのイメージは『ゴーストシップ』の幽霊役(←これも良いですが)でも『スリーピング・ビューティー』『エンジェル ウォーズ』でもなく『レモニー・スニケットの世にも不幸せな物語』での発明する時に髪をリボンで結ぶ長女役が一番近い。
それにしてもエミリー・ブラウニングがこんなに歌えるとは知らなかった!(歌は別の人によるものかと思っていたら、しっかりとクレジットされていた)
●山崎まどかさんがパンフレットやトークショーでハル・ハートリー『シンプルメン』に言及しているのを読んで思ったけれど"前髪パッツン映画の系譜"ってできそう。最近もレイチェル・マクアダムス『アバウト・タイム~愛おしい時間について~』が公開されていたし。
※Memo2
●主な楽曲と各シーン
"Act of the Apostle"
病院を抜け出しグラスゴーに向かう列車の中イヴが歌いだすオープニングナンバー
"I Dumped You First"
BarrowLandでいかにも場違いな感じでジェームズが野次られる中、アコースティックギターで歌った曲(イヴとここで出会う)
"Pretty When the Wind Blows"
病院のピアノで切々と歌われる美しい曲。
"God Help the Girl"
サッカーユニフォームのまま再び病院を抜け出すしたイヴ。ジェームズの隣の部屋に住むことに。タイトル楽曲。夜、自分の部屋のベッドに横たわりスマホのアプリキーボードで話すように歌われる。
"The Psychiatrist Is In"
ブルーのワンピース(大きな白い襟)に白衣をまとって精神科医よろしくジェームズのギターに合わせて歌う曲。
"If You Could Speak"
キャシーも加わり3人で歌い踊るゴダール監督「はなればなれに」想起シーン。
"Pretty Eve in the Tub"
イヴの部屋の前でジェームズが歌う微妙な想い。
"A Loving Kind of Boy"
バンド募集大作戦。まさにリチャードレスターである。キャシーがカッコイイ男子にフラ〜ッとついて行くシーンやサウンド・オブ・ミュージック"マリア"キャラが出てきたりと楽しいシーン。
"Come Monday Night"
バンドを結成して最初のセッションシーン。
ドラム、ベースのリズム隊にイヴのカウント。
ジェームズのギターが入り、続けてストリングス、ボーカルと連なる
"I'll Have to Dance with Cassie"
イヴ、キャシー共に一番好きなシーンに挙げているイヴ赤のワンピにキャシーカンガルーダンス(like a boxing kangarooという歌詞が)
"Musician, Please Take Heed"
大事な自分の歌を録音したカセットテープをラジオ局DJに渡していないことが発覚し恋人に怒り、頼りのジェームズにも無視され失意のイヴ、自暴自棄となり大量の薬を。スローテンポから激しく移るメロディラインが鮮烈。
フェイドアウト後にスタンダードサイズで映しだされる3人(ポスターやアルバムジャケットに使用されている場面)
"I Just Want Your Jeans"
キャシーが甘く歌うソロ曲。
この後にこの台詞が。
If you two don't get together,
then every song
and every film and every book
I've ever heard, seen,
and read are wrong.
(キャシーとジェームズがピアノに並んで座って)
"A Down and Dusky Blonde"
ついに行われたライヴ。もうブルネットではないと歌うイヴのヘアーはブロンドに。
歌詞の中には殻から一歩踏み出したイヴの決意が。
"Dress up in You"
ラスト。
ロンドンへ向かう列車の中のイヴを捉えて静かにフェードアウト。
エンドクレジット
(楽曲はベルセバ)
※Memo2
●撮影が『メイジーの瞳』『綴り字のシーズン』などを手がけたジャイルズ・ナットジェンズ。
16mmフィルムによる独特の質感。
エンドクレジットにフィルムストックKodakの表記が。
●タイトルデザインやイヴが着ていたサッカーウェア、フェスティバルポスターなどのグラフィックを手がけた D8.
(Web内にあるMagazine Vol5にスチュアート・マードックへのインタビューもあり)
http://d8.uk/work/god-help-girl
●パンフレットデザインは大島依提亜さん
7インチレコードサイズスリーブ入り。
本文ページ中に劇場内にディスプレー(エレベーターやロビーなど)されていた無数のレコードジャケットデザインが掲載されたページあり。
映画『ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール』公式サイト
http://www.godhelpthegirl.club/
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