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2016-01-13

『母と暮せば』山田洋次監督、吉永小百合、二宮和也、黒木華、浅野忠信、他

母と暮せば
監督 : 山田洋次
音楽 : 坂本龍一
出演 : 吉永小百合二宮和也
黒木華浅野忠信、他

物語・1948年8月9日、長崎で助産師をしている伸子(吉永小百合)のところに3年前に原爆で失ったはずの息子の浩二(二宮和也)がふらりと姿を見せる。あまりのことにぼうぜんとする母を尻目に、すでに死んでいる息子はその後もちょくちょく顔を出すようになる。当時医者を目指していた浩二には、将来を約束した恋人の町子(黒木華)がいたが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Haha

Memo
作家・井上ひさし氏が広島を舞台にした自身の戯曲「父と暮せば」と対になる作品として実現を願いながらもかなわなかった物語を山田洋次監督が映画化。
冒頭、モノクロではじまる長崎への原爆に向かう爆撃機シーン。
母に見送られ慌ただしく家を出て、それでも市電に乗り遅れそうになる浩二。
授業が始まり、学生たちが各々のインク瓶の蓋を開ける。
ふと、見上げる空に機影。
瞬間、全てが吹き飛ぶ。一瞬に。
(瓶がぐにゃっとした感じとなる)ここの描写、本当に恐い。
映画「父と暮せば」でも空を見上げて一瞬、点のようにピカっと光るシーンがあり、このあたりも対となる部分)
「浩二、浩二、どうしたの?あなたは悲しくなるといなくなるのね」
涙を流すと消えてしまう。
「だから泣かないで」
キネ旬で立川志らくさんが書かれていたとおりファンタジーというよりはホラーではないか、と…。
そのホラーの意を考えるとき、思いおこすのは『地獄の黙示録』のラスト。つぶやかれる「ホラー…ホラー」(字幕ではこれが"恐怖"と訳されていた)の感触のことを考えてしまう。
後半になるにしたがって薄暗くなっていく室内の照明、全体のトーン。
(町子が浅野忠信演じる結婚相手を連れて久々に訪ねてきた時に既に予兆が場面に充ちている)
ラスト。
師走の木枯らし吹きすさぶ荒涼たる風景。
まさに、その時が近づいていることがわかる。
浩二は会いに来たのではなく、迎えに来たということのほうが正しい。母は直ぐに爆心地の付近を探しまわったと語っているとおり被爆という意味では相当早い時期から影響が出ていたと思われる。
2015年に公開された黒沢清監督『岸辺の旅』にも浅野忠信さんが出演していて何やら、このなんともいえない此岸と彼岸の地続き感は何だろう。
二宮和也さんは安定の演技。そして黒木華さんがやはりめちゃくちゃ上手い。吉永小百合さんとの会話場面が突然、熱をおびてくるシーンがある。
題字は100%ORANGE

『母と暮せば』公式サイト
http://hahatokuraseba.jp/

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