"Standing man"『ブリッジ・オブ・スパイ(Bridge of Spies)』スティーヴン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス、マーク・ライランス、他
注・内容・台詞に触れています。
『ブリッジ・オブ・スパイ』
Bridge of Spies
監督 : スティーヴン・スピルバーグ
脚本 : コーエン兄弟、マット・チャーマン
出演 : トム・ハンクス、マーク・ライランス
アラン・アルダ、オースティン・ストウェル
ウィル・ロジャース、スコット・シェパード、他
物語・アメリカとソ連の冷戦のさなか、保険関連の敏腕弁護士ドノヴァン(トム・ハンクス)は、ソ連のスパイであるアベル(マーク・ライランス)の弁護を引き受ける。その後ドノヴァンの弁護により、アベルは死刑を免れ懲役刑となった。5年後、アメリカがソ連に送り込んだ偵察機が撃墜され、乗組員が捕獲される。ジェームズは、CIAから自分が弁護したアベルとアメリカ人乗組員のパワーズ(オースティン・ストウェル)の交換という任務を任され…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)
※Memo1
●傑作!
映画的興奮を久々に感じた。これが映画だ!
トム・ハンクス、マーク・ライランスふたりの演技はもとより、冷戦時代の空気感を説明ではなく、じわりと品性よく描き出す見事さ。そしてU2偵察機墜落シーンの凄み。あっという間の142分!
●ソ連のスパイを演じたマーク・ライランスはスピルバーグ監督の次回作『The BGF』(ロアルド・ダール原作)にも出演しているそうなので楽しみ。
●いろいろな台詞
・ドノヴァンが憤りを感じて拳を握り立っている姿を見てアベルがつぶやく
"Stoikey Muzhik"
「こどもの頃、父親に言われた。
この男を見よ。パルチザンに殴られても殴られても、何度でも立ち上がる男の姿に対して"Stoikey Muzhik"」
「不屈の男(Standing man)…と」
・(覚悟を持ってスパイとなった)アベルを印象づける台詞。
「不安を感じないのか?」
「それは必要か」
・コーエン兄弟脚本によるものかもと思われる、ちょっとしたユーモアが織り込まれている。
ベルリンでの交換交渉の際にソ連側、東ドイツ側と2回にわたって出てくる台詞。
「ソビエト連邦共和国の…」
「長いのでソ連と」
●冷戦時代
ベルリンの壁が壊される映像は幾度となく流され、なによりもその壊される瞬間を知っているのだが、その壁が作られていく様子は、はじめて映画で見た気が。しかも閉じられる瞬間まで。
●冒頭に出る"真実に基づく物語"
英語字幕ではSTORYではなくEVENTSと記載。
INSPIRED BY TRUE EVENTS
そう!STORYではなく、まさにEVENTSだったのだ。
●かつて『カラーパープル』で、ただ髭を剃るというだけのシーンですら緊張をもたらした手腕があるにもかかわらず、本作はサスペンス性を抑えている気がする。もっとハラハラドキドキさせられるであろうシーンが多々。それらを抑えた結果、全体のトーンが最後の最後まで一貫して崩れることがない。
●TV Bros掲載のスピルバーグ監督インタビューで劇中、キューブリック監督『スパルタカス』とビリー・ワイルダー監督『ワン・ツー・スリー/ラブハント作戦』の映画タイトルが出てくると書かれていたけれど。これは気がつかなかったなぁ(と、いうかドイツ語表記の隠しネタ)←(2回目の鑑賞で確認)捕虜交換の交渉がうまくいき家族の元へ電話をかけるシーンの背後に写る映画館で上映されていた。
※Memo2
●Main and End TitleはSCARLET LETTER
●スピルバーグ監督の映画はデビュー作から全てをリアルタイム劇場で見続けている監督中のひとり(もしかすると唯一かも)。
(『激突!』もTV放映の後、劇場公開されたものを見た > 今はHEP5になっている梅田コマ劇場地下、コマ・ゴールドで)
『未知との遭遇』は鑑賞体験自体が巨大スクリーンのOS劇場ということも含めて全く別ものの作品なので、それ以外ということであげると『太陽の帝国』『ミュンヘン』そして本作『ブリッジ・オブ・スパイ』が個人的スピルバーグ・ベスト3
●本作の脚本(Final Shooting Script)がPDFで読めます。
(2016年1月13日リンク確認)
http://dreamworksawards.com/download/BOS_screenplay.pdf
映画『ブリッジ・オブ・スパイ』オフィシャルサイト
http://www.foxmovies-jp.com/bridgeofspy/
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信念を、持ち続ける…
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受信: 2016-01-14 13:58
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でも何だろう?
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受信: 2016-01-14 14:52
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ブリッジ・オブ・スパイ
15:米
◆原題:BRIDGE OF SPIES
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米ソ冷戦のさなか、保険関連の敏腕弁護士ジェームズ・ドノヴァン(トム・ハンクス)は、ソ連のスパイとしてFBIに逮捕されたルドルフ・アベル(マーク・ライランス)の弁護を引き受ける。
敵国の人間を弁護することに非難を浴びせられても、弁護士としての職務を果たしたドノバンは、死刑確実のアベルを懲役30年という判決で裁判を終えた。
5年後、ソ連に送り込んだ偵察機が撃墜され、アメリカ人パイロットの...... [続きを読む]
受信: 2016-01-23 20:10
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映画「ブリッジ・オブ・スパイ」を鑑賞しました。 [続きを読む]
受信: 2016-01-24 19:19
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『ブリッジ・オブ・スパイ』を吉祥寺オデヲンで見ました。
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映画 『ブリッジ・オブ・スパイ(日本語字幕版)』 (公式)を公開初日の本日に劇場鑑賞。採点は、 ★★★★ ☆ (5点満点で4点)。100点満点なら80点にします。
ざっくりストーリー
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受信: 2016-01-27 09:30
» 無冠詞~『ブリッジ・オブ・スパイ』 [真紅のthinkingdays]
BRIDGE OF SPIES
1957年、東西冷戦の時代。保険が専門の弁護士、ジェームズ・ドノヴァン (ト
ム・ハンクス)は、ブルックリンで諜報活動に従事していたソ連のスパイ、ルドル
フ・アベル(マーク・ライランス)の弁護を命じられる。
一人の民間人が、スパイの交換という国家間の最高機密における交渉人を
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受信: 2016-02-02 08:22
» 映画「ブリッジ・オブ・スパイ 」東ベルリンの無法地帯では、こちらも緊張マックス [soramove]
映画「ブリッジ・オブ・スパイ 」★★★★☆
ジェームズ・ドノバン: トム・ハンクス
ルドルフ・アベル: マーク・ライランス
ホフマン: スコット・シェパード
メアリー・ドノバン: エイミー・ライアン
ウルフガング・ヴォーゲル: セバスチャン・コッホ
スティーヴン・スピルバーグ監督、
142分、2016年1月8日公開
2015,アメリカ,20世紀フォックス映画
(原題/原作:BRIDGE OF SPIES)
<リンク:[続きを読む]
受信: 2016-02-03 22:36
» 「ブリッジ・オブ・スパイ」 [ここなつ映画レビュー]
非常にきちんとした作品。更に言えば、トム・ハンクスの独壇場。きちんと真面目に職務を遂行する男。それがトム・ハンクス扮するジェームズ・ドノバンだ。ドノバンは、保険関係を担当している一介の弁護士だ。冒頭の日常業務の描写で、その後の出来事での彼の戦略を象徴する考え方が披露される。すなわち、2件の案件をそれぞれ独立した案件として処理するのではなく、まとめて1件とする考え方だ。これが後の「スパイ交換」の際に反映される考え方である。一介の弁護士ドノバンが、アメリカ合衆国内で捕まったソ連からのスパイの弁護をせざる... [続きを読む]
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» ブリッジ・オブ・スパイ(ネタバレあり!) [必見!ミスターシネマの最新映画ネタバレ・批評レビュー!]
[ブリッジ・オブ・スパイ] ブログ村キーワード ↓ワンクリックの応援お願いします↓ おみくじ評価:大吉 2016年3本目です。 【あらすじ】 アメリカとソ連が冷戦下だった1950~60年代。 ソ連のスパイ・アベル(マーク・ライランス)の弁護人になったジェームズ・ド…... [続きを読む]
受信: 2016-02-06 02:55
» 『ブリッジ・オブ・スパイ』 The Standing Man [Days of Books, Films]
Bridge of Spies(viewing film) 『ブリッジ・オブ・ス [続きを読む]
受信: 2016-02-06 11:30
» ブリッジ・オブ・スパイ 監督/スティーヴン・スピルバーグ [西京極 紫の館]
【出演】
トム・ハンクス
マーク・ライランス
エイミー・ライアン
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【ストーリー】
アメリカとソ連の冷戦のさなか、保険関連の敏腕弁護士ドノヴァンは、ソ連のスパイであるアベルの弁護を引き受ける。その後ドノヴァンの弁護により、ア...... [続きを読む]
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» スパイ交換劇 [笑う社会人の生活]
9日のことですが、映画「ブリッジ・オブ・スパイ」を鑑賞しました。
弁護士ドノヴァンはソ連のスパイ アベルの弁護を引き受ける 敵国の人間の弁護に周囲から非難もあったが死刑を免れ懲役刑となる
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» ブリッジ・オブ・スパイ (Bridge of Spies) [Subterranean サブタレイニアン]
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受信: 2016-05-17 17:03
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ゲームにはまってしまい日記もそちらの記事に なってしまいましたが、久々に映画ネタをアップ したいと思います。 こちらは1月に観た映画、スピルバーグ監督の新作 で主演は『ターミナル』以来のタッグとなるトム・ ハンクスが務めたサスペンス映画『ブリッジ・オブ・ ス…... [続きを読む]
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