『64 -ロクヨン- 前編』瀬々敬久監督、佐藤浩市、永瀬正敏、綾野剛、瑛太、仲村トオル、三浦友和、他
注・内容、犯人(後編部分含む)に触れています。
『64 -ロクヨン- 前編』
監督 : 瀬々敬久
出演 : 佐藤浩市
綾野剛、榮倉奈々、瑛太、夏川結衣
窪田正孝、坂口健太郎、筒井道隆
鶴田真由、赤井英和、菅田俊
烏丸せつこ、小澤征悦、椎名桔平
滝藤賢一、奥田瑛二
仲村トオル、吉岡秀隆
永瀬正敏、三浦友和、緒形直人、他
物語・わずか7日で終わった昭和64年。その年に起きた少女誘拐殺人事件、“ロクヨン”から14年が経過し未解決のまま時効が近づいていた。そのロクヨンの捜査に携っていた警務部秘書課広報室の広報官・三上義信(佐藤浩市)は記者クラブとの不和、刑事部と警務部のあつれきの中、娘の家出にも心を痛めていた。そんな中、ロクヨンを模倣したような誘拐事件が起こる…。
※Memo1
●ファーストカットから乗れた。
メインタイトルが出るまでで昭和64年の事件の件(くだり)が描かれる。
スコープサイズの左右にできる余白隅々まで緊迫感みなぎる佐藤浩市のクローズアップ。
特に前編締めくくり、クライマックスとなる9分間の長回しシーン。
まさに、ひとりで多人数を受け止める芝居の真骨頂。
●人が横に移動するとカメラも横に移動して、止まるとフイックス、編集で切り返し(奥から手前に移動してくる場合も動きに応じて手前へと移動する)。そして記者クラブでの広報室との対立はハンディでと、場面に応じた芝居重視の絵作りが素晴らしい。
しかも、ドローンを使った追尾空撮など最新の手法も取り入れた冒頭、身代金を持って移動する雨宮のあとを追う警察車両のカットなども効果的。
(あ、あと、夜の琴平橋で身代金を川に投げ入れる雨宮をとらえたロングショットもよかったなぁ)
●↑本作から受けた印象として、ふと、昔、黒澤明監督を囲んでのティーチインで伺ったカメラの動きと役者についての話を思い出した。
●原作、TVドラマ版(大森寿美男脚本/ピエール瀧)と既に結末についてはわかった上で鑑賞。
2部作として割る場合、これは正攻法にして上手い前後編手法。
(「ちはやふる」の2部作は、また違ったアプローチで成功していたと思う。まあ「ちはやふる」の場合は連載継続中ということで「ハリポタ」的シリーズ化も可能な上での2部作プラス続編の形になった感もある。「64」の場合は休憩をはさんで一挙4時間公開という手法もあったかもしれない。しかし前編で三上が「亡くなった人を持つ家族の思い」や「その人にも暮らしがあったのだ」ということを訴えかけるシーンは作品ひとつとしてのまとまりを持っており「ロクヨン」と続いて後編で描かれる「ロクヨン」模倣事件、結末へのブリッジとして、この上ない描写となっている)
●犯人(少しややこしい表現とネタバレとなりますが→後編で描かれる平成14年に起こる「ロクヨン」誘拐事件の模倣の犯人)についてのヒントが実はさりげなく、いくつものシーンに(三上が雨宮宅を訪ねていった際に仏壇の前に置かれた電話帳をさっと避ける場合、その雨宮の指のアップ、ボサボサだった髪型が整えられた時期など)。それをふまえての後編(チラッと写る緒形直人)が実に楽しみ。
※Memo2
●本の話Web
【小説の流儀、映画の作法 横山秀夫(原作者)×瀬々敬久(映画監督)】
改稿22回(!)の脚本のこと、小説とは違うラストに言及した興味深い対談。
http://hon.bunshun.jp/articles/-/4761
●昭和パートの後、スコープサイズの右上に手描きによるメインタイトルが出る。タイトルデザインは赤松陽構造(パンフレット表紙・本文・ノンブルも)
●本編に後編予告編がつくようにパンフレットにも内容告知(原作者インタビューやキャストによる「結末」の封印を解くなど)の予告が!(もしかして、初?)
さらに表3モノクロ、電話ボックスの写真にかぶさる(見切れている)「全て14年前のままだ。」の文字。
●パンフレットデザインは大島依提亜/中山隼人
本文40P。新聞仕様の縦組本文。後編へのネタバレ配慮が登場人物相関図はじめ随所に。
(文中敬称略)
映画『64‐ロクヨン‐前編/後編』公式サイト
http://64-movie.jp/
| 固定リンク
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 『64 -ロクヨン- 前編』瀬々敬久監督、佐藤浩市、永瀬正敏、綾野剛、瑛太、仲村トオル、三浦友和、他:
» 64−ロクヨン−前編 ★★★★.5 [パピとママ映画のblog]
人気作家・横山秀夫の傑作ミステリー巨編を佐藤浩市をはじめとする実力派キャストの豪華共演で映画化したミステリー・ドラマ。監督は「ヘヴンズ ストーリー」「ストレイヤーズ・クロニクル」の瀬々敬久。
<感想>原作未読でTVドラマも見ていなかったのが悔やまれる。...... [続きを読む]
受信: 2016-05-13 12:21
» 64 ロクヨン前編 [あーうぃ だにぇっと]
64ロクヨン前編@イイノホール [続きを読む]
受信: 2016-05-13 12:22
» 『64 ロクヨン 前編』 2016年4月29日 イイノホール [気ままな映画生活 -適当なコメントですが、よければどうぞ!-]
『64 ロクヨン 前編』 を試写会で鑑賞しました。
実は昨年の9月のスニーク(モニター)試写会で前後編を鑑賞している。
【ストーリー】
わずか7日で終わった昭和64年。その年に起きた少女誘拐殺人事件、“ロクヨン”から14年が経過し、未解決のまま時効が近づいていた。そのロクヨンの捜査に携っていた警務部秘書課広報室の広報官・三上義信(佐藤浩市)は、記者クラブとの不和、刑事部と警務部のあつれき、ロクヨンを模倣したような誘拐事件に直面し……。
昨年観たが内容は忘却の彼方である。
あれ、あの人が犯人... [続きを読む]
受信: 2016-05-13 12:28
» 「64(ロクヨン) 前編」 [ここなつ映画レビュー]
後編が待ち切れない。こんな気持ちは久々だ。昭和最後の7日間に起こった少女誘拐殺人事件。通称「64(ロクヨン)」。時効まであとわずか一年に迫った平成14年、事件は大きく動き出す…。そうか、昭和64年って、平成元年って、もはやこんなにノスタルジックな風景なのか。…当然息子達は生まれている筈もなく、道道が日の丸の半旗を掲げている通りの風景や、小渕官房長官がブラウン管の向こうで「新しい元号は‘平成’です」と楷書を掲げた光景は、彼らにとってはもはやあまりにも映画的なシーンなのであろう。知らない世界。想像力を掻... [続きを読む]
受信: 2016-05-13 12:33
» 試写会「64 -ロクヨン- 前編」 [日々“是”精進! ver.F]
本音でぶつかり合えば…
詳細レビューはφ(.. )
http://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201604210000/
64(ロクヨン)(上)【電子書籍】[ 横山秀夫 ]価格:690円
64(上) [ 横山秀夫(小説家) ]価格:691円(税込、送料無料)
64(下) [ 横山秀夫(小説家) ]価格:691...... [続きを読む]
受信: 2016-05-13 13:07
» 64−ロクヨン−前編 [佐藤秀の徒然幻視録]
豪華キャストも中身もてんこ盛り
公式サイト。横山秀夫原作、瀬々敬久監督。佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、緒形直人、窪田正孝、坂口健太郎、筒井道隆、鶴田真由、赤井英 ...... [続きを読む]
受信: 2016-05-13 13:41
» 64-ロクヨン-前編 [★yukarinの映画鑑賞ぷらす日記★]
2016/05/07公開 日本 121分監督:瀬々敬久出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、緒形直人、窪田正孝、坂口健太郎、瑛太、永瀬正敏、三浦友和
犯人は、まだ昭和にいる。
STORY:わずか7日間でその幕を閉じた昭和64年。その間に管内で発生した少女誘拐殺人事件。...... [続きを読む]
受信: 2016-05-13 13:48
» 64 ロクヨン 前編 [象のロケット]
平成14年。 「ロクヨン」と呼ばれる、昭和最後の年・昭和64年に起きた少女誘拐殺人事件は、間もなく時効を迎えようとしていた。 かつて「ロクヨン」の捜査にもあたった県警の刑事・三上義信は、異動で広報室の広報官となる。 就任早々、訳あって交通事故の加害者を匿名で発表したため、広報室は県警記者クラブからの突き上げにあってしまう…。 ミステリー前編。... [続きを読む]
受信: 2016-05-14 00:16
» 64-ロクヨン-前編 [映画1ヵ月フリーパスポートもらうぞ〜]
評価:★★★★【4点】(11)
警察内部の構造を知るうえで可なり為になる映画。 [続きを読む]
受信: 2016-05-14 00:44
» 64-ロクヨン-前編 [映画好きパパの鑑賞日記]
横山秀夫のベストセラーの映画化で、原作もNHKドラマもみています。映画版は超豪華キャストの演技は満足だけど、日本人好みの手堅い泣かせに走っているのはいまいちでした。後編は原作と変えているらしいので、ちょっと楽しみかも。 作品情報 2016年日本映画 監督:…... [続きを読む]
受信: 2016-05-14 06:19
» 「64 ロクヨン」☆まだ何も始まらない [ノルウェー暮らし・イン・原宿]
豪華キャストを取り揃えた映画にロクなものはないけれど、この映画は違う。
皆さん本気でいい仕事をしていて、大物俳優だからといって脇役なのに突出してしまって話をぶち壊すこともなく、それぞれが見事にその役割を全うしているのが伝わってくる。
勿論、「このミス」1位の横山秀夫の原作も真摯で重厚で申し分ない。... [続きを読む]
受信: 2016-05-16 11:57
» 『64 -ロクヨン- 前編』 [cinema-days 映画な日々]
加害者の実名報道で揉める広報室と記者クラブ
そんな中、時効迄1年に迫った少女誘拐殺人事件に
警察庁長官が被害者宅を視察訪問する事になり
新たな展開を迎える...
【個人評価:★★★☆ (3.5P)】 (劇場鑑賞)
原作:横山秀夫 後編:6月11日公開予定... [続きを読む]
受信: 2016-05-17 03:32
» 映画「64-ロクヨン- 前編」感想 [帰ってきた二次元に愛をこめて☆]
この国にも、まだ”映画”を作れる力が、残っていた?
カメラの廻し方からして、TVではなくて映画なのですよね。2Dでも遠近が感じられる。スクリーンの隅々まで気を使った絵作り。無暗矢鱈な台詞で説明するのではなく、絵に語らせる。紙芝居ではなく、映画なのですよ。
そういう事もわざわざ言わないとならない程、低質の酷い映画モドキが蔓延する邦画。そんな邦画に期待しなくなった私でも「これ...... [続きを読む]
受信: 2016-05-18 19:52
» 64-ロクヨン-前編 監督/瀬々 敬久 [西京極 紫の館]
【出演】
佐藤 浩市
綾野 剛
榮倉 奈々
瑛太
【ストーリー】
わずか7日で終わった昭和64年。その年に起きた少女誘拐殺人事件、“ロクヨン”から14年が経過し、未解決のまま時効が近づいていた。そのロクヨンの捜査に携っていた警務部秘書課広報室の広報官・三...... [続きを読む]
受信: 2016-05-18 23:12
» 日本の警察 その84 「64(ロクヨン) 前編」(2016 東宝=TBS) [事務職員へのこの1冊]
その83「松谷警部と三ノ輪の鏡」はこちら。原作の、あの謎がすばらしかったのは、わずか7日間しか存在しなかった昭和64年の世相と分かちがたく結びついていたことだ。現代のわたしたちにとってすっかりおなじみのあれがまだ一般的ではなかったことと、天...... [続きを読む]
受信: 2016-05-21 17:01
» 64 ロクヨン 前編 [映画的・絵画的・音楽的]
『64 ロクヨン 前編』をTOHOシネマズ渋谷で見ました。
(1)以前、原作小説を読んでとても面白いと思い、なおかつ佐藤浩市が主演の作品ということで、映画館に行ってきました。
本作(注1)の冒頭は、昭和64年1月5日。
まず漬物工場が映し出され、併設されている住...... [続きを読む]
受信: 2016-05-23 20:31
» 64−ロクヨン−前編 [我想一個人映画美的女人blog]
昭和から平成に変わる直前、1週間しかなかった昭和64年に起きた、戦後唯一の未解決誘拐事件。
実際の事件が基になった、ということで凄く興味あった1本。
「半落ち」などの原作者・横山秀夫の小説を、豪華キャストで映画化。
横山さんは、元群馬県の地方新聞...... [続きを読む]
受信: 2016-05-24 23:19
» 「64-ロクヨン-前編」事件が迷宮入りしそうになった先に発覚した警察の失態を組織ぐるみで隠蔽された事件の真相と時効目前で再び動き出した昭和最後の7日間 [オールマイティにコメンテート]
「64-ロクヨン-前編」は1989年1月1日〜7日のわずか7日間に起きた昭和64年の誘拐殺人事件を15年後の事項目前にした中で再びこの事件と刑事が向き合って事件解決へ動こう ... [続きを読む]
受信: 2016-05-28 10:31
» 前編は事件より警察内部のドラマ [笑う社会人の生活]
8日のことですが、映画「64 -ロクヨン- 前編」を鑑賞しました。
わずか7日で終わった昭和64年 その年に起きた少女誘拐殺人事件、通称ロクヨンから14年が経過し
未解決のまま時効が近づく中 そのロクヨンの捜査に携わり現在は警務部 広報室の広報官の三上は再びこの事...... [続きを読む]
受信: 2016-05-29 09:01
» 「64-ロクヨン-前編」 報道の役割とは [はらやんの映画徒然草]
例によって原作は未読ですが、横山秀夫さん原作の作品らしく骨太のドラマとなっていま [続きを読む]
受信: 2016-06-04 17:20
» 64-ロクヨン-前編/64-ロクヨン-後編 [いやいやえん]
【概略】
かつては刑事部の刑事、現在は警務部・広報官の三上義信は、常にマスコミからの外圧にさらされていた。そんな彼が、昭和64年に発生した未解決の少女誘拐殺人事件、通称「ロクヨン」に挑む。
サスペンス
【概略】
三上は警察という組織の中で生きる個人としての葛藤を背負い込みながら、マスコミからの突き上げにあっていた。そんな中で家族の問題も抱えながら、「ロクヨン」事件の真相に迫り…。
サスペンス
犯人は、まだ昭和にいる。慟哭の結末を見逃すな。
「昭和天皇の崩御... [続きを読む]
受信: 2016-12-18 20:47
» 64-ロクヨン-前編 [タケヤと愉快な仲間達]
監督:瀬々敬久 出演:佐藤浩市、綾野剛、榮倉奈々、夏川結衣、窪田正孝、金井勇太、筒井道隆、鶴田真由、赤井英和、菅田俊、小澤征悦、菅原大吉、坂口健太郎、宇野祥平、菜葉菜、嶋田久作、三浦誠己、黒川芽以、小橋めぐみ、芳根京子、萩原みのり、瑛太、椎名桔平、滝藤...... [続きを読む]
受信: 2017-01-09 06:00