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2016-05-18

『ヘイル、シーザー!(HAIL,CAESAR!)』ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン監督、ジョシュ・ブローリン、ジョージ・クルーニー、チャニング・テイタム、スカーレット・ヨハンソン、フランシス・マクドーマンド、他

ヘイル、シーザー!
HAIL,CAESAR!

監督 : ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
出演 : ジョシュ・ブローリン
ジョージ・クルーニー
チャニング・テイタム、レイフ・ファインズ
スカーレット・ヨハンソン
フランシス・マクドーマンド
ジョナ・ヒル、アルデン・エーレンライク、他

物語・1950年代のハリウッド。スタジオの命運を左右する超大作『ヘイル、シーザー!』の撮影中、主演俳優ウィットロック(ジョージ・クルーニー)が何者かに誘拐されてしまう。事件解決を任されたスタジオの何でも屋(ジョシュ・ブローリン)は、魅力あふれる若手女優(スカーレット・ヨハンソン)や著名なミュージカルスター(チャニング・テイタム)ら個性豊かな俳優たちを巻き込み、ウィットロック奪還に向け奮闘する。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Caesar

Memo1
"チャニング・テイタム"とつぶやくだけで頬がゆるみ "ジョシュ・ブローリン"と3回唱えると顔がひと回り大きくなり"ティルダ・スウィントン"が気のせいか、ふたりに見える、そんな映画を見た『ヘイル、シーザー!』
これは、まさにコーエン兄弟の「アメリカの夜」!(違う違う…でも、ちょっとひねった映画愛がある。そんな作品)
コーエン兄弟、久々の"そっち系"映画で楽しめました!
ジョシュ・ブローリン演じる"なんでも屋"(ゴシップぬぐいから、もめ事の後始末、撮影をスムーズに行うためなら何でもやる男、航空機会社から転職の誘いを受けていて、こころ揺れているが、その実、映画のことが気になって気になってしようがないという役どころ)が素晴らしい。
レイフ・ファインズ演じる映画監督。
その名も「ローレンス・ローレンツ」笑
(IMDbトリビアによるとヴィンセント・ミネリ監督がモデル。確かに写真で見比べても似てる)
そのローレンツ監督は、きっちりとセットを組んで文芸ものを撮影中。
そこに撮影所の意向で訛りのきつい演技もおぼつかない西部劇役者ボビー・ドイル(若きハン・ソロ役が決まって超注目のアルデン・エーレンライク。こちらもティム・ホルトというモデルあり)が主演として登場。
キャスト全員が定位置について既にスタンバイ状態のところに「どぉぅもぉ〜」といった雰囲気で現れる(もう、このあたりからおかしくて可笑しくて)
そして実際に撮影が始まる。
やたら訛る(←ちなみにこのシーンを使った日本版予告編、字幕が大阪弁バージョンや広島弁バージョンなど複数あり 笑)
何度も台詞の言い回しをレクチャーする監督。
名前を「ローレンス監督」と間違えてばかりのボビー・ドイル。
「ローレンツ監督」名前も訂正してキレる寸前となるレイフ・ファインズの顔が 笑
ティルダ・スウィントン演じるソーラとセサリーのライバル心むき出しの双子ゴシップ記者(帽子が見分ける目印 笑)←こちらもモデルとなる記者がいるらしい(えっ!?ホントに)
エスター・ウィリアムス(水中レビュー映画は「ザッツ・エンタティンメント」で初めて見て「おぉっ」と思った)がモデルと思われるスカーレット・ヨハンソン。渋いナレーションはマイケル・ガンボン。
フランシス・マクドーマンドが『ヘイル、シーザー!』本編編集を行っている場面はさすがコーエン組。キレキレの編集ウーマンで場面をさらう(ここで観客も本編シーンの一部が見られる)
そして、チャニング・テイタム演じるミュージカルスターの正体にはひっくり返った。(飼っているワンちゃんの名前にもひっくり返った。潜水艦、ジャーンプのシーン、一瞬「メル・ブルックスの大脱走」の飛行機飛び乗りワンちゃん思い出した)
これまたモデルとされるジーン・ケリーは逆に赤狩りの嵐が吹き荒れる時代において疑いをかけられた友人をかばうなど本作とは全く逆のスタンスの人だったということが皮肉がきいている。
すっかり(本人は気づいていないが)誘拐された教授たちの思想に影響を受けたウイットロック。
その様子を見て、しっかりしろ!と言わんばかりにビンタをくらわすジョシュ・ブローリン演じる撮影所なんでも屋のひと言。
スターであることを証明してこい

Memo2
撮影はロジャー・ディーキンス
「アンブロークン」の邦題に「不屈の男」ってついてたけれど彼こそ不屈の男だ。コーエン兄弟作品多数含むアカデミー賞ノミネートされること、13回
(そろそろそろそろディーキンス先生に受賞を…。)
『トゥルー・グリッド』より続行中の35mmフィルムによる撮影。
衣装デザインは、これまたコーエン組のメアリー・ゾフレス
タイトルデザインはまたまたまた、お馴染みのBig Film Design
そのBig Film Designによるコーエン兄弟作品のタイトルデザインいくつか(ファーゴ、ビッグ・リボウスキ~シリアスマン) 他に『ファクトリー・ガール』『マグノリア』 など現時点で代表作38作品公開中
http://bigfilmdesign.com/titles/
メイキング映像
Hail, Caesar! Behind The Scenes B-Roll & Featurettes
https://www.youtube.com/watch?v=o_9_ODd5uIs

映画『ヘイル、シーザー!』公式サイト
http://hailcaesar.jp/


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2016-05-12

『64 -ロクヨン- 前編』瀬々敬久監督、佐藤浩市、永瀬正敏、綾野剛、瑛太、仲村トオル、三浦友和、他

注・内容、犯人(後編部分含む)に触れています。
64 -ロクヨン- 前編

監督 : 瀬々敬久
出演 : 佐藤浩市
綾野剛、榮倉奈々、瑛太、夏川結衣
窪田正孝、坂口健太郎、筒井道隆
鶴田真由、赤井英和、菅田俊
烏丸せつこ、小澤征悦、椎名桔平
滝藤賢一、奥田瑛二
仲村トオル、吉岡秀隆
永瀬正敏、三浦友和、緒形直人、他

物語・わずか7日で終わった昭和64年。その年に起きた少女誘拐殺人事件、“ロクヨン”から14年が経過し未解決のまま時効が近づいていた。そのロクヨンの捜査に携っていた警務部秘書課広報室の広報官・三上義信(佐藤浩市)は記者クラブとの不和、刑事部と警務部のあつれきの中、娘の家出にも心を痛めていた。そんな中、ロクヨンを模倣したような誘拐事件が起こる…。

64

Memo1
ファーストカットから乗れた。
メインタイトルが出るまでで昭和64年の事件の件(くだり)が描かれる。
スコープサイズの左右にできる余白隅々まで緊迫感みなぎる佐藤浩市のクローズアップ。
特に前編締めくくり、クライマックスとなる9分間の長回しシーン。
まさに、ひとりで多人数を受け止める芝居の真骨頂。
人が横に移動するとカメラも横に移動して、止まるとフイックス、編集で切り返し(奥から手前に移動してくる場合も動きに応じて手前へと移動する)。そして記者クラブでの広報室との対立はハンディでと、場面に応じた芝居重視の絵作りが素晴らしい。
しかも、ドローンを使った追尾空撮など最新の手法も取り入れた冒頭、身代金を持って移動する雨宮のあとを追う警察車両のカットなども効果的。
(あ、あと、夜の琴平橋で身代金を川に投げ入れる雨宮をとらえたロングショットもよかったなぁ)
↑本作から受けた印象として、ふと、昔、黒澤明監督を囲んでのティーチインで伺ったカメラの動きと役者についての話を思い出した。
原作、TVドラマ版(大森寿美男脚本/ピエール瀧)と既に結末についてはわかった上で鑑賞。
2部作として割る場合、これは正攻法にして上手い前後編手法。
(「ちはやふる」の2部作は、また違ったアプローチで成功していたと思う。まあ「ちはやふる」の場合は連載継続中ということで「ハリポタ」的シリーズ化も可能な上での2部作プラス続編の形になった感もある。「64」の場合は休憩をはさんで一挙4時間公開という手法もあったかもしれない。しかし前編で三上が「亡くなった人を持つ家族の思い」や「その人にも暮らしがあったのだ」ということを訴えかけるシーンは作品ひとつとしてのまとまりを持っており「ロクヨン」と続いて後編で描かれる「ロクヨン」模倣事件、結末へのブリッジとして、この上ない描写となっている)
犯人(少しややこしい表現とネタバレとなりますが→後編で描かれる平成14年に起こる「ロクヨン」誘拐事件の模倣の犯人)についてのヒントが実はさりげなく、いくつものシーンに(三上が雨宮宅を訪ねていった際に仏壇の前に置かれた電話帳をさっと避ける場合、その雨宮の指のアップ、ボサボサだった髪型が整えられた時期など)。それをふまえての後編(チラッと写る緒形直人)が実に楽しみ。

※Memo2
本の話Web
小説の流儀、映画の作法 横山秀夫(原作者)×瀬々敬久(映画監督)】
改稿22回(!)の脚本のこと、小説とは違うラストに言及した興味深い対談。
http://hon.bunshun.jp/articles/-/4761
昭和パートの後、スコープサイズの右上に手描きによるメインタイトルが出る。タイトルデザインは赤松陽構造(パンフレット表紙・本文・ノンブルも)
本編に後編予告編がつくようにパンフレットにも内容告知(原作者インタビューやキャストによる「結末」の封印を解くなど)の予告が!(もしかして、初?)
さらに表3モノクロ、電話ボックスの写真にかぶさる(見切れている)「全て14年前のままだ。」の文字。
パンフレットデザインは大島依提亜/中山隼人
本文40P。新聞仕様の縦組本文。後編へのネタバレ配慮が登場人物相関図はじめ随所に。
(文中敬称略)

映画『64‐ロクヨン‐前編/後編』公式サイト
http://64-movie.jp/

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2016-05-11

『ちはやふる 上の句、下の句』同一スクリーンでイッキ見。小泉徳宏監督、広瀬すず、野村周平、真剣佑、松岡茉優、他

ちはやふる 上の句、下の句

監督 : 小泉徳宏
出演 : 広瀬すず
野村周平真剣佑
上白石萌音矢本悠馬
松岡茉優
松田美由紀
國村隼、他

上の句 - 物語・同級生の千早(広瀬すず)、太一(野村周平)、新(真剣佑)は、いつも仲良く競技かるたを楽しんでいた。小学校卒業を機に彼らはバラバラになってしまうものの、千早は単独で競技かるたの腕を磨く。高校に進学した千早は再会を果たした太一と一緒に競技かるた部を立ち上げ、この世界に導いてくれた新を思いながら全国大会を目標とする。

B

下の句 - 物語・創部1年にして東京都大会優勝を果たした千早は自分をかるたに導いてくれた新に優勝報告をした際、新の衝撃的な告白に動揺する千早だったが、全国大会のために仲間たちと練習に打ちこむ。そんな折、千早は同い年で日本一となった若宮詩暢(松岡茉優)のことを知り…

A

Memo1
今年の暫定1位!
上の句の評判を横目に"じっと我慢の子であった。5週間待つのぢゃぞ"状態で下の句公開まで待って一気に見てよかった!
(同一スクリーンで休憩20分をはさんで間髪入れずに)
続けて鑑賞することによって、ひとつの連続したテーマが浮かびあがり(下の句公開後に決まった)続編への余白も残した見事な締めくくり方。
また上の句の高揚感をもって、そのまま下の句へなだれ込む感じが極めて心地よい(上の句のエンドロールと最後にあらわれる下の句予告を、おぉっ続けて見られるのだという気分。これはロビーでも口々に言ってる人が多かった←おそらく同じ考えで鑑賞参戦した方多数だと思われる)
2部作公開というフォーマット。
監督インタビューによると最初は1本として撮り始めていたとのこと。
これは、はたして1本だと、このような印象になったかどうかは疑問(構成としては、かるた部をつくって全国大会を目指すまで、地区予選、全国大会とクイーン戦となるのだろうが、ひとつの物語ピークとして「よっしゃぁーーー全国大会ぃぃー」となった上の句クライマックスがあって、さらに全国大会を描くとなるとエネルギーの分散が起きてブレが生じたかもしれないなどとも思うのですが?
通して描かれる団体戦→個人戦→個人なのに団体戦のような戦い。
小学生の時から仲間とかるたをやってきた千早は高校に入って、まず仲間を集めるところから始める。
逆にひとり、福井に戻り名人であった祖父の跡を追い個人としてやってきた新。そして下の句に登場する若宮詩暢も、また孤高の存在としてかるたクイーンの座をひとり、守り続けてきた。
その図式を変える千早と瑞沢高校の仲間たち。
その姿を見た新と詩暢。
楽しかったね。また、かるたしようね
千早の言葉に、そっ気ない詩暢だが競技途中に一瞬、見せた、なんともいいようのない表情は嬉しそうにもみえた。
そう!この後もあるのだ!まだ、続きを見られるんだ!という思いにさせてくれる魅力ある登場人物というのは本当にすごい事だと思う(あぁ、また奴らに会える感覚ですね)
主人公らが成長していくというお約束部分、それが個人もそうなのだが、チームとしてもレベルアップしていくところも、まさに王道。
さらに実際の撮影時間経過と共に本当のチームとしてまとまっていったのだなぁ、ということが画面からも伝わってくる。(後述TV特番を見たら、まさにその雰囲気が映しだされていた!)
(個人の成長という部分では、やはり机くんエピソードが)
そして登場時点(テニス部)からコメディ役回りの中心ポイント、肉マンくん。
全国大会での惨敗シーンの後。
「肉マンくんは?」
「あそこで、ほら、ミンチになってる」
(ゆるキャラと隅のほうで縮こまっている)
「一枚しか…取れなかった…」
スカートにジャージ姿でかるた部のチラシを貼る千早。
「どこの業者だよ」
(このスカートにジャージはアニメ版でも1話に登場する、ちょっと残念美人を表すシーン)
最強かるたクイーン若宮詩暢を演じた松岡茉優、カッコイイ~!
ファントム(1秒間に約1000コマ撮影カメラ)を上回るハイスピード札どりと言えば大げさだが、ホントに早い。
そして落差のあるファッションと趣味 笑
で、この台詞「こ、これは、はらじゅくげんてい おめかしダディタオル
新の家での千早が忘れていったダディタオル発見瞬間反応シーン。
あと、印象に残る台詞。
団体戦なんて、お遊びやったって全員に言わせたるわ
クイーン戦のあと
「伝えといて」
「はよ、ここまで上がってきって」

Memo2
下の句はメインタイトルが無しで、すぐに本編が始まる。このあたりの潔さ。
(これまた連続で鑑賞すると、さらに違和感がない)
上の句、下の句それぞれの30分間のTV特番を録画で見た。
撮影の数カ月前から行われた競技かるたの特訓の凄さ。畳の上に投げ出されたキャスト全員の足はあざだらけに。その他、千早、新の再会シーンや末次先生が広瀬すずを描いたバースデーケーキによるサプライズ場面など舞台裏の数々が。
(かるたが画面の方向にCG無しで実際に飛んでいくというシーンも撮影できたというエピソードも)
そのTV特番、詩暢を演じた松岡茉優コメント
「クイーン戦や名人戦、拝見しましたけれど、本物の。あれ、もっと早いんだろうなぁと思ったら恐ろしくなってきて。かるたがあったら、ここをもう一直線で取るんですよね。でもスローで見ると、わたし、一回浮いちゃってるんですよ。素人がよくやるんですけれど」(←ここで素人と言ってる時点でスゴイですが…)
小泉監督がtwitterに記載したコメント
"年に一本観るかどうかという人にも、数え切れないほど観るという映画ファンにも、どちらにも受け入れられる作品を作るのは針の穴を通すような難しさで。で も自分はその穴をこそめがけて映画を作りたく、映画『ちはやふる』はそのマニフェストだと、観てくれた人には伝わってる、のか?"
アニメーションディレクター : ファンタジスタ歌麻呂
fantasista utamaro
http://www.fantasistautamaro.com/index

映画『ちはやふる』公式サイト
http://chihayafuru-movie.com/

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『山河ノスタルジア(MOUNTAINS MAY DEPART)』ジャ・ジャンクー監督、チャオ・タオ、チャン・イー、リャン・ジンドン、ドン・ズージェン、シルヴィア・チャン、他

注・内容、台詞、ラストに触れています。
山河ノスタルジア
MOUNTAINS MAY DEPART

監督 : ジャ・ジャンクー
出演 : チャオ・タオチャン・イー
リャン・ジンドンドン・ズージェン
シルヴィア・チャン、他

物語・1999年、山西省汾陽の小学校で教師を務めるタオ(チャオ・タオ)は、炭鉱作業員リャンと実業家のジンシェン(チャン・イー)から求愛されていた。その後タオはジンシェンを結婚相手に選び、二人の間に男の子が生まれダオラーと名付けられる。2014年、離婚して汾陽で一人暮らしのタオは離れて生活しているダオラーと久々に顔を合わせるが、ジンシェンと一緒にオーストラリアに移り住むことを知らされ…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Md

Memo1
タイトルから悠々たる大河ドラマを想像してしまうが全く違う展開をみせて驚く。そして、各ショットも驚くほど短い。だが挿まれた何気ない風景は不可逆なる取り戻せない時間と失いつつあるアイデンティティの残像のように心に沁みる。
冒頭とラストに使われたPet Shop Boys"Go west"が輪舞曲のよう。
スクリーンサイズが過去、現在、未来と年代に応じてスタンダード、アメリカン・ヴィスタ、スコープサイズと変わる。
そして色彩も。
目にも鮮やかなが踊る1999年。
(時折挿入されるビデオ映像の荒れた画質に彩度の高い映像)
そのビビッドな活力あふれた色彩の世界は時が経つにつれ、人々の繋がりが薄れていくとともに、すっきりとした(光に溢れた)しかしどこか空虚な感じのするペールトーン主体のイメージへと変わっていく。
タオの台詞
「それは幾何?関数?」
「三角は1番安定してるのよ」
最初の三角関係は形を変えて2025年パートまで続く。
1994年パート
息子を送り届ける<、母タオ。
「どうして特急に乗らないの?早く着くのに」
「こうすれば長くいられる」
(急速に移り変わっていく中国や中国人への暗喩的な意味もあるのだろう。座っている向きも進行方向とは逆だ)
2025年オーストラリアパート
全く広東語が話せなくなっているダオラー。
逆に英語が話せない父親のジンシェン。
ダオラーが言う。
「Google翻訳の息子」
中国語学校の教師ミア(シルヴィア・チャンが演じていてビックリ!)
母の記憶としての面影と思慕。
「前にこんな場面があった気がする。デジャヴのような」
ミアもまた、中国を離れ自らのルーツが薄らぎつつある。
ふたりでみつめる水平線の先には母国が…。
「タオ‥」
母の名をポツリとつぶやくダオラー。
ふと、声を聞くタオ。
そのシーンに続いての終幕。
犬の散歩に出かけた先の風景は、炭鉱などがあった、あの河の近く。
雪が舞う中、冒頭のダンスを踊るタオ。
しんしんと降る雪の音。
(この音がいい!)
肯定的な美しいラストだ。
"麦穂餃子"が3つのパート全てに出てくる。
・タオとリャンが仲良く食べるシーン。
・父親の葬儀のために帰ってきた7歳のダオラーに冷まして食べさせるシーン。
・ラスト、時が経っても変わらずに
麦穂餃子を作っているタオ。
また1999年パートでタオが着ていたカラフルなボーダー柄のセーターは2015年パートで2代目ワンちゃんのセーターに編み直されている。
・三国志に出てくるような大刀を持った少年が青年となって一瞬、出てくる。
・唐突にタオの目の前で起ったセスナ機の墜落シーン。
2014年パート、その道路の場所に佇む親子(遺族?)など、年代を通してさりげなく織り込まれている。

Memo2
昨年のフィルメックス含め、いくつもの監督インタビューやQ&Aが公式に公開されています。
2015/11/28 『山河ノスタルジア』Q&A
TOKYOFILMeX
有楽町朝日ホール
https://youtu.be/lGykOoHbAvY
『山河ノスタルジア』半野喜弘 レコーディング映像

https://youtu.be/UgakiAE1b9Q

映画『山河ノスタルジア』オフィシャルサイト
http://www.bitters.co.jp/sanga/

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2016-05-04

"Nick and Judy"『ズートピア(Zootopia)』バイロン・ハワード/リッチ・ムーア監督

ズートピア
Zootopia

監督 : バイロン・ハワード/リッチ・ムーア
共同監督 : ジャレド・ブッシュ
声の出演 : ジニファー・グッドウィン
ジェイソン・ベイトマン
J・K・シモンズ、ジェニー・スレイト
イドリス・エルバ、ネイト・トレンス
トム・“タイニー”・リスター・Jr
レイモンド・パーシ
オクタヴィア・スペンサー
シャキーラ

物語・ハイテクな文明を誇るズートピアには、さまざまな動物が共存している。そんな平和な楽園で、ウサギの新米警官ジュディは夢を信じる一方、キツネの詐欺師ニックは夢を忘れてしまっていた。そんな彼らが共にズートピアに隠された事件を追うことになり…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Zootopia

Memo1
I'm gonna be an actuary.
And I can make the world a better place.
より良い場所に。
小さくて、いまだかつてウサギの警官など見たことがないと言われ、それでも自分はもっと、この世界(ズートピア)がよい場所になるように頑張るのだと奮起するジュディ。
それにしてもニックがカッコイイ。
(キャラクター造形としても、あの目の感じと、普通だとダラっとしているように見えてしまうのにシャンとしている立ち姿は歴史的傑作。ジュディと並ぶとさらにバランスがよい。もちろんジュディの耳で表す感情表現も)
終盤、事件が解決した後ジュディがニックに謝りにいった時に、"今の言葉、全部録音してましたよー"と言わんばかりにジャンッ!と登場させるキャロットペン。
そのタイミング、そして台詞。
メイキング映像を見て思った→やっぱり行くよね"ケニヤへ動物スケッチロケ" あとバイロン・ハワード監督がアニメ『ロビン・フッド(日本公開1975年)』の原画をライブラリーでチェックしてるシーンとか「おぉぉっ」と、なった。
(ライブラリー棚から出してきて、手袋をはめた上で)
TVBros.(2016年No.9・4月23日号)監督インタビュー
"ディズニーアニメーション史上初のハードボイルドとかクライムドラマ、バディものだと思っている…こっそりね(笑)"
"これは僕たちの『L.A.コンフィデンシャル』のつもり"
インタビュー内に登場する映画
「48時間」「リーサル・ウェポン」「影なき男」「深夜の告白」「マルタの鷹」「チャイナタウン」など。
インタビューには出てきていませんが「ゴッドファーザー」ネタも笑えました。(ジュディがビッグの娘の生まれてくる子の名付け親になってる)
監督が男女のバディという点で、その雰囲気に影響されたというウィリアム・パウエル(役名がニック・チャールズ!)とマーナ・ロイによる夫婦探偵もの『影なき男』。
調べてみると黒澤明監督による「世界のベスト100」や小林信彦さん「20世紀の洋画」にも選ばれていました。双葉十三郎さんもキネ旬増刊・世界映画オールタイムベストテン(1995年・刊)のミステリー映画10に『影なき男』を選んでいました。(ちなみにジャンル10は44に細分化されていてフィルム・ノワール、サスペンスは別枠)
インタビューの最後に次回作でもふたり(Nick and Judy)の活躍も、クライムドラマ・ファンを唸らせるものにしたい、と答えてました。続編!楽しみ!!
最初に出てきた台詞の意味が二重に大きくなって戻ってくる。
Try.....
Try to make the world a better place.
バックベースにある偏見(それも無意識の)が、いかように世の中に蔓延しているか。それは全ての黒を白にすることは不可能かもしれない。(グレーなところもあるのだということをわかった上で)この世界(ズートピア)がより良い場所になることを願って。
そしてジゼルの歌う"Try everything"ライヴシーンのエンディングへと。

Memo2
ARMAND SERRAN
(多くの設定スケッチなどが見られます。キャロットペンも!)
PRODUCTION DESIGN/VISUAL DEVELOPMENT
http://www.armandserrano.com/
Imagining Zootopia--Part 1:Legacy
(前述、メイキング映像)
順に追っていくとPart 6:Nick and Judyまで有り
https://www.youtube.com/watch?v=1eQgypYsA5U

Zootopia_starwars_2

ズートピア公式サイト
http://www.disney.co.jp/movie/zootopia.html

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「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」そして「耳をすませば」『この男がジブリを支えた。近藤喜文展』阪急うめだギャラリー

この男がジブリを支えた。近藤喜文展
会場 : 阪急うめだギャラリー

Kondoh

●2014年地元新潟から始まった巡回展(昨年夏に香川県、秋から今年にかけては石ノ森萬画館で開催)。
やっと見ることができた!!!
「赤毛のアン」〜「名探偵ホームズ」〜途中で制作が途絶えてしまった「リトルニモ」(←パイロットフィルムあり)〜ジブリでの「火垂るの墓」「おもひでぽろぽろ」そして「耳をすませば
展示数500点の大ボリューム。
(量が多いので最初からジーッと見続けると後半、疲れてしまうほどの数。原画、スケッチ、ストーリーボード、キャラ設定資料、ポスター原画など)
●実現しなかった幻の作品『退魔戦記』(原作・豊田有恒)の彩色スケッチや画文集「ふとふり返ると」のスケッチに感激!(鉛筆によるスケッチとそれを元に色鉛筆で彩色された連載時の原稿と両方が展示されています)
おもひでぽろぽろ」の口パク部分の発声に応じた口の動き、顔のシワの入れ方などが細かく指示された資料。
●実際にパラパラできる作画。
(しばらく、ずっとパラパラしてしまった!)
「もののけ姫」の刀を振り切るシーン。
その腕の動き!
「平成狸合戦ぽんぽこ」のモブシーン。
もう、狸、ひと組ひと組ごとの動きのバリエーションのすごさ、面白さ。
(↑見ているだけで楽しくなる)
●最近の展覧会定番の撮影コーナーも。
「耳をすませば」で、主役の月島雫と猫のムーンが電車の中で出逢うシーンの再現。
(電車の椅子と帽子"←2点あり"ムーンをはさんで記念撮影が可能)

5月9日(月)まで
※最終日は午後6時閉場

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2016-05-03

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ(Captain America: Civil War)』アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ監督

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ
Captain America: Civil War
アンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ監督

物語・アベンジャーズのリーダーとなった、キャプテン・アメリカ(クリス・エヴァンス)。しかし、彼らが世界各地で繰り広げた戦いが甚大な被害を及ぼしたことが問題になる。さらに、それを回避するためにアベンジャーズは国際的政府組織の管理下に置かれ活動を制限されることに。アイアンマンことトニー・スターク (ロバート・ダウニー・Jr)はこの処置に賛成するが、自発的に平和を守るべきだと考えるキャプテン・アメリカはそんな彼に反発。二人のにらみ合いが激化していく中、世界を震撼させるテロ事件が起きてしまう。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Cw1

Memo1
前作が70年代に製作された『コンドル』(1975年)『パララックス・ビュー』(1974年)『マラソンマン』(1976年)などいわゆる陰謀もの(CIAもの)がベースにあることとウィンターソルジャーの"ズザザザーッ"シーンのカッコ良さ、ロバート・レッドフォードの起用など、基調になっているものが違う(監督が違う1作目はロケッティアだったし) 本作も、できれば普通にキャプテンアメリカものとして見たかったなぁー、というのが率直な感想。(まあ日本公開タイトルがシビル・ウォーが前になっているので次作「アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー」へのブリッジ的意味合いもあったとは思うけど…)
前作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』のエンドクレジット2段落ち(本作も2段落ち仕様なので見逃し注意)のひとつめの台詞が「ヒーローとスパイの時代は終わった」だった。
それは、そのまま本作のテーマ部分に繋がってくる。
果たしてヒーローの意義とは?
それぞれが好き勝手に行動を起こし、民間人の犠牲者が多数出ても、それは"正義の行動"と呼べるのであろうか…。
ソコヴィア協定"議定書"という響き自体がリアルに現代社会想起。
シビア寄りな物語にコメディ要素。
アントマンとスパイダーマンの助っ人参戦。
(どっちも、おこちゃまモード、そして"陽"だ 笑)
↑"あ、ルッソ姉弟、ほんまはこれがやりたかったんちゃうの?(関西弁)"
巨大化したアントマンを倒す方法を思いついたとき、脚にぐるぐると糸を巻きつけながらのスパイダーマンの台詞。
「スター・ウォーズ帝国の逆襲って知ってる」
「あれでウォーカーとかいうのを倒すとき、こうしてたんだ」
※要望
アントマンは今後も「アントマン : きかんしゃトーマスの逆襲」とか前作のドートマンダー「ホットロック」流れでウェストレイク原作モチーフで「アントマン : 踊る黄金像」とかの路線でお願いします。
※蛇足
ピーター・パーカー(スパイダーマン)って下の階に住んでたのですね。
メイおばさんがマリサ・トメイだったり、ヒョイッとマーティン・フリーマンが出てきたりと嬉しい今後期待キャスティング。

Cw2

Memo2
Main Title Designは『アントマン』『ガーディアン・オブ・ギャラクシー』や前作『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(←めちゃくちゃカッコイイタイトルデザイン!)も手がけた Sarofsky
http://sarofsky.com/

シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ

http://marvel.disney.co.jp/movie/civilwar.html

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2016-05-01

『レヴェナント : 蘇えりし者(The Revenant)』アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督、レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、他

レヴェナント : 蘇えりし者
The Revenant

監督 : アレハンドロ・G・イニャリトゥ
撮影 : エマニュエル・ルベツキ

出演 : レオナルド・ディカプリオ
トム・ハーディ
ドーナル・グリーソン、他

物語・アメリカ西部の原野、ハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は狩猟の最中に熊の襲撃を受けて瀕死(ひんし)の重傷を負うが、同行していた仲間のジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に置き去りにされてしまう。かろうじて死のふちから生還したグラスは、自分を見捨て、息子ホークを殺したフィッツジェラルドに復讐を果たすべく、大自然の猛威に立ち向かいながらおよそ300キロに及ぶ過酷な道のりを突き進んでいく。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Rev2

Memo1
“レヴェナント”とは“黄泉の国から戻った者”という意味。
しかし、これは"死んでいたと思われた男が復讐に執念を燃やす"単なる復讐譚ではなくヒュー・グラスは何かに導かれるように、雪原を旅し、あのラストへと帰結する。
最初のワンカットで撮られた(と、思しき)ネイティヴアメリカンによる狩猟キャンプ襲撃シーンから熊に襲われるところまでで、たった30分しか経っていないという驚くべき冒頭部分。
これによって観客は、主人公たちがいる場所へと放りこまれた形となる(で、怖い)
そしてグラスと共にサバイバルの旅が始まるわけである。
そのうち監督が「ルベツキ、ルベツキ言うなぁー(関西弁)」と、拗ねてしまうのではないかと思われるほど語られるルベツキによる撮影。
今回の自然光だけで撮られたと言われる数々のシーン、メイキング映像を見るとマジックアワーとは別に意外と明るい光(主に午前)でも撮っていて、これは最終的にカラコレで本作の統一された寒色系のトーンに色を落ちつかせたのだな、ということがわかる。
印象に残った場面。
グラスの妻が撃たれたとき、その撃たれた胸の箇所から小鳥がもぞもぞっと出てきて飛び立つところは、はっとさせられた。
(その後も夢の中にも浮遊して現れたり、やはり導きつづけているのか…)
SWITCHに掲載された坂本龍一×真鍋大度対談より抜粋
"編集と並行して音楽を足掛け半年ぐらい延々とやってたんですけど、送られてくる仮編集がOSみたいにバージョンがついていて、Ver1から始まって最終的には11月の時点でVer8.5まできたので(笑)その間、刻々と変わっていくんです"←この仮編集版、見てみたいなぁ←イニャリトゥ監督とルベツキ撮影の秘密がわかるかも。
製作費が1億3500万ドル。
予算の半分ぐらいがテクニカルかことにかかってる、ということはいったい、どれほどの時間が編集やVFX、カラコレなどに費やされたのだろうか…。
※蛇足
最近はクマの映画をよく見る。
パディントン、テッド、レヴェナント(よいクマ、わるいクマ、きょうぼうなクマ←今ここ)

Rev1

Memo2
Neil Kellerhouse Designによるポスター。
写真の上にのせる計算されつくしたフォント処理で数多くの亜流を生み出した。その作品の多くはオフィシャルサイトで見ることができます。
http://www.kellerhouse.com/
タイトルデザインはScarlet Letters
使用フォントTrade Gothic
川、もしくは樹木の間を流れる水(最終場面も川)にかぶさって出るシンプルなタイトル。(フォントのピッチが絶妙。これはエンドタイトル部分にも)
Technicolor社による『レヴェナント : 蘇えりし者』『バードマン』などのColor Finishing ケーススタディ記事(PDFダウンロードスタイル)
http://www.technicolor.com/en/solutions-services/entertainment-services/creative-houses/technicolor-los-angeles/color-finishing
ドキュメンタリー(45分)、撮影、カラコレ、音響など様々なメイキング関連(動画・記事)リンクを網羅
http://jonnyelwyn.co.uk/film-and-video-editing/the-making-of-the-revenant/

映画『レヴェナント:蘇えりし者』オフィシャルサイト
http://www.foxmovies-jp.com/revenant/

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