『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男(Trumbo)』ジェイ・ローチ監督、ブライアン・クランストン、ダイアン・レイン、ヘレン・ミレン、ジョン・グッドマン、他
注・内容、台詞に触れています。
『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』
Trumbo
監督 : ジェイ・ローチ
脚本・製作 : ジョン・マクナマラ
出演 : ブライアン・クランストン
ダイアン・レイン、ヘレン・ミレン
エル・ファニング、ジョン・グッドマン
ルイス・C・K、他
物語・『恋愛手帖』で第13回アカデミー賞脚色賞にノミネートされ着実にキャリアを積んできたダルトン・トランボ(ブライアン・クランストン)。しかし、第2次世界大戦後の冷戦下に起きた赤狩りの標的となり、下院非米活動委員会への協力を拒否したことで投獄されてしまう。釈放後、彼は偽名で執筆を続け『ローマの休日』をはじめ数々の傑作を世に送り出す。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)
※Memo1
●今年公開されたコーエン兄弟『ヘイル!シーザー』が同時代のハリウッドをネタに描いていた部分(帽子がトレードマークのゴシップ記者 笑←『トランボ』ではヘレン・ミレンが赤狩り急先鋒のひとりヘッダ・ポッパーを実に嫌みたらしく演じていて流石です 笑)といろいろ重なる。←こちらはソ連スパイがハリウッドに潜り込んでいるあたりをブラックコメディとして描いているのに対して本作は当時の赤狩りが行われていたハリウッドの様子をそのまま描いている(ただしノンフィクションでは無い。友人の脚本家アーレン・ハードは何人かの脚本家を合わせたもの)
●トランボを演じたブライアン・クランストンをはじめ妻クレオ役のダイアン・レイン、娘ニコラ役のエル・ファニングとキャスティングのバランスもすごくイイ!
●"ジョン・グッドマンの出てる映画はいい映画"という格言があるが本作も、その格言はいきている。
実名では脚本が書けないトランボ(他の脚本家など)に、とにかくB級映画をどんどん量産したいプロデューサーのフランク・キングが圧力など"なんのこともない!"とばかりに依頼する。
●ジョン・ウェインやカーク・ダグラス、MGMのルイス・B・メイヤーなどの実名登場と共に『ローマの休日』などの本編映像も出てくるバックステージものとしてのお楽しみも多々。
●なかでも、いちいち名前を連呼するオットー・プレミンジャー監督の件(くだり)は笑った(しかも似てる!)。
才能が"実態のない脅威"を凌駕していく話は痛快。
(しかし、いつの世も似たような出来事が起こりえるわけで…)
そのプレミンジャー監督。どこかからカーク・ダグラスが依頼した『スパルタカス』の脚本を入手していて自分の『栄光への脱出』の脚本をトランボに依頼する。
「もし脚本の出来がよくなかったら実名で公開するからな」
と、実に粋な言葉を返す。
その前に「チケットの不買運動を起こす」などといった圧力にも屈せず制作を続けたカーク・ダグラスと共に2作品でとランボの名前が実名でクレジットされる。
(プレミア試写でトランボの眼鏡に映る自分の名前!奇しくも両作品のタイトルデザイナーがソール・バス!)
●ハリウッド内でとランボの噂は広まり、もはやブラックリストの存在自体が有名無実化しようとしはじめた歳のテレビ局のインタビューに対して。
「私には13歳の娘がいます。3歳の時に私がブラックリストに入り、そのあと書いた全作品の題名をあの子は知っています。今まで一度も誰にも話さなかった。まさに戦士です。"お父さんは何してるの"友達にそう聞かれるたびに娘はどんな思いだったのでしょう。もし私がオスカーをもらったら、おそらくあの子にあげるでしょう。こう言ってあげます。もうこれからは抱えていく秘密はないんだと。私たちは名前を取り戻したんだと」
そしてラストはSWG(映画脚本家ギルド)から贈られた功労賞授賞式のスピーチで締められる。
「英雄も敗者もいなかった。いたのは被害者だけだ」
※ちょっと蛇足
●ダルトン・トランボの名前を知ったのはラジオ大阪で放送さ
れていた「ヒットでヒット
バチョンといこう!」浜村淳による『ジョニーは戦場へ行った』解説でした(あまりに見事な紹介で、その時点でまるで見た気分になってしまった訳ですが…←
実際、この時の作品紹介がよかったのか何回となく取り上げられていた記憶があります)。その後『パピョン』がおそらくリアルタイムでクレジットされた作品の最初だったと思います(『ダラスの熱い日』は後年、名画座で)
※Memo2
●Main and End Title DESIGN >
Pacific Vision Productions, Inc.
(本編からのタイトル部分の画像あり)
http://annyas.com/screenshots/updates/trumbo-2015-jay-roach/
●ジョン・グッドマンによる最もスカっとするシーン
(Universal Pictures Home Entertainment公式サイトのBlue Ray告知より本編シーン)
https://youtu.be/zhehd9XW0_U
●第29回アカデミー賞授賞式。
『黒い牡牛』がロバートリッチ名で受賞するシーン。
the 29th Academy Awards
Dalton Trumbo (as "Robert Rich")
Writing Winners: 1957 Oscars
https://youtu.be/c2KdnI1N8AU
●映画本編にも使われたCBSインタビュー
Dalton Trumbo Bill Stout Interview, January 1959
https://youtu.be/ugjwNgnH0Kg
映画『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』公式サイト
http://trumbo-movie.jp/
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