『ラ・ラ・ランド(La La Land)』デイミアン・チャゼル監督、ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、J・K・シモンズ、他
注・内容、台詞に触れています。
『ラ・ラ・ランド』
La La Land
監督 : デイミアン・チャゼル
出演 : ライアン・ゴズリング
エマ・ストーン
J・K・シモンズ
ジョン・レジェンド、他
※Memo1
●"映画は女優で"という小林信彦先生の教えに従ってエマ・ストーンが出ているだけで無条件に見ている者にとっては、まあ、それだけで満足。
(その点から言うとウディ・アレン近作2作は"さらに倍")
"Audition"を歌うシーン、そしてエンドクレジット後半に流れる"City of Stars"エマ・ストーンによるハミングバージョン。
●『ワン・フロム・ザ・ハート』想起した初期予告編やポスターからのイメージとはかなり違う。
ただ、後半、部屋がエメラルドグリーンの光に包まれ続けるシーン、特にエマ・ストーン顔アップシーンとテリー・ガーやフレデリック・フォレストに同じように照らされていた光が、やや被る(あとテリー・ガーが家を出て行くシーンの後ろ姿を捉えたショットと似たクレーン俯瞰ショットがいくつか)
●ウディ・アレン『世界中がアイ・ラヴ・ユー』を"その年のベスト1"にあげていた淀川長治先生が、ある種対極にある『ラ・ラ・ランド』を見たら、どんな感想だったのだろう?ということを考えている。
(『世界中がアイ・ラヴ・ユー』パンフレットの溢れる喜びに満ちたレビューとか読むと特に)
●さて、ラストの解釈についてはいろいろ分れるところ。
映画史変遷(一応、ミュージカル映画・画面フォーマット変遷史←『ザッツエンタテイメント』がモノクロの最初の『雨に唄えば』から始まるように)
SUMMITロゴスタンダードスクリーンサイズから、かつて『聖衣』初上映の際の突如、カーテンが横に開きシネマスコープに変わる部分の再現(PRESENTED BY CINEMASCOPEがモノクロからカラーに変わるところも同時に)
そしてアイリス・フェードイン&アウト
(ラストの"The End"の締め方。ここでパノラマという言葉も)
と、変遷史を見せた上でラスト"もうひとつのありえた世界"を描くシーンで使われたのが16mmによるホーム・ムービーというところが"あるひとつの解"として用意されている。(脚本にもわざわざ16mmという指定がある)
つまるところ"映画もまた夢の一種"なのである。
いま見ている実際の風景も、頭の中でイメージしている映像も、スクリーンに映される映画も、その映画の中で描かれる"ありえたかもしれない、もうひとつの世界のイメージも全ては地続きで繋がっている。
横尾忠則さんも映画にまつわる画集「画集・絵画の中の映画」の中で引用されていたが江戸川乱歩先生のこの言葉を痛烈に思いだす。
「現世は夢、夜の夢こそまこと」
●"もうひとつのありえた世界"
最初の出会いでキス、バンドへの誘いを断り、ミアの一人芝居は大盛況、セブはフランスでジャズピアニストとしてライブ、そして結婚、生まれてきた子供の性別が男の子と全て現実とは真逆だと考えると、フランスで撮影する映画のオーディションにはミアは落ちたということになる。
(では、その後どのように女優として成功したのか、夫と知り合ったのかは分からないが、プロセスがどうであれ、二人とも夢は実現したこととなるラストは結構、好みの締めくくられ方)
●『ラ・ラ・ランド』パンフレットで町山智浩氏が触れているエンディングについての監督へのインタビュー記事
(ここで監督による"一応のひとつの解"が語られている)
Damien Chazelle Reveals the Movie That Influenced La La Land’s Ending
http://www.vulture.com/2017/01/movie-that-inspired-la-la-lands-ending.html
●クスっと笑えたシーン
「私の車の鍵も」
「車種は?」
「プリウス」
「どのプリウス?」
(いっぱい吊るされた同じキー←どれだけTOYOTAばかりやねん←関西弁)
「緑色のリボンの」(←この点も緑はキーカラー)
●冒頭、高速道路ダンスシーンでセブの乗る車の後部座席にぎっしりと入ったカセットテープ収納ボックスがチラリ。
●姉に「座るな」と言っていたホーギー・カーマイケルが座った椅子が実現したセブの店の入口入ったところに、しっかりと展示されていた。
●映画館でミアがセブを探そうとスクリーンの前に立つシーン。
誰ひとり、ミアの方を向いていない(それどころか、何もないようにスクリーンを見ている。セブの横を通り過ぎるカットもある。)
少し奇妙なシーン。
(思えば次項目に書いた逆光ハイコントラスト映像も奇妙といえば奇妙)
●IMAX含めTOHOフリーパス・フル活用で劇場を変えて(現時点で)7ヶ所で見たけれど、上映環境によって、これほど印象が変わる映画も珍しい。
タップの音も判別しにくい場合もある。
(ハイコントラストはラストの"もうひとつのありえたかもしれない世界"の16mmフィルムパートのためにわざとやっていると思うけれど輝度による差は大)
パーソナルカラーコーディネート的には色合い(ウォーム・クールトーン)がちぐはぐに見えていた衣装(特に前半戦)も輝度の高いスクリーンで超ハイコントラストが映えた状態だと全く印象が変わった!
※Memo2
●ロゴ、メインタイトル、Typography及びグラフィック周りを手がけたのはShine Studio
(おぉぉぉっ!!と唸ったトップロゴなど画像あり)
http://shinestudio.com/projects/la-la-land/
●La La Land - Movie References
『ロシュフォールの恋人たち』『ウェストサイド物語』『雨に唄えば』『バンドワゴン』『巴里のアメリカ人』『ブロードウェイメロディ』など本作がオマージュ(リスペクト)した該当ミュージカルとの比較シーン動画。
https://vimeo.com/200550228
●AllCityによる『ラ・ラ・ランド』Theatrical Campaign
http://www.allcitymedia.com/case-studies/la-la-land
●第89回アカデミー賞に『ラ・ラ・ランド』でノミネートされた衣装デザイナー > メアリー・ゾフレス(コーエン兄弟作品多数)によるスケッチが掲載された記事 > http://www.hollywoodreporter.com/news/la-la-land-costume-designer-explains-retro-realistic-look-film-951231
参照にする映画をサンタモニカのビデオ店で借りてきてフレーム画像を印刷した話やセバスチャン(ライアン・ゴズリング)の2トーンシューズのこと、ミア(エマ・ストーン)が昼間に着ている普段着衣装探しのことなど。(H&Mにも!)
(『バンドワゴン』『雨に唄えば』から『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
セバスチャンの2トーンシューズ)
●La La Land Production Notes (PDFファイル54ページ)
エンドクレジットも全て掲載されています。
(動画、画像関連マテリアルは別リンク)。
http://www.lionsgatepublicity.com/uploads/assets/LA%20LA%20LAND%20NOTES%20FINAL%209.7.16.pdf
●'La La Land': How to Shoot a Musical Number
"Someone in the Crowd"の撮影風景 (IndieWire記事)
http://www.indiewire.com/2017/02/la-la-land-damien-chazelle-emma-stone-musical-number-someone-in-the-crowd-watch-video-1201783573/
●twitter版の方でリツイートしたコダック社のメールマガジンでも紹介されているとおり本作は35mmフィルム(一部16mm)で撮影されています。
PANAVISION社のホームベージにも
http://www.panavision.com/la-la-land-theaters
●さまざまな映画・ドラマの「どこで撮影されたの?」なども紹介しているサイトに掲載された『ラ・ラ・ランド』ロケ場所。
http://www.atlasofwonders.com/2016/12/la-la-land-filming-locations.html
●IMAX上映館初日先着プレゼントとして用意されたポスタービジュアル
映画『ラ・ラ・ランド』公式サイト
http://gaga.ne.jp/lalaland/
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