忘れるな、かつて束の間ありし場所 "キャメロット"での黄金時代を『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命(Jackie)』パブロ・ラライン監督、ナタリー・ポートマン、グレタ・ガーウィグ、ピーター・サースガード、他
『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』
Jackie
監督 : パブロ・ラライン
出演 : ナタリー・ポートマン
グレタ・ガーウィグ
ピーター・サースガード
マックス・カセラ
ベス・グラント
ジョン・ハート、他
物語・1963年11月22日、テキサス州ダラス。パレードをしていたジョン・F・ケネディ大統領が、群衆とファーストレディであるジャクリーン(ナタリー・ポートマン)の目前で暗殺される。父の死を理解できない子供たちと向き合いながら、彼女は葬儀の取り仕切り、リンドン・ジョンソン副大統領の大統領就任式への立ち会い、ホワイトハウスからの退去といった業務に追われる。そんな中、亡き夫が過去の人として扱われていくことに憤りを覚えた彼女は…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)
※Memo
●厳密な言葉選び、イントネーション。
インタビュアーに対しての受け答え。
涙を流しながら「そのときのことが知りたいんでしょ」と言ったかと思えばケロッとしてタバコ片手に「今の部分は書かないで」と返したりと、本心が全く見えてこない、非常に捉えどころがない人物像をナタリー・ポートマンが貫禄のオーラで演じる。
●ケネディ大統領暗殺直後、最後まで脱がなかったシャネルのピンク色のスーツ。
有名なエアフォースワン内でのジョンソン副大統領の大統領への宣誓に立ち会うシーンも再現される。
そのあとも、ずっとスーツを着たままのシーンが続く。
そして、やっと自分の部屋に戻った際にカメラが全身を映し、スカートに付いた血の跡が生々しく残っていることがわかる、ドキッとするシーン。
●もうひとりの主役はホワイトハウス。
とにかく、ここ(長い廊下など)を歩いていくカットが多い。
●「こどもたちにはわたしから伝えます」
「パパは?」
キャロラインにこう話しかける。
「パトリックの元に行ったのよ」
「また会えるの?」
(キャロラインの名前が出たときに客席で「あー、この子が」といった親近感空気があったような…)
●神父との会話。
非常に複雑なジャッキーの心情をあらわすシーン。
次々と投げかける問いは神父を困らせる(困惑しているようにも見える)
まるで禅問答のように。そして…
「失望させてしまうかもしれないが、こうしか言えない」
「答えはないのだということを」
●グレタ・ガーウィグの公的秘書ナンシー・タッカーマン役にビックリ!
(あらゆるサジェスチョンを送り、ジャッキーを支えた人物を役柄同様に抑えた芝居で演じていて上手い)
またピーター・サースガード(この人の目が笑っていない表情演技がこのときのボビーの立場や状況にピッタリ)による弟"ボビー"ケネディのキャステイングにも。
●ジャッキーがステレオでケネディ大統領が好んでいたというミュージカル『キャメロット』(※)の一節(忘れるな、かつて束の間ありし場所、キャメロットでの黄金時代を)を流すシーン。
追い払われるように去っていかなくてはならない、自分が手塩にかけて威厳を再構築していったホワイトハウス。
「ファーストレディはすぐにホワイトハウスから出ていけるように支度できることよ」
ジョンソン大統領と次のファーストレディがカーテンの色の話をしている傍らを通って行くシーンも。
※「キャメロット」の作者のひとりはアラン・ジェイ・ラーナー(ケネディ大統領とは大学が一緒だった)
SoundtrackにはRichard Burtonによる"Camelot"が収録されている。
●アスペクト比がヨーロッパビスタ。
当時のテレビやニュースフィルムの映像がスタンダードサイズ(1.33:1いわゆる、かつてのテレビ4:3)なので差異が少ないサイズで撮られたのだろう。
(16mmフィルムから35mmフィルムへブローアップ、もしくはデジタル化)
●(かつて大阪にあった名画座)大毎地下劇場だっら『ジャッキー ファーストレディ 最後の使命(Jackie)』と『ボビー(Bobby)』の2本立て上映をやっていただろうなぁと連想。
映画『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』公式サイト
http://jackie-movie.jp/
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1963年11月22日、テキサス州ダラス。パレードをしていたジョン・F・ケネディ大統領が、群衆とファーストレディであるジャクリーン(ナタリー・ポートマン)の目前で暗殺される。父の死を理解できない子供たちと向き合いながら、彼女は葬儀の取り仕切り、リンドン・ジョンソン副大統領の大統領就任式への立ち会い、ホワイトハウスからの退去といった業務に追われる。そんな中、亡き夫が... [続きを読む]
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