『ブレードランナー 2049(Blade Runner 2049)』ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督、ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、アナ・デ・アルマス、シルヴィア・フークス、ジャレッド・レトー、他
注・内容、ラストシーン、会話など盛大にネタばれしています。
『ブレードランナー 2049』
Blade Runner 2049
監督 : ドゥニ・ヴィルヌーヴ
撮影 : ロジャー・ディーキンス
出演 : ライアン・ゴズリング
ハリソン・フォード
アナ・デ・アルマス
シルヴィア・フークス
ジャレッド・レトー
ロビン・ライト
カーラ・ジュリ、他
物語・2022年にアメリカ西海岸で大規模な停電が起きたのをきっかけに世界は食物供給が混乱するなど危機的状況を迎える。2025年、科学者ウォレス(ジャレッド・レトー)が遺伝子組み換え食品を開発し、人類の危機を救う。そして、元捜査官デッカード(ハリソン・フォード)が突然行方をくらませて以来30年の月日が流れた2049年には、レプリカントの寿命に制限がなくなっていた。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)
※Memo1
●独特のペシミスティックさがもたらす、実世界の延長線上にあってもおかしくない直近未来。
ヴィルヌーヴ監督の美意識が隅々まで行き届いた端正な作品。
それはロジャー・ディーキンスの撮影からサウンドデザイン、エンドクレジットで使用されるフォント(その色も)まで全てにおいて。
●『ブレードランナー』(1982年)にも出ていた用語「SKIN JOB」が本作にも。
署内でKとすれ違う署員から完全に差別用語として吐き捨てられていた。
訳は「人間もどき」「もどき」
(「人間もどき」というと『マグマ大使』を思い出してしまいますが 笑)
●前作のフォークト=カンプフ検査と同じようにレプリカントに対しての検査が行われる。
Kが警察署に入る前に行われる部屋の会話。
「接続」の意の「interlinked」を何度も言わされる。
最後は3回繰り返して
「Within cells interlinked」
「Within cells interlinked」
「Within cells interlinked」
●(ふたつで十分かもしれないけれど)前作繋がりでもうひとつ。
一角獣を折っていたガフの折り紙が。
それも羊って…笑 (もっとも主人公がKというのも原作者もじりかもしれませんが←未確認)
※Memo2
●冒頭、デッカードに解任(処分)されたレプリカント、サッパー・モートンの住居近くの木の下から見つかった骨(のちにレイチェルのものと判明するのだが、このときはまだ知らない)を調べるデッカード。
ホログラフィAI、ジョイ(アナ・デ・アルマス)との会話。
「A、G、T、C…」
「たったの4文字で表される」
「わたしは0と1の2文字」
(鋭く、どこか切なさもある会話)
ハンディ機器エマネーターで初めて屋外に釣れだしてもらった際の手のひらでうける雨、他人のボディと同期してデッカードとの肉体的に交わり…。
その4と2文字の差異。
ジョイはどこまで感じていたのだろう。
どのような感じだったのだろう?
●ラストシーン。
自分の記憶(移植された記憶とわかるまでのほんの僅かなあいだだが)としての、よりどころであった木馬をデッカードに手渡す。
(前作では揺らぐ記憶、存在証明、時間…その補完として写真を集めていたレプリカント)
デッカードのためにラヴと死闘をくりひろげ、命燃え尽きようとするK(命を託す前作のロイのようだ。さらにはロビン・ライト演じるジョシが台詞でふれていた自己犠牲?)
ステリン研究所の前で静かに横たわるK
その上に、ひたひたと雪が舞う。
続いて、手に落ちる雪のカットに。
デッカードとレイチェルとの間に生まれた娘。
アナ・ステライン(カーラ・ジュリ)。
「少し待ってください」
隔離された室内の中央に立っている。
「美しい…」
そして、近づいてくるアナ。
視線をあわせる。
手のひらを隔てているガラスにあてるデッカード。
●このアナ・ステラインがレプリカントにうめこむための記憶を作り出す、最高の研究者という設定が素晴らしい。
Kがもしかすると自分が探しているレプリカントから生まれた子どもではないかと思って、訪ねてきた際のシーンもとてつもなく美しい。
(ここでアナはKの記憶は自分のものであることに、気づいて涙する)
●オランダ出身という意味も含めて、前作のルトガー・ハウアーと対になると思しきウォレス社のラヴ(シルヴィア・フークス)←メチャクチャ強いし、意志強固にして冷徹。
最後のウォールでのKとの海上対決。
死の間際。
溺れゆく中、見たのはKの顔ではなく自分の創造主であるウォレスの姿が重なるように映しだされる。(この死の間際に…という点でも前作の屋上シーンと重なる部分が)
●公開前に発表された30年間の空白を埋める短編。
『ブレードランナー ブラックアウト 2022』
『2036:ネクサス・ドーン』
『2048:ノーウェア・トゥ・ラン』
特にこの2048は本作冒頭にそのまま繋がっていくレプリカント/ネクサス8型、サッパー・モートンのエピソードが描かれている。
●映画は女優でという小林信彦先生の教えに従ってジョイ役が魅力的だったアナ・デ・アルマスの他作品をNetflixでチェック。
キアヌ・リーヴスがノックアウトされた『ノック・ノック』と主演サスペンス『サイレント・ウェイ』(←タイトルシークエンス最高!)が現在配信中。
●黒いブレードランナーと白いブレードランナー。
ロンドン・イメージの酸性雨の降る『ブレードランナー』とグレーの空・イメージの『ブレードランナー 2049』
色彩トーンアプローチの仕方が全く違う。
本作では、前半のロスアンゼルスPARTと後半ラスベガスPARTでの色調がグレイッシュ、オレンジブラウンと分かれている。
※Memo3
●タイトルデザイン
今年のベスト!タイトルデザインと言えるデジタルノイズとオレンジ色のフォントとの饗宴(競演ではなく)。
Prodigal pictures
Danny Yount
http://www.prodigalpictures.com/
●メイキング、クリップなど
Created with Blade Runner 2049
いくつかのbehind Scene動画を見たけれど、VICE取材による、このメイキングが長さとバランスがよい。
(本当に撮影中の現場に取材に行っている)
・Inside the Making of 'Blade Runner 2049' (VICE)
https://www.youtube.com/watch?v=T0kobbjpdUg
・The Cast and Crew of 'Blade Runner 2049' on the Original Film
https://www.youtube.com/watch?v=T0kobbjpdUg
・Blade Runner 2049 Experience LUV
https://www.youtube.com/watch?v=8fzWBNUr8Zo
・Blade Runner 2049 - Fire
https://www.youtube.com/watch?v=8QvJajVj28w
●ホログラフィAI、ジョイの起動音
(もしかしてSONY製品で既にある?もしくは、これから出てくる?)
プロコフィエフ「ピーターと狼」
Joi Notification Sound
Peter and the Wolf Opera 67
Sergei Prokovief
https://www.youtube.com/watch?v=b07U7DtAflY
●サウンドデザインについて
SoundWorks Collection: The Sound of Blade Runner 2049
https://www.youtube.com/watch?v=b07U7DtAflY
●あのロケ地は何処? Filming Locations
主にブダペストで撮影
(リバティー広場にある旧ブダペスト証券取引所など)
ウォレスの事務所ホールとして、未完成のNeanderthal Museumからイメージをコンセプトアーティストが許可を得て使用したものも(写真あり)。
また、現在識別中のものもあり、新たに判別すると更新。
http://www.atlasofwonders.com/2017/10/blade-runner-2049-filming-locations.html
●COLOR of CINEMA内、過去記事
『デンジャラス・デイズ : メイキング・オブ・ブレードランナー(Dangerous Days: Making Blade Runner)』と粗編集版(ワークプリント)を含む5つの『ブレードランナー』
https://color-of-cinema.cocolog-nifty.com/blog/2017/10/dangerous-days-.html
『ブレードランナー2049』オフィシャルサイト
http://www.bladerunner2049.jp/
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