転がるBB-8は苔むさず『スター・ウォーズ/最後のジェダイ(STAR WARS : THE LAST JEDI)』脚本・監督 : ライアン・ジョンソン、デイジー・リドリー、アダム・ドライバー、キャリー・フィッシャー、マーク・ハミル、他
注・内容、台詞に触れています。
『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』
STAR WARS : THE LAST JEDI
脚本・監督 : ライアン・ジョンソン
出演 : デイジー・リドリー
アダム・ドライヴァー
マーク・ハミル
キャリー・フィッシャー
ジョン・ボイエガ
オスカー・アイザック
ドーナル・グリーソン
アンソニー・ダニエルズ
ベニチオ・デル・トロ
ローラ・ダーン
アンディ・サーキス、他
※Memo1
●『LOOPER/ルーパー』をオリジナル脚本で撮り上げたライアン・ジョンソン監督ならではの新たなる『スターウォーズ』素晴らしき始まりである。
『フォースの覚醒』はいかにもJ.J.エイブラムス監督という、そつない仕上げで再始動といった引き継ぎと新キャラクターの橋渡し的な意味合いが強かったけれど、本作は過去のさまざまなこと(ルーカス監督の根っこにある価値観、闇と光の二元論的対立構図物語軸など)から脱却していく意志が、とりもなおさず良いのだ。
●そもそもがシスとかスノークとか最高指導者とか暗黒卿とかラスボス(裏で操る影の実力者)とか、そのたぐいの話にやや飽き気味だったところもあるので、あっさりスノーク真っ二つの乱暴な持って行き方が、割れたライトセーバーのごとく物語構築を壊していて、そういったところが良いと思ったポイントかも。
故にレイとレン、ふたりの構図(光でも闇でもない、そこに在るだけの何か←何かは判りません。そこは今世紀に作家や映画監督らによって生み出される新たなメンタリティや物語としての何か)以外のファーストオーダーとレジスタンスのダメダメ作戦やグダグダ展開などは、まどろっこしくはあるものの「あぁ、こんなものだろうなぁ。帝国軍のような絶対悪のイメージのない、ファーストオーダーに対しての戦い方は…」とも思いながら見ました。
●そういう点では師が弟子に技術などを伝授する形(レイがルークを訪ねていったのは覚醒しつつあると思われるフォースの使い方やジェダイのことを教えてもらうため)も、ほぼ途中放棄に近い形になっている。
(カイロ・レンがファーストオーダーに加わった本当の経緯を知ってしまったことなどもあってのことだが)
さらに終盤。
あっさり燃える(ルーク、一瞬躊躇するがヨーダに落雷一撃)ジェダイの寺院にある古木。中にジェダイについて書かれた書物があったのだが、それだけでも取り出そうとするがヨーダがたしなめる。
(実は、この古書。レイがミレニアム・ファルコン号の中に持ち出していることがラスト近くで判るカットが)
●転がるBB-8は苔むさず
廻る廻る走る走る。
今回も多めに回っています。
ポー・ダメロンに「先に行って準備を」と言われた瞬間、ギュルルルーンと速度をまして走り去るシーンが。
ガンマンよろしく「ふっ」と火を吹き消すようなポーズも(前作踏襲)
●「おれ、ファービーちゃうでー」
「おれ、トトロとちゃうでー」
「おれ、たべものちゃうでー。チューバッカさん、食べんといてやー」ポーグ(関西弁)
●マズ・カナタの登場シーン(交戦中)。
「労使交渉中」に笑った。
●冒頭のハックス将軍とポーのやりとり。
「ハグス」
「ハックスだ」
「ハグス将軍」
「ハックス」
「おちょくっとんのかー、ワレー」(関西弁)とか言い出しそうなコテコテなギャグ(ギャグではないが)
それにしても、やはり見ていて心配になる役の多い「どーなる?ドーナル・グリーソン」
しかも『エクス・マキナ』同様、オスカー・アイザックにいじられてる 笑
●フィンとちょっといい感じになる今作登場のローズ。
(あっさり目覚めるフィン含め、このペアブロックはやや、はしょりすぎ感があり、ちょっと惜しい)
ローズがカント・バイトにいた馬のような生物に話しかけている姿を見て思わず想起したのが→「オクジャ?」
●そのカント・バイトのカジノで遊興にふける武器商人。
その武器商人からデル・トロ演じる(捜していた人物ではなくパチもんの方のコードブレイカー)DJが盗んだシャトルのホログラム映像に映しだされる取り扱い兵器。
で、見ていくとファーストオーダー、レジスタンス(共和国軍)。どちらにも兵器を売っているというのがいかにも今日的。
この中間部分で搾取する連中が実は全ての元凶であったりするとも思うのだが(そもそもエピソード1で描かれていた「スターウォーズ」「もめ事」の発端は通商問題だ)
●前作『フォースの覚醒』でのスノークの台詞。
「カイロ・レンと共にここから離脱せよ」
「今、おこなっている修行を終わらせる」←この意味は?本作でわからなかった…(「カイロ・レンにとっての指導者殺し?スノーク次回作で違う姿で出てきて、これが修行だったのだ、とかないよね?)
※Memo2
●再会
・チューバッカと。
(ハン・ソロのこととかいろいろ話したいことが沢山)
・(ひと通り懐かしく中を見回した後)
R2-D2とミレニアム・ファルコン船内で。
この時にエピソード4での若きレイア姫のホログラム映像を流すシーン。
「ズルいぞ、R2」
・C-3POと。
去り際にルークがウィンク。
・そして、ルークとレイア。
「髪型を変えたの」
「わかってる」
(『フォースの覚醒』ハン・ソロとの夫婦再会シーンでの「髪型が変わった」「同じジャケットね」に引き続き)
そして、前述マスター・ヨーダとも。
ハン・ソロとだけ再会出来ていなかったり、ポーとレイが前作では会っていなかったりしていることを考えるとエピソード7・PART1とエピソード7・PART2としてもよかったのでは?とも思える。
●ラスト。
ルークがカイロ・レンに投げかけた言葉。
「お前の父と同じように私もお前のそばにいる」
「また会おう」(See You)
●ふたつの太陽。
古代ジェダイ寺院の石の上のルーク。
カント・バイトの厩舎で働いていたフィンたちの逃走の手助けをする少年(テミリ・ブラッグという役名がついている)。
若きルーク・スカイウォーカーと同じように銀河の果てを見上げる。
●「オイディプス王の悲劇」「カラマーゾフの兄弟」や「ハムレット」の如きに、父殺しが描かれた『フォースの覚醒』
本作でカイロ・レンは母であるレイアに対しても(祖父ダース・ベイダーに模したマスクをたたき壊し)「私はやりとげます」と言いつつ、最後の瞬間に攻撃のボタンが押せなかった。
その、一瞬の揺れ。
このあたりにもラストに向けていかようにも、もっていける物語軸がある。
(戦争と父権の関連性、および母性と生命や宇宙・惑星との繋がりなど)
さて、エピソード9。エイブラムス監督はどのように締めるのだろうか?
※Memo3
●衣装デザインは前作に引き続きマイケル・カプラン。
前にも書いたけれど「ブレードランナー」「スタート・レック」「スター・ウォーズ」と全ての衣装を担当したデザイナー。
●あのロケ地はどこ?
WHERE WAS STAR WARS: THE LAST JEDI FILMED?
http://www.atlasofwonders.com/2017/10/the-last-jedi-filming-locations.html
●Art of the Title記事→『スター・ウォーズ(1977)』タイトルシークエンス・メイキング(手描きのアウトラインなども)とタイトルデザイナーDan Perriへのインタビュー
http://www.artofthetitle.com/title/star-wars/
スター・ウォーズ/最後のジェダイ
公式サイト
http://starwars.disney.co.jp/movie/lastjedi.html
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