『希望のかなた(THE OTHER SIDE OF HOPE/Toivon tuolla puolen)』アキ・カウリスマキ監督、シェルワン・ハジ、ニロズ・ハジ、サカリ・クオスマネン、他
『希望のかなた』
THE OTHER SIDE OF HOPE
Toivon tuolla puolen
監督 : アキ・カウリスマキ
出演 : シェルワン・ハジ
ニロズ・ハジ
サカリ・クオスマネン
イルッカ・コイヴラ
ヤンネ・フーティアイネン
ヌップ・コイヴ
カイヤ・パカリネン
サイモン・フセイン・アルバズーン
カティ・オウティネン
マリヤ・ヤルヴェンヘルミ
+
コイスティネン(ヴァルプ)
物語・カーリド(シェルワン・ハジ)は石炭を積んだ貨物船に隠れ、内戦が激化するシリアのアレッポから遠く離れたフィンランドの首都ヘルシンキにたどり着く。差別と暴力にさらされながら数々の国境を越え、偶然この地に降り立った彼は難民申請をする。彼の望みは、ハンガリー国境で生き別れた妹ミリアム(ニロズ・ハジ)を呼び寄せることだけだった。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)
※Memo1
●ミニマルな「味わい」を楽しみ、時にニマニマしながら見ていられるカウリスマキ作品。
そんな中にあって、本作は初めて感じるビターさが加味されている(さまざまなインタビューなどを見たり読んだりしても、いつになく直裁的な表現が垣間見えたり)
蔓延しているステレオタイプな偏見(あのネオナチの執拗さはなんなんだ)や官僚主義(難民申請に対しての、あの冷たい扱い←それでも強制送還当日、逃げる手助けをしてくれる人も描くところがカウリスマキ監督らしい)
不寛容な時代における寛容さとは?
それを絶妙な匙加減でユーモアとともに織り込む語り口はさすがだ。
●運良くレストランを開業したもうひとりの(家を持たない或いは捨ててしまった)主人公ヴィクストロムも最初は「なんなんだ、このオヤジ」と思って見ていたら、ところがなんの意外ととぼけつつも懐深い(従業員が拾ってきた犬コイスティネンの扱いや給料に対する対処など絶妙)
それらの人物伏線は中盤。カーリドと対面した際にパシッといかされる。
ヴィクストロムが収容施設から逃げ出しゴミ捨て場で寝泊まりしていたカーリドを見つけ、いきなり殴り、すかさずカーリドに殴り返される。
次のシーンでは鼻にティッシュをつめこんだふたり。
このテンポの妙。
●商売繁盛をかけて寿司店に大幅リニューアル。
まずは資料集めと書籍を買いあつめているところにうつるウィンドーケースの中に紀伊國屋書店のカバーがついたままの本があって「まぁいくらなんでもこのままでは売ってないでしょ 笑」と
開業後。
「おっ!結構、お客さんが来てる」
これは功を奏したかと思いきや、あの寿司…。
一転。
げんなりして変えるお客さんとションボリしているヴィクストロムらレストランの面々の姿はホント、おかしかったなぁ 笑
●ヴィクストロムらの手助けによって妹ミリアムと再会を果たすカーリド。
それまで全く笑わないに等しかった主人公カーリドが笑みをもらす。
(あぁ本当にカーリドにとって最大の望みは妹を探し出し呼び寄せることだったんだなぁということが判る)
そして、ラスト。
前夜ネオナチに襲われ木陰に横たわるカーリド。
妹が無事管理局に入っていくところを見て安堵の表情を浮かべる。
●おなじみのカティ・オウティネンや監督の愛犬ヴァルプ(劇中の名前が「街のあかり」の主人公と同じコイスティネンって 笑)も登場。
※Memo2
●パンフレットデザインは大島依提亜さん。
本文パンフを天地左右3mmずつ大きい表紙に貼りつけた仕様。
帝國寿司の前掛けを模したページも(用紙が!)
センターにカラー写真(順番やカウリスマキ監督ならではの語る顔がズラリと並んだページも)
劇中楽曲の歌詞(訳詞)も掲載。
(それにしてもドブロなど含めてカッコイイギターが多数出てきて、そこもまたアクセントであり個人的見どころでした)
映画『希望のかなた』公式サイト
http://kibou-film.com/
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