さあ、お飛び ! お飛び !!『花筐/HANAGATAMI』大林宣彦監督、窪塚俊介、満島真之介、長塚圭史、柄本時生、矢作穂香、山崎紘菜、門脇麦、常盤貴子、他
『花筐/HANAGATAMI』
監督 : 大林宣彦
原作 : 檀一雄
出演 : 窪塚俊介、満島真之介
長塚圭史、柄本時生
矢作穂香
山崎紘菜、門脇麦
常盤貴子
村田雄浩、武田鉄矢
入江若葉、他
物語・1941年春、叔母(常盤貴子)が生活している佐賀・唐津に移り住んだ17歳の俊彦(窪塚俊介)は新学期を迎え、美少年の鵜飼(満島真之介)やお調子者の阿蘇(柄本時生)、虚無僧の如き吉良(長塚圭史)らと勇気を試す冒険に熱中していた。肺病に苦しむ従妹の美那(矢作穂香)に恋する一方、女友達のあきね(山崎紘菜)や千歳(門脇麦)とも仲がいい。そんな彼らに、いつしか戦争の影が忍び寄り…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)
※Memo1
●「さあ、お飛び ! お飛び !!」
「殺されないぞ、戦争なんかに!」
●いつの間にか「戦争三部作」とよばれるようになった『この空の花-長岡花火物語』『野のなななのか』に連なる作品(確か最初はそう呼ばれていなかったと思うけれど、本当にいつのまにか)
デジタルの扱いがこなれてきたと言えば失礼にあたるかもしれないが、そのバランス、ケレン味含め、本作が個人的には三部作中最も好きな作品となった。
上映時間2時間49分。
決して短くはない。
だが長くもない。
むしろ気がつけば終わっていて短いぐらいだ。
なんという芳醇な時間的贅沢さ。
映画が終わって場内が明るくなった時に湧き立つ観客席の"静かな熱"とも呼べる空気感(高揚感)は忘れられない。
●冒頭のナレーション。
「昭和12年はまことに陰鬱な年であったと檀は述べている」
「その年、檀一雄25歳」
「これはあの戦争の時代を一生懸命に生きぬこうとした当時の若者たちによる青春の筐である」
そのあとに続くナレーション(僕こと主人公である俊彦)では「ここは架空の町であってもよい。またいつの時代であってもよい」と続く。
そう!この映画は現在へとも地続きなのだ。
●鵜飼に憧れて煙草を拾う俊彦、それを見ていた笛を吹く吉良。調子にのり熱湯に手をつける阿蘇。美しい叔母、舞う花びらと血と月のイメージ美那、吉良との刹那的な思いが揺れる千歳、店の切盛りで男顔負けのあきね。各人のキャラクター立ちが際立っている。
そこで芽生える考えの対立、不良のまねごと、恋心…
それらを全てかき消してまうように忍び寄る戦争の影(教授に届いた赤紙のくだりなど、本当に怖い…)
●鵜飼の台詞。
「青春が戦争の消耗品だなんて、まっぴらだ」
※Memo2
●パンフレットデザインは岡崎直哉氏。
48ページ。
監督による演出ノオト。
完成版ではカットされた冒頭に入っていたといわれる大林監督が少年時代に描いた「戦争画」についても写真と絵、テキストで紹介されている。
批評、対談、盛りだくさんの充実した内容。
※Memo3
いくつかのインタビューなど。
●1月27日
大阪ステーションシネマ舞台挨拶。
監督が舞台袖から現れて、まず行ったのはスクリーンを見上げて手を振り挨拶。
話はフレッド・アステアから手塚治虫(10歳年上「手塚治虫お兄ちゃん」と呼んでいた)、そしてガンとの関わり方についてなど、まったく途切れることなく、あっという間にマスコミ用フォトセッションが入るか入らないかの30分ぎりぎりまで話されていた。
●1月30日 MBS「ちちんぷいぷい」
27日の舞台挨拶の映像(上記画像)とインタビュー
「このごろ大林は戦争映画を撮りだした」と言われているんですが、それは間違いであって「戦争を体験したから映画を撮っているんだ」と。
と、いう言い方のほうが私の場合は正しいんだろうと。
●2月22日「ゴロウデラックス」
課題図書は『大林宣彦の体験的仕事術』
番組内では、なんと!16mmで撮られた『喰べた人』の岸田森さん出演シーンやマンダムCMや『HOUSE/ハウス』『転校生』などが紹介された。
「3歳 映写機で遊ぶ」のテロップ。
監督のひとこと。
「映画館で観る前に映画を作っていた」
『花筐/HANAGATAMI』公式サイト
http://hanagatami-movie.jp/
| 固定リンク