« 『希望のかなた(THE OTHER SIDE OF HOPE/Toivon tuolla puolen)』アキ・カウリスマキ監督、シェルワン・ハジ、ニロズ・ハジ、サカリ・クオスマネン、他 | トップページ | さあ、お飛び ! お飛び !!『花筐/HANAGATAMI』大林宣彦監督、窪塚俊介、満島真之介、長塚圭史、柄本時生、矢作穂香、山崎紘菜、門脇麦、常盤貴子、他 »

2018-02-25

『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』ソフィア・コッポラ監督、ニコール・キッドマン、キルスティン・ダンスト、エル・ファニング、コリン・ファレル、他

The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ
The Beguiled

監督 : ソフィア・コッポラ
出演 : ニコール・キッドマン
キルスティン・ダンスト
エル・ファニング
ウーナ・ローレンス
アンガーリー・ライス
アディソン・リーケ
コリン・ファレル
、他

物語・南北戦争下のアメリカ南部。世間から隔絶された女子寄宿学園で生活している園長マーサ(ニコール・キッドマン)や生徒(エル・ファニング)ら女性7人は、けがを負った北軍の兵士・マクバニー伍長(コリン・ファレル)と遭遇する。敵方ではあるが、彼女たちは彼を屋敷に運んで介抱する。園長をはじめ学園の女性たちは、容姿端麗で紳士的な彼のとりこになってしまう。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Be1

Memo1
南部のプランテーション様式の館、そしてあの土地独特の植物スパニッシュ・モス(「真夜中のサバナ」を思いだした!)、きのこ(粘菌質)。
培養されているような女性たちだけの寄宿舎に異物(負傷した男性兵士)が…。
ソフィア・コッポラ監督らしく、さらりと描いているように見えてレイヤーの下にはじっとりと…
(もっと、どろっとした感じで描かれるのかと思いきや一般的に言われる愛憎劇とは違った感触。しかし終盤、突如変貌するマクバニー伍長は現代におけるDV的要素の意味合いも?)
比較
同じ原作を元に映画化されたドン・シーゲル監督『白い肌の異常な夜』はタイトルバックからして南北戦争のスチールにラロ・シフリン(!)の音楽が重なる濃いオープニング。
マーサと兄との間に起こっていたこと(ドロドロ)、黒人のメイド(いかにも南北戦争時)や象徴的な傷を負った鴉など省かれたエピソードも多い。
そして、マーサと教師エドウィナの嫉妬に燃えるシーンはもっと激しく(終盤、叩きあうシーンもあった)やラストの歓送会と称した企みのディナーで出される毒きのこもエミーが(それこそ、さりげなくマーサから採ってきてと匂わされつつも自分の意志で)採ってきたものという設定(口元がニヤッとする場面の怖いこと怖いこと)
しかし本作では上流階級出身のマーサと教師のエドウィナ(キルスティン・ダンスト)との育ちの違いをドレスの肩出しに対してチクリと言葉で射す程度。(ほとんどが視線か言葉で)
衣装が戦時の割には清潔な汗のイメージがひとつもない白基調のものが多いことも特徴的。(ドレスはさらにカラフル)
室内インテリアや食器、フランス語の授業、お祈りの時間、洗濯を乾したり畑を耕したりの日常などが細かく描写されている。
The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』がヨーロッパビスタ(1.66:1) ドン・シーゲル監督『白い肌の異常な夜』はアメリカンビスタ(1.85:1)とアスペクト比が違う。
(よって、シネコン張りキャン・スクリーン上映では左右に黒みが残っていました)

Be2

Memo2
あきらかに狙っている誰かの視線のような周辺が微妙に暗い、まるでピンホールカメラで撮ったようなショット。
該当場面→マクバニーがエミーが門に脱走兵がいる印として青い布を結んでいるところをマクバニーに見つかり悲鳴をあげる。あわてて庭に飛び出したマーサを捉えたシーン。
(いろいろ記事などを読んでいくとビンテージレンズが使用とある)
メイキング映像を見ると驚くことに、ものすごく明るいライティングで撮られている(自然光もいかしてはいるが、かなり意図的に光のコントロールが行われていてビックリ。)
ゆえに全体の屋外と室内との差異を色彩調整したものと思われる。
Go Behind the Scenes of The Beguiled
https://www.youtube.com/watch?v=ipAT_WzPK-Y
Title Design > PETER MILES STUDIO
(ソフィア・コッポラ監督の前2作「SOMEWHERE」「ブリングリング」に続いて)
ポスターなどに使用されているものと本編のメインタイトルでは同じスクリプト系でも書体が違うものになっている。
衣装デザイナーはステイシー・バタット
スケッチなどが掲載されたEW誌・記事
南北戦争が始まる前に持っていた衣装しかないという設定(故にパステルカラーの衣装を着ている)で、何度も何度も洗濯され日にやけて、少し褪せたイメージを作り出した。
http://ew.com/movies/2017/10/04/the-beguiled-sofia-coppola-costume-design/
そう考えると記事タイトルにあるように一種のゴーストストーリーとしても捉えられるかもしれない。その象徴的な門に閉ざされた館の中は時が止まった戦前のままなのだから(遠くで砲撃の音がずっと聞こえているが戦争のシーンは出てこないし…)

『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』公式サイト
http://beguiled.jp/

|

« 『希望のかなた(THE OTHER SIDE OF HOPE/Toivon tuolla puolen)』アキ・カウリスマキ監督、シェルワン・ハジ、ニロズ・ハジ、サカリ・クオスマネン、他 | トップページ | さあ、お飛び ! お飛び !!『花筐/HANAGATAMI』大林宣彦監督、窪塚俊介、満島真之介、長塚圭史、柄本時生、矢作穂香、山崎紘菜、門脇麦、常盤貴子、他 »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ』ソフィア・コッポラ監督、ニコール・キッドマン、キルスティン・ダンスト、エル・ファニング、コリン・ファレル、他:

» 「The Beguiled/ビガイルド 欲望のめざめ」 [或る日の出来事]
そうだった、ソフィア・コッポラ監督作品だったっけ。 [続きを読む]

受信: 2018-03-10 13:07

« 『希望のかなた(THE OTHER SIDE OF HOPE/Toivon tuolla puolen)』アキ・カウリスマキ監督、シェルワン・ハジ、ニロズ・ハジ、サカリ・クオスマネン、他 | トップページ | さあ、お飛び ! お飛び !!『花筐/HANAGATAMI』大林宣彦監督、窪塚俊介、満島真之介、長塚圭史、柄本時生、矢作穂香、山崎紘菜、門脇麦、常盤貴子、他 »