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2018-03-20

If we do nothing neither are we.『シェイプ・オブ・ウォーター(The Shape of Water)』ギレルモ・デル・トロ監督、サリー・ホーキンス、ダグ・ジョーンズ、他

シェイプ・オブ・ウォーター
The Shape of Water

監督 : ギレルモ・デル・トロ
出演 : サリー・ホーキンス
マイケル・シャノン
リチャード・ジェンキンス
ダグ・ジョーンズ
マイケル・スタールバーグ
オクタヴィア・スペンサー、他

物語・1962年、米ソ冷戦時代のアメリカで、政府の極秘研究所の清掃員として働く孤独なイライザ(サリー・ホーキンス)は、同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)と共に秘密の実験を目撃する。アマゾンで崇められていたという、人間ではない“彼”の特異な姿に心惹かれた彼女は、こっそり“彼”に会いにいくようになる。ところが“彼”は、もうすぐ実験の犠牲になることが決まっており…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

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If we do nothing neither are we.
"彼"を助けないと私たちは人間ではない。
イライザが"彼"を助けようとジャイルズに必死に懇願するシーン。
手話による心の声、叫び。
(そのあとに続くシーン。ジャイルズが受けるふたつの疎外)
そして…
冒頭、イライザとジャイルズがテレビで「小連隊長(he Little Colonel)」でのビル・ロビンソンシャーリー・テンプルの階段タップダンスを見ているシーンから続くシーンへの流れがすごくいい!(音楽のタイミングも)
ダグ・ジョーンズは『パンズ・ラビリンス』の時にもその動きにパントマイム的香りが漂っていて素晴らしかったが本作はさらに!
それがイライザの手話とのやりとり、コミュニケーションの中でとても豊かな広がりをみせる。
まるでチャップリンの作品をみているようだ。
マイケル・シャノン演じる政府サイドの責任者ストリックランド。
彼が信奉するもの、それこそがモンスターだ。
アメリカ的豊かさとしての絵に描いたような画一的ピカピカ社会と規範、自己啓発、メンタルマネージメント、歪む人格…。
パンフレットで知ったけれど壁の染みが葛飾北斎神奈川沖浪裏」が描かれていたとは。気がつかなかった!(他にも鱗なども浮世絵によるモチーフ)
この映画そのものが、すべての映画に対するラブレターになっている。モンスター映画、メロドラマ、ミュージカル、スパイ映画、コメディ…いわゆるクラシカルなハリウッドムービーにしたかった。
(TV Bros. 2月24日号 ギレルモ・デル・トロ監督インタビュー)
同じインタビュー記事でカメラ(撮影/ダン・ローストセン)が一時もじっとしていなくて、すべてのシーンで水の中をたゆたうようにゆらゆらと動いていることも知りました。
(と、いうことなどを踏まえて観る2回目の楽しいこと、楽しいこと!)
多くの批評などで指摘があるとおり、わかりやすいからへのカラーアプローチ。(デル・トロ監督インタビューでもカラーパレットについて言及)
イライザのカーディガン、ヘアバンド、研究室の壁やプール、タイムカード、研究室の制服、ジャイルズのワゴン車、ライムケーキ、ストリックランドが買うキャディラック…と、とりわけ緑はベースとなる色。
それがいろづきはじめたとき(生命力として)赤に変わる。
イライザが"彼"と愛を交わした次の日、いつものバス通勤の際のヘアバンドや洋服が赤に。そしてハイヒールも。
この赤と緑といった色相環で対となる補色の関係性をパレットとして設定したことも本作の美しさのひとつだ。
日本語字幕の色。黄色はあったけれど、浅葱色というか鶯色というか、あの色は初?(やはり全体のカラートーンに配慮してのこと?白の字幕だとすごく浮いて目立ってしまうので、これは素晴らしい配慮だなぁ、と思った次第)

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あのロケ地はどこ?
WHERE WAS THE SHAPE OF WATER FILMED?
http://www.atlasofwonders.com/2017/12/shape-water-filming-locations.html
航空宇宙研究センターやゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)の家の外観、イライザ(サリー・ホーキンス)の住む家の階下にある映画館内部(撮影に使用された有名なエルジン・シアター)などのロケ地。
Main Title Designer > CAM McLAUCHLIN

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2018年 90th アカデミー賞
作品賞、監督賞、作曲賞、美術賞4冠!
パンフレットがFOXサーチライト・マガジンのVol.11仕様。
下記、画像は同じ今年のアカデミー賞で賞をわけあった『スリー・ビルボード』(Vol.10)
(そういえば本作でホフステトラー博士を演じたマイケル・スタールバーグは『スリー・ビルボード』マクドナー監督の戯曲「ピローマン」に出演していたという繋がりも)

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『シェイプ・オブ・ウォーター』オフィシャルサイト
http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/

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2018-03-19

PlayそしてPray『15時17分、パリ行き(The 15:17 to Paris)』クリント・イーストウッド監督、スペンサー・ストーン、アレク・スカラトス、アンソニー・サドラー、他

15時17分、パリ行き
The 15:17 to Paris

監督 : クリント・イーストウッド
出演 : スペンサー・ストーン
アレク・スカラトス
アンソニー・サドラー
他、実際に事件に遭遇した多くの人たち。

物語・2015年8月21日、554人の客が乗るアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリスに、武装したイスラム過激派の男が乗り込み無差別テロを企てる。乗客たちが恐怖に凍り付く中、旅行中で偶然乗り合わせていたアメリカ空軍兵スペンサー・ストーンとオレゴン州兵アレク・スカラトス、二人の友人の大学生アンソニー・サドラーが犯人に立ち向かう。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

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Memo
とても奇妙な映画だ。
通常、事件の当事者が出演するとなると証言を交えたドキュメンタリーとなるところをイーストウッド監督はそのまま本人たち(素人)によるドラマ映画として仕立てあげた。しかも再現フィルムではなく旅日記のようなプライベートフィルムの趣きも交えながら。
(少年時代を描いたシーンが再現フィルムとも言える。と、なると構成は再現フィルムプライベートフィルムドキュメンタリーフィルムということになる)
まるで絵に描いたように観光地をトレースしていく旅。
(本当にここへ来たかったーーっ!といった意志があるわけではなくセルフィカメラに興じる若者を撮るセンター部分は緩くもあり、あぁ、こんなもんだろうなぁと思わせてくれたりと妙にリアル…リアルと書きつつ本人たちなのだからリアルも何も…)
構成としては直線状時間軸で描いたほうがサスペンス的には盛り上がるであろうところを、わざわざ細切れにしてずらす手法をとっている。
(イーストウッド監督にしてみたら、そういった撮り方、語り口は既に演じ尽くし、やりつくしてきたことなのだ)
もし、彼らがWi-Fiの入る1等車両に移っていなければ…
もし、スペンサーが救護班でなく希望通りパラシュート部隊に入っていたら…
もし、前日のパーティ含めすごく気に入ってしまったオランダにそのまま滞在してフランスへ向かわなかったら…。
そして、もし、彼ら3人が少年時代に出会ってなかったら…。
偶然なのか必然なのか…
運命なのか、宿命なのか…。
『ヒアアフター』『ハドソン川の奇跡』(こちらも、もしあの便に機長が乗っていなかったら…)と通底したテーマが浮かびあがる。
そこで出てくるのが…(映画独自?)
聖フランシスコの平和の祈り
主よ、私をあなたの平和の道具にしてください
ラストで実際に当時のフランス大統領オランドから勲章を授与されるシーン。実際の映像と今回、本人たちが新たにトレースして撮ったシーンとの境い目がわからない(そりゃあ、そうだ本人たちだもの)
イーストウッド監督はここに対して思いついたのでは?
よく実話のドラマ映画化の際、ラストに当時のフィルム、現在のことを紹介する映像がエンドクレジット前に流れたりするが本作ではまったくもってシームレス。
なんたる大胆さにして、ある種茶目っ気さえ感じる87歳イーストウッド監督の自由さを感じる。
蛇足
もし、イーストウッド監督が「世界ぶらり街歩き」のようなテレビ番組を撮ったとしたら…(撮られへん撮らへん←関西弁)

『15時17分、パリ行き』オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/1517toparis/

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2018-03-18

その永遠の一瞬に『ちはやふる -結び-』小泉徳宏監督、広瀬すず、野村周平、新田真剣佑、上白石萌音、松岡茉優、賀来賢人、他

ちはやふる -結び-

原作 : 末次由紀
監督 : 小泉徳宏
出演 : 広瀬すず野村周平
新田真剣佑
上白石萌音
松岡茉優、賀来賢人
矢本悠馬、森永悠希
清水尋也、優希美青
佐野勇斗、清原果耶
坂口涼太郎
松田美由紀、國村隼、他

物語・瑞沢高校競技かるた部員の綾瀬千早(広瀬すず)と若宮詩暢(松岡茉優)が、全国大会で激闘を繰り広げてから2年。真島太一(野村周平)、綿谷新(新田真剣佑)らと共に名人・クイーン戦に挑む千早だったが、詩暢と戦えない自分の実力不足を痛感する。そんな中、千早たちの師匠・原田秀雄(國村隼)が史上最強の名人とされる周防久志(賀来賢人)に敗れてしまい、新が彼に挑戦状をたたきつける。その後3年生になった千早は、高校最後の全国大会に向けて動くが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Chihaya

Memo1
まずは前作ブログメモ
(2016年5月11日のポストイン)
『ちはやふる 上の句、下の句』同一スクリーンでイッキ見。
(世評の高評価を我慢して下の句公開の5週間後まで待って見た)
https://color-of-cinema.cocolog-nifty.com/blog/2016/05/post-ab39.html
2年目の夏のことや名人戦へ挑戦しようとする綿谷新、そしてその新のことを「おにい」と呼ぶ、準かるたクイーンとなる伊織のこと、さらには本作冒頭シーンへと繋がる「名人・クイーン決定戦」直前シーン(名人周防が饅頭…笑)などが描かれた配信限定スピンオフドラマちはやふる 繋ぐ』は必須かも?
(もちろん見ていなくても本作のみで十分、熱度は伝わる)
映画における3年間と実際の高校生活、そして役者としての成長。
それらが全てシンクロして起こった奇跡的な
(そして、いくつかの台詞と響き合う「一瞬」)青春映画
また、登場人物に嫌いな(好きになれないタイプの)人が出てこないという点。それは今回、新たに加わった登場人物たちにおいても。
あーっ終わってほしくないなぁ、このままずっと見ていられると思わせてくれる全体を通しての味わいともいえる部分も素晴らしい。
本作における(結果的に)太一のメンターとなる名人・周防。
甘いもの好きで、ちょっと突飛な人物造詣だと思いきや、結果馴染んでくる重要な役回り。
(最初、解説者に当人には聞こえていないけれどこんなツッコミいれられてた)
「今年も順調に留年をきめています」
「そっちは連覇せんでもよかったんですけどね」
札を取る速度そのままに台詞の上に台詞を乗せていくテンポの良さ、スピード!
(ほぼ全編にわたって)新と伊織の会話。
「やっと高校生になったんやで、私とつきおうてや」
「ゴメン、好きな人がおる」
「秒殺かっ」
他にも別の場面で
「なに塩対」
運命戦は運命じゃない
原作でも最もキーとなる台詞。
太一が周防から教えられたことと顧問の原田先生の言葉が呼応する。
ふたつの恋のうた。
しのぶれど 色に出でにけり わが恋(こひ)は
ものや思ふと 人の問ふまて

恋すてふ(ちょう) わが名はまだき 立ちにけり
人知れずこそ 思ひそめ

「下の句」繋がりの意味もありつつの団体戦ラストに持ってきたあたりがうまい。
そして自陣の札に対しての台詞。
「来い!」
「来い!」
偶然なのか意図的なのか「恋」とも聴こえる。
ラスト(大会終了後のパーティ)で千早と伊織がシャカシャカ振ってLINE交換しているシーンがあったりして、ちょっと微笑ましい。

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Memo2
若宮詩暢のキャラクター趣味。
前作「下の句」の「これは はらじゅくげんてい おめかしダディタオル」に続いて。
「これはファンクラブ限定スノー丸タオル」
「しかも直筆サイン付き!」
配信中継で急遽、解説をすることになった詩暢
(相手ゲストがスノー丸 笑)
「なんかシュールな絵面やなぁ」
そのスノー丸、ダディベアのあわら限定グッズのページ
(ちなみに綿谷新の住む町、福井県あわら市とのコラボページ)
http://www.chihaya-awara.com/goods.html
京阪乗るなら「お京はん」ではなく『ちはやふる −結び−』京阪電車大津線1dayチケット
https://www.keihan.co.jp/traffic/valueticket/ticket/chihayafuru/

『ちはやふる -結び-』公式サイト
http://chihayafuru-movie.com/

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2018-03-04

Netflix 碁盤の上で起こり得る全ての配置は、宇宙に存在する原子の数よりも多いのです。『アルファ碁(AlphaGo)』グレッグ・コーズ監督

アルファ碁
AlphaGo

監督 : グレッグ・コーズ

昨年、映画祭などで限定公開されていた『アルファ碁(AlphaGo)』がNetflixで配信されていたので見た。
人類最強棋士と称されるイ・セドル対人工知能ディープマインド。
ディープマインド陣営のバックヤードに並んだモニター類に映し出されている勝率や予測数値、そして交わされている会話。
1万分の1の手を打ってくるディープ・マインドに対して浮かびあがるもの。
人もまた、新たな地平を切り開くのだ。

Go

Memo
●結果は4勝1敗でAlphaGoが勝利。
最初は楽勝でイセドルに軍配があがると思われていたものが、1戦目2戦目…とその打つ手の凄さに衝撃が走る。
(何故、この手を打ったのかがわからない…。解説者もとまどいを隠せない)
AlphaGo陣営バックヤードで出ていた数字は人間が打つ確率1万分の1 (!)
その一手(37手目)に対して戸惑いを隠せないイ・セドル
(イ・セドルがその起こる出来事に対して常に礼儀正しくて謙虚だ。そこがまた、この歴史的対局の美しさでもある)
この台詞。
「AlphaGoは計算に基づき手を打つ単なる機械だと思っていました」
「でも違いました。創造力があります」
「この手は本当に創造的で美しいとさえ思いました」
そしてイ・セドルが勝利した際に打った手も1万分の1。
そのことに人間とAIの向かい合い方の絶対的ヒントと示唆が含まれているように思える。
「少なくともAlphaGoの37手がイ・セドルの78手を生み出しました」
「イ・セドルの新たな手法を促したのです」
●「アルファ碁(AlphaGo)」が人類最強棋士に勝利してか、しばらくして…。
さらに人間のデータを学習に使わない「アルファ碁ゼロ」や碁以外にも汎用化した「アルファゼロ」が登場して既に「何故、そのような思考なのか」などプロセスについては全く人類が入り込む部分はなくなってしまった。
対戦終了後のイ・セドルの台詞が浮かぶ。
(1勝でもあげられたことについて)
「この勝利が意味することは人間は持ちこたえられるということ」
「今後AIに勝つことは難しいと思います」
「一度でも勝てれば十分だと言う気がします」
●タイトルデザインはElliott Burford
これ以上はないというぐらいシンプルで美しい。
5戦全ての棋譜が浮かびあがる。
しかも37手と78手だけ黒と白ではなくブルーで描く
(デザイナーは違うが同じ人工知能をテーマとした『エクス・マキナ』のエンドタイトルに匹敵)

(↓こちらはドキュメンタリー映画のサイトではなく実際の…)
AlphaGo公式サイト
https://deepmind.com/research/alphago/

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