PlayそしてPray『15時17分、パリ行き(The 15:17 to Paris)』クリント・イーストウッド監督、スペンサー・ストーン、アレク・スカラトス、アンソニー・サドラー、他
『15時17分、パリ行き』
The 15:17 to Paris
監督 : クリント・イーストウッド
出演 : スペンサー・ストーン
アレク・スカラトス
アンソニー・サドラー
他、実際に事件に遭遇した多くの人たち。
物語・2015年8月21日、554人の客が乗るアムステルダム発パリ行きの高速鉄道タリスに、武装したイスラム過激派の男が乗り込み無差別テロを企てる。乗客たちが恐怖に凍り付く中、旅行中で偶然乗り合わせていたアメリカ空軍兵スペンサー・ストーンとオレゴン州兵アレク・スカラトス、二人の友人の大学生アンソニー・サドラーが犯人に立ち向かう。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)
※Memo
●とても奇妙な映画だ。
通常、事件の当事者が出演するとなると証言を交えたドキュメンタリーとなるところをイーストウッド監督はそのまま本人たち(素人)によるドラマ映画として仕立てあげた。しかも再現フィルムではなく旅日記のようなプライベートフィルムの趣きも交えながら。
(少年時代を描いたシーンが再現フィルムとも言える。と、なると構成は再現フィルム、プライベートフィルム、ドキュメンタリーフィルムということになる)
●まるで絵に描いたように観光地をトレースしていく旅。
(本当にここへ来たかったーーっ!といった意志があるわけではなくセルフィカメラに興じる若者を撮るセンター部分は緩くもあり、あぁ、こんなもんだろうなぁと思わせてくれたりと妙にリアル…リアルと書きつつ本人たちなのだからリアルも何も…)
●構成としては直線状時間軸で描いたほうがサスペンス的には盛り上がるであろうところを、わざわざ細切れにしてずらす手法をとっている。
(イーストウッド監督にしてみたら、そういった撮り方、語り口は既に演じ尽くし、やりつくしてきたことなのだ)
●もし、彼らがWi-Fiの入る1等車両に移っていなければ…
もし、スペンサーが救護班でなく希望通りパラシュート部隊に入っていたら…
もし、前日のパーティ含めすごく気に入ってしまったオランダにそのまま滞在してフランスへ向かわなかったら…。
そして、もし、彼ら3人が少年時代に出会ってなかったら…。
●偶然なのか必然なのか…
運命なのか、宿命なのか…。
『ヒアアフター』『ハドソン川の奇跡』(こちらも、もしあの便に機長が乗っていなかったら…)と通底したテーマが浮かびあがる。
●そこで出てくるのが…(映画独自?)
聖フランシスコの平和の祈り
「主よ、私をあなたの平和の道具にしてください」
●ラストで実際に当時のフランス大統領オランドから勲章を授与されるシーン。実際の映像と今回、本人たちが新たにトレースして撮ったシーンとの境い目がわからない(そりゃあ、そうだ本人たちだもの)
イーストウッド監督はここに対して思いついたのでは?
よく実話のドラマ映画化の際、ラストに当時のフィルム、現在のことを紹介する映像がエンドクレジット前に流れたりするが本作ではまったくもってシームレス。
なんたる大胆さにして、ある種茶目っ気さえ感じる87歳イーストウッド監督の自由さを感じる。
●蛇足
もし、イーストウッド監督が「世界ぶらり街歩き」のようなテレビ番組を撮ったとしたら…(撮られへん撮らへん←関西弁)
『15時17分、パリ行き』オフィシャルサイト
http://wwws.warnerbros.co.jp/1517toparis/
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