« Netflix『アナイアレイション 全滅領域(Annihilation)』アレックス・ガーランド監督、ナタリー・ポートマン、オスカー・アイザック、ジェニファー・ジェイソン・リー、他 | トップページ | タイトルデザインやロケ地のこと_1『レディプレイヤー1(Ready Player One)』『ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~(Stronger)』『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(I, Tonya)』『ホース・ソルジャー(12 Strong)』『アンロック/陰謀のコード(Unlocked)』『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(The Florida Project)』 »

2018-04-06

『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(THE POST)』スティーヴン・スピルバーグ監督、メリル・ストリープ、トム・ハンクス

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書
THE POST

監督 : スティーヴン・スピルバーグ
出演 : メリル・ストリープ
トム・ハンクス
サラ・ポールソン
ボブ・オデンカーク
ブラッドリー・ウィットフォード
トレーシー・レッツ
マイケル・スタールバーグ
ブルース・グリーンウッド
サーシャ・スピルバーグ、他

物語・ベトナム戦争の最中だった1971年、アメリカでは反戦運動が盛り上がりを見せていた。そんな中、「The New York Times」が政府の極秘文書“ペンタゴン・ペーパーズ”の存在を暴く。ライバル紙である「The Washington Post」のキャサリン(メリル・ストリープ)と部下のベン(トム・ハンクス)らも、報道の自由を求めて立ち上がり…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Post

Memo1
トランプ米大統領から「ハリウッドで最も過大評価された女優」と名指し攻撃されたメリル・ストリープがワシントン・ポストの社主役(なんと痛烈で痛快な素晴らしいキャスティング!←トランプ氏『ワシントン・ポスト』嫌ってますからねー。最近もamazon批判で間接的に攻撃してたし)。
1971年の物語ながら、まさしく「今そこにある報道の自由の危機」を描いた現代の話となっている。
ヤヌス・カミンスキーによる35mmフィルム撮影。
スキップブリーチではないと思われるが彩度・カラーパレット含め、そこから感じ取れる70年代映画質感。
(後述リンク先にレンズの事などについて書かれたものあり)
アン・ロスによる衣装。
ジョン・ウィリアムズのスコアも控えめながら渋い旋律。
『ニューズウィーク日本版』2018年4月3日号に「ベトナム戦争の嘘を暴いた男」ペンタゴン・ペーパーズをリークしたダニエル・エルズバーグについての記事が掲載されていました。
おぉっ!ここが映画の冒頭で政府側の嘘、欺瞞を知ってしまった が機密文書を持ち出し複写機(デカイ!)をかけてコピーをとる、あのシーンとつながるのか!と膝をうつ内容。
そしてスピルバーグ監督の時間省略など映画的手際よさにも気づく。
(実際は文書持ち出しまでに数年のタイムラグがある)
メリル・ストリープ演じるキャサリン。
夫の死によって突如「ワシントン・ポスト」社主となり完全に男社会丸出しだった世界へ入ってきてやっている感がものすごくよく表れていた(そして経営者でもあり数字も追わなければいけない。そんなこと自分にやれるかしらとオドオドした様子も)。
・会議の時に重たい資料を全部手持ちでテーブルの上に置いた際「そんなものはスタッフが用意するものだ。何も知らないで」的な馬鹿にしたような視線をおくられる。
・ベンがキャサリン宅に訪ねてきた際、就寝時の服で歩きまわり子どもが走り回っている緊張感の無さにやや言葉を失う。
・その後、近しい友人であったマクナマラのついていた嘘(自分へと国民へとの二重の嘘)と報道の公正さの間に立ち、社主としての
・そして、ニクソン側の圧力に対して輪転機が回る締切りぎりぎりの深夜の決断。
ベンや経営陣、弁護士の輪の中。
「出します」
続く台詞が洒落ている。
「寝るわ」
ベン・ブラッドリーの娘が売ってるレモネードに対して「いくらで売ってるんだ?」「25セント」「倍の値段に。インフレだよ」とひとこと。
(次のシーンでダンボールに書かれた値段が50セントに 笑)
これだけで当時のインフレ状態をあらわす茶目っ気たっぷりの上手さ(ちなみにニクソンショックは文書公表記事のあと)
そう言えばトム・ハンクスって『フォレスト・ガンプ』でウォーターゲート事件、目撃してたし…(このシーン、本作のラストカットとそっくりだったような…)

Memo2
ニューズウィーク日本版ウェブの記事
映画で描かれない「ブラッドレー起用」秘話
ワシントン・ポスト社主キャサリン・グラハム自伝・第2章より抜粋。
その3回目
https://www.newsweekjapan.jp/stories/culture/2018/03/post-9860.php
Main and End Title
SCARLET LETTERS
IMDbでアスペクト比を見ると1.85 : 1 (アメリカンビスタ)になっていたので何か理由があるのかと思っていたら、Kodakのニュースレターにこの記事が。
「ヤヌス・カミンスキー(ASC)がスティーヴン・スピルバーグ監督の『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』をコダック35mmフィルムで撮影
https://www.kodakjapan.com/motionjp-mag102
実際のアメリカ国立公文書記録管理局によるペンタゴン・ペーパーズ(全文/英語サイト/ファイルはいくつかのPDFに分割されています)
https://www.archives.gov/research/pentagon-papers

Memo3
2018年「春のスピルバーグまつり
本作と『レディ・プレイヤー1』と続けて見られる幸福感。
デビュー時から現在までリアルタイムで公開時に作品を見続けられている監督って誰だろう?と考えたときにすぐに思い浮かんだのはスピルバーグ監督。
(ヒッチコック監督は遺作となった『ファミリープロット』だったし、ビリー・ワイルダー監督は『フロントページ』からだったし、コッポラ監督は『ゴッドファーザーPART2』からだったしウディ・アレン監督は『アニー・ホール』からだったしと…以下略)
また、見た作品と劇場(映画館)の名前がセットになって覚えているのも思えば個人的映画記憶となっています。
特に1970年代。
『激突』梅田コマゴールド(←こちらはテレビ放送後、劇場公開パターン)『続・激突 カージャック』阪急プラザ劇場『ジョーズ JAWS』梅田東映パラス『未知との遭遇』OS劇場…
ずっと見続けている映画監督が今もなお最新作を撮り、しかも傑作を生み続けているのはとても嬉しい!

映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』公式サイト
http://pentagonpapers-movie.jp/


|

« Netflix『アナイアレイション 全滅領域(Annihilation)』アレックス・ガーランド監督、ナタリー・ポートマン、オスカー・アイザック、ジェニファー・ジェイソン・リー、他 | トップページ | タイトルデザインやロケ地のこと_1『レディプレイヤー1(Ready Player One)』『ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~(Stronger)』『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(I, Tonya)』『ホース・ソルジャー(12 Strong)』『アンロック/陰謀のコード(Unlocked)』『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(The Florida Project)』 »

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(THE POST)』スティーヴン・スピルバーグ監督、メリル・ストリープ、トム・ハンクス:

» 劇場鑑賞「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」 [日々“是”精進! ver.F]
詳細レビューはφ(.. ) https://plaza.rakuten.co.jp/brook0316/diary/201803300001/ 「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」オリジナル・サウンドトラック [ ジョン・ウィリアムズ(指揮者) ] [続きを読む]

受信: 2018-04-08 20:03

» 『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』 2018年3月29日 TOHOシネマズ日比谷 [気ままな映画生活 -適当なコメントですが、よければどうぞ!-]
『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』 を鑑賞しました。 今日OPENの日比谷ミッドタウンでしたが、 今回の上映は旧スカラ座という洗礼をあびた。 【ストーリー】  ベトナム戦争の最中だった1971年、アメリカでは反戦運動が盛り上がりを見せていた。そんな中、「The New York Times」が政府の極秘文書“ペンタゴン・ペーパーズ”の存在を暴く。ライバル紙である「The Washington Post」のキャサリン(メリル・ストリープ)と部下のベン(トム・ハンクス)らも、報道の自由を求めて... [続きを読む]

受信: 2018-04-08 21:06

» ペンダゴン・ペーパーズ 最高機密文書・・・・・評価額1750円 [ノラネコの呑んで観るシネマ]
報道は、誰の為にあるのか。 さすがスピルバーグ、地味な素材ながら圧巻の面白さ。 アメリカ政府がひた隠すベトナム戦争の真実を、ニューヨーク・タイムズとワシントン・ポストが暴露した史実の映画化。 メリル・ストリープとトム・ハンクスという、現代ハリウッドを代表するオスカー俳優が、それぞれワシントン・ポストの女性社主と敏腕編集主幹を演じる。 二人は、経営と現場というそれぞれの立場で苦悩し...... [続きを読む]

受信: 2018-04-08 21:40

» 「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」:報道が仕えるべきは統治者ではなく、国民 [大江戸時夫の東京温度]
映画『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』は、スピルバーグがトランプ政権に突き [続きを読む]

受信: 2018-04-08 22:26

» 「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」☆成長ものがたり [ノルウェー暮らし・イン・原宿]
アカデミー賞にノミネートされていなかったら、正直観に行ってなかったかも。 そしてスピルバーグならではの生真面目なつくりが、前半あくびを何度も出させることにもなった。 一昨年オスカーを受賞した「スポットライト 世紀のスクープ」と比べると、ややメリハリが足りなかったかな…... [続きを読む]

受信: 2018-04-08 23:56

» 映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書(日本語字幕版)」 感想と採点 ※ネタバレなし [ディレクターの目線blog@FC2]
映画 『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書(日本語字幕版)』(公式)を本日、劇場鑑賞。 採点は、★★★★☆(最高5つ星で、4つ)。100点満点なら75点にします。 【私の評価基準:映画用】 ★★★★★傑作! これを待っていた。Blu-rayで永久保存確定。 ★★★★☆秀作! 私が太鼓判を押せる作品。 ★★★☆☆&...... [続きを読む]

受信: 2018-04-11 15:22

» 映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」 [FREE TIME]
映画「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」を鑑賞しました。 [続きを読む]

受信: 2018-04-16 22:23

« Netflix『アナイアレイション 全滅領域(Annihilation)』アレックス・ガーランド監督、ナタリー・ポートマン、オスカー・アイザック、ジェニファー・ジェイソン・リー、他 | トップページ | タイトルデザインやロケ地のこと_1『レディプレイヤー1(Ready Player One)』『ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~(Stronger)』『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル(I, Tonya)』『ホース・ソルジャー(12 Strong)』『アンロック/陰謀のコード(Unlocked)』『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(The Florida Project)』 »