『ア・ゴースト・ストーリー/A GHOST STORY』デヴィッド・ロウリー監督、ルーニー・マーラ、ケイシー・アフレック
『ア・ゴースト・ストーリー』
A GHOST STORY
監督 : デヴィッド・ロウリー
出演 : ルーニー・マーラ
ケイシー・アフレック
物語・若夫婦のC(ケイシー・アフレック)とM(ルーニー・マーラ)は田舎町の小さな家で幸せに暮らしていたが、ある日Cが交通事故で急死してしまう。病院で夫 の遺体を確認したMは遺体にシーツをかぶせてその場を後にするが、死んだはずのCはシーツをかぶった状態で起き上がり、Mと暮らしていたわが家へ向かう。 幽霊になったCは、自分の存在に気付かず悲しみに暮れるMを見守り続ける。(物語項、シネマトゥデイより)
※Memo
●極めて好み。
ホラーでもなくファンタジーでもない。「時間と場」の感覚は確かにノーラン監督構造物学的作品味でもあるけれど「ふたりのベロニカ」や「ベルリン天使の詩」を想起したりした。
(スピルバーグ監督『A.I.』2000年後ひとり残されたデイビッドのシークエンスもふとよぎる)
●監督は「アイアン・ジャイアント」想起の傑作!→『ピートと秘密の友達』のデヴィッド・ロウリー。
以前に同じルーニー・マーラ、ケイシー・アフレック共演で撮った「セインツ -約束の果て-」も印象的だったし、これからの作品も楽しみ。
●映画の冒頭
ヴァージニア・ウルフ著述からの引用。
"Whatever hour you work there was a door shutting"
Virginia Woolf, A HAUNTED HOUSE
短編集に収録されているようだけれども未読。
本編の時空を超えた感覚は『オーランド』(映画では「オルランド」)に似ていて、なるほどと納得。
●白いシーツがかぶせられた安置室。
いきなり、Cがそのまま起き上がる姿に垣間見える、ちょっと滑稽さが上映時間が経過すると共に余計に物悲しさを増幅させている。
(観客はMの5分に及ぶパイを食べるシーンや過去に遡る時空の旅を含めて、文字通り伸び縮みする時間を体感)
●名前すら無い、CとM。
その事が物語る見ている(観客)誰のことでもある普遍的な「想い」「思念」のストーリー。
●柱に残されたメッセージへの「想い」は時空までも超えてCの「場」への執着(執着とは少し違うとは思いますが…)につながる。
シーツの中の「想い」がふっと消えて、その場にパサッと落ちる表現もこの上なく美しい。
●角丸のスタンダードスクリーンサイズはどこか銀塩写真の古いフィルムのようでもある。(それにしてもフィックス、長回し、パンニングなどの各ショットのなんと美しいこと)
●空気感まで伝わる色彩調整も美しい。
カラーリスト(Colorist)はJoe Malina
https://www.joemalina.com/
『A GHOST STORY / ア・ゴースト・ストーリー』
公式サイト
http://www.ags-movie.jp/
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