『オールド(Old)』M・ナイト・シャマラン監督、ガエル・ガルシア・ベルナル、ヴィッキー・クリープス、トーマサイン・マッケンジー、他
『オールド』
OLD
注 : 内容、ラストに盛大に触れています。グラフィックノベル原作は未読。
監督 : M・ナイト・シャマラン
原作 : フレデリック・ペータース
出演 : ガエル・ガルシア・ベルナル
ヴィッキー・クリープス
ルーファス・シーウェル
アレックス・ウルフ
トーマサイン・マッケンジー、他
※Memo1
●さて、今回の「わくわくシャマランランド」は「どっちのシャマランショー」
●30分で1年が過ぎる岸壁に囲まれた謎のビーチ。
限定された空間。招待された人々はどこか妙な言動やそぶり。
砂浜に先に訪れていた人が座っている。
もう、その設定だけでシャマランランドである。特に限定空間。
(ヴィレッジもサインもスプリットも)
●さらにホテルに到着したガイとプリスカ夫妻、二人の子供を出迎えた際のマネージャーとアテンダー。もう見るからに胡散臭い笑みをもらして「ようこそ」「先にお聞きしたお好みに合わせて作ったスペシャルカクテルでございます」
(これが、キーアイテム)
●案内されたビーチへの運転手が(お馴染み)シャマラン監督。
車を止めてビーチへの道へ入っていくところに謎の石が四つ。(ここが境界、目印)
●未来志向のガイと後ろ向き過去にこだわるプリスカ(仕事が博物館員)。
それ故に(別の理由にプリスカは腫瘍がある)喧嘩が絶えない。
●そして、招待されていた他の人たち。
最初からビーチにいたラッパーのミッドサイズ・セダンは血が止まらない病気。ドクターのチャールズは記憶障害とそこから引き起こされる妄想。その妻は骨に異常がある(後半の折れては治り、折れては治りで「遊星からの物体X」状態で迫ってくるシーン..怖っ)。パトリシアはホテル到着時にも起こっていた癲癇(てんかん)。
●プリスカは前述の腫瘍(怖いのは時間が早く進むため良性だった腫瘍が悪性になり、みるみる大きくなっていくところ。傷が直ぐに治るところを逆手にとってドクターに手術を施してもらって助かる)
その後、夫は目が見えなくなっていきプリスカは耳が聞こえなくなる(これは老衰?後述・薬の副作用?)
徐々に老いていく二人。
寄り添いながら…
「今、ここの場所がいい」
※Memo2
●脱出手段
元の道を引き返すと身体が対応できずに気絶してしまう。
周囲を岸壁。登ってくが、やはり上に行くに従って身体が順応できず15歳になったチャールズの娘は落下してしまう。
海からの脱出。波が荒いが泳ぎが得意だということでジャリンが試みるが同じ結果に…
●6歳から中年(24時間で48歳なので、丸一日経っていないとして40歳前後?)を体験するガイとプリスカ夫妻の子供、トレントとマドックス。
到着時に知り合ったホテルマネージャーの甥っ子(ん?!甥っ子?)から、もらった暗号が脱出のヒントに。
「叔父さんは珊瑚礁が嫌い」
(マドックスが思いついていた金属で身体全体を覆えばビーチと外界との耐性が緩むはず)
珊瑚を潜っていけば…
●やがて判明する製薬会社による治験会場としてのビーチの意味。
確かに新薬の治験に必要な時間は何年もの年数がかかるが、このビーチでは二日間でほとんどの人が亡くなってしまう。まさにうってつけな訳だ。
(ウェルカムドリンクが新薬)
時折、山の上に見えていたのは製薬会社の監視者(シャマラン監督、オイシイ役)
●どんでん返し云々がずっと言われ続けるシャマラン監督だが実際は、そんなに驚くような「ちゃぶ台返し」や「オチ」がある作品ばかりではなく、ほとんどが途中の見せ方に魅力がある。
本作は、そう言った意味でも正攻法の語り口で飽きずにラストまで見られて面白かった。
●(何故?このようなビーチが…については、まあ、そういう場所があったというぐらいで良いと思う。何でもかんでも説明付き過ぎると理詰めになりかねないので)
磁場がテロメアに直接作用、とかいろいろ理由は作れそうですけど。
※Memo3
●スプリット、ミスターガラスに続いてFilmographによるタイトルデザイン(Main Title Sequence & Main on End Title Sequence)。文字によるモーショングラフィック・タイトルシークエンスが最近のシャマラン傾向。
他の監督作品に先日公開「プロミシング・ヤング・ウーマン」やジェームズ・ワン監督関連多数。
タイトル部分の動画あり
http://www.filmograph.tv/project/old
●撮影監督もスプリット、ミスターガラスに引き続きマイク・ジオラキス。「イット・フォローズ」「アス」なども。こちらもシャマラン監督に合ったルック。顔の撮り方がよいなぁ。あとスコープサイズの使い方。
●『DVD&動画配信でーた』シャマラン監督・興収&批評&自己愛の変遷グラフが「いつみても波乱万丈」みたいだ。
●シャマラン監督twitterをたどると2020年9月27日が撮影ファーストショットの日になっている。それから考えると1年足らずでポスプロ含め、完成させているのだから結構早いかも。
●マーロンブランドとジャックニコルソンが出ていた映画。判った人はスクリーンに向かって、それ「ミズーリブレイク」やー、って呟いたと思う。(タイトルの意味がミズーリ川流域のエリアを指しているので、ビーチと関連してチャールズが記憶の底から思い出したのかも?)
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