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2021-10-21

『最後の決闘裁判(The Last Duel)』リドリー・スコット監督、マット・デイモン、アダム・ドライバー、ジョディ・カマー、ベン・アフレック、他

最後の決闘裁判
The Last Duel

監督 : リドリースコット
脚本 : ニコール・ホロフセナー
ベン・アフレック
マット・デイモン
出演 : マット・デイモン
アダム・ドライバー
ジョディ・カマー
ベン・アフレック

Duel

Memo1
各章タイトルカードの出し方(見せ方)が(ある意味)答え。
(10月16日にtwitterへの短評ポストに掲載)
しかも「羅生門」的骨格を利用した「藪の中」ではない現代に問う物語。
巧妙に編まれた脚本。
完璧なキャスティング。
とりわけマルグリットを演じたジョディ・カマーが素晴らしい。
各章、自分の証言部分含め表情、台詞の言い回し、立ち位置、レイプシーンでのル・グリが押し入ってからの明らかに違う動線(2章、3章)を全てを演じ分けている。
冒頭、手伝ってもらいながら着替えているマルグリット。
観客はここでは何が描かれているのかが、わからない。
連れられて台上にあげられる。
そこで初めてタイトルの決闘裁判が行われる場所だということが判明し各章へと移る。
導入部分として凄い。
さらに各章の時間配分がダレることがないようにスピードが上がっていく構成も見事だ。
ジョディ・カマー次回作は再びリドリー・スコット監督。
アナウンスされているリドリースコット監督5本の予定作中の1本、ホアキン・フェニックスがナポレオンを演じる『Kitbag』と、いうことはジョゼフィーヌ役(これは、見たい)
先に記したタイトルカード(第1章、第2章、とそれぞれの物語、或いは言い分。第3章のみ「真実」が画面上に残り、ある意味これが「本当の証言」と強調している。)
ネタバレとは言わないが、見る人それぞれの「発見」の楽しみを奪うかもしれないので鉤括弧付きで(ある意味)と書いたのは本作が「真実」を追求する物語ではないからだ。
暴行は行われたし、3人の人物像もそのままだと思う。
今も変わらぬ男性社会、家父長制に対してのあえて声高ではないように編まれた、しかし確実に心に残る、突き刺さるメッセージ。
当時(14世紀)は、というより夫であるジャン・ド・カルージュの妻、女性に対しての「モノ・所有物」扱いも酷い。勝者となったのち「まるで見世物のように」マルグリットの手を挙げ群衆に晒し者のように引き廻すのだから…
(同じように友人や周囲の人々の裏切り、陰口、事勿れ主義も)

疑問 : ジャン・ド・カルージュの母親がマルグリットをひとりだけ置いて出かけたのは、何か理由があったのか?(ただの嫌がらせだとは思うけれど、ついつい、ル・グリとグル?申し合わせ?とか思ってしまう)
(参考原作、未読なのでこの辺りが書かれているかは不明。見当違い甚だしいかも、です)

Duel2

(下記、キネ旬記事より)
1幕と2幕をマット・デイモンとベン・アフレック、3幕を女性の観点からということでニコール・ホロフセナー、と分けて書かれたことも成功の要因だろうなぁ。
それにしても脚本、6週間で書き上げたとは。
キネ旬11月上旬特別号にリドリー・スコット×ジョディ・カマー、ニコール・ホロフセナー×マット・デイモン×ベン・アフレック 脚本家インタビューと作品評(大森さわこ)
パンフレットがないだけに貴重。(敬称略)
このインタビューの締めくくりのベンアフレックの言葉。
「3幕とも描かれているのは明らかにレイプなんだ。何が違うかというとル・グリに取っては、それがレイプだという認識がない、ということ〜中略〜これは反騎士道的な物語なんだ。」

Memo2
タイトルデザイン(Main & End titles)は Matt Curtis
音楽のハリー・グレッグソン=ウィリアムズ。あまり聞き覚えがないので調べてみると「メタルギアソリッド」シリーズへの共同参加。リドリー・スコット監督とは「プロメテウス」「オデッセイ」ベン・アフレックの監督作品「ザ・タウン」「夜に生きる」も。
『プロメテウス』から次回作『ハウス・オブ・グッチ』まで全てダリウス・ウォルスキーによる撮影。リドリー・スコット監督は決まった撮影監督を得たことによってイメージにあったシーンを作れるようになったのかも。
(本作からの初4K撮影着手も)
「ここは広角で」「ダイナミックさが肝心」指示を出し、マーカーで絵コンテを描くリドリー・スコット監督。
メイキング映像。
https://www.youtube.com/watch?v=ckAWcnthAnE






 

 



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