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2021-10-02

『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(No Time to Die)』キャリー・ジョージ・フクナガ監督、ダニエル・クレイグ、レア・セドゥ、ベン・ウィショー、アナ・デ・アルマス、ラミ・マレック、レイフ・ファインズ、他

007/ノー・タイム・トゥ・ダイ
007/No Time to Die

監督 : キャリー・ジョージ・フクナガ
出演 : 
ダニエル・クレイグ
ラミ・マレック
レア・セドゥ
ラシャーナ・リンチ
ベン・ウィショー
アナ・デ・アルマス
ナオミ・ハリス
ジェフリー・ライト
クリストフ・ヴァルツ
レイフ・ファインズ


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Memo1
最後のダニエル・クレイグによるジェーム・ズボンド。
今までシリーズとして演じるものが変わっても決して死ぬことはなかったボンドの死。(原作小説で行方不明のまま、のような記載もあったが)
全体を覆ったテーマ。
台詞でも出てくる。
「後ろを気にしている」
「過去に追われている」
長いアヴァン。
マドレーヌとのイタリア、マテーラでの蜜月とヴェスパーへの別れ。爆発。
「過去からは逃れられない」

新しい007となったノーミと「この台詞」
「00…?」
(エージェントNoを聞くボンド)
「007」
「永久欠番だと思ってた?」
「ただの数字だ」
アナ・デ・アルマス演じる新米CIAエージェント、パロマ。
飲んで撃ちまくり蹴りまくる暴れっぷりが楽しい。
おっ?!今回はこの「陽」の展開で、と期待していたら標的であるロシア科学者オブルチェフ救出し終えたらジャマイカ・キューバシークエンスは終わり。
「私はここまで」
ドアをバタンと閉めたら本当に終わった。
確実に必要な技術でボンドとMI6をサポートし続ける「Q」例によって巻き込まれつつ「しようがないなぁ」と楽しんでいるように見えるベン・ウィショーは最高だ。
(パロマの「新米はつらいよ・エージェントパロマの長い1日」みたいなスピンオフも有りだが「Q」も面白いスピンオフ、可能なのでは?)
いろいろラストだがジェフリー・ライトが演じてきたCIA局員フェリックス・ライター。(カジノロワイヤルから本作まで)とも本作でお別れ。シガーのことも描かれる。(亡くなることが判っていたら…もう一回、ジャマイカでのやり取り見る)
ボンドがイタリアで襲われたのはマドレーヌの裏切りと勘違いしての、列車での別れ。マドレーヌがそっとお腹をおさえるシーンがあったので、もしや?と思ったら、その通りの展開だった。
やはりヴィランが弱い。
これは007シリーズ、いつものことのように思う。スペクターと本作でのブロフェルド、サフィン。「スペクター」の時も思ったがシルエットで浮かんだブロフェルドの小物感は「う〜ん」と首を捻ったし、サフィンは能面を付けた異形感からか、まだマシな気もした。あと、マドレーヌを助けたこととマドレーヌの娘をあっさり逃したことの心境繋がりがもう少し判りやすければ、とも。

人間味溢れるボンドを描いてきたクレイグ版。
ファミリーを手に入れる。
(朝食の林檎をむく場面。あとで思うと最後の家族が揃ったシーン)
そして、ラストでは死。
過去作からすると「禁じ手」とも言える全てを包み込んで終幕。
これは「イアン・フレミング原作、ダニエル・クレイグによるジェームズ・ボンド」5作品の完結であって、エンドクレジット後に出る「ジェームズ・ボンドは帰ってくる」がシリーズの立ち位置だと思う。
ジェイソン・ボーンやミッション・インポッシブルがシリーズで上映されている時代のボンド。
いつの時代も、その時々の時流(カンフーとか宇宙とかネーミングとか)や社会背景を飲み込んで映画化されてきていることを思うと至極まっとうな有り様だったと思う。
ひとつのシリーズとして完璧なエンディング。


ナノボットは実際にガン治療などへの期待が寄せられている合成テクノロジー技術。分子・原子・DNAレベルでの物質再構築が可能。これは、言うならば「何でもつくれる」ことになったと言える究極の技術。故に本作のように究極の兵器に転用されてしまうこともあり得る。それによって、ラスト。ボンドはサフィンが「これはマドレーヌへの保険」と手にしていたキーホルダーに仕込まれたナノボットの液体を格闘の最中、割って体に浴びてしまうこととなる。
確かに、二度とマドレーヌと娘に合わなければ彼女へナノボット液体は転写されないが、それより選んだ道は全てを終わらせること。地球上に、この兵器を残さないこと。そしてマドレーヌと自分の娘に”過去から追われること”がないように、と。

「ブルーの瞳よ」
「知ってる」



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Memo2
爆発で耳がキーン。
これは音に対して。一瞬、衝撃で聞こえなくなりボンドの声もくぐもって聴こえる効果。
Dolby Atmos、綺麗に分離して聴こえた。
これ、フォーマットによっていろいろ変わるのかなぁ。
(『ソーシャルネットワーク』クラブシーンで大きく唸る音楽とテーブルで交わす会話がはっきり聴こえた分離以来かも)
タイトルデザインはダニエル・クライマン(Daniel Kleinman)
007初期作品から有名なタイトルシークエンスを創り上げてきたソール・バスと列ぶ大御所、モーリス・ビンダーから引き継いだシリーズも本作で8作品目。
こちらはRATTLING STICK.スタジオサイト。
前作「スペクター」までのタイトルシークエンス動画あり(その他作品含む)
https://www.rattlingstick.com/film-tv/


追記 : キャリー・ジョージ・フクナガってエマ・ストーン、ジョナ・ヒル『マニアック』 の監督って、今気づいた。
21世紀の「カッコーの巣の上で」みたいで瞑想しながら迷走しててよかったけどなぁ。本作のちょっとバラけた感じは、ここからかも。







 

 

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