2021-03-15

『すばらしき世界(Under the Open Sky)』西川美和監督、役所広司、仲野太賀、長澤まさみ、他

すばらしき世界
Under the Open Sky

各シーンに触れています。(文章内・敬称略)

監督・脚本 : 西川美和

役所広司(三上正夫)
仲野太賀(津乃田龍太郎)
長澤まさみ(吉澤遥)
六角精児(松本良介)
北村有起哉(井口久俊)
白竜(下稲葉明雅)
キムラ緑子(下稲葉マス子)
安田成美(西尾久美子)
梶芽衣子(庄司敦子)
橋爪功(庄司勉)

Wonderful
Memo1
生きにくさ、不寛容、閉塞感。そんな押しつぶされそうな空気は普通に生活していても、大多数の人が胸が痛くなる息苦しさを感じる。まして三上にとってこの社会は馴染みづらく居場所が見つけられない場所でもある。
生活保護などを受けて暮らすことは三上にとっては、ある意味恥じ入ることだと思っている。
血の気が多いのか暴力を振るった瞬間だけ生き生きしてしまう。しかし根は普通の人たちよりも正義感が強く生真面目なだけなのだ。それが自分を律しようとすればするほど裏目に出てしまう。
そんな三上の人間味に周囲の人たちは微力ながらも支えていこうとする。その描き方が静けさとユーモアと丁寧なシーンの積み重ねで綴られている。
プロデューサー吉澤の押しによって、なんとも気乗りして参加したわけではなくドキュメンタリー撮影を行っていく津乃田だが、いつの間にか三上の人間力とでもいうべき魅力に惹かれていき、カメラを捨てやめてしまう。これは同時に観客側である我々の視点も津乃田と同じところに移り、このまま何も起こらずに平和に終わってほしいと願いながら見ることとなる。
(鋏のシーンはスピルバーグ監督『カラーパープル』髭剃りシーンと並ぶドキドキシーンだった)
自分が正しいことでも我慢すること、周りの支えてくれている人たちの顔が浮かんだのだろうか。
強い風が吹いている。嵐が近い。
全体的にアップが多いような気がして、後でいろいろ読んだり見たりしてわかったことは、あまりに役所広司の演技が素晴らしすぎて自然と多くなったようだ。編集の時にはもっと多かったようなので、それほど際立っていたということなのだろう。もっとも、このことによって突然の空撮とエンディングのクレーンショットが印象に残ることとなった。
タイトルが最初ではなくラストに置き換えられている。
そのこととラストシーンとの関係性を、ふと感じる。
三上が香りをかぐコスモス。
立ち尽くす5人。
カメラがゆっくりと見下ろす形で上がっていく。

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Memo2
大寿美トモエさんデザインによる100ページ厚パンフレット!
鑑賞後、なんとも言えない主人公に対してのまなざし(演出側、観客側)に対して「これはシナリオ読みたいなぁ」と思っていたら決定稿が丸々掲載されていて嬉しい!
パンフレット掲載の決定稿。
シーン119と120が本編ではカット(87、88と対になっている)。
他にもいくつかあり。シーン18あたりは身元引き受け人・夫妻の印象、ちょっと変わってたかも。
こういったことが後から確認できるのもシナリオ付きパンフのお楽しみ面白み。
写真が趣味という中野大河
パンフレット56ページに、その中野大河撮影による役所公司、安田成美の素敵なツーショットが。
西川美和による著書『スクリーンが待っている』
ほぼ大半を占める本作の制作過程。
最も最近の「夜明け前」撮影の笠松さんと役所広司さん、監督との映画談義が楽しい!ジョーカー、タクシードライバー、キングコング対ゴジラ、帝国の逆襲…
そして最後はこう締めくくられている。
「最良の時が、最後の時だ。次はまた、もっとすばらしき世界が待っている。」
幻の母親役となった八千草薫さんのこと、日本でのロケ撮影のこと、役所広司さんとシナリオと対峙しての言い回しのこと、など。『すばらしき世界』出来上がった映画の裏側で繰り広げられた出来事の数々。
役所さんの帯コメント通り「映画作りの教則本です」

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Memo3
動画1
役所広司は切り札(ジョーカー)だ
映画『すばらしき世界』西川美和監督インタビュー
(インタビュー部分、約7分プラス予告編)
https://www.youtube.com/watch?v=HHJyQIUryz4
動画2
本編映像
パンフレットに掲載されているシナリオ決定稿中
シーン59(途中)から60(こちらも途中まで)
https://www.youtube.com/watch?v=Smi_jmYE_CY







 

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2021-02-26

映画チラシあれこれ『映画広告図案士 檜垣紀六 洋画デザインの軌跡』のこと、他

映画広告図案士 檜垣紀六 洋画デザインの軌跡』と持っているチラシとで答え合わせ(とは言わないか)。
600作品中、200〜300作品ぐらい。
70年代のものは館名後刷りトンボ付きが多くセンター束のような状態。
それにしても凄い量と質だ。ますます畏敬の念。
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まもなくデジタルリマスター版が上映される『マンディンゴ(Mandingo)』公開時のチラシ(檜垣紀六氏デザイン)
続編『ドラム(DRUM)』未使用前売り券。
それぞれリチャード・フライシャー監督スティーヴ・カーヴァー監督
原作は2作品ともカイル・オンストット。
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ここからはデザイナーは別ですが、相対的に珍しい映画チラシを順次アップ予定。
初見チラシ劇場ブログ版_1
ノスタルジア
アンドレイ・タルコフスキー監督
於 : 梅田コマ・シルバー
旧・梅田コマ劇場併設の映画館。1Fはコマ・シルバー、地下にコマ・ゴールド。
タルコフスキー監督作品を一般の映画館で見たのは初めて。
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こちらは『ストーカー』
旧・フェスティバルホールでの限定公開。
(3000名近い収容のホールというあたりが凄いですが)
Cta
『惑星ソラリス』『鏡』は、そのフェスティバルホール地下にあったSABホール(名称はリサイタルホールに変更、600名収容)





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2021-02-24

道頓堀・松竹座と映画広告デザインの源流

Pen 2004年 No.139
名作がいっぱい 映画のデザイン
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大正12年オープンした大阪・松竹座で独自に配布されていた「松竹座ニュース」は当時、図案家と呼ばれていたデザイナー達による才能発揮の場として機能し、まさに「映画広告の源流」だ。
なかでも山田伸吉による大阪・松竹座封切りの映画ポスターは日本の近代デザインを語る展覧会にはほぼ必ずと言ってよいほど出品されている。
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『芝居画家 山田伸吉の世界 - 関西大学』
33ページの図録がPDFとしてダウンロード可
https://www.kansai-u.ac.jp/Museum/osaka-toshi/img/publication/catalog121201.pdf

こちらの論文(図版あり)のキネマ文字項目はまさに映画広告の源流を知ることができて素晴らしい。
https://ir.library.osaka-u.ac.jp/repo/ouka/all/53312/jjsd37_015.pdf

以下抜粋
「その当時、社会的地位は別として大阪には神戸で見られない華やかな図案家の存在があった。そのトップは松竹座美術部の山田伸吉であった。全国に行きわたった映画広告独特のレタリングは、そのオリジナルが彼の創案によるものであった」

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国立映画アーカイブのNFAJ Digital Gallery 第3回〜10回で北野劇場や道頓堀・松竹座、他の戦前前期の写真を見ることができます。もちろん東京や京都などもリンクを辿って見ることができます。
https://www.nfaj.go.jp/onlineservice/digital-gallery/dg20140906_008/
東京・帝国劇場も大阪・松竹座もお披露目作品がエルンスト・ルビッチ作品!


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2016-12-29

『ヒッチコック/トリュフォー(Hitchcock/Truffaut)』ケント・ジョーンズ監督、マーティン・スコセッシ、デヴィッド・フィンチャー、黒沢清、他監督多数

ヒッチコック/トリュフォー
Hitchcock/Truffaut

監督 : ケント・ジョーンズ
出演 : マーティン・スコセッシ
デヴィッド・フィンチャー
アルノー・デプレシャン
ウェス・アンダーソン、黒沢清
ウェス・アンダーソン
ジェームズ・グレイ
オリヴィエ・アサイヤス
リチャード・リンクレイター
ピーター・ボグダノヴィッチ
ポール・シュレイダー

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堪能した!
(そして短い!延々と見ていられる。もし完全版なるものが存在するならば、是非Blue Ray化などの際に出してほしい!)
そして、これは世にも珍しい『映画術』という本(名著)についの考察およびメイキング(この場合メイキングと呼ぶのはおかしいけれど…)
ポール・シュレイダー監督がマーティン・スコセッシ監督と一緒に見たと語っていた『めまい』
(当時はビデオもなく、ましてや上映されることもなかったので海賊版の16ミリフィルムをくいいるように見たとも)
ビデオが無い→つまりは映画館にかけられた時にしか見られない!→「映画術」掲載の『サイコ』シャワーシーン連続写真や『知りすぎた男』のカット写真、『鳥』絵コンテなどの貴重なこと貴重なこと。
パンフレットに滝本誠氏が書かれていたけれども、ヒッチコックとトリュフォーの生々しい声(合間に漏れた喘ぎ声のようなものなど)が本作の、まさに貴重なる肝だと思える。
ラストの記念撮影のやり取りなどもボツになったコマ部分も見せつつ、とても面白い。
ヒッチコック作品、ロードショー公開時にリアルタイムで見られたのは『ファミリー・プロット』が最初にして最後。
(現在のTOHOシネマズ梅田の地に、かつて華々しく構えられていた旧・北野劇場で)
あと、当時はヒッチコック側(ヒッチコック財団)が権利を保有していて公開されていなかったカラー5作品(『めまい』『裏窓』『知りすぎた男』『ロープ』『ハリーの災難』)が見たくても見られない渇望状態だったので1984年にヒッチコックフェスティバルと銘打たれて公開されたときは小躍り状態だった、と記憶(それは世界的なことで本編中スコセッシ監督が海賊版と思しき状態で見た話を語っている通り『めまい』などは本当に幻。
小林信彦さんのコラムを遡って読むと『サイコ』や『北北西に進路を取れ』『鳥』などの当時のリアルタイムな世評、状況なども含めて垣間見ることができる。

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いくつかの興味深いリンク
(2016年12月時点でのリンク切れ無し確認)
淀川長治 解説 "めまい"(動画)
https://youtu.be/pKakG8WAFR0
黒沢清監督「映画の全てが込められている」
『ヒッチコック/トリュフォー』トークショー
(動画)
(於 : Tokyo International Film Festival)
https://youtu.be/fDJQSX1-lcs
映画『ヒッチコック/トリュフォー』
K・ジョーンズ監督が選ぶ、自分に影響を与えた映画5本
http://rollingstonejapan.com/articles/detail/27280

映画『ヒッチコック/トリュフォー』公式サイト
http://hitchcocktruffaut-movie.com/

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2016-06-09

"映画の生き死には宣伝次第よ" 淀川長治さんの映画広告

21世紀の淀川長治
(キネマ旬報社・刊)

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「映画へとひとびとを誘う言葉」と思いが詰まった一冊。
「淀川長治自伝」の「終回」から幕を開ける本書。
(その冒頭部分を引用)
"チャップリンは亡くなったのに映画はある。ジョン・フォードは亡くなったのに映画はある。ヴィスコンティの映画もルノアールの映画も永遠であろう。映画は残る。これは小説も絵画も同じこと。この世に何かを残すということはどれほど偉大なことか。"
シャブロル、ブレッソンから『荒野の一ドル銀貨』成瀬・川島両監督による『夜の流れ』などなど淀川さん口調で声まで聞こえてきそうな映画批評や監督論の数々。きっちりと批判したものも採録されていて初めて読まれる方はドキリとするのでは?
(とはいえ、あるのは映画を愛する心。P60わが映画批評の立脚点を読めば、その指針もうかがうる)
巻末には『キネマ旬報』ベスト・テン他が表だけではなくコメントも(←これは嬉しい!)そのまま採録されています。
カラーページに"淀川長治がつくった広告"といったコーナーが。
ハサミコミと呼ばれるキネマ旬報本誌に綴じこまれた広告を淀川さん自身によるレタリング、レイアウトで作られた話が語られています。
(図版は「駅馬車」「デッドエンド」「牧童と貴婦人」「ゼンダ城の虜」)
※確かキネマ旬報には1970年代中頃までチラシ自体を挟みこんで発刊されていたと記憶する。
そこで思い出したのが今から27年前に広告批評で特集された、この号。

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広告批評』1989年5月号
特集・淀川長治ワンマンショー
43ページにおよぶ大特集。
(本誌自体が130ページなのだから、これは本当に大特集でした)
聞き手に川本三郎さん、島森路子さんをむかえてのインタビューを軸に構成。
第1部・どうしておしゃべりになったか
第2部・こんなふうに生きてきた
第3部・私の美意識
そして<付録>と記された映画広告にもの申す。
こちらには図版として他の著書でも見た記憶があるユナイト宣伝部時代に作られた有名な『駅馬車』の雑誌広告が。
他にはキャストやスタッフなど何も入れず、ただひとこと「駅馬車来る!」
当時としては画期的な広告。

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淀川長治のひとこと広告批評
(前年に公開された作品の中から選ばれたもの)
それぞれにコメントがつけられている。
続くインタビューページ。
(多分、ここで初めて読んだ知らなかった話←島森さんも、はじめて聞いたと答えています)
"角川春樹さんに、僕、呼ばれたの。あの人が映画を始めるときに。「一体なんですか」って言ったら「映画を大事に売りたい、商売したい。どうしたらいいでしょうか」って質問された。「映画の生き死には広告です」って、僕、答えたの。「宣伝しない映画は、絶対に当たりません。映画の第一は宣伝です。あらゆる方法で、見せるなり聞かせるなり、どんどん自信を持っておやりなさい」。春樹さん、一生懸命聞いてたよ。で、宣伝に力を入れられたね。"
(映画の生き死には宣伝次第よ、より抜粋)
この後に、ちゃんと「で、広告負けしたの〜(中略)〜やりすぎちゃったの。」とピシャリと言い切るあたりにも、驚く。(さらには東和の話、セルズニックの話もかぶせているので、ただの苦言でないこともわかる)
※他にも初出だと思われる話がいくつも。どちらかの著書におさめられているのかは未確認です。

追記
『21世紀の淀川長治』読み進めていくと(と、いうか、すぐに数箇所)やたらと誤字が多いなぁと思っていたら下記、告知が記載されていました。
キネマ旬報ムック『キネマ旬報コレクション 21世紀の淀川長治』をご購入のお客様へ お詫びと商品交換のお知らせ
http://www.kinejun.com/book//tabid/95/Default.aspx?ItemId=588


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2013-12-12

小津安二郎監督 生誕 110年(没後50年)

2013年12月12日
「google」トップロゴが「小津安二郎監督 生誕 110年(没後50年)」にあわせてスペシャルロゴに。「東京物語」の終盤、義理の父・平山周吉(笠智衆)と戦死した二男の妻、紀子(原節子)、尾道でのシーン。

小津監督作品は70年代には、あまりよくわからず(洋画ばかり見ていたこともあり)全く見る機会がなく80年代に入ってレーザーディスクで鑑賞したのが最初(当時、ハリウッドメジャー作品はほとんどディスク化されず20世紀FOXのみが出ていたぐらい。何故か小津作品がLD化されていた←VHDという別システムはCIC配給系洋画が出ていて熾烈なる争いが始まっていた)
その小津作品初見時もピンとこなかったのもご多分にもれず。
のちにフィルムで特集上映(原節子出演作品として)であらためて見た時に「何っ、これ…。」とただならぬ美意識に衝撃を受けました(ある年齢を過ぎると急に感じいるところが多くなるというのも小津作品の不思議であり魅力だなぁ、と思います)。

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(ハスミン関連書籍以外では)定番の2冊「小津安二郎の美学」「小津安二郎を読む」と今から20年前の没後30年の区切りに出た浜野保樹著「小津安二郎」(この本はサイズのこともさることながら、その時点で初めて知るエピソードなども数多く掲載されていてすごく参考になりました)

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Ozu4

80年代後半から急速に高まってきた小津監督評価に伴って特集上映などが頻繁に行われるようになってきた際のチラシなど。
(「静」の文字が書かれているものはレーザーディスク発売10周年のLD-BOXセット、片面60分しか収録できないので17枚組29面でした)
左側チラシは今年(2013年)宝塚シネピピアで開かれた特集上映。松竹の小津監督が宝塚映画に出向して撮った作品「小早川家の秋」の一場面。

小津安二郎 生誕 110年
http://www.shochiku.co.jp/ozu/
小津安二郎の図像学
http://www.momat.go.jp/FC/ozu2013/

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2010-11-21

小林信彦 『映画が目にしみる 増補完全版』

小林信彦・著 『映画が目にしみる 増補完全版』(文春文庫)
2006年12月に刊行された単行本に未収録だったものを加え(映画のみに絞り)、さらに「あとがき+小さなコラム」をプラスして文庫化(82本追加)。全体を通して最も多く書かれているのはクリント・イーストウッドでしょうか(あ、実際はニコール・キッドマンかも)。小さなコラムには「硫黄島2部作」以降の3作品『チェンジリング』『グラン・トリノ』『インビクタス/負けざる者たち』について記載。
小林信彦による「コラムは○○○」のシリーズは、あとがきにある通り『コラムにご用心』『コラムの冒険』『コラムは誘う』『コラムの逆襲』『映画が目にしみる』と続いていますが、それより以前に『コラムは歌う』『コラムは踊る』(何れも文庫化の際のタイトル)も刊行されています。現在入手できないので是非、まとめて再発してほしいものです。
ちなみに『コラムは歌う』は1960年~1963年、『コラムは踊る』は1977年~1981年と約10年間の空白部分があります(ここの部分も他に書かれてきたエッセイなどで補完していただいて1960年~2007年初めまでを展観する一大映画コラムクロニクルができるのでは?と、少し期待と妄想)

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2010-09-02

映画本3冊 >> ウディ・アレンの映画術、パワー・オブ・フィルム~名画の法則~、英国コメディ映画の黄金時代

ウディ・アレンの映画術
エリック・ラックス/著 井上一馬/訳
654P
36年間の折々に行なわれたウディ・アレンへのインタビューを収録。年代順ではなくアイデア、脚本、監督業、キャスティング、撮影、音楽、そして映画人生、と、それぞれの項目ごとに掲載されています。監督デビュー前から『ウディ・アレンの夢と犯罪』まで。初めて知るエピソードも多い。アレンファン必携!

パワー・オブ・フィルム~名画の法則~

ハワード・スーバー著
415P
UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)フィルムスクールにて、40年以上にわたり講義を行ってきたきたハワード・スーバー教授。その伝説の講義『フィルムストラクチャー(映画の構造)』をまとめた書籍『THE POWER OF FILM』の待望の邦訳。各項目がアルファベット順に掲載。

映画の話法に関するハワード・スーバーの賢明かつ、自由な見解が、本書のページを埋め尽くしている。多くは驚くべきことに「皆が知っている」内容と正反対である。素晴らしい1冊だ。フランシス・フォード・コッポラ(「ゴッドファーザー」ほか監督、脚本)

英国コメディ映画の黄金時代
『マダムと泥棒』を生んだイーリング撮影所

チャールズ・バー /著 宮本高晴 /訳
392P
数々の傑出した英国コメディを生み出した天才プロデューサー、マイケル・バルコンが主宰のイーリング撮影所。その黎明期から衰退までを製作された映画と共にたどる。『マダムと泥棒』ホント傑作です!!

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2010-03-31

山田宏一・和田誠「ヒッチコックに進路を取れ」

昨年、山田宏一・和田誠著「ヒッチコックに進路を取れ」が出て以来、本文で語られているお2人の会話があまりに楽しくて改めて未見のものも含めてヒッチコック監督の映画をDVDで再見中。で、読んでいて楽しいのは、ヒッチコック作品以外にも出てくる他の作品の多いこと多いこと。例えば「スミス夫妻」の項で語られるスクリューボール・コメディの数々。エルンスト・ルビッチ、フランク・キャプラ、レオ・マッケリー、プレストン・スタージェスの話題やキャロル・ロンバートの事など観たもの未見のもの含めて百花繚乱。とてもワクワクする。本文の構成はアメリカ時代の30本プラスヒッチコック劇場、イギリス時代の作品に分かれています。アメリカ時代の部分はかつてのLD(レーザーディスク)の解説が元で、イギリス時代は新たに主要な作品の論評が追加されています。さらに巻末には「ヒッチコックとその周辺」というヒッチコックにまつわる話題を語った対談も。ヒッチコック鑑賞後の最大のお楽しみ本!オススメ!

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2009-09-25

映画宣伝デザイン・大島依提亜さんの特集記事

前述の「たゆたゆと、ゆったりとプール」で書いた大島依提亜さんの特集が「デザインノート」の最新号で特集されています。
特にパンフレットは前述の「かもめ食堂」の旅行カバン、「めがね」のブックレット形、「プール」の中抜きプール(ブルーが綺麗)がすべて掲載されていますよ(制作メイキング付)。
もちろん大島さんの傑作パンフレットが多いウディ・アレンも多数(「メリンダとメリンダ」「さよなら、さよならハリウッド」「僕のニューヨークライフ」)
絵本のような版型、表紙の型抜きの印象的な「パンズ・ラビリンス」も。

関連カテゴリー・映画宣伝ツール
https://color-of-cinema.cocolog-nifty.com/blog/cat3685046/index.html

さよなら、さよならハリウッド [DVD]メリンダとメリンダ [DVD]僕のニューヨークライフ [DVD]

 

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