2017-10-17

『デンジャラス・デイズ : メイキング・オブ・ブレードランナー(Dangerous Days: Making Blade Runner)』と粗編集版(ワークプリント)を含む5つの『ブレードランナー』

注・デッカードはレプリカントなのか?の問いに答えるリドリー・スコット監督のインタビュー部分などに触れています。

デンジャラス・デイズ
メイキング・オブ・ブレードランナー
Dangerous Days: Making Blade Runner

2007年「ファイナル・カット」公開に合わせて発売された『ブレードランナー』25周年記念版BOX(DVD)に入っていた(現在も収録されているセットあり)3時間34分に及ぶIMDbでも高評価なメイキング作品の傑作!

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Memo1
BOXに収録された5つの『ブレードランナー
『粗編集版(ワークプリント)』
『アメリカ劇場公開版』(1982)
『インターナショナル・バージョン(完全版)』(1982)
『ディレクターズ・カット(最終版)』(1992)
『ファイナル・カット』(2007)
『粗編集版(ワークプリント)』(110min)はエンドクレジットなし。
デッカードとレイチェルがエレベーターに乗ってドアが閉まると共にTHE ENDの文字。上映が終わった瞬間、リドリー・スコット監督は「素晴らしい」と声を上げたが周囲は「エッ?!…」といった戸惑いの様相だったと語っている。
しかし、一番最初のこのバージョンの時点で既にのちの「ファイナル・カット」となる完成形はできていたのだ。
その後、追加撮影や新たに加えられることとなるナレーション(ハリソン・フォードによるボイスオーバー)収録なども見ることができる。
以下、いくつかのインタビュー部分より抜粋。
「10万ドルのネオンを作る予定だった。結局彼らは『ワン・フロム・ザ・ハート』のネオンを譲ってもらい撮影した。"お下がり"に見えないように工夫してね」
デッカードはレプリカントなのか?の問いにリドリー・スコット監督が。
ラストに触れて。
「ユニコーンの折り紙だ」
「こうして手に取る」
「これで誰もが気づくだろう?」
彼の脳に移植された情報を知る者がいることに
ハリソン・フォード演じるデッカード衣装について。
「赤っぽいハリスツイードで下襟が小さいヘリンボーンジャケットだ」
「あのネクタイは今でも持っている」
「さほど奇抜ではないんだ。それが衣装のポイントだった」
「彼がひとつだけ出した条件は帽子をかぶらないことだった」
「彼は帽子を見ると機嫌を損ねた」
「前回の映画で帽子をかぶりすぎたから今回は帽子がないと助かると」
(↑前回の映画 笑)
他にも特典ディスクにセット内を歩きながらパーキングメーターのことを解説するシド・ミードなどが記録された初期のメイキング映像などもあり。
先日、地上波(朝日放送)で『ブレードランナー』が放送されました。流れたのはいわゆる最初に映画館でかかった『インターナショナル版』ボイスオーバー付き、ハッピーエンド、鳩が舞う空は青いバージョンでした。

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Memo2
制作会社名義のThe Ladd Companyのロゴ
『ブレードランナー(Blade Runner)』(1982)リサーチ用試写に使用された『粗編集版(ワークプリント)』ではおなじみの黒バックにグリーンのものではなく白地のものが使用されていた。
http://logos.wikia.com/wiki/The_Ladd_Company
『ブレードランナー』タイトルデザイン
Pacific Title and Art Studio
(動画)
http://www.artofthetitle.com/title/blade-runner/
(タイトルカード写真)
http://annyas.com/screenshots/updates/blade-runner-1982-ridley-scott/
劇場公開版、ファイナル・カットなど各バージョンによるシークエンス違い(エンディング、エフェクトなど)
Which "Blade Runner" Cut Should I Watch? A Visual Explainer.
https://www.youtube.com/watch?v=n70PtKIhitA

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2017-02-24

『ラ・ラ・ランド(La La Land)』デイミアン・チャゼル監督、ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、J・K・シモンズ、他

注・内容、台詞に触れています。
ラ・ラ・ランド
La La Land

監督 : デイミアン・チャゼル
出演 : ライアン・ゴズリング
エマ・ストーン
J・K・シモンズ
ジョン・レジェンド、他

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Memo1
"映画は女優で"という小林信彦先生の教えに従ってエマ・ストーンが出ているだけで無条件に見ている者にとっては、まあ、それだけで満足。
(その点から言うとウディ・アレン近作2作は"さらに倍")
"Audition"を歌うシーン、そしてエンドクレジット後半に流れる"City of Stars"エマ・ストーンによるハミングバージョン。
『ワン・フロム・ザ・ハート』想起した初期予告編やポスターからのイメージとはかなり違う。
ただ、後半、部屋がエメラルドグリーンの光に包まれ続けるシーン、特にエマ・ストーン顔アップシーンとテリー・ガーやフレデリック・フォレストに同じように照らされていた光が、やや被る(あとテリー・ガーが家を出て行くシーンの後ろ姿を捉えたショットと似たクレーン俯瞰ショットがいくつか)
ウディ・アレン『世界中がアイ・ラヴ・ユー』を"その年のベスト1"にあげていた淀川長治先生が、ある種対極にある『ラ・ラ・ランド』を見たら、どんな感想だったのだろう?ということを考えている。
(『世界中がアイ・ラヴ・ユー』パンフレットの溢れる喜びに満ちたレビューとか読むと特に)
さて、ラストの解釈についてはいろいろ分れるところ。
映画史変遷(一応、ミュージカル映画・画面フォーマット変遷史←『ザッツエンタテイメント』がモノクロの最初の『雨に唄えば』から始まるように)
SUMMITロゴスタンダードスクリーンサイズから、かつて『聖衣』初上映の際の突如、カーテンが横に開きシネマスコープに変わる部分の再現(PRESENTED BY CINEMASCOPEがモノクロからカラーに変わるところも同時に)
そしてアイリス・フェードイン&アウト
(ラストの"The End"の締め方。ここでパノラマという言葉も)
と、変遷史を見せた上でラスト"もうひとつのありえた世界"を描くシーンで使われたのが16mmによるホーム・ムービーというところが"あるひとつの解"として用意されている。(脚本にもわざわざ16mmという指定がある)
つまるところ"映画もまた夢の一種"なのである。
いま見ている実際の風景も、頭の中でイメージしている映像も、スクリーンに映される映画も、その映画の中で描かれる"ありえたかもしれない、もうひとつの世界のイメージも全ては地続きで繋がっている。
横尾忠則さんも映画にまつわる画集「画集・絵画の中の映画」の中で引用されていたが江戸川乱歩先生のこの言葉を痛烈に思いだす。
「現世は夢、夜の夢こそまこと」
"もうひとつのありえた世界"
最初の出会いでキス、バンドへの誘いを断り、ミアの一人芝居は大盛況、セブはフランスでジャズピアニストとしてライブ、そして結婚、生まれてきた子供の性別が男の子と全て現実とは真逆だと考えると、フランスで撮影する映画のオーディションにはミアは落ちたということになる。
(では、その後どのように女優として成功したのか、夫と知り合ったのかは分からないが、プロセスがどうであれ、二人とも夢は実現したこととなるラストは結構、好みの締めくくられ方)
『ラ・ラ・ランド』パンフレットで町山智浩氏が触れているエンディングについての監督へのインタビュー記事
(ここで監督による"一応のひとつの解"が語られている)
Damien Chazelle Reveals the Movie That Influenced La La Land’s Ending
http://www.vulture.com/2017/01/movie-that-inspired-la-la-lands-ending.html
クスっと笑えたシーン
「私の車の鍵も」
「車種は?」
「プリウス」
「どのプリウス?」
(いっぱい吊るされた同じキー←どれだけTOYOTAばかりやねん←関西弁)
「緑色のリボンの」(←この点もはキーカラー)
冒頭、高速道路ダンスシーンでセブの乗る車の後部座席にぎっしりと入ったカセットテープ収納ボックスがチラリ。
姉に「座るな」と言っていたホーギー・カーマイケルが座った椅子が実現したセブの店の入口入ったところに、しっかりと展示されていた。
映画館でミアがセブを探そうとスクリーンの前に立つシーン。
誰ひとり、ミアの方を向いていない(それどころか、何もないようにスクリーンを見ている。セブの横を通り過ぎるカットもある。)
少し奇妙なシーン。
(思えば次項目に書いた逆光ハイコントラスト映像も奇妙といえば奇妙)
IMAX含めTOHOフリーパス・フル活用で劇場を変えて(現時点で)7ヶ所で見たけれど、上映環境によって、これほど印象が変わる映画も珍しい。
タップの音も判別しにくい場合もある。
(ハイコントラストはラストの"もうひとつのありえたかもしれない世界"の16mmフィルムパートのためにわざとやっていると思うけれど輝度による差は大)
パーソナルカラーコーディネート的には色合い(ウォーム・クールトーン)がちぐはぐに見えていた衣装(特に前半戦)も輝度の高いスクリーンで超ハイコントラストが映えた状態だと全く印象が変わった!

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ロゴ、メインタイトル、Typography及びグラフィック周りを手がけたのはShine Studio
(おぉぉぉっ!!と唸ったトップロゴなど画像あり)
http://shinestudio.com/projects/la-la-land/
La La Land - Movie References
ロシュフォールの恋人たち』『ウェストサイド物語』『雨に唄えば』『バンドワゴン』『巴里のアメリカ人』『ブロードウェイメロディ』など本作がオマージュ(リスペクト)した該当ミュージカルとの比較シーン動画。
https://vimeo.com/200550228
AllCityによる『ラ・ラ・ランド』Theatrical Campaign
http://www.allcitymedia.com/case-studies/la-la-land
第89回アカデミー賞に『ラ・ラ・ランド』でノミネートされた衣装デザイナー > メアリー・ゾフレス(コーエン兄弟作品多数)によるスケッチが掲載された記事 > http://www.hollywoodreporter.com/news/la-la-land-costume-designer-explains-retro-realistic-look-film-951231
参照にする映画をサンタモニカのビデオ店で借りてきてフレーム画像を印刷した話やセバスチャン(ライアン・ゴズリング)の2トーンシューズのこと、ミア(エマ・ストーン)が昼間に着ている普段着衣装探しのことなど。(H&Mにも!)
(『バンドワゴン』『雨に唄えば』から『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
セバスチャンの2トーンシューズ)
La La Land Production Notes (PDFファイル54ページ)
エンドクレジットも全て掲載されています。
(動画、画像関連マテリアルは別リンク)。
http://www.lionsgatepublicity.com/uploads/assets/LA%20LA%20LAND%20NOTES%20FINAL%209.7.16.pdf
'La La Land': How to Shoot a Musical Number
"Someone in the Crowd"の撮影風景 (IndieWire記事)
http://www.indiewire.com/2017/02/la-la-land-damien-chazelle-emma-stone-musical-number-someone-in-the-crowd-watch-video-1201783573/
twitter版の方でリツイートしたコダック社のメールマガジンでも紹介されているとおり本作は35mmフィルム(一部16mm)で撮影されています。
PANAVISION社のホームベージにも
http://www.panavision.com/la-la-land-theaters
さまざまな映画・ドラマの「どこで撮影されたの?」なども紹介しているサイトに掲載された『ラ・ラ・ランド』ロケ場所。
http://www.atlasofwonders.com/2016/12/la-la-land-filming-locations.html

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IMAX上映館初日先着プレゼントとして用意されたポスタービジュアル

映画『ラ・ラ・ランド』公式サイト
http://gaga.ne.jp/lalaland/

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2017-02-11

"I want you to play the piano for me"『マリアンヌ(Allied)』ロバート・ゼメキス監督、ブラッド・ピット、マリオン・コティヤール、他

注・内容、台詞、ラストに触れています。
マリアンヌ
Allied

監督 : ロバート・ゼメキス
出演 : ブラッド・ピット
マリオン・コティヤール
リジー・キャプラン
マシュー・グッド
ジャレッド・ハリス、他

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Memo1
実写に戻り、全映画ジャンル網羅中のゼメキス監督。
(既にジャンルとしてはコメディ、SF、アドベンチャー、ドラマ、アニメ合成、シリアス、実話ものなどなど…)
ほどよいズーム、パン、カット割り…このゆとりある演出!
それにプラスして過去、未来の別時間(ある時はロックンロール誕生の瞬間、ある時は西部開拓時代、ある時はビートルズのいる時代、そして今回は第二次大戦中のカサブランカとロンドン)のその場所に連れていってくれるケレン味(砂漠のラブシーン、空襲のさなかの出産シーン)の溶けこみ具合(あ〜、映画見たァとニマニマしてしまいます)。
まさに二枚看板のスター映画。
ブラッド・ピットそしてマリオン・コティヤール
カサブランカパートでのふたり。
『カサブランカ』の変奏曲としてハンフリー・ボガードとイングリッド・バーグマンを思い起こしてしまう。
ラストが空軍の飛行場で、しかも上司である大佐が「彼が自らの手で射殺した。これは命令だ」と自殺であることを隠しマックスをかばう。
(一瞬『カサブランカ』のようにふたりを逃がすのか???とも思ったが、さすがにそこまでは)
さらに『カサブランカ』想起の…
どうしても妻がスパイだということを信じられないマックス。
無実であることの証明として弾けるはずだというピアノ。
(その曲がこちらも『カサブランカ』繋がりの"La Marseillaise")
その時の台詞
I want you to play the piano for me.
ロンドンパートの空襲シーン。
コニー・ウィリス『ブラック・アウト/オールクリア』でタイムトラベルした航時史学生が見た光景はこんな感じだったのでは?と思ったビジュアル。
カサブランカパートでのマリオン・コティヤールの視線、動作から醸しだされる誘惑度合い、そしてこんな台詞「カサブランカでは夫はセックスの後は、屋上で寝るのよ」
完全なハッピーエンドとは言えないが、少しほっとする余韻を残すのは終戦後、大きくなった娘のアンとマックスの夢であった(それはマリアンヌにも聞かせていた)メディシンハットの牧場で過ごすふたりの後ろ姿と窓辺に置かれたマリアンヌとの結婚式での写真のショットで締めくくられているからかもしれない。

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衣装デザインはジョアンナ・ジョンストン(Joanna Johnston)
今年の第89回アカデミー賞・衣装デザイン賞にノミネート。
マリオン・コティヤールの着ているリキッドサテンのドレスなど、ジョアンナ・ジョンストンによる衣装はもうひとつの主役ともよべる素晴らしさ!
1980年代からスピルバーグ、ゼメキス両監督作品を手がけてきてるけれど、そろそろ受賞しても…
こちらはコスチュームデザイン特別映像
(スケッチなども写っています。字幕付き)
https://www.youtube.com/watch?v=RNdWvW_VJjo
ゼメキス監督作品のタイトルデザインというと『バック・トゥ・ザ・フューチャー』『フォレス・ガンプ/一期一会』『コンタクト』など多くを手がけているNINA SAXONが思い浮かぶが本作はSCARLET LETTERSによるシンプルなもの。
本ブログ内、ゼメキス監督関連過去記事
『抱きしめたい( I Wanna Hold Your Hand)』
https://color-of-cinema.cocolog-nifty.com/blog/2013/11/post-6203.html
『フライト(Flight)』
https://color-of-cinema.cocolog-nifty.com/blog/2013/03/post-124b.html
『ザ・ウォーク(THE WALK)』
https://color-of-cinema.cocolog-nifty.com/blog/2016/01/post-a9b2.html

A2

『マリアンヌ』公式サイト
http://marianne-movie.jp/


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2017-02-04

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち(Miss Peregrine's Home for Peculiar Children)』ティム・バートン監督、エヴァ・グリーン、エイサ・バターフィールド、エラ・パーネル、テレンス・スタンプ、ジュディ・デンチ、サミュエル・L・ジャクソン、他

注・内容、台詞、ラストに触れています。
ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち
Miss Peregrine's Home for Peculiar Children

監督 : ティム・バートン
原作 : ランサム・リグズ
出演 : エヴァ・グリーン
エイサ・バターフィールド
エラ・パーネル
ローレン・マクロスティ
フィンレー・マクミラン
サミュエル・L・ジャクソン
テレンス・スタンプ
ジュディ・デンチ、他

Mpp

Memo1
ティム・バートン監督、久々の"かいしんのいちげき!!!"
(大好きな)『ビッグ・フィッシュ』の趣きがあり随所に過去作を連想させられるシーンが散りばめられていてニマニマしながら最後まで見た。
確かに(少し前から言われていたとおり)ティム・バートン版『X-MEN』+『うる星やつらビューティフル・ドリーマー』(←同じ日を繰り返すループ仕様だけなのでちょっと違うか)でもあるけれど、やはりストップモーションを使ったイーノックの部屋で見せてもらった小型モンスターオモチャ人形の戦い(←こちら本物のアナログストップモーション)や(監督もインタビューで答えていた)ハリーハウゼン『アルゴ探検隊の大冒険』オマージュ、スケルトン・アーミーとホローガスト(字幕ではホロー表記)のブラックプールでの大乱闘シーンが最高!!(←雪がうっすら積もっている場所というのも良い←ちなみにエキストラとして監督自身も出演している)
キャステイングも面白い。
ティム・バートン監督の新たなるミューズ、ミス・ペレグリンを演じたエヴァ・グリーン、この人ならあり得ると思ってしまうジェイクのおじいちゃん役テレンス・スタンプ、まさかのジュディ・デンチ、そして"へらず口をたたきまくる悪役"をやらせたらピカイチのバロン役サミュエル・L・ジャクソン
ジェイク役、エイサ・バターフィールドも如何にもバートン好み。
そして(同じくおそらくバートン好み)エマを演じたエラ・パーネルも注目(『わたしを離さないで』ルース『マレフィセント』『ターザン』ジェーンと共に子供の頃や少女期を演じていた)
そして"奇妙なこどもたち"のキャラ分け。
ラストのチームワークをいかした総力戦の描き方に見事に繋がっている。
(双子の能力がバロンやホローとのラストバトルまでわからなかったけれど、ある意味"最強")
素敵なエンディング
バロンたちを倒し、祖父エイブも助かり、1943年9月3日の円環が閉じてしまってエマにさよならを言い、現代に戻ったジェイク。
すぐに祖父に会いに自転車を走らせるジェイク。
玄関前で抱き合う二人。
そのジェイクに祖父エイブが。
「誕生日プレゼントだ」
「まだ早いよ」
開いた本の間から世界中の紙幣が(一番上の紙幣が福沢諭吉!)
「エマのところへ行け」
「行き方はわかるはずだ」
(自分の居場所に戻って行くジェイク)

Memo2
ロケに使われたベルギーにあるお城(Torenhof Castle)、その他ロケに関しての紹介記事(←ここのWEB中「どこで撮影されたの?」はロケーション紹介サイトとしてもすごく楽しい!『ラ・ラ・ランド』『グランド・ブダペスト・ホテル』『インフェルノ』等々…)
http://www.atlasofwonders.com/2016/09/filming-locations-miss-peregrines-home.html
タイトルデザインは『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』など、最近、エンドタイトルにこの名前を見ない月はないというMatt Curtis
制作スタジオ > Fugitive
こちらはプロジェクトページにつき他の作品も掲載されています。
(オープニングタイトル部分動画有り)
http://www.fugitivestudios.co.uk/#projects
衣装デザインは『シザー・ハンズ』以来、ずっとティム・バートン作品を手がけているコリーン・アトウッド(Colleen Atwood)
※アカデミー賞・衣装デザイン賞を3回受賞
こちらは映画館(ArcLight cinema)での衣装展示(オリーヴ、エマ)を紹介しているブログ記事(オリーヴのイメージは、ちょっと『シザー・ハンズ』のウィノナ・ライダー想起←庭の植木などオマージュ部分もあるので、まさに!そしてエマの鉛の靴も展示)
Miss Peregrine's Home for Peculiar Children movie costumes on display...
http://hollywoodmoviecostumesandprops.blogspot.jp/2016/09/miss-peregrines-home-for-peculiar.html

Mpp2

『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』オフィシャルサイト
http://www.foxmovies-jp.com/staypeculiar/


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2017-01-22

タイトルデザイン_47 BIG FILM DESIGN『沈黙‐サイレンス‐(Silence)』マーティン・スコセッシ監督、リーアム・ニーソン、アンドリュー・ガーフィールド、アダム・ドライヴァー、窪塚洋介、浅野忠信、イッセー尾形、他

沈黙‐サイレンス‐
Silence

原作 : 遠藤周作
監督 : マーティン・スコセッシ
出演 : リーアム・ニーソン
アンドリュー・ガーフィールド
アダム・ドライヴァー
窪塚洋介、浅野忠信
イッセー尾形
塚本晋也、小松菜奈
加瀬亮、笈田ヨシ、他

Silence

Memo1
年初にガツン!
堂々たる風格の時代劇を海外のスタッフが日本ではなく台湾でロケをし、いささかの違和感も感じさせない考証のもと、創り上げてしまった!
今から40年以上前に(多分、毎日ホールで毎月日本映画を特集上映していた「映像のロマン」で)篠田正浩監督版の『沈黙』を見た記憶が…(調べてみると撮影監督・宮川一夫、音楽・武満徹!)
さすがに深く理解できる年齢ではなかったので、ぼんやりとした印象しかないのが残念。
もし、この作品を誰が撮ったのかを伏せて鑑賞した場合、どのような印象を受けたのだろうかということを想像してみる。
もう、何年にもわたってスコセッシ監督が映画化という話を聞いていたので、どうしても『最後の誘惑』『クンドゥン』のライン上に作品を置いてしまうからだ。
ある意味、この2本と『沈黙』は根本のところで繋がっているとも思える←それ故、フェレイラとロドリゴが再会する寺での問答("大日"についての解釈など)は興味深い内容だった←まさに"日本は沼のようなもの"の意も。
公開前から既に、そのキャスティングに対してクワイ=ガン・ジンとカイロ・レンとスパイダーマンが共演!と書かれていた本作。
(もっともリーアム・ニーソンとアダム・ドライバーは同一画面に出てきませんが…)
その俳優陣にまざって窪塚洋介(ユダとして重要な役回りキチジローを好演)、さすがに(いくつものハリウッド映画出演多数だけあって)上手い浅野忠信による通辞。さらには塚本晋也監督がおどろくほどの溶け込み方(本当に、この時代にこういう人がいたと感じさせるリアリティ)、そして、まさに怪演といっていいイッセー尾形による長崎奉行、井上筑後守。
鑑賞後に判明したので見ているときは気付かなかったキャストも多いけれど、本当に多くの日本人俳優が出演(中村嘉葎雄、PANTA、片桐はいり、SABU…)。リストを見てると、プロレスラーの高山善廣の役名がLarge Manって(←こちらはすごくわかりやすいところで出てた)。黒沢あすかがロドリゴの妻として、ラスト、亡くなったロドリゴの棺桶を送り出す件(くだり)で、ちょっといい締めくくりの役を(棄教後も何度となく行われた踏み絵の場面でのロドリゴの心中察するかのような表情など、ここまで細かく演出指示がなされていたのかと感嘆)。

Memo2
衣装&プロダクションデザインをスコセッシ監督と何度も組んでいるダンテ・フェレッティ
17世紀の日本、それも長崎を見事に再現したセットデザインが本作の肝のひとつといっても過言ではない(密航のための中継地、マカオもきっちりと)
後半の主たる舞台、長崎奉行所による牢が置かれた役所も、その地面の土の色含め本当に素晴らしい。
タイトルデザインはRandall Balsmeyer (BIG FILM DESIGN)
黒字に白、細みのフォントを使ったシンプルなタイトルロゴ
(エンドクレジットに至るまで全て、非常に端正)
そしてバックに流れる虫の声や木々のざわめき、風の音、遠くに聞こえる雷鳴…などとも調和している。
(まさに余韻!!)

『沈黙‐サイレンス‐』公式サイト
http://chinmoku.jp/

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2016-02-21

『キャロル(Carol)』トッド・ヘインズ監督、ケイト・ブランシェット、ルーニー・マーラ、カイル・チャンドラー、他

キャロル
Carol
原作 : パトリシア・ハイスミス
監督 : トッド・ヘインズ
出演 : ケイト・ブランシェット
ルーニー・マーラ
カイル・チャンドラー
ジェイク・レイシー
サラ・ポールソン、他

物語・1952年のニューヨーク。デパートでアルバイトをするテレーズ(ルーニー・マーラ)は、娘へのプレゼントを探すキャロル(ケイト・ブランシェット)に応対する。優雅で気品に満ちた美しさを誇るも、謎めいたムードもある彼女に魅了されたテレーズ。 彼女が忘れていった手袋を送り返したことを契機に、二人は会っては話をする仲になる。娘の親権をめぐって離婚訴訟中の夫と争うキャロルと恋人からの求婚に思い悩むテレーズ。そんな中、彼女たちは旅行に出掛けるが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Carol1

Memo1
クラシカルな気品に満ちあふれている。
その眼差し、所作(そっと肩に触れる手、煙草を吸う仕草)、選ばれる言葉、声のトーン。
そして、それらを捉えるカメラ、カット割り。
イノセンスなるもの
真実の愛を知らずにというよりも、まだ自分が本当に求めているものかもつかめずに、近くにいるボーイフレンドから求婚を受けるテレーズ。
対して、もはや泥沼と化す、夫ハージとの親権をめぐる離婚訴訟の渦中にいるキャロル。
いびつなる感情のぶつけ合い。
なんともいかんしがたい手口(探偵に尾行させ素行調査、あげくは盗聴)でキャロルの(当時は病気扱いされていた。そして過去にもそのような事があった)同性愛の証拠をつかもうとするハージ。
調停中の部屋でキャロルは双方の弁護士や夫に向かって、こう言う。
「わたしたちは醜くないはずなのに」
貫禄のケイト・ブランシェットに対して対照的な(小動物のような)ルーニー・マーラ。
「地上に落ちてきた天使みたいね」
キャロルがテレーズに対して評する台詞。
キャロルにとってテレーズは愛の対象として以前に、テレーズの中にある無垢なるものにも惹かれていたのではないだろうかと思える台詞がいくつか。
映画館の映写室に潜り込んで仲間たちと見ている映画が『サンセット大通り』
舞台となる1950年代に封切られた作品。

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16mmによる撮影。
エンドクレジットにSUPER 16MM FILM STOCK > KODAKの表記あり
プリントは35mmへBlow-up
なるほど、独特の質感はここから。
脚本(英文)がPFDで公開されています。
(毎年、アカデミー賞発表前によく公開されていますが一年程でクローズされることも多いのでチェックされる方はお早めに)
ちょっとした仕草からラジオから流れている曲名にいたるまで非常に細かいところまで記載されています。
そしてラストシーンのプラザホテル・オークルームのくだりの素晴らしさが、そのまま脚本にあらわれています。
CAROL watches with a smile burning in her eyes. THERESE has nearly arrived.
http://twcguilds.com/wp-content/uploads/2015/09/CAROL_SCRIPT_wCover_R22.pdf?ref_=ac_ac_ac_acd_scr_i_1
タイトルデザイン。
フォントの色を画面全体のトーンに合わせて微妙に変化させていく美しいスタイル(昨年の『ラブ&マーシー』もこのスタイルでした)
TITLE DESIGN AND CONCEPT > MARLENE MCCARTY
TITLE ANIMATOR > NAT JENCKS
"Easy living"
Teddy Wilson and his Orchestra.
featuring Billie Holiday
キャロルの自宅でがピアノで弾く曲。
(ここのシーンでキャロルがテレーズの肩に手を乗せた瞬間、テレーズが固まると脚本に書かれていました)
そして、このレコードをプレゼントとしてキャロルに渡す。

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第88回アカデミー賞衣裳デザイン賞で2作品ノミネートのサンディ・パウエル『シンデレラ』のシフォン生地のくるくる色が変わるドレスもよかったけれど『キャロル』における1950年代NYファッションがキャラクター造形にまで影響を与えるほどの美意識に是非、こちらで受賞してほしいなぁ。
ダグラス・サーク作品も参考にしたと語っているWWD記事。
【サンディ・パウエルへのインタビュー】
アカデミー衣裳デザイン賞の常連デザイナーが語る。
映画「キャロル」の見所と50年代のNYファッション
https://www.wwdjapan.com/focus/interview/designer/2015-12-28/12122
衣装展示記事
(作品で着用された衣装が展示されたイベントの記事)
http://hollywoodmoviecostumesandprops.blogspot.jp/2015/11/cate-blanchett-and-rooney-mara-costumes.html

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映画『キャロル』公式サイト
http://carol-movie.com/



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2015-12-16

『サンローラン(SAINT LAURENT)』ベルトラン・ボネロ監督、ギャスパー・ウリエル、ジェレミー・レニエ、ルイ・ガレル、レア・セドゥ、ヘルムート・バーガー、他

注・内容に触れています。
サンローラン
SAINT LAURENT

監督 : ベルトラン・ボネロ
出演 : ギャスパー・ウリエル
ジェレミー・レニエ
ルイ・ガレルレア・セドゥ
ヘルムート・バーガー
ドミニク・サンダ
、他

物語・1967年フランス・パリ。イヴ・サンローラン(ギャスパー・ウリエル)は斬新なコレクションを次々と発表し多忙を極めるとともに、カルチャーアイコンとしてもその名をとどろかせていた。しかし、サンローランはプレッシャーから次第にアルコールや薬に依存していく。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Ysl

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ある程度のサンローランのヒストリーアウトラインを知った上で鑑賞することをオススメ。
(結構、場面々々がとぶのと人物に対して詳細な説明がなされない)
本作はドキュメンタリーのような全体を網羅するものではなくモンドリアンルック発表の1965年から1976年のロシアコレクションまでの10年間に時間軸を絞っている。
華やかな60年代から1971年のヒッピー文化と時代と逆行したかのような不評たるヴィンテージ服のコレクション発表のちのスランプ、薬やアルコールまみれ、ジャック・ デ・バシェー(ルイ・ガレルが実に妖しく演じている)との危険な関係などの退廃的なる時期をはさんで復活する1976年コレクションまでがエポックな出来事と共に描かれる。
それらはヘルムート・ニュートンがパリの舗道でスモーキング・ルックの超有名なポートレートを撮影するシーンがはさまれたり(ちょっと幻想的だ)、コレクションにも取り入れていたモンドリアンの絵画を想起させるレイアウトによるスプリット・スクリーン、「トリスタンとイゾルデ」流れる中センセーションを巻き起こした自身のヌード撮影シーンなどをおりまぜて多種多様な趣きだ。
(同時に描かれる公私共にパートナーだったピエール・ベルジェを軸としたファッションブランドのビジネス的側面の攻防も面白い)
そしてラストの大盛況を博した1976年コレクション“Collection russe”発表シーンの見せ方もスプリットスクリーンで。
その前段階として描かれたデッサン画やスケッチを見てスタッフ達が「すごいボリュームだ」「全部は間に合わないかもしれない」と口々に語る中、オートクチュールが完成していく描写は本当にエキサイティングだ。
(サンローランがとり憑かれたようにスケッチを描く姿も)
キャステイングの妙。
晩年のサンローランをヘルムート・バーガーが演じていたのはさすがに驚いた。(しかも本編中にヴィスコンティの映画を見るシーンがあった!)
同じく母親役がドミニク・サンダ(これもビックリ!)
ふたりのミューズ、ベティ・カトルーとルル・ド・ラ・ファレース。そのルル役をレア・セドゥが演じていて(おぉっ!また、ここにも)と思いつつ嬉しかった。(いいポジションの役に必ず関わっている気が…)
ラストショット。
死亡説の流れる中、メゾンのアトリエに入ってくる記者たち。
その姿に対してサンローランが不敵(アイロニカルともシニカルともなんとも如何しがたい表情)でニヤリと微笑を浮かべるショットで幕を閉じる。
なんたる大胆不敵にして巧妙な映画スタイル!
エンドタイトルへの音楽のタイミングも抜群。

Memo2
衣装デザインはボネロ監督の『メゾン ある娼館の記憶』も担当したアナイス・ロマン。内容が内容だったためかサンローラン"非公認"の映画となった本作でファッションショーでの衣装から当時のファッションまでもを再現していくという大変な作業をこなした(セザール賞の衣装デザイン賞を受賞)
ピエール・ベルジェとベティ・カトルーへのインタビューを中心に書かれた『GQ JAPAN』の記事(1〜3のパートに分かれています)
イヴ・サンローラン、 天才デザイナーの苦悩と真実

http://gqjapan.jp/more/people/20110420/yves-saint-laurent01
タイトルや年代(1967などのように数字のみ)を表すサンセリフ体のフォントが画面センターにほどよいサイズで現れる。随所に現れるこの見せ方はとても好み。そして美しい。
そういえば、かつてセゾン美術館でイヴ・サンローラン展が開かれたことがあったことを思いだした。チェックしてみると今から25年前(!!)
(図録が秀逸だった。貸しだしたまま手元になくて画像が紹介できなくて残念)

映画「SAINT LAURENT/サンローラン」
公式サイト

http://saintlaurent.gaga.ne.jp/

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2015-11-17

『コードネーム U.N.C.L.E.(THE MAN FROM U.N.C.L.E.)』ガイ・リッチー監督、ヘンリー・カヴィル、アーミー・ハマー、アリシア・ヴィキャンデル、ヒュー・グラント、エリザベス・デビッキ、他

注・内容、ラストに触れています。
コードネーム U.N.C.L.E.
THE MAN FROM U.N.C.L.E.

監督 : ガイ・リッチー
出演 : ヘンリー・カヴィルアーミー・ハマー
アリシア・ヴィキャンデルヒュー・グラント
エリザベス・デビッキ
、他

物語・東西冷戦の最中の1960年代前半。CIAエージェントのナポレオン・ソロ(ヘンリー・カヴィル)とKGBエージェントのイリヤ・クリヤキン(アーミー・ハマー)は核兵器拡散をたくらむ謎多き国際犯罪組織を制圧するために長年の政治的対立を超えて手を組むことに。思考や方法論も真逆の二人は組織につながる手掛かりである行方をくらました科学者の娘ギャビー(アリシア・ヴィキャンデル)を守り、核兵器の大量生産を阻止すべく奔走する。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Uncle

Memo1
見事な「0011ナポレオン・ソロ」前日譚。
ラストでU.N.C.L.E.指揮官となったウェーバー(ヒュー・グラント)の元、再びチームを組むこととなったソロとイリヤとギャビー(エンドクレジットではガブリエル・テラーと記載されていました。高まる続編期待!)
そして、その指令として「イスタンブールー飛んでくれ」とTVシリーズ第一話(パイロット版)へと繋がる仕組みになっていて上手い。
さらに映画が始まって直ぐにオープニングシークエンスで60年代の東西冷戦時代を紹介した上で、いきなり主要3人の登場人物が出てくるのもスキッとして上手い。その構図が見事に西側ソロ、東側イリヤ、中間ポイントのキーを握る女性ギャビーとわかる仕組み。
(実は国際犯罪組織である)ヴィンチグエラ社への潜入のためにロシアの建築家とその婚約者という設定だったイリヤとギャビーのふたり。
事件解決後の翌朝、ホテルでの別れのシーン。
発振器付きの指輪を一度は返してもらうが、またギャビーの手に戻すイリヤ。
その時の台詞。
「君を"追跡"できる」(これって『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』の「わたしを見つけられるでしょ」と被るなぁー、などと、ふと思った。本作、元はトム・クルーズが主演予定だったし、ちょっと洒落っ気?)
音楽に合わせたシーンが秀逸(ガイ・リッチー印や〜)
お酒の相手をしてほしいギャビーだが、ひとりチェスに勤しむイリヤ。
あきらめて奥のベッドルームに引っ込んだと思いきや大音量でSolomon Burke「Cry To Me」を流し踊るギャビー。
その音楽にイライラーっとするイリヤ。
(ここ、アドリブ演技だったらしくてビックリ)
停めてあった他人の車に乗り込みカーラジオのチューニングを合わせPeppino Gagliardi「Che vuole questa musica stasera」を聴きながら、助手席に置いてあったワインとサンドイッチを食べるソロ。
その背後で延々と繰り広げられるイリヤとボートチェイスシーンにはお構いなしで(ここ、1番ウケてた。これは同じバリエーションの"うしろではとんでもないことが"でも)
イリヤ役のアーミー・ハマーがインタビューで好きなスパイ映画として「スパイ・ライク・アス」をあげていたのは笑った("そこにくるかー"とおぉっとなったと同時に好感度アップ。しかし懐かしいー!主題歌ポール・マッカートニーだしハリー・ハウゼンやテリー・ギリアムなど大勢の映画監督出てたし、いろいろとオモシロイ)
そのイリヤがヴェンチ島潜入時に使った技がKGBの秘技「立ったまま気絶させる技」(必殺シリーズ、はたまた「隠し剣鬼の爪」かー 笑)
Alicia Vikanderの表記がパンフレットでもアリシア・ヴィキャンデル(「SCREEN」誌などはヴィカンダー)になっているので『エクス・マキナ』ブログ記事含めヴィキャンデル表記で。

Memo2
衣装デザイナーは『ミッション:インポッシブル/ローグ・ネイション』に続いてジョアンナ・ジョンストン
ソロとイリヤ、ギャビーとヴィクトリア(エリザベス・デビッキが見事な悪女・悪党役)が共に対照的なファッションになっていて素敵。
下記、記事はデザイナーへのVogueインタビュー。
The Man from U.N.C.L.E.
Costume Designer Interview
Alicia Vikander Style, Mod Fashion - Vogue
http://www.vogue.com/13294417/man-from-uncle-costumes-alicia-vikander-style/
Title Design > Michael Bruce Ellis.
End Title > Fugitive Studios
Title Sequenceが全編公開されていないのですが、こちらのUK版予告編が部分End Title仕様となっています。
https://www.youtube.com/watch?v=A4E9TyrOFlQ&feature=youtu.be

Uncle2

映画『コードネーム U.N.C.L.E.(アンクル)』
オフィシャルサイト

http://wwws.warnerbros.co.jp/codename-uncle/

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2015-06-24

『海街diary』是枝裕和監督、綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、他

注・内容、台詞に触れています。
海街diary
原作 : 吉田秋生
監督・脚本・編集 : 是枝裕和
出演 : 綾瀬はるか長澤まさみ夏帆
広瀬すず、大竹しのぶ、堤真一、加瀬亮
風吹ジュン、リリー・フランキー
前田旺志郎、鈴木亮平、池田貴史
坂口健太郎

物語・鎌倉で暮らす、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)。そんな彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。葬儀がとり行われる山形へと向かった三人は、そこで父とほかの女性の間に生まれた異母妹すず(広瀬すず)と対面する。身寄りがいなくなった今後の生活を前にしながらも、気丈かつ毅然と振る舞おうとするすず。その姿を見た幸は、彼女に鎌倉で自分たちと一緒に暮らさないかと持ちかける。こうして鎌倉での生活がスタートする。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Umimachi2

Umimachi1

Memo1
原作と同じ朝、彼氏の部屋で目覚める佳乃のシーンから映画は始まる。
(携帯からスマホに。電話はかけずにメールで父親の死を知る)
原作のかぶさるような会話部分が映画の中で再現されているところと省略されているところが絶妙のバランス。
是枝監督、傑作法事映画『歩いても歩いても』に続いて「キタァー!!」と思った法事シーン(お葬式シーン)が最初と最後と真ん中に配置された構成。
父親の葬儀、祖母の七回忌、海猫食堂店主二ノ宮さん(風吹ジュン)の葬儀。
それぞれに本作のキーポイントとなるシーンが配されている。
佳乃の性格を表す台詞
(と、いうか、これだとずっと飲んでるみたいですが 笑)
・山形、旅館に着いた途端。
「あー、あ〜、ビール~」
・海猫食堂で「あー、何にしようかな」と千佳たちが迷ってる時に、すかさず「とりあえずビール」
・「3人で話しませんか」とすずの提案に。
「あー、もうめんどくさいなぁ」「梅酒!ロックで」
メイキング特番で実際の撮影前に四姉妹そろっての顔合わせ。
実際に料理を作ったり、拭き掃除をしたり、障子を張り替えたりほんとに四姉妹で生活しているような形を体験させるところからはじまる、まさに是枝監督ならではの手法。
(障子の張替えシーンは本編にも使われた)
すずと幸、佳乃、千佳とそれぞれふたりだけになった時と四姉妹全員で話している時との会話や空気の違いが実に見事に描かれている。
(人によって話す内容が知らず知らずに変わってしまうこと、ありますよね)
・すずと幸。
キッチン(台所)に並んで料理の下ごしらえ中。
「奥さんがいる人を好きになるなんて、お母さんよくないよね」
・すずと千佳。
お祖母ちゃん直伝のちくわのカレーを食べながら
「わたし、ちっちゃかったから、ほとんど父親のこと覚えていないんだ」
「また、話せるようになったら、はなし、聞かせてね」
少し間をおいて、すずが「わたし、嘘ついてたんだ。しらす丼、よくお父さんがつくってくれたんだ。」
「あと、釣りに連れてかれた」
へらぶな釣りをやっている千佳がなんともいえない嬉しそうな顔になる
(ここは、ほんとよいシーンだなぁ)
・ラスト。
幸がすずを連れて高台へ登っていく。
鎌倉の街を見下ろす、その風景は山形ですずがよく父に連れられて登った高台の景色と同じような雰囲気だ。
「わーっ」
突然、叫び出す幸
「おとうさんのバカーっ」
「すずも叫んでみて」
一瞬、躊躇するが声を限りに叫ぶ、すず。
「おかあさんのバカーっ」
抱きしめる幸
「お母さんのこと、話していいんだよ」
「ここにいていいんだよ」
幸とすず。
どことなく似ているのは、この台詞に集約される。
あの娘、子供時代を奪われちゃったんだよ
(幸は出ていった母親のかわりに小さかった妹の世話をし、すずは父親の再婚で連子のいる継母の元気苦労が絶えない上に父親の病気の看病が重なったりと…。)
それゆえの、あのラスト。
すずと同級生の風太とのシーン。
こころにとどめている本音がちらほらのぞく台詞が何度か。
山猫亭でマスター考案のしらすトーストを食べた後、風太と歩きながら。
「お父さん、あそこの店に行ってたのかも。」
「わたし、お姉ちゃんにうそついちゃった。」
砂浜に舞落ちた桜の花びら。
「もう、終わりなんだ…。山形だとこれからなんだけれど」
そのあとの桜のトンネルへ連なる美しい流れ。
また、こんなシーンも。
「わたし、ここにいていいのかな」
「おれ、三男で、女の娘期待されていたのに、あー、男かって感じで、一番写真少ないんだ」(と、なんだか、的はずれな気もするけれど精いっぱいな励ましがすずには嬉しかっただろうなぁ、と思える、これまたいいシーン)
と、他にも母(大竹しのぶ)と幸の会話など本当にたくさんのいいシーンが四季折々の自然や空気の中に綴られた、四姉妹のまさにダイアリーなのである。

Memo2
ロケ地がお馴染みの極楽寺駅や桜橋(下を江ノ電が通る高架)など定番中の定番。ちなみに原作1巻の表紙は近年「スラムダンク」OPとして観光スポット化している鎌倉高校駅前交差点踏切。
印象的な食事シーン。
フードスタイリストは飯島奈美さん。
しらす丼、しらすトースト、ちくわカレー、おはぎ、アジフライ、そして梅酒…
四姉妹の性格、キャラクターがはっはりわかるファッション。
衣装は伊藤佐智子さん。
冒頭、父親の葬儀の際の喪服の違いまでもが如実(バッグや小物、靴にいたるまで)。話題となっていた浴衣も。
撮影は瀧本幹也さん。
(パンフレット掲載インタビューより抜粋)日本家屋を美しく描いてきた名匠たちの系譜がありますねの問いに「最初に四姉妹の座り位置を決める時、是枝さんがずっと悩んでいたのが印象的でした。円卓を斜めに向けると成瀬になる。畳に対して真っすぐに座ると小津になるって」

Umimachi3

アートディレクションは「空気人形」テレビドラマ「ゴーイングマイホーム」に続いて森本千絵さん。
パンフレットの紙質が「空気人形」と同じタイプのもの。選ばれたフォント、色彩チャート(例えば、四姉妹キャストインタビューページの紫陽花をイメージさせる四色の使い美しさ)は是枝監督作品と同じ静謐さ。これはデビュー作から脈々と続いている。
(「幻の光」から「花よりもなほ」「歩いても歩いても」は葛西薫さんによるアートディレクション「そして、父になる」は服部一成さんによるもの)

映画『海街diary』公式サイト
http://umimachi.gaga.ne.jp/




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2014-10-02

『ジャージー・ボーイズ(Jersey Boys)』クリント・イーストウッド監督

※台詞、内容に触れています。
ジャージー・ボーイズ
Jersey Boys
監督 : クリント・イーストウッド
出演 : ジョン・ロイド・ヤング、エリック・バーゲン、
マイケル・ロメンダ、ヴィンセント・ピアッツァ、
クリストファー・ウォーケン、他


物語・ニュージャージー州の貧しい町で生まれ育った4人の青年たちは、その掃きだめのような場所から逃れるために歌手を目指す。やがて彼らは「ザ・フォー・シーズンズ」というバンドを結成しトップスターの座に就くが…。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Jb_p

Memo1
いわゆるジュークボックスミュージカルの映画化だがイーストウッドが監督すると、こうなるのかとビックリした。
とにかくテンポが心地良い。
このサクっと撮った感じにして実は結構なギャング映画。芸能界とマフィア(ギャング)との関わり合いなど暗部もとりこんでいるのに、なんだか品が良い(というか品格がある)のもイーストウッド作品ならでは。それは簡潔にして明瞭な語り口と省略の妙によるものだと思う。
ニュージャージーという場所。
フランク・シナトラの出身地ということもあって、写真が飾られていたり会話に出てきたりスイートルームの名前になっていたりする。
この土地柄が持つ呪縛性は有名になったにもかかわらず、どこか逃れられない怖さを秘めていることが映画が進むにつれてうっすらと判ってくる。
クリストファー・ウォーケン演じる地元ギャングのボス、ジップが早くから気にかけていたヴァリの声。
「マイ・マザーズ・アイズ(My Mother’s Eyes)」を歌ってるところを涙しながら見ている。
そして終演後。
「母の好きな曲を歌ってくれて、ありがとう」
ドル紙幣を半分にして「これは引換証だ。困ったことがあったらいつでも言ってくれ」と手渡される。
(引換証は後にトミーが度重なる問題を起こした中で立ちいかなくなったときに使われることとなる)
いろいろな台詞。
・「この町から出る方法は3つ。 “軍隊に入る“ でも殺される。 “マフィアに入る“ それも殺される。 あるいは“有名になる“ 」
・フランキー・ヴァリに対して、後に(すぐに)姉さん女房となるメアリーの台詞。
「フランキー・ヴァリのヴァリは"Y"ではなくて"I"よ。
ヴァリ"ィ"」
・ザ・フォー・シーズンズのベース担当、ニックの(いよいよグループとしての活動がアウトになった場面での)台詞「リンゴ・スターのポジションだ」←この台詞の意味は(ちょっと、おいおいと思う人もいるかもしれないので)是非、劇場で。
いきなり出演者がカメラに向かって語りかけてくる。
最初、トミーだけかと思いきや突如前述のニックが演奏中ベースを弾きながら語りかけてきたのには驚いた。
(トミーを訪ね楽屋にまで押しかけてきたマフィアの金貸しのことが明るみになったシーンで)
若き日の(と、言うのか 笑)ジョー・ペシ(別の役者が演じている)が「あー、若い時からこの喋り方だったんだなぁ」と思わせて可愛らしいw
有名な「君の瞳に恋してる(Can’t Take My Eyes Off You)」が発表されるシーン。
最初は少人数編成のバンドのみで演奏されていてサビの部分に入った瞬間、後ろの幕が上がり大人数のブラスセクションが現れ加わるシーンはエンディングヘ向かう最高の場面。

Memo2
イーストウッド監督へのインタビュー(Cut掲載)
「健康の秘訣は?」に対して「朝の5時や6時に起きないことだ(笑)」
(「老いを取り込まないこと」とも)
衣装デザイナーは今世紀に入ってからイーストウッド監督作品全てを手がけているデボラ・ホッパー(Deborah Hopper)
フィナーレで登場キャスト全てが揃ってのカーテンコールとも呼ぶべき至福のダンスシーン。
(ここは50年代〜70年代にかけての衣装が出てくる意味でも素晴らしく華やか)
撮影監督もイーストウッド組、トム・スターン
「チェンジリング」「J.エドガー」と彩度を抑えた撮影に特徴が現れていると思うのだが本作、夜間シーンもその流れとして印象的。
タイトルデザインは90年の歴史を持つPacific Title.
「許されざる者」「ペイルライダー」「ミスティック・リバー」他、イーストウッド監督のほとんどの作品 (端正なフォントによる静謐さがピッタリ)

プラスMemo
思い出したことなのでちょっと書き記し。
吉田拓郎がよしだたくろうと表記されていた時代のアルバム「元気です」に収録されていた「加川良の手紙」の中に出てくる歌詞。
「あの日見た映画"ダーティ・ハリー"はどうでした〜」
「クリント・イーストウッドっていいでしょー、今度も学割で見られたらと思いまーすぅー」で(映画に興味がなかった人も)イーストウッドのことを知った方、多かったのでは?
(最も本作でビックリ"ヒッチコック風"登場シーンがあった「ローハイド」もありましたが)
それと、この時代(1960年代ハイトーン&ファルセットボイスポップス)のメロディ(デル・シャノン「悲しき街角」など)が本人も時々ラジオなどで語っていたとおりルーツなんだなぁ、ということを実感したり。

メイキング映像(10分58秒)
Jersey Boys: Behind the Scenes
http://www.youtube.com/watch?v=_x7JtTdWcHk&feature=youtu.be

映画『ジャージー・ボーイズ』
オフィシャルサイト

http://wwws.warnerbros.co.jp/jerseyboys/

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