2020-09-24

『日本沈没2020』湯浅政明監督、小松左京原作

日本沈没2020

原作 : 小松左京
監督 : 湯浅政明

2020

※Memo
●Netflixによる配信。
全10話。
イッキ見しても5時間弱
やー、ビックリした。
始まりは「大丈夫?」と思って見ていたけど途中から、そこは、ほら、湯浅監督らしい演出(デビルマンの際もそうだったけれど容赦ない描写、サイケデリックムーブ)。
そして着地点。
(「実は着地していない、沈んでるから」という一休さんとんちのようなフレーズまで浮かぶ世紀の怪作・奇作でもあります。元「日本沈没」の登場人物の扱いも相まって…)

●超絶傑作だった『映像研には手を出すな!』の次作ということで上がりに上がったハードル故に世評は半々といった印象。確かに、一瞬「おぉっ、これはミッドサマー?とも思えるスピリチュアルコミュニティの登場やダニエルの生い立ち(ユーゴスラビア内戦のこと)、「ミスト」的略奪、ジェンダーマイノリティ、イノシシ簡単に乗れないでショー、死亡のためだけのフラグetc、etc…
●1ヶ月ぐらい前にtwitterにアップした大阪のディープ名画座「新世界国際」(と、思しき…って「SHINSEDAI SEIJIN!」は笑った)、が出てきてビックリ。
(ここ、キャプチャ画像と合わせて載せたいところだけれど、まあ、そこは見て!ということで)


●Netflixオリジナルアニメシリーズ『日本沈没2020』公式サイト
https://japansinks2020.com/

 

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2018-10-26

スタンリー・キューブリック監督『2001年宇宙の旅』IMAX次世代レーザーでの旅。

2001年宇宙の旅
109シネマズ大阪エキスポシティ
IMAX次世代レーザー

2001_a

Memo
IMAX次世代レーザーで鑑賞するため、万博記念公園へ。

2001_c

2001_imax1

入り口(あえてスターゲイトと呼ぼう)横のデジタルサイネージ2パターン(赤と黒)と座席表。
フィルムとしては2010年11月「午前十時の映画祭」series1・赤の50本(←第一回はこのネーミングは付いていない)以来、(意図した大画面としての意として)シネラマとしては1991年2月の「OS劇場・さよならフェスティバル」以来。
OS劇場の座席編成を覚えている方はわかると思いますが、当時のセンター通路より一列前で見た体感と大阪エキスポシティ・IMAXの通路より一列後ろセンター部分が近い(もちろんIMAXの方が大きいが湾曲スクリーンの没入感も加味して、そんな感じ)

2001_b

(エキスポシティ名物)写す角度でハートに見える撮影ポイント。
(慎重に探すともっとうまく撮れると思います)

Os_cinerama

エンドクレジットでの、このロゴが出たときは「おぉっ」ってなった。
CINERAMA (撮影 1991年2月11日・OS劇場)
場内のスクリーンを写した写真も出てきたけれど、それはまた別の機会に。
(上記写真もそうだけれど、どうやら「写ルンです」で撮影しているのでピントがあまい、ゆるい)

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2017-10-12

【午前十時の映画祭】黒澤明監督『野良犬(STRAY DOG)』『天国と地獄(HIGH AND LOW)』

【午前十時の映画祭】
黒澤明監督、2作品が4K上映!

野良犬
STRAY DOG
天国と地獄
HIGH AND LOW

Art_of_kurosawa

Memo
上記画像は1991年11月『七人の侍』完全オリジナル版ニュープリント公開記念の際のパンフレットより表紙(部分拡大)と2作品の紹介ページ。
『野良犬』下部分はレーザーディスク発売時のチラシ一部。
『天国と地獄』のロケ地を巡る記事(サイト)で圧倒的な質と量(各シーンと現在の場所写真多数あり。
未見の方は鑑賞後に。
サイト別館には本編に登場する自動車図鑑や電車図鑑も)
荻窪東宝『聖地巡礼・天国と地獄』あのロケ場所は何処?
http://ogikubo-toho.com/seititenjigo.html
『天国と地獄』に登場する、あの鞄。
「吉田カバン」創業者・吉田吉蔵氏による特注・革のブリーフケース。
(制作されたサンプルのひとつ/直営グランフロント大阪店オープン時に展示された際のもの)

Ak_hl

黒澤明監督作品の書家による題字。
『蜘蛛巣城』金子鴎亭『天国と地獄』西川寧『乱』から『まあだだよ』今井凌雪 (エンドクレジット表記や記述資料など確認できているもののみ)
なお広告宣伝についての題字などはデザイナーの益川進 (全て敬称略)
スコープサイズについて
「僕は『天国と地獄』が昔から好きで、人の配置や動かし方が芸術的だと思っているんです。今回はそういったことが狙える作品の気がしました」(是枝裕和監督『三度目の殺人』パンフレット撮影/瀧本幹也氏インタビューより)
今回の4K上映でわかったことは、ほんの少しの人物の動きにまで演出がなされていること。劇場や名画座、ディスクなどで何回も見ているにもかかわらず、はっとさせられる。
『野良犬』約9分間、70カットに及ぶ村上刑事(三船敏郎)が盗まれたピストルを探し求めて、東京の盛り場を歩きまわるシーンを撮影したのはB班を担当していた本多猪四郎監督
ロケーションの見事さは初見の際に圧倒されたが、今回も引きこまれてしまう熱度は変わらない。

午前十時の映画祭 8
http://asa10.eiga.com/2017/cinema/

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2016-12-08

『ダゲレオタイプの女(La Femme de la plaque argentique/DAGUERROTYPE)』黒沢清監督、タハール・ラヒム、コンスタンス・ルソー他

ダゲレオタイプの女
La Femme de la plaque argentique
DAGUERROTYPE


監督 : 黒沢清
出演 : タハール・ラヒム
コンスタンス・ルソー
オリヴィエ・グルメ
マチュー・アマルリック
マリク・ジディ

Kurosawa1

Memo
(個人的)黒沢清監督作品のお気に入りベスト3に入る傑作!
フランス人スタッフと共にフランスで撮影された作品であるにもかかわらず漂う『雨月物語』のような気配と品に満ちた作品!
マリーを演じたコンスタンス・ルソー
そのインタビュー他記事でよく目にした"瞳が微妙にぶれている"という特質のせいか独特の脆さ、儚さを醸し出していて素晴らしい!
そのマリーを撮影した出来上がったばかりのダゲレオタイプ(下記掲載のシルバーグレイモノクロ2点目の画像)の目が少し動いたように見えたのは気のせいだろうか…。
そもそもがこのダゲレオタイプという等身大の写真自体が"ある種のゴースト"ではないか…
誰もがそう思ったであろう(或いは言及している)ヒッチコック『めまい』と『ソラリス』における実体化、ヌーヴェル・ヴァーグ期の事件を起こし逃げていく男女(最もシャブロル監督はじめヒッチコック作品の影響下のもと、つくられた作品が多々あった訳でもありますが)など、もはや"映画的ごちそう"である。
音楽、グレゴワール・エッツェル
マリーを車で連れて逃げるジャン。
そのシーンのスコアがまさにバーナード・ハーマン"あの作品"を想起させるのが素晴らしい(意図していなかったようだけれど、まるで導かれるように…)
「これは現実なのか…」
「幻と言うなら」
「どこが境い目?」
それに呼応するようにステファンが写真"ポートレート"を撮る老婆の台詞
「死は幻です」
鏡、階段、窓から射しこむ光、揺れるカーテン、(脚の無いように)スーっと移動する人物(もう最初のマリーの母親のゴーストらしき人物だけで、こころ持って行かれました)、遠くに不意に立つ人影…フランスで撮ろうが、そこには紛うことなく今までの作品と同じように"しるし"がいくつも現れる。
文學界2016年11月号・黒沢清監督インタビュー「ものすごく贅沢な幽霊映画」なるほど!(←見た方は解る!)
前述ヒッチコックに関しての言及も。
そして驚いたのは階段落ちシーンでの"あの埃"がCGだったこと!
(あまりの偶然度に最初ビックリした)
思えば、あの瞬間マリーは誰かに落とされたのではないかとも見える。
とにかく、もう一度再見してみた時の楽しみに取っておこう。

Kurosawa2

映画『ダゲレオタイプの女』公式サイト
http://www.bitters.co.jp/dagereo/




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2016-11-14

『永い言い訳』原作・脚本・監督:西川美和、本木雅弘、竹原ピストル、 藤田健心、白鳥玉季、 堀内敬子、池松壮亮、 黒木華、山田真歩、深津絵里

永い言い訳
原作・脚本・監督:西川美和
出演:本木雅弘竹原ピストル
藤田健心、白鳥玉季、
堀内敬子、池松壮亮、
黒木華、山田真歩、深津絵里

 

Nagai1

 

Memo1
人生は他者だ
幸夫がたどりついた(いや、たどりついたというよりは少し手がかりを得たというべきか。これを機に小説を書き始め)
フィッツジェラルド未完の小説『ラストタイクーン』創作メモの最後の一行「行動は人格である」や村上龍がよく対談や小説内で語っていた「(少しニュアンスが違うが→自分などは存在せず)あるのは関係性だけ」など、いろいろよぎる。

自分大好き自意識過剰な幸夫が、妻の死後、まずしたことが自分や妻に対しての様々な語句と組み合わせての検索。
(第2検索ワードが、まあなんともすごいのです)

季節の移り変わり。
海水浴、花火、クリスマス…その場面々々への繋がり方の美しさ。

(忘れものを取りに来たかのように部屋に戻って)
「あと片付け、よろししくね」
そう言い残して旅行に出た妻。
そのあと片付けの意味は(あとになってから)ある種ダブルミーニングとして趣を持って幸夫のこころに突き刺さる。

妻が事故にあって、その現場に立つ小説家のドキュメンタリー撮影中に感情が爆発する幸夫の台詞。
「妻は頭のいい人ですから。ちゃんと解ってたんです。死によって苦しめられるのは本人じゃなくて残されるほうだってことを」
スーパー16ミリによるフィルム撮影。
そのざらっとした質感はデジタル上映でも実にみずみずしく再現されていて、ちょっとオドロキ。
『夢売るふたり』などもシネコンスクリーンで見たけれど、TOHOシネマズ梅田スクリーン3(12.6×5.5m)サイズと元は梅田劇場であった名残としての天井高空間での鑑賞は新鮮(ミニシアターの空気密度が高い中で見るのとでは印象変わるのかな)


Memo2
鑑賞後のお楽しみとして録画していた西川美和監督ゲスト回"ゴロウデラックス"と"SWITCHインタビュー"。
その「ゴロウデラックス」
映画冒頭シーンを稲垣吾郎さんが(自意識が強すぎる主人公)衣笠幸夫になりきって原作を朗読。
西川監督に「言ってそう…稲垣さん」とつっこれてるw
(放送中、パンフにも掲載されている西川監督のノートが映しだされる。これ全部見てみたいなぁ。)
パンフレット
約35分のDVD「幸夫について本木が知っている二、三の事柄」が付いている。←衣笠幸夫になりきっている本木雅弘が素に戻って(一度、出たドアから戻って)のシーンが最高!
他、センターに(鑑賞後、ついテーマ曲を口づさんでしまう劇中登場アニメ)"ちゃぷちゃぷローリー"第七話「さようなら、タコおばさん」のシナリオとプロダクションノート。
鑑賞後のサブテキストとして最良!(2016年パンフベスト3の一冊)

 

Nagai2

 

 

 

 

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2014-06-09

大林宣彦監督『野のなななのか』常盤貴子、品川徹、寺島咲、安達祐実、他 "見ることによって語り継がれる映画"

注・内容に触れています。
野のなななのか
大林宣彦監督
出演 : 常盤貴子、品川徹、寺島咲
安達祐実、他
音楽 : パスカルズ

物語・北海道芦別市で古物商を経営する元病院長の鈴木光男(品川徹)が、3月11日の14時46分に逝去。92年に及ぶ人生の幕を閉じる。告別式と葬儀の準備をするため、鈴木家の親族が故郷である芦別に集結。大学教授の冬樹(村田雄浩)、原発職員の春彦(松重豊)、看護師のカンナ(寺島咲)ら、光男の長男、次男の子どもたちが久々の対面を果たしていると、清水信子(常盤貴子)という女が訪ねてくる。やがて、彼女を通して1945年に起きた旧ソ連の樺太侵攻で光男が体験した出来事を彼らは知る。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Nananoka1

Memo1
自由なる筆致で描かれる"大林宣彦絵画"
全く途絶えることのない言葉の洪水。
言いたいことが溢れでてスクリーンから濁流のように押し寄せてくる、その情報量に一回見ただけでは全体を把握することはほぼ判別不能なほど。
しかし考える余裕すら与えてくれない展開と密度にも関わらず、ずっといろいろ考えさせられる3時間。
部分は全体であり全体は部分でもある不思議な映画的時間。
実際、冒頭からたたみ込むように物語は幕を開ける。
カンナがやかんに触れて「痛っ」と声を上げた瞬間よぎる想い。
そしてカンナのおじいちゃん、鈴木光男が倒れて入院、集まってくる親族たち。その会話。誰と誰が、どのような繋がりかわからないスピードになっている。
清水信子がすっとドアの向こうから現れて「まだ、間に合いましたか」と入ってきてベッドの横につき「ただいま戻りました」
傍らに立つ医師が。
「ご臨終です」
時間は14時46分。
「おじいちゃんの時計、ずっとこの時間で止まってた」
すっと自分の時計(かなり古い)を見る信子。
…その時計も14時46分で止まったままだ。
生と死の境界線が曖昧な「なななのか」(四十九日)の時間の中に死者も生者も現在も過去もさらに遠い過去もすべてのものが綯交ぜとなって存在する。
「誰かの代わりに生まれ誰かの代わりに死んでいく」
その場に常盤貴子と安達祐実のふたりがいたことによって急遽、撮影されたシーン(のちにポスターとなる)
まさに生まれ変わりなのではないか、ということを思わせるコーヒーカップの持ち方、髪を片手でかき分ける仕草(その瞬間にパチッと繋がったとあるインタビューで監督が答えていました)
このシーンに至るまでの演劇的ともいえる表現は本作中、最も熱を帯びいろいろなピースがつながっていく白眉な展開になっている(観客側の空気もそう感じた)
「団塊の世代」が完全に「空白」として扱われていて(他界している設定で)誰ひとり登場しない。(←鑑賞後に読んだインタビューなどであと付け的に再確認)
なるほどと思ったのは確かに、そこの年代の登場人物がいないことによって映画初見では家系図的な繋がりがわかりにくくなっていたのか、と。
「団塊の世代=戦争を知らない子供たち」の不在は戦争を体験した者たちと語り継ぐ者(こども)たちを浮かび上がらせる。
本当に鋭い論考だなぁ、と。
時計の針は14時46分から止まったまま。
(未来を生きはじめることによって動き始める)
そして、この映画もまた、これからも見ることによって語られ止まるこなく動きつづけていく(生き続けていく)。
幾度となく再見したい映画だ。

Memo2
パンフが表1〜4を含めずに実際の本文のみで64ページもの大ボリューム。
最初に書かれている「映画館から家に帰るまでに読み切れない冊子を」通り濃い内容です!
高畑勲監督との対談、椹木野衣さんによる長編批評など掲載。

Nananoka2

映画『野のなななのか』公式サイト
http://www.nononanananoka.com/

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2014-03-01

アレクサンダー・ペイン監督『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(Nebraska)』父と子の"ゆきて帰りし物語"

『アバウト・シュミット』『サイドウェイ』『ファミリー・ツリー』のアレクサンダー・ペイン監督による父と子の"ゆきて帰りし物語"『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(Nebraska)』主演のブルース・ダーンは本作でカンヌ国際映画祭男優賞を受賞。

物語・100万ドルが当たったという通知を受け取ったウディ(ブルース・ダーン)。それはどう見てもインチキだったが、徒歩でもモンタナからネブラスカまで金を受け取ろうとするウディに息子のデイビッド(ウィル・フォーテ)が付き添うことに。こうして始まった父と息子の4州をまたぐ車での旅。途中、立ち寄った父の故郷で、デイビッドは父の意外な過去を知ることになる。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Nebraska1

モノクロ、スコープサイズ。
どこまでも広がる何もない土地、同じような風景が連なる道行。
故郷ホーソーンのがらんとしたなんともいえない侘しさ。
撮影はペイン監督とは3作目となるフェドン・パパマイケル
モノクロにありがちなハイキーさはなく、やわらかい画調が本編にピッタリ。
"アレクサンダー・ペイン落語"とも言うべき語り口を味わう映画。ブルース・ダーンも上手いが奥さん役のジューン・スキップが受けと攻め、両面から上手い(ぼやき漫才の人生幸朗・生恵幸子師匠の「何言うてんねん、この泥亀!」という威勢のいいツッコミを思い出した)
同じペイン監督『アバウト・シュミット』でもジャック・ニコルソンの妻役で出演(←これもネブラスカ州!)
あとウディ・アレン『アリス』が映画デビュー作というのも、ちょっと驚き。
父と子、夫婦、縁遠くなっていた親戚、故郷の友人たち、それぞれの距離感に「あるある」と思ったりホロッとしたり人それぞれの受け取り方ができる、あとになればなるほどじわ~っとくる映画。
会話ないよなー、とか(テレビをみつめる絵面が観客側を向くことになる。そのショット、キツイわー)、大金が入ったことによって俄に活気づく周囲のひとたち(怖い…)、久々に会った友人が実は…、母ケイトより前に父がつきあっていた女性とか、カラオケで唄われている"タイム・アフター・タイム"のもの哀しさ…、淡々とそして的確に描かれている。
一筋縄ではいかない老人たちが多数。おじいちゃん版ハングオーバーとも言える(これから公開される)「ラスト ベガス」と連なる"おじいちゃん映画の系譜"?
父親のお墓の前で毒舌吐きまくるケイト(ジューン・スキップ)
「もう少し顔がよかったらねぇ」
「ルター派と同じ場所になんか埋葬しないわよ」
「すぐにパンツの中に手をつっこんでくるんだから」
おまけにはスカートまでまくりあげて墓の前に立つ始末。
そんなケイトだが100万ドル当たったと思ってお金をせびってくる親戚たちにピシャリと「とっとと、くたばれ」と言い放つ姿やラスト近く、病院から兄ロス(ボブ・オデンカーク)と先に帰る際に寝ているウディの髪を整え、そっとキスをしたりと、ちょっと他人にはわからない夫婦の機微も垣間見えて素晴しい。
なんだかんだと言いながら、すぐに人の言うことを信じてしまうウディを守ってきたんだなぁー、と。
可笑しみある台詞。
笑えるぐらいバレバレの覆面強盗(同じ体格のオッサン甥っ子ふたりw)に当選の手紙を盗まれた上、捨てられる。
その場所にさがしにいくふたり。
「入れ歯を見つけるよりは簡単だろ」

※蛇足
ネブラスカの春~は~何も無い春です~♫(吉田拓郎「襟裳岬」のメロディで)とか同じ拓郎さん「おやじの唄」とかブルース・スプリングスティーンのアルバム「NEBRASKA」(「BORN IN THE USA」の反動とも言うべきアコースティックギター、自宅録音で製作された労働者階級を唄った本作サントラでもいいんじゃないのというぐらい印象がモノクロ的静かな作品)や浜田省吾『Home Bound』(原点回帰の意味の込められたタイトル)とか、全く関係なさそうなありそうなことがいろいろ思い浮かんだ。
下記US版ポスターがディランのアルバム『Bob Dylan's Greatest Hits』ジャケットみたいだ。

Nebraska2

映画『ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅』公式サイト
http://nebraska-movie.jp/


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2014-02-13

井口奈己監督、竹野内豊主演、尾野真千子、成海璃子、木村文乃、麻生久美子、阿川佐和子、本田翼、中村ゆりか、他共演『ニシノユキヒコの恋と冒険』究極の"イチャイチャ"映画誕生!

注・内容、台詞に触れています。
芥川賞作家・川上弘美の連作短編集を『犬猫』『人のセックスを笑うな』の井口奈己が監督(脚本・編集)した『ニシノユキヒコの恋と冒険』出演は竹野内豊の他に尾野真千子成海璃子木村文乃麻生久美子阿川佐和子本田翼中村ゆりか、ほか

物語・イケメンで仕事もしっかりこなし、とにかく女に優しい希代のモテ男ニシノユキヒコ(竹野内豊)は、ひたむきに本当の愛を欲していた。10年前に人妻(麻生久美子)と関係を持ち、元恋人(本田翼)と二股で会社の上司(尾野真千子)と職場恋愛に至り、料理教室で出会った主婦(阿川佐和子)もとりこにしてしまうなど、彼の周囲には常に女性たちがいた。彼女たちの欲望を満たすべくひたすら尽くすニシノだったが、最終的にはみな彼から離れていってしまい…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Nishino

Memo1
究極の"いちゃいちゃ"映画。見ているこちら側が恥ずかしいを通り越してニマニマしてしまうような"イチャイチャバリエーション"
ニシノユキヒコ。モテモテである。そして女性ばかりか猫にまでモテる。「なう」というtwitter初期を思い出すような名前のついた隣に住む昴、タマの女性カップルの猫がいつもやってくるように←この"なう"の名演技度はスゴイですよー
そのニシノユキヒコを演じた竹野内豊、声が映画「ボディガード」を演じていた頃のケビン・コスナーのもしゃもしゃっとした声に似ていて(当時母性本能をくすぐるとか言われてた)、その辺もキャスティング的によかった気がします(←あくまでニュアンス、気がしているだけかもしれないけれど声は重要)
いろいろな場面、いろいろな台詞
・映画、冒頭(10年くらい前)
不倫関係にある夏美とまだ小さい、その娘ミナミとニシノユキヒコがパフェを食べているシーン。
ニシノの台詞
「普通に結婚して子どもがほしい」
「女のコがいいな」
(猫の文鎮をプレゼントされる)
その後、車にはねられて死亡するニシノ。
で、幽霊となって夏美の前に現れる。
(何故、ミナミの前に現れたのかは冒頭台詞と家を出てしまった夏美が自分の葬式に現れるかもしれないということと関係あり)
・ラスト
幽霊で登場したニシノに「まだ持っててくれたんだ」と言われ窓から捨ててしまった猫の文鎮を拾いに行くみなみ。
玄関の方から母、夏美の「ただいま」の声
・ニシノユキヒコ幽霊とお葬式に来た娘ミナミに話しかけるササキサユリ(阿川佐和子)←回想形式で綴られる本作の語り部でもあります。
「ニシノ君ね、あらゆるタイプの女の人のこころをとりこにしちゃうの」
映画ネタ1→そのサユリは映画ファンということで横浜のジャック&ベティで「駅前旅館」などを上映している。そこに入る、サユリ、続いてニシノが。
その後にカフェで。「サユリさんは他のオバさま方と違うから」
続いてカサブランカ・クイズを。
映画ネタ2→山田宏一さんの「映画果てしなきベスト・テン」を立ち読みしているニシノのシーン(はっきり書名など映るので何か意図あり?全体トーンとしてのフランス映画への目配せ?)
・見てて1番恥ずかしいイチャイチャ
オフィスでの上司マナミとのシーン。斜め前の席に向かい合って「えへへへ〜」「二マー」としながら、椅子をガラガラとひきながら近づいていくニシノ。後は◯△□※…(笑)
・その後に登場する元彼女カナコ(本田翼)
マナミとの仲を見て焼けボックリに火がついたようでやたらとアプローチをかけてくる。
ついにニシノのマンションでマナミとカナコが鉢合わせとなるシーン
(ここ、1番笑いが起こってた)←修羅場ですけどw
・そういえば隣に住む昴(成海璃子)、タマ(木村文乃)とも仲良くなるが結果、同じような鉢合わせシーンが。
「昴は昴なんだよ。昴ちゃんじゃなくて。タマはタマちゃんって感じ」
・(女性が好意を持ってることを察知する高性能レーダーを持っているとされるニシノ。しかし最後は必ずフラれる)
この台詞が結構、本質的?
「誰も好きになっていないくせに」
ゆるーい映画のようにみえて実は最初から最後までそのテンポ、リズムに乱れるところはない(それでいて2時間)←緩急つける演出より難しいのでは?←(編集まで手がけているからかもでしょうか)

Memo2
タイトルとエンドロールはイラストレーターの芳野さん制作によるもの(前作「人のセックスを笑うな」のリトグラフに続いて)。宣伝デザインは大島依提亜さん(ポスターと丸四角枠がカワイイ表紙のプレス、パンフレットなど)
『ニシノユキヒコの恋と冒険』井口奈己監督がインスピレーションを得たというサッシャ・ギトリー(Sacha Guitry)監督『とらんぷ譚』予告編とポスター http://www.gaumont.fr/fr/film/Le-roman-d-un-tricheur.html

映画『ニシノユキヒコの恋と冒険』公式サイト
http://nishinoyukihiko.com/

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2013-08-08

ミゲル・ゴメス監督『熱波』(原題 : TABU)

『私たちの好きな八月』のポルトガルのミゲル・ゴメス監督による斬新なる傑作『熱波』(原題 : TABU)。出演は舞台女優などとして活躍するテレーサ・マドゥルガラウラ・ソヴェラルアナ・モレイラエンリケ・エスピリト・サントカルロト・コッタ、他

物語・敬虔なクリスチャンであるピラール(テレサ・マドゥルガ)は、退職後はカトリック の社会活動団体に所属し、少しでも世界を良くしようと努力している。リスボンに住む彼女は、80代の隣人アウロラ(ラウラ・ソヴェラウ)のわがままに振り 回されていた。そんなある晩、アウロラの体調が急に悪化し、ピラールは彼女にある頼み事をされる。(Brown部分シネマトゥデイより抜粋)

Tabu

Memo
「ロマンスの時代になりつつある。トルストイは正しかった」とはボブ・ディラン、アルバム『欲望』のライナーノーツに書かれていた言葉。全く関係ないがアルバムジャケットの印象と先導的なヴァイオリンのイメージと「熱波」におけるピアノ劇伴の旋律が妙に重なってしまったので記しておきます。
ミゲル・ゴメス監督『熱波』なんと斬新な事を。甘美なる記憶とはこういうものか…。楽園の喪失が反転する後半、見ているこちら側もその激情にこころ震わさせられる。
特に1部「楽園の喪失」は(意図的ではあるのだが)その展開に、うつらうつらしてしまいそうな、もどかしさもある、が、油断していると見落としてしまうぐらいの短いハッとするショット多数(驚くほどピントのあった画面とか)。長いかもしれないが、これぐらい現在の虚無的、空疎的描写があって描かれる情熱的な2部「楽園」パートのバリエーションの多さ。不思議さを醸しだすのは台詞が無く音楽とナレーションで語られることによるズレ(寝て見る夢の世界と考えると、この語り口調は、美しい部分だけ留めてしまう記憶というものによるものなのかもしれない)
16mmと35mmフィルム、モノクロ、サイレント映画、ボイスオーバー(会話なしで成立するドラマの妙)、(2時間の映画だが)2部構成、ムルナウ監督の遺作と同タイトル原題(Tabu)。映画の記憶も、またそこに降り立っている。面白いカメラの横移動があった(反復している)
紙ヒコーキがとりもつ"風立ちぬ"恋もあれば逃げ出した鰐が縁で"熱波"の如く燃え上がる愛もある。(そんなフレーズを思いつくように)奇しくも思い出(記憶)は美しいものだけをある種のファンタジーのような形で浮かび上がらせた2作品を続けて
時代性、ノスタルジック、甘美さを想起させるThe RonettesBE MY BABY」とジャングル。すぐに思い出したのは「欲望の翼」のジャングルの画面に被さるザビア・クガートシボネイ」が使われていたこと。(これも全く関係ないのだが浮かんできた。通常、イメージはイメージを喚起しないと思われるが、この「熱波」だけは不思議といろいろ浮かんでくる、何故?)
(監督インタビューによると)ポルトガルの現在の置かれた状況や最後まで植民地政策をとってきた国の内実なども隠しスパイス的に練りこまれている(この辺りの歴史的な部分は不勉強で掴みきれませんでした)。インタビューでオリヴェイラ監督のことをオリヴェイラ師と呼んでいたことが印象的。

映画『熱波』公式サイト
http://neppa.net/

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2011-02-25

タイトルデザイン_25・『ナルニア国物語 第3章 : アスラン王と魔法の島』Fugitive Studios

注・内容に触れています。
C・S・ルイスの児童文学を映画化したファンタジー・アドベンチャー「ナルニア国物語」シリーズの第3作『ナルニア国物語  第3章 : アスラン王と魔法の島』。監督は『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』のマイケル・アプテッド

物語・ペべンシー兄妹(スキャンダー・ケインズ、ジョージー・ヘンリー)は大嫌いな従兄のユースチス(ウィル・ポールター)の家に預けられるが、壁に掛かった帆船ドーン・トレダー号の絵の中に吸い込まれ、再びナルニアの国へ。兄妹は、 親友のカスピアン王子(ベン・バーンズ)とネズミ戦士・リーピチープ(声、サイモン・ペグ)と再会を果たし、ナルニアの東の果てへと再び冒険の旅に出ることになるが、行く手にはさまざまな困難が待ち受けていた。(ブルー部分シネマトゥディより抜粋・リーピ・チープに訂正)

N1

N2

MEMO1
ねずみ剣士・リーピチープの声がサイモン・ペグに変わっていて、これが実に素晴らしい。小さいけれど気高き剣士って感じがスゴクでている。本作で登場ラストと思うと少し残念。(ちなみにサイモン・ペグは日本公開未定「Paul」の宇宙人の声も←これ見たい)
スキアポデス(一本足のドワーフに似た神話上の生き物)の字幕が「のうなしあんよ」って訳にもなっていて、これも◯(まる)
ユースチスを「リトル・ランボーズ」のウィル・ポールターが演じていて、これが儲け役にして名演技!(で、4作目があるとしたら、このユースチスが大人になってカスピアン王子晩年期、その息子が出てくる「銀のおの」かも?)
監督のマイケル・アプテッド。『歌え!ロレッタ 愛のために』『愛は霧のかなたに』『ネル』など多岐にわたる作品を撮ってきていて、かなりの長いキャリア。
アスラン王の声はもちろんリーアム・ニーソン!
原作のC・S・ルイスと、彼の妻であったアメリカの詩人ジョイ・グレシャムの事を描いた映画がリチャード・アッテンボロー監督『永遠の愛に生きて』。C・S・ルイスをアンソニー・ホプキンスが演じた。

MEMO2
エンドロール・タイトルデザインはFugitive Studios。『NINE』や現在全米公開中の「UNKNOWN」など多数。

映画『ナルニア国物語  第3章 : アスラン王と魔法の島
オフィシャルサイト
http://movies.foxjapan.com/narnia3/

Narnia

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