2021-08-08

『竜とそばかすの姫』細田守監督、中村佳穂、佐藤健、成田凌、幾田りら、他

竜とそばかすの姫

監督 : 細田守
キャスト : 中村佳穂成田凌
佐藤健幾田りら、染谷将太
玉城ティナ、森川智之、津田健次郎
小山茉美、宮野真守、森山良子
清水ミチコ、坂本冬美、岩崎良美、中尾幸世


R1

Memo1
元々、細田守監督は訴えたい主題などなく描きたい世界(よくインタビューで目にする誰も見たことのない世界、もしかしたら主題隠しの可能性もあるが今後の作品を見ていかないと、まだ断定の域ではない)があるだけといった作家と思っているので『未来のミライ』はイマイチだったけれど、本作は逸脱したエモーション(中村佳穂の歌)が物語の基盤やディティールやセンシティブな部分の雑さを覆い隠したところがあって結果プラスに68%動いた。
その辺が賛否分かれる世評になっているのでは?
主人公のひとりに全ての負わせるパターンもいつも通りだし。
特にひとりで行かないでしょーという締めへのシークエンスは特に。
周りの見た友人に聞くと『未来のミライ』の方がよかった人は本作がイマイチ、嫌いって言ってて、そこ掘り下げていくと見えてくるかも。
ツッコミどころベストテンなどをやったらすぐに埋まるぐらいツッコミできるけど、そこは前述プラス後述通り。
(あんな数のフォロワーがいたら、竜/の居場所、すぐに特定できそうとか、他のAs扱いが雑とか、歌は日本語?とか)
12年後のインターネット世界とリアルワールドを描いている部分は成功しているのに、家族の問題(父と娘)や限界集落や同調圧力やDV(ここ、センシティブな問題につき本作での扱い雑すぎ)と、いろいろ詰め込みすぎている感も。
”竜がそんなに迫害を受けるほどの迷惑や犯罪を犯しているように見えないのに何故忌嫌われてしまっているのか”問題もある。
そこは醜悪という意味合いとも違う。
実はすべての元凶たる「悪」は実態を暴く権限(アンベイル=正体を暴く)を持ったジャスティス(自警団)とジャスティン側では?と思わせる節も多々ある。(そもそも権限を渡した5人の賢者って何?実在?そしてジャスティンをサポートするスポンサーロゴの醜いこと醜いこと)
すべて説明不足だが、ジャスティンはパンフレットには一切その姿を現していないが隠し意図?(単純にネタバレなら竜の記載ページ、注釈入りでネタバレしているし)

R2

Memo2
ボディシェアリングのデバイス、よいなーと思ってチェックしていたら細田監督、<U>のアバター構築の際、玉城絵美さんに取材してたのですね。数年前に見た「セブンルール」の衝撃を思い出した。
途中で少し色彩設計が変わるシーン。
背景美術がカートゥーン・サルーンと聞いて納得(しかし、他のジン・キム、エリック・ウォン含めいろいろ豪華)
ひとかわむいたろうとぐっとこらえ丸、というネーミング。
このキャラクター含めイラストレーターとのコラボも多々。
声優に中村佳穂や幾田りら、音楽も「音楽村」を使っての作業含め、多種多様な方面から参加している。これ自体がリアル「U」でもある?
ペギースーって出てきたときにコッポラ監督の映画を思い出してしまった。
millennium paradeに参加しているermhoiがもう一人の歌姫というところにも本作における「歌」の重要性を感じた。

R3

Memo3
パンフレットと入場者配布ステッカー(裏面にSpotifyプレイリストQRコード)。
パンフに劇中で歌われる楽曲の歌詞掲載あり(これは絶対的に入れたと予想)。
この歌詞が後で読むと心情がわかるのだが、それを字幕で入れてしまうのも違ってくるし…(逆に海外マーケットでは堂々と字幕が使える。そう、よく洋画で歌詞に字幕が必要な作品があるように)
R4

Memo4 蛇足
(番外編或いは細田作品放り投げに対しての耐性の話)
拓郎さんの(もう今では絶対に歌わないであろう)『ファミリー』や『望みを捨てろ』を70年代から80年代にかけて聴いてきたので、細田作品の一連の作品の放り投げ感への耐性があるので大丈夫なのかな、と。「My family」に続いて「ひとりであることに変わりなし」「ひとつになれないお互いの」や「ひとりになれない ひとりだから」「最後はいやでも ひとりだから」とか。(「望みを捨てろ」は岡本おさみ作詞)



 

|

2017-11-23

『ローガン・ラッキー(Logan Lucky)』スティーヴン・ソダーバーグ監督、チャニング・テイタム、アダム・ドライヴァー、ダニエル・クレイグ、他

注・内容、台詞などに触れています。
ローガン・ラッキー
Logan Lucky

監督 : スティーヴン・ソダーバーグ
出演 : チャニング・テイタム
アダム・ドライヴァー
ダニエル・クレイグ
ライリー・キーオ
セス・マクファーレン
ケイティ・ホームズ
キャサリン・ウォーターストン
ドワイト・ヨーカム
セバスチャン・スタン
ジャック・クエイド
ヒラリー・スワンク、他

物語・物語・脚が不自由で仕事も家族も失ったジミー(チャニング・テイタム)は、人生を一変させようと犯罪計画を立てていた。それはカーレース「NASCAR」が開催されるサーキット場の金庫から、大金を強奪するというものだった。片腕を失った元軍人の弟クライド(アダム・ドライヴァー)、カーマニアの妹メリー(ライリー・キーオ)、爆破のプロで服役中のジョー(ダニエル・クレイグ)を仲間に迎えるジミー。ジョーを脱獄させて金庫を爆破し、再び彼を獄中に戻す大胆不敵な計画は順調に進んでいたように思えたが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Lucky1

Memo1
終始、見ている間。ニマニマがとまりません。
ハラハラドキドキさせるタイプの作品ではなく「まっさかぁ~、こんなに上手くいくわけがないじゃん 笑」と思っているうちに(観客も計画の全貌がわからないまま、ことの成り行きに)まんまと乗せられたままラストまで。
ドナルド・E・ウェストレイクのドートマンダー一味がウェストバージニアでやらかした、みたいな気分を味わいつつ、あー、こんな映画を見たかったのだよ、うんうんと頷くことしきり。
『オーシャンズ』シリーズや『コンテイジョン』などでおなじみ、伏線回収、空白の時間の解説(種明かし)シークエンス。小気味良いテンポでサササーっと描いていく。
(『コンテイジョン』のパンデミック発端が判明する遡りラストは怖かったー)
全編、小ボケが効いた台詞が多数。
・「森に行ってクマに会ってこい
(あるぅ日ー、森のなぁかー、クマさんに~、ではあるまいし 笑)
…で、実際クマの着ぐるみで現れているし…w
・バングに協力する囚人たちが食堂に立てこもって要求するのが『ゲーム・オブ・スローン』原作『氷と炎の歌』の第6部『冬の狂風』
所長がひとこと。
ドラマのほうが原作より先に進んでいる
・「まるで映画みたいな話だ」
ほら、あの、オーシャンズセブンイレブン
(字幕訳だけではなく実際にそう言ってる 笑)

Lucky2

Memo2
チャニング・テイタムと娘のやり取りが、と~っても微笑ましい。
(冒頭の車をメンテナンスしている際の工具を手渡す息のピッタリさ)
アダム・ドライバーがどこかもっさりとした風体で見事な片手でカクテルを作ったりするバーを営む弟クライド役。
『パターソン』の時に思ったけれど、声がもぞもぞっとした感じで、こういう役柄とてもあってる!
ダニエル・クレイグが007とは違ったハイテンション金庫破りの役(しかも手口が爆破で金庫を開ける大雑把な手法。さらには大金強奪のYouTubeで見たという方法。名前もジョー・バングって)
妹メリーはドートマンダーシリーズで言うとさしずめスタン・マーチ?(道順ではなくて車自体に詳しい)
ヒラリー・スワンクが出てきただけでヒラリー・スワンク 笑
(出ていることを知らなかったので余計にヒラリー・スワンク)
ラストのバー、Duck Tapeでローガン兄弟たちの向かい側のカウンターに座っているのは、やっぱり「ローガン家の呪い」は溶けなかったのだろうか?と思わせる締めくくり。
(それにしても1番セコイ悪党は、被害額を水増し申告して保険会社から大金をせしめたであろうレースの経営者)←ジョーはきっちりと行動10ヶ条の「引き際を見極める」を実行してるのに。
フリー・ファイヤー』『エイリアン : コヴェナント』(本作、まさかのキャサリン・ウォーターストン出てるし)に続いてジョン・デンバーの曲が。(今年だけで3作品。何か、あるのだろうか?)
さらに付け加えると来年早々公開の『キングスマン・ゴールデンサークル』にも。
いろいろ選曲が素晴らしいけれど『フォレスト・ガンプ』『バトルシップ』など、よーく登場するこの曲!
Creedence Clearwater Revival
Fortunate Son
娘がコンテストの発表会でバッチリメイクもファッションも決めているのにリアーナの歌を止めて父親ジミーの姿を見つけて「パパの大好きな歌を」と「カントリー・ロード」を歌い始めるシーン。
会場の観客(子供たちの親ら)もメロディにのせてくちづさみはじめ、いつの間にか合唱へ。
そう!ここはニューヨークでもラスベガスでもなくウェストバージニア!
ブログ記事タイトル、これにしようと思ったけれどあまりにあまりなのでやめたけれど一応記載 → 食塩とグミとゆで卵とカリフラワーとジョン・デンバー。

『ローガン・ラッキー』オフィシャルサイト
http://www.logan-lucky.jp/

| | トラックバック (6)

2017-06-04

"最後のウルヴァリン"『LOGAN ローガン』ジェームズ・マンゴールド監督、ヒュー・ジャックマン、ダフネ・キーン、パトリック・スチュワート、他

注・内容、台詞に触れています。
LOGAN ローガン

監督 : ジェームズ・マンゴールド
出演 : ヒュー・ジャックマン
ダフネ・キーン
パトリック・スチュワート
ボイド・ホルブルック
スティーヴン・マーチャント、他

物語・近未来では、ミュータントが絶滅の危機に直面していた。治癒能力を失いつつあるローガン(ヒュー・ジャックマン)に、チャールズ・エグゼビア(パトリック・スチュワート)は最後のミッションを託す。その内容は、ミュータントが生き残るための唯一の希望となる少女、ローラ(ダフネ・キーン)を守り抜くことだった。武装組織の襲撃を避けながら、車で荒野を突き進むローガンたちだったが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Logan

Memo1
まさに"最後のウルヴァリン"に相応しい圧倒的な力作。
また泥臭さ溢れるロードムービーであり「X-MEN」本編ラインとは一線を画す、現実世界との地続きSFでもあります。
以下、ウルヴァリン(ジェームズ)の記載はローガン、チャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)はチャールズで記しています。
ローラを演じたダフネ・キーン。
(このキャスティングが決め手ともいえる)
前半の全く喋らない"キーッ"とした表情や動作から、後半の心開き始めた情緒ある芝居まで、本当に素晴らしいです。
オーディション風景の動画。
Logan | Dafne Keen's Audition Tape with Hugh Jackman
(20th Century Fox 公式サイト)
https://www.youtube.com/watch?v=h8YJt6iQPNA
ローガンたちと関わった人々(夕食に招いてくれた家族からスーパーの店員にいたるまで)誰ひとりとして助からない。
ローガンにせよローラにせよ、その躊躇ない戦闘スタイルは制御不能となる戦うためだけに育てられた本来の姿を体現したものだ。
壁にかけられた日本刀、出生のことなどシリーズとしての目配せもあるが、前作を見ていなくても成立させている作り方が上手い。
「世界で最も棄権な脳を持つ男がアルツハイマーだと…?」
その言葉通りチャールズが能力を発揮したオクラホマシティでのカジノホテルシーン。その凄まじさ。
(見ているこちらも力が入ったー 汗)
前年に起ったウェストチェスターでの7人のミュータント死亡についても、このことが原因だということが垣間見られる。
2017年の現在からみても本当に近未来らしく(2029年)既に始まっている事柄が実際に描かれている。自動運転のトラック(運転席が無くコンテナ荷台だけAUTO TRAC)や夜間でも動き続ける巨大農作業機による遺伝子組換えトウモロコシの畑、固いボディの装甲リムジン(いくらなんでもと言えるほど頑丈。後述記事リンクあり)など。
前述どおりの地続きSF。
チャールズとふたり、ホテルで映画を見ている。
(まるでお祖父ちゃんと孫のような構図。ローガンとチャールズも親子のようだ、というよりも最後までローガンのことを気にかけているチャールズの姿は親子以上に思える。ゆえに、あの結末が…)
見ている映画は『シェーン
その台詞。
(それはローガンを埋葬したのち、ローラがローガンへおくった言葉へと繋がる)
「1度、人を殺してしまうと、もう元の生活には戻れない」
「ママのところへ帰りなさい」
「そして、こう伝えて」
「もう谷には銃は無くなったから」
「シェーン」のラストについては有名な「シェーン・カムバック」のあとに続く墓所を通り過ぎるシーンがさまざまな意味を持って描かれて終わる。
(実際の死、或いはガンマンとしての死など)
『シェーン(Shane)』Ending
https://www.youtube.com/watch?v=lOmsbhqs95s
「ローラは君の子どもだ」
ローラがリュックの中に入れていたファイルの中に
SOURCE DNA : JAMES HOWLETT(ローガンの本名)と記載が。
最後の戦い
自分と瓜二つの(エンドクレジットではどちらもヒュー・ジャックマン表記)X-24との戦いは、まさに"影を殺す"が如くの緊迫感。
(X-24の治癒能力のなんたる高さ)
ついにローラの放ったアダマンチウムの弾丸で止めをさしたとき、「ウルヴァリン」の姿ではない本来の人間の姿「ローガン」へと戻っていく息絶えつつあるローガン。
そこでのローラの台詞。
「パパ!」

Memo2
"TVブロス"インタビュー
・イーストウッド監督『許されざる者』の主人公は「シェーン」の年老いた姿だという監督の意見に、同じように「許されざる者」のことが頭に浮かんでいたから面白い一致だ、とヒュー・ジャックマン。
・エンドクレジットにジェームズ・マンゴールド監督の大学時代の恩師であるアレクサンダー・マッケンドリック監督に対してスペシャルサンクスが記されている。
(「3時10分、決断の時」「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」などにも)
さて、あのスペシャルリムジンのデザインは?
(オートトラックやジープなども掲載)
How The Cars Of Logan Grappled With The Very Real Future
http://jalopnik.com/how-the-cars-of-logan-grappled-with-the-very-real-futur-1793099275
どこで撮影されたの?
Where was Logan filmed ?
ロケ地ガイド
http://www.atlasofwonders.com/2017/02/logan-filming-locations.html

Logan2

Memo3
メインタイトルデザインは「ウルヴァリン : SAMURAI」も手がけたPicture Mill and F.Ron Miller
エンドタイトル > SCARLET LETTERS
Opening credits – typography
(タイトルシークエンス画像あり)
使用フォントはAkzidenz-Grotesk
後半に掲載されている Logan Noir : Logan Black & White の雰囲気は「マッドマックスFR : Black & White版」でも感じた構図と陰影の美しさが際立っている。
http://annyas.com/screenshots/updates/logan-2017-james-mangold/

映画『LOGAN/ローガン』オフィシャルサイト
http://www.foxmovies-jp.com/logan-movie/

| | トラックバック (19)

2017-04-08

『レゴバットマン ザ・ムービー(The Lego Batman Movie)』クリス・マッケイ監督、ウィル・アーネット、ザック・ガリフィアナキス、マイケル・セラ、レイフ・ファインズ、他

レゴバットマン ザ・ムービー
The Lego Batman Movie

監督 : クリス・マッケイ
Voice Cast : ウィル・アーネット
ザック・ガリフィアナキス
マイケル・セラ
ロザリオ・ドーソン
レイフ・ファインズ、他

物語・町を守る孤独なヒーロー・バットマンのもとに、ロビンがやって来る。ところが、ロビンのあまりのお調子者ぶりに、二人は全く息が合わない。そんな中、ジョーカーが宇宙に閉じ込められていた悪者たちを脱走させ、世界の危機を救うべくバットマンとロビンは立ち上がるが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

B1

Memo1
素晴らしい!
まっとうなバットマン正編映画。
遡るバットマンヒストリー(や、それにまつわる小ネタ)を折り込みつつ、ブルースウェインの過去と(合せ鏡としての)ジョーカーとの対峙、そしてロビン、バットガール誕生までをも描く離れ業。
擬音も楽し。
"レゴで遊んでますよ〜"オーラ出しまくりの口で言う光線の音
「ピュ」「ピュピュ」
そして!そして!!クライマックスの割れるゴッサムシティをつなぎとめる最後の音が…
「カチッ」
(レゴでなければなしえない大団円)
笑ったオープニングロゴ紹介
"黒(Black)"
"恐怖に駆り立てる音楽"
「観客と映画会社を不安に落とし入れる」
"ロゴ"
"ワーナー・ブラザース"
「どうしてブラザースではないのか」
"DC"
「バットマンで儲けた会社」
最後に
"役に立ちそうな言葉"(←笑)
またエンドクレジット前には
"白(white)"
「白い画面で終わる映画はいい映画」
"回収される伏線の数々"(←笑)
悪役テンコ盛り
正統バットマンヴィラン総出演はもちろん
ジョーズ、ドラキュラ、半魚人
サウロンからヴォルデモート卿、キングコング
『マトリックス』エージェントスミス
グレムリンが嬉しかったなぁー
(さすがにここはワーナーならでは)
ロブスターをひとりで食べるバットマン
レンジの前でじーっと待つ姿が…(泣)
同じく、ひとり、ホームシアターで映画を見るバットマン
(↑外部出力端子、多い 笑)
…で、そこ、笑うところ違いますよ↓
トム・クルーズ『ザ・エージェント』
(↑ラストでもういちど、伏線回収今度は仲間と同じシーンで大爆笑)
また、ジョーカーにバットケイブを乗っ取られた際にDVDライブラリーを暴露される。
『マーリー 世界一おバカな犬が教えてくれたこと』
『理想の恋人』
そして
「セレンディピティ!?」
「セレンディピティー!!!」
アルフレッドの声をレイフ・ファインズ(ヴォルデモート卿ではない)
スーパーマンはチャニング・テイタム、といちいちツボ。
(「俺と同じひとりぼっちのヒーロー」と思いきや「ジャスティスリーグ」の設立周年パーティを盛大に開いている)
さらにコンピューター('Puterと呼んでる)がSiri …って笑
(まあ出てくるスマートフォンがiPhoneですから)

Memo2
タイトルデザインは制作会社と同じアニマル・ロジック(Animal Logic)
http://www.animallogic.com/
End Title > SCARLET LETTERS
前作『LEGO® ムービー(The Lego Movie)』のタイトルデザイン
Main On End TitlesはAlma Mater
こちらはインタビューとメイキング記事
http://www.artofthetitle.com/title/the-lego-movie/

B2

映画『レゴバットマン ザ・ムービー』
http://wwws.warnerbros.co.jp/legobatmanmovie/

| | トラックバック (8)

2017-02-24

『ラ・ラ・ランド(La La Land)』デイミアン・チャゼル監督、ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、J・K・シモンズ、他

注・内容、台詞に触れています。
ラ・ラ・ランド
La La Land

監督 : デイミアン・チャゼル
出演 : ライアン・ゴズリング
エマ・ストーン
J・K・シモンズ
ジョン・レジェンド、他

L1

Memo1
"映画は女優で"という小林信彦先生の教えに従ってエマ・ストーンが出ているだけで無条件に見ている者にとっては、まあ、それだけで満足。
(その点から言うとウディ・アレン近作2作は"さらに倍")
"Audition"を歌うシーン、そしてエンドクレジット後半に流れる"City of Stars"エマ・ストーンによるハミングバージョン。
『ワン・フロム・ザ・ハート』想起した初期予告編やポスターからのイメージとはかなり違う。
ただ、後半、部屋がエメラルドグリーンの光に包まれ続けるシーン、特にエマ・ストーン顔アップシーンとテリー・ガーやフレデリック・フォレストに同じように照らされていた光が、やや被る(あとテリー・ガーが家を出て行くシーンの後ろ姿を捉えたショットと似たクレーン俯瞰ショットがいくつか)
ウディ・アレン『世界中がアイ・ラヴ・ユー』を"その年のベスト1"にあげていた淀川長治先生が、ある種対極にある『ラ・ラ・ランド』を見たら、どんな感想だったのだろう?ということを考えている。
(『世界中がアイ・ラヴ・ユー』パンフレットの溢れる喜びに満ちたレビューとか読むと特に)
さて、ラストの解釈についてはいろいろ分れるところ。
映画史変遷(一応、ミュージカル映画・画面フォーマット変遷史←『ザッツエンタテイメント』がモノクロの最初の『雨に唄えば』から始まるように)
SUMMITロゴスタンダードスクリーンサイズから、かつて『聖衣』初上映の際の突如、カーテンが横に開きシネマスコープに変わる部分の再現(PRESENTED BY CINEMASCOPEがモノクロからカラーに変わるところも同時に)
そしてアイリス・フェードイン&アウト
(ラストの"The End"の締め方。ここでパノラマという言葉も)
と、変遷史を見せた上でラスト"もうひとつのありえた世界"を描くシーンで使われたのが16mmによるホーム・ムービーというところが"あるひとつの解"として用意されている。(脚本にもわざわざ16mmという指定がある)
つまるところ"映画もまた夢の一種"なのである。
いま見ている実際の風景も、頭の中でイメージしている映像も、スクリーンに映される映画も、その映画の中で描かれる"ありえたかもしれない、もうひとつの世界のイメージも全ては地続きで繋がっている。
横尾忠則さんも映画にまつわる画集「画集・絵画の中の映画」の中で引用されていたが江戸川乱歩先生のこの言葉を痛烈に思いだす。
「現世は夢、夜の夢こそまこと」
"もうひとつのありえた世界"
最初の出会いでキス、バンドへの誘いを断り、ミアの一人芝居は大盛況、セブはフランスでジャズピアニストとしてライブ、そして結婚、生まれてきた子供の性別が男の子と全て現実とは真逆だと考えると、フランスで撮影する映画のオーディションにはミアは落ちたということになる。
(では、その後どのように女優として成功したのか、夫と知り合ったのかは分からないが、プロセスがどうであれ、二人とも夢は実現したこととなるラストは結構、好みの締めくくられ方)
『ラ・ラ・ランド』パンフレットで町山智浩氏が触れているエンディングについての監督へのインタビュー記事
(ここで監督による"一応のひとつの解"が語られている)
Damien Chazelle Reveals the Movie That Influenced La La Land’s Ending
http://www.vulture.com/2017/01/movie-that-inspired-la-la-lands-ending.html
クスっと笑えたシーン
「私の車の鍵も」
「車種は?」
「プリウス」
「どのプリウス?」
(いっぱい吊るされた同じキー←どれだけTOYOTAばかりやねん←関西弁)
「緑色のリボンの」(←この点もはキーカラー)
冒頭、高速道路ダンスシーンでセブの乗る車の後部座席にぎっしりと入ったカセットテープ収納ボックスがチラリ。
姉に「座るな」と言っていたホーギー・カーマイケルが座った椅子が実現したセブの店の入口入ったところに、しっかりと展示されていた。
映画館でミアがセブを探そうとスクリーンの前に立つシーン。
誰ひとり、ミアの方を向いていない(それどころか、何もないようにスクリーンを見ている。セブの横を通り過ぎるカットもある。)
少し奇妙なシーン。
(思えば次項目に書いた逆光ハイコントラスト映像も奇妙といえば奇妙)
IMAX含めTOHOフリーパス・フル活用で劇場を変えて(現時点で)7ヶ所で見たけれど、上映環境によって、これほど印象が変わる映画も珍しい。
タップの音も判別しにくい場合もある。
(ハイコントラストはラストの"もうひとつのありえたかもしれない世界"の16mmフィルムパートのためにわざとやっていると思うけれど輝度による差は大)
パーソナルカラーコーディネート的には色合い(ウォーム・クールトーン)がちぐはぐに見えていた衣装(特に前半戦)も輝度の高いスクリーンで超ハイコントラストが映えた状態だと全く印象が変わった!

L2

L3

Memo2
ロゴ、メインタイトル、Typography及びグラフィック周りを手がけたのはShine Studio
(おぉぉぉっ!!と唸ったトップロゴなど画像あり)
http://shinestudio.com/projects/la-la-land/
La La Land - Movie References
ロシュフォールの恋人たち』『ウェストサイド物語』『雨に唄えば』『バンドワゴン』『巴里のアメリカ人』『ブロードウェイメロディ』など本作がオマージュ(リスペクト)した該当ミュージカルとの比較シーン動画。
https://vimeo.com/200550228
AllCityによる『ラ・ラ・ランド』Theatrical Campaign
http://www.allcitymedia.com/case-studies/la-la-land
第89回アカデミー賞に『ラ・ラ・ランド』でノミネートされた衣装デザイナー > メアリー・ゾフレス(コーエン兄弟作品多数)によるスケッチが掲載された記事 > http://www.hollywoodreporter.com/news/la-la-land-costume-designer-explains-retro-realistic-look-film-951231
参照にする映画をサンタモニカのビデオ店で借りてきてフレーム画像を印刷した話やセバスチャン(ライアン・ゴズリング)の2トーンシューズのこと、ミア(エマ・ストーン)が昼間に着ている普段着衣装探しのことなど。(H&Mにも!)
(『バンドワゴン』『雨に唄えば』から『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
セバスチャンの2トーンシューズ)
La La Land Production Notes (PDFファイル54ページ)
エンドクレジットも全て掲載されています。
(動画、画像関連マテリアルは別リンク)。
http://www.lionsgatepublicity.com/uploads/assets/LA%20LA%20LAND%20NOTES%20FINAL%209.7.16.pdf
'La La Land': How to Shoot a Musical Number
"Someone in the Crowd"の撮影風景 (IndieWire記事)
http://www.indiewire.com/2017/02/la-la-land-damien-chazelle-emma-stone-musical-number-someone-in-the-crowd-watch-video-1201783573/
twitter版の方でリツイートしたコダック社のメールマガジンでも紹介されているとおり本作は35mmフィルム(一部16mm)で撮影されています。
PANAVISION社のホームベージにも
http://www.panavision.com/la-la-land-theaters
さまざまな映画・ドラマの「どこで撮影されたの?」なども紹介しているサイトに掲載された『ラ・ラ・ランド』ロケ場所。
http://www.atlasofwonders.com/2016/12/la-la-land-filming-locations.html

L5

L6

IMAX上映館初日先着プレゼントとして用意されたポスタービジュアル

映画『ラ・ラ・ランド』公式サイト
http://gaga.ne.jp/lalaland/

| | トラックバック (36)

2016-12-23

タイトルデザイン_46 PROLOG FILM/Kyle Cooper 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(Rogue One: A Star Wars Story)』

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
Rogue One: A Star Wars Story

監督 : ギャレス・エドワーズ
出演 : フェリシティ・ジョーンズ
ディエゴ・ルナ、ドニー・イェン
ベン・メンデルソーン、マッツ・ミケルセン
アラン・テュディック
フォレスト・ウィテカー
リズ・アーメッド、チアン・ウェン、他

Ro

Memo
ディズニー傘下になってからの如実なヒロインを軸とした構成は、本線含めて良いなぁー。
語られていたローグ中隊(若干整合性が無いような気もするけれど、そういうことはどうでもよい)の物語。
監督も語っているとおり、まさに戦争映画になっている。
なんといってもドニー・イェン演ずる盲目の剣士チアルート!
唱えるはフォース念仏とも呼べる信念のフレーズ。
そして、この台詞。
「正しい者のあとに続く」
モルディブで撮影された南国イメージの惑星ビジュアルは初。
宇宙空間との色彩対比が美しい。
ダース・ベイダーの隠れ家(そしてドック)、逆光を背に登場する"見栄"のある場面。
そして何より、設計図を奪われ怒りに燃えて自ら反乱軍の舟に乗り込んでいく鬼気迫る姿。ライトセーバーによる殺陣の恐ろしさ。このシーンに続いてep4を見ると印象が変わるだろうなぁ(←まだ見直していない)
ここが描かれたことによってダース・ベイダーの怖さの部分が強調されて(思い出させてくれた)
"A long time ago,in a galaxy far,far away...." に続いてのメインテーマがなく、そのまま物語に移行していく。
(なるほどサイドストーリーは、オープニング部分をこういう手法をとっていくのか、と膝をうつ)
そしてジン・アーソの子供時代を描いたシーンに続いてメインタイトル。

エンドクレジットを見ているとタイトルデザイン周り(バックグラウンドイメージ、プロデュース)がPROLOG FILM/Kyle Cooperと表記されていた。
(ギャレス版『ゴジラ』からの流れもあってのこと?)
End Titles and Roller Design & Produced > FUGITIVE
http://www.fugitivestudios.co.uk/

ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー
http://starwars.disney.co.jp/movie/r1.htm

| | トラックバック (10)

2016-06-19

『64 -ロクヨン- 後編』瀬々敬久監督、佐藤浩市、永瀬正敏、緒形直人、綾野剛、瑛太、仲村トオル、三浦友和、他

注・内容、犯人、ラストに触れています。
64 -ロクヨン- 後編

監督 : 瀬々敬久
出演 : 佐藤浩市
永瀬正敏、三浦友和、緒形直人
綾野剛、榮倉奈々、瑛太、夏川結衣
窪田正孝、坂口健太郎、筒井道隆
鶴田真由、赤井英和、菅田俊
烏丸せつこ、小澤征悦、椎名桔平
滝藤賢一、奥田瑛二
仲村トオル、吉岡秀隆、他

物語項、前編のブログメモはこちら → 『64 -ロクヨン- 前編』

64_2

Memo
なるほど、こう変更してきたか。
(原作未読なのでドラマ版と比較)
でも嫌いではない。
前編の不思議な熱は、どうしてもラストへ向けて、まとまってしまうこととなるので常温化していくことは仕方ない。
それよりも瀬々監督は原作やドラマ版よりも犯人に対して断罪的に描きたかったのではないだろうか?
まず原作小説との違いについて
以下【小説の流儀、映画の作法 横山秀夫(原作者)×瀬々敬久(映画監督)】より引用
"小説ではラストで、三上があくまで広報官として「ロクヨン」に関わり、それまでの出来事を自分なりに消化していきます。でも映画では、広報官としての一線を越えて、一人の人間として事件と対峙する主人公を作りたいと思っていたんです"
対談・全文はこちら↓
本の話WEB
http://hon.bunshun.jp/articles/-/4761
NHKドラマ版(全5回・大森寿美男・脚本)
ドラム缶の下に置かれたメモの上半分を破って飲み込むのは同じだが、その後釈放され、再び長女が誘拐されたと思い込みロクヨン事件の犯行現場に呼び戻されることとなる映画と違って「目先が落ちた」のひとことで終結したことを知る。
ラスト、家出した娘からと思しき電話で幕を閉じるところは同じ。
各話につけられたサブタイトルがそれぞれ「窓」「声」「首」「顔」そして最終話が「指」!
そして、映画。
『復讐するは我にあり』での三國連太郎、緒形拳共演を彷彿とさせる場面があるのでは?と、公開前から期待されていた佐藤浩市と緒形直人の直接対峙するシーン。
追いかける三上。
逃げる目先(緒形直人)
「どうして殺してしまったんだ」
「わからないんだ」
一瞬、佐藤浩市とのあいだに間(ま)があいて掴みかかる三上。
ここで、もし理由付けされると「そんなことで殺してしまったのか」といった台詞展開となるので、あの答えでよかったような気がします。
ロクヨン事件に関わったすべての人に傷を残すこととなったが、忘れてはならないのは亡くなったのは雨宮(永瀬正敏)の娘ということ。
そのこともあっての目先への何よりも重い罰ともとれる場面を用意したのでは?と、思えるのだ。
あと、ドラマではテレビという規制もあってか、犯行シーンなどがなかったように記憶する(あったとしても覚えていないということは印象が薄かったのかもしれない)
思えば、出かけていく雨宮の娘・翔子がどんと焼きで使う餅のささった枝を持って出かけていく姿を捉えたショットがラストのどんと焼きシーンへとつながっていたのだなぁ、と思った。
前編との繋がり。
三上が雨宮宅を訪ねていった際に仏壇の前に置かれた電話帳をさっと避ける場合、その雨宮の指のアップ、ボサボサだった髪型が整えられた時期などが描かれていたが三上が、ロクヨン模倣誘拐事件を追ってる途中に、思い起こしたのシーンが電話帳の部分。そして番号部分が黒ずんだ公衆電話。
そして、今回もドローン撮影がいくつか。
ラストの川に向かって目先を追いかける三上のシーン(こういうショットはクレーンとも違っていて印象的)
『ちはやふる』を見ても思ったことだが、2部作公開の場合、そのタイトルの出し方に特徴が。
前編のシーンがいくつか流れ、三上の顔のアップ、目に寄っていってスコープサイズの右下に手描きによるメインタイトルが出る。タイトルデザインは赤松陽構造さん

映画『64‐ロクヨン‐前編/後編』公式サイト

http://64-movie.jp/


| | トラックバック (20)

2016-05-12

『64 -ロクヨン- 前編』瀬々敬久監督、佐藤浩市、永瀬正敏、綾野剛、瑛太、仲村トオル、三浦友和、他

注・内容、犯人(後編部分含む)に触れています。
64 -ロクヨン- 前編

監督 : 瀬々敬久
出演 : 佐藤浩市
綾野剛、榮倉奈々、瑛太、夏川結衣
窪田正孝、坂口健太郎、筒井道隆
鶴田真由、赤井英和、菅田俊
烏丸せつこ、小澤征悦、椎名桔平
滝藤賢一、奥田瑛二
仲村トオル、吉岡秀隆
永瀬正敏、三浦友和、緒形直人、他

物語・わずか7日で終わった昭和64年。その年に起きた少女誘拐殺人事件、“ロクヨン”から14年が経過し未解決のまま時効が近づいていた。そのロクヨンの捜査に携っていた警務部秘書課広報室の広報官・三上義信(佐藤浩市)は記者クラブとの不和、刑事部と警務部のあつれきの中、娘の家出にも心を痛めていた。そんな中、ロクヨンを模倣したような誘拐事件が起こる…。

64

Memo1
ファーストカットから乗れた。
メインタイトルが出るまでで昭和64年の事件の件(くだり)が描かれる。
スコープサイズの左右にできる余白隅々まで緊迫感みなぎる佐藤浩市のクローズアップ。
特に前編締めくくり、クライマックスとなる9分間の長回しシーン。
まさに、ひとりで多人数を受け止める芝居の真骨頂。
人が横に移動するとカメラも横に移動して、止まるとフイックス、編集で切り返し(奥から手前に移動してくる場合も動きに応じて手前へと移動する)。そして記者クラブでの広報室との対立はハンディでと、場面に応じた芝居重視の絵作りが素晴らしい。
しかも、ドローンを使った追尾空撮など最新の手法も取り入れた冒頭、身代金を持って移動する雨宮のあとを追う警察車両のカットなども効果的。
(あ、あと、夜の琴平橋で身代金を川に投げ入れる雨宮をとらえたロングショットもよかったなぁ)
↑本作から受けた印象として、ふと、昔、黒澤明監督を囲んでのティーチインで伺ったカメラの動きと役者についての話を思い出した。
原作、TVドラマ版(大森寿美男脚本/ピエール瀧)と既に結末についてはわかった上で鑑賞。
2部作として割る場合、これは正攻法にして上手い前後編手法。
(「ちはやふる」の2部作は、また違ったアプローチで成功していたと思う。まあ「ちはやふる」の場合は連載継続中ということで「ハリポタ」的シリーズ化も可能な上での2部作プラス続編の形になった感もある。「64」の場合は休憩をはさんで一挙4時間公開という手法もあったかもしれない。しかし前編で三上が「亡くなった人を持つ家族の思い」や「その人にも暮らしがあったのだ」ということを訴えかけるシーンは作品ひとつとしてのまとまりを持っており「ロクヨン」と続いて後編で描かれる「ロクヨン」模倣事件、結末へのブリッジとして、この上ない描写となっている)
犯人(少しややこしい表現とネタバレとなりますが→後編で描かれる平成14年に起こる「ロクヨン」誘拐事件の模倣の犯人)についてのヒントが実はさりげなく、いくつものシーンに(三上が雨宮宅を訪ねていった際に仏壇の前に置かれた電話帳をさっと避ける場合、その雨宮の指のアップ、ボサボサだった髪型が整えられた時期など)。それをふまえての後編(チラッと写る緒形直人)が実に楽しみ。

※Memo2
本の話Web
小説の流儀、映画の作法 横山秀夫(原作者)×瀬々敬久(映画監督)】
改稿22回(!)の脚本のこと、小説とは違うラストに言及した興味深い対談。
http://hon.bunshun.jp/articles/-/4761
昭和パートの後、スコープサイズの右上に手描きによるメインタイトルが出る。タイトルデザインは赤松陽構造(パンフレット表紙・本文・ノンブルも)
本編に後編予告編がつくようにパンフレットにも内容告知(原作者インタビューやキャストによる「結末」の封印を解くなど)の予告が!(もしかして、初?)
さらに表3モノクロ、電話ボックスの写真にかぶさる(見切れている)「全て14年前のままだ。」の文字。
パンフレットデザインは大島依提亜/中山隼人
本文40P。新聞仕様の縦組本文。後編へのネタバレ配慮が登場人物相関図はじめ随所に。
(文中敬称略)

映画『64‐ロクヨン‐前編/後編』公式サイト
http://64-movie.jp/

| | トラックバック (22)

2016-05-01

『レヴェナント : 蘇えりし者(The Revenant)』アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督、レオナルド・ディカプリオ、トム・ハーディ、ドーナル・グリーソン、他

レヴェナント : 蘇えりし者
The Revenant

監督 : アレハンドロ・G・イニャリトゥ
撮影 : エマニュエル・ルベツキ

出演 : レオナルド・ディカプリオ
トム・ハーディ
ドーナル・グリーソン、他

物語・アメリカ西部の原野、ハンターのヒュー・グラス(レオナルド・ディカプリオ)は狩猟の最中に熊の襲撃を受けて瀕死(ひんし)の重傷を負うが、同行していた仲間のジョン・フィッツジェラルド(トム・ハーディ)に置き去りにされてしまう。かろうじて死のふちから生還したグラスは、自分を見捨て、息子ホークを殺したフィッツジェラルドに復讐を果たすべく、大自然の猛威に立ち向かいながらおよそ300キロに及ぶ過酷な道のりを突き進んでいく。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Rev2

Memo1
“レヴェナント”とは“黄泉の国から戻った者”という意味。
しかし、これは"死んでいたと思われた男が復讐に執念を燃やす"単なる復讐譚ではなくヒュー・グラスは何かに導かれるように、雪原を旅し、あのラストへと帰結する。
最初のワンカットで撮られた(と、思しき)ネイティヴアメリカンによる狩猟キャンプ襲撃シーンから熊に襲われるところまでで、たった30分しか経っていないという驚くべき冒頭部分。
これによって観客は、主人公たちがいる場所へと放りこまれた形となる(で、怖い)
そしてグラスと共にサバイバルの旅が始まるわけである。
そのうち監督が「ルベツキ、ルベツキ言うなぁー(関西弁)」と、拗ねてしまうのではないかと思われるほど語られるルベツキによる撮影。
今回の自然光だけで撮られたと言われる数々のシーン、メイキング映像を見るとマジックアワーとは別に意外と明るい光(主に午前)でも撮っていて、これは最終的にカラコレで本作の統一された寒色系のトーンに色を落ちつかせたのだな、ということがわかる。
印象に残った場面。
グラスの妻が撃たれたとき、その撃たれた胸の箇所から小鳥がもぞもぞっと出てきて飛び立つところは、はっとさせられた。
(その後も夢の中にも浮遊して現れたり、やはり導きつづけているのか…)
SWITCHに掲載された坂本龍一×真鍋大度対談より抜粋
"編集と並行して音楽を足掛け半年ぐらい延々とやってたんですけど、送られてくる仮編集がOSみたいにバージョンがついていて、Ver1から始まって最終的には11月の時点でVer8.5まできたので(笑)その間、刻々と変わっていくんです"←この仮編集版、見てみたいなぁ←イニャリトゥ監督とルベツキ撮影の秘密がわかるかも。
製作費が1億3500万ドル。
予算の半分ぐらいがテクニカルかことにかかってる、ということはいったい、どれほどの時間が編集やVFX、カラコレなどに費やされたのだろうか…。
※蛇足
最近はクマの映画をよく見る。
パディントン、テッド、レヴェナント(よいクマ、わるいクマ、きょうぼうなクマ←今ここ)

Rev1

Memo2
Neil Kellerhouse Designによるポスター。
写真の上にのせる計算されつくしたフォント処理で数多くの亜流を生み出した。その作品の多くはオフィシャルサイトで見ることができます。
http://www.kellerhouse.com/
タイトルデザインはScarlet Letters
使用フォントTrade Gothic
川、もしくは樹木の間を流れる水(最終場面も川)にかぶさって出るシンプルなタイトル。(フォントのピッチが絶妙。これはエンドタイトル部分にも)
Technicolor社による『レヴェナント : 蘇えりし者』『バードマン』などのColor Finishing ケーススタディ記事(PDFダウンロードスタイル)
http://www.technicolor.com/en/solutions-services/entertainment-services/creative-houses/technicolor-los-angeles/color-finishing
ドキュメンタリー(45分)、撮影、カラコレ、音響など様々なメイキング関連(動画・記事)リンクを網羅
http://jonnyelwyn.co.uk/film-and-video-editing/the-making-of-the-revenant/

映画『レヴェナント:蘇えりし者』オフィシャルサイト
http://www.foxmovies-jp.com/revenant/

| | トラックバック (26)

2016-04-24

『リップヴァンウィンクルの花嫁』岩井俊二監督、黒木華、Cocco、綾野剛、他

リップヴァンウィンクルの花嫁

監督 : 岩井俊二
出演 : 黒木華Cocco
綾野剛、原日出子
地曵豪、毬谷友子
和田聰宏、佐生有語
夏目ナナ、金田明夫
りりィ、他

物語・東京で派遣教員をしている皆川七海(黒木華)は、鉄也とSNSで知り合った後に結婚。結婚式の代理出席をなんでも屋の安室(綾野剛)に頼む。しかし、間もなく鉄也の浮気が明るみに。ところが七海が浮気をしたと義母に責められ、家を出ていくことになる。そんな七海に安室が結婚式の代理出席や、月給100万円の住み込みメイドのアルバイトを紹介。そこでメイド仲間で、型破りで自由な里中真白(Cocco)と出会う。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Rvw2

Memo1
あれよあれよという間に悲惨な出来事になだれこみ"なんでも屋"コンダクター安室行舛(綾野剛)に導かるまま、終映後、気がつけば見ているこちら側(内側)も皆川七海(と同じように少しだけ向こう側(外側)に出られたような気分になる。
現実からファンタジー、そしてまた現実へ。
その抜け出た現実(リアル世界)は最初見ていたものとは違って見える。
なんという傑作!
名前でいろいろ遊んでいたり(かけていたり)する岩井俊二監督作品。
(『花とアリス』でも駅の名前が漫画家繋がりになっていました。白戸方面、水木、藤子、北廊、塗壁、野比田など)
LINE(のようなSNS)画面に出た安室の敬礼写真
「アムロ、行きます」
(冗談のようなホントのような、ちょっとひとをくったような、でも、その匙加減も岩井監督作品)
いろいろな方が指摘しているとおり七海の名前も"全ての川は七つの海に帰す"と意味深。
それにしても真白(Cocco)の母親役がりりィ
(まさに沖縄歌姫の共演←実際の共演場面はありませんが)
真白の葬儀(擬似家族が本当の家族のように参列している)の後のこの母親を訪ねて行くシーン。
ここだけが映像のトーンもドキュメンタリーのようなリアルなタッチに変わる。冒頭、SNSで知り合って結納、結婚へと至る七海の(海月のような)ふわふわとした実態のないリアルではなく、本当にありのままの現実。
カメオ出演、笑える(笑っちゃいけないのかもしれないけど)多数。
ただ、それさえも埋没させてしまうほど本編密度が濃密。
(紀里谷監督には笑ってしまいましたが…)
真白の台詞
「この世界はさ、ほんとうは幸せだらけなんだよ」
「コンビニで知らない人がわたしなんかのためにせっせっせっと商品を詰めていってくれるんだよ」

Memo2
劇場公開作以外に配信限定版(海外上映バージョン)と映画とは異なる全6話からなるBSスカパー!で放送中『リップヴァンウィンクルの花嫁』serial edition。各話のサブタイトルが「結納」「結婚」「離婚」「家族」「白い館」「花嫁」と端的にして秀逸。
http://www.bs-sptv.com/rvw-bride/
メイキング映像を見ると使用カメラがREDだった。
撮影監督・神戸千木 Web Site
Ebank
http://www.ebnak.com/

Rvw
パンフレット
岩井俊二監督や出演者へのインタビュー。宮台真司、中森明夫、岡田育各氏による寄稿。プロダクションノートなど濃い内容。

映画『リップヴァンウィンクルの花嫁』公式サイト
http://rvw-bride.com/

| | トラックバック (8)

より以前の記事一覧