2021-06-06

「やだ、ここから始める?」『クルエラ(Cruella)』クレイグ・ガレスピー監督、エマ・ストーン、エマ・トンプソン、マーク・ストロング、他

クルエラCruella

監督 : クレイグ・ガレスピー

エマ・ストーン
エマ・トンプソン
ジョエル・フライ
ポール・ウォルター・ハウザー
ジョン・マクリー
エミリー・ビーチャム
マーク・ストロング

Cr1

Memo1
まさにエマ・ストーン劇場
予備知識なしで見たので70年代 使用楽曲にいちいち反応してしまった(リスト後述)。
細かいところでは35ミリと65ミリが使用された撮影も素晴らしい。
(この質感は劇場スクリーンでこそ堪能できる!)
「やだ、ここから始める?」
エステラ/クルエラ(エマ・ストーン)のモノローグから始まる。
しかも逆さまで 笑
「まだ1964年。女の時代はもう少し先」
学校で浮くエステラ。
この辺りをエマ・ストーンのややハスキーな声でかぶせてスムーズに綴っていく手際よさ、面白さ。
そしてロンドンでの2人と一匹(眼帯してるチワワ、カワイイ)との出会い。
「エステラは無理。クルエラは達成する」
ふたつの人格をファッションとヘアメイク、動作、発音で見せていく。
IMDb、RottenTomatoともに初日評価より上がっていくパターン。
見た人が増えてヴィラン誕生譚だけでは語られない作品であることが浸透し始めたのかも、と勝手に予測。
クルエラとジャスパー、ホーレスがドナルド・E・ウェストレイクの『ホットロック』他のドートマンダーとその仲間たちのような、『アントマン』のスコット窃盗団のような、ドロンジョとドロンボー一味のような。
アーティ(ブティック店主、ファッションショー協力者)ともう一人(実は味方→)ジョンも加えるとさらに一味感が増す。
この顔ぶれで続編も作れるなぁ。
刑務所に入ったバロネス(エマ・トンプソン)が脱獄してクルエラに復讐しようとする...って、なにやら『ピンクパンサー』シリーズのクルーゾーとドレフュス署長みたいな 笑


Cruella_p
Memo2
ファッションがキー。
ということでパンフレットが写真とイラストとコラージュで彩られた新機軸スタイル。
ネタバレとなるラストシークエンスだけ最終ページに記載しているのも親切設計。
衣装デザイナー、ジェニー・ビーヴァンのパンフレット掲載インタビューにエステラの外見の発想はニーナ・ハーゲン(!)の写真から始まったとある。
コスチューム制作秘話。
https://www.vogue.co.jp/celebrity/article/cruella-costume-designer-jenny-beavan-interview-cnihub
タイトルデザイン
Main on End Titles and Newspaper Headlines Designed by ELASTIC DESIGN
End Crowl SCARLET LETTERS
使用楽曲全リスト
Cruella soundtrack: All the songs featured in the Disney prequel movie
https://www.radiotimes.com/movies/cruella-soundtrack-music-movie/

『クルエラ』公式サイト
https://www.disney.co.jp/movie/cruella.html




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2019-05-03

『女王陛下のお気に入り(The Favourite)』 ヨルゴス・ランティモス監督、オリヴィア・コールマン、エマ・ストーン、レイチェル・ワイズ

女王陛下のお気に入り
The Favourite

監督 : ヨルゴス・ランティモス
出演 : オリヴィア・コールマン
エマ・ストーンレイチェル・ワイズ

物語・18世紀初頭のイングランドの人々は、パイナップルを食べることとアヒルレースに夢中になっていた。体の弱いアン女王(オリヴィア・コールマン)の身の回りの世話をする幼なじみのレディ・サラ(レイチェル・ワイズ)が、権力を掌握していた。ある日、宮中に新入りの召使いアビゲイル(エマ・ストーン)がやって来る。(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

Favo01

Memo1
まあ癖あるヨルゴス・ランティモス監督。
その魚眼レンズの多様さ(なんとVR的な!)。
悪意ある暴露的画面。
そののぞき見世界の中での演者3人の素晴らしさ!
ラスト、悪夢のうさぎが画面を覆い尽くす。
(何故、うさぎを飼っていたのかの趣意はまさに悪夢)
今年のアカデミー賞・衣装デザイン賞プレゼンターで登場したメリッサ・マッカーシーのうさぎ「ずりずり」ファッションには笑った(てっきりサンデー・パウエルが取るものと思ってたけど、結果は周知の通り)

Favo02

Memo2
監督のこだわりの一貫(と思うけれど)タイトルカードやエンドクレジットでの使用フォント(多分、Copperplate)の均等幅スクエア流し込みのスタイルにも驚いた(←読みにくいけど)。
タイトルデザイン → Vasilis Marmatakis
(注・タイトルカードやエンドクレジット画像で構成されています)
http://annyas.com/screenshots/updates/the-favourite-2018-yorgos-lanthimos/

この世界に拮抗する衣装を作り上げたサンディ・パウエル、さすがです。
黒白はっきりつけたらどないやねん(←関西弁)的な与党、野党の意図的ステレオタイプな衣装の分け方。
こちらはケンジントン宮殿での衣装展示。
https://www.hrp.org.uk/kensington-palace/explore/the-favourite-costume-display/
こちらはハンプトンコート宮殿での展示
https://www.hrp.org.uk/hampton-court-palace/explore/the-favourite-costume-display/

 

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2019-01-03

Netflix『マニアック(MANIAC)』キャリー・ジョージ・フクナガ監督、エマ・ストーン、ジョナ・ヒル、ジャスティン・セロー、ソノヤ・ミズノ、他

注・内容、ラストに触れています。
マニアック
MANIAC

監督 : キャリー・ジョージ・フクナガ
出演 : エマ・ストーン
ジョナ・ヒル
ジャスティン・セロー
ソノヤ・ミズノ

物語・この世界に似た別の世界、そして現代に似た別の時代が舞台の「マニアック」では、それぞれ異なる事情から謎めいた新薬の臨床試験の最終段階に参加したアニー・ランズバーグ (エマ・ストーン) とオーウェン・ミルグラム (ジョナ・ヒル) の物語が繰り広げられます。母と姉妹との破綻した関係に執着し、不満を抱きながら目的もなく生きているアニー。ニューヨークの裕福な実業家夫婦の5男で、疑わしくも統合失調症という診断にずっと苦しめられているオーウェン。まともな人生を求める2人は最先端の新薬を使った治療を耳にします。発案者のジェームズ・K・マントルレイ医師 (ジャスティン・セロー) は、数個の錠剤を服用するだけで、精神疾患から失恋による傷心まで、心の不調はすべて治療可能と宣言し、これに魅せられた2人とその他被験者10人がネバーディン製薬バイオテック社の施設に集まり、3日間の臨床試験に参加します。合併症も副作用もゼロで、心の問題を永久に根絶できると言われた彼ら。しかし計画通りには進まず…。(物語項、Netflix メディアセンター記載分より)

Maniac

Memo1
●迷走(瞑想)の果てにたどり着いた帰着点。
変則型ボーイ・ミーツ・ガールものとも言えるかも?
ただ一筋縄でいかないのは振り幅の大きさ。
その振り幅(揺れ幅)はどこから来ているのか?
●50年代のビート、60年代のヒッピー、70年代のサイケデリック、80年代のサイバーカルチャー、そして90年代のバーチャルリアリティとティモシー・ リアリーが提唱(合わせて、まさにこのドラマのようなニューロポリティクス)それらに現代の人工知能と(まさにラストはこれ→)「カッコーの巣の上で」ミックスモダン。
(もちろんフィリップ・K・ディックのトリップ感やウィリアム・ギブスン風味も)
●そのティモシー・リアリーが特集(TV電話インタビュー、テキストなど)された「ET PLUS」(1990年・刊)のページが本作の冒頭イメージ。

Et

●マニアック : 日本での和製英語としてのことばと実際の英語の意味合いの違い。
●笑ったのは支払いに使えるアドバディ。
ずっと真横に暑苦しい〜オッサンが寄りそって広告を話し続ける、なんとも皮肉な味付け(「あなたにおすすめ」をリアルカウントで行ったら、こうなる?笑)
●鑑賞後感(後味)がよいのはラスト近くでのアニーのことば「友達だから」が効いている。
●いろいろな役柄を演じるエマ・ストーンが見られるのもファンとして嬉しい。(まさかのエルフものまで!)

Memo2
●元となった2014年のTVシリーズ『Maniac』(IMDb)
https://www.imdb.com/title/tt3714902/
●はられた伏線やフリのようなものが
『マニアック(Maniac)』を視聴した人が見逃しているかもしれない15の事柄
https://www.net-frx.com/2018/09/netflixmaniac15.html

マニアック | Netflix 公式サイト
https://www.netflix.com/title/80124522

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2017-02-24

『ラ・ラ・ランド(La La Land)』デイミアン・チャゼル監督、ライアン・ゴズリング、エマ・ストーン、J・K・シモンズ、他

注・内容、台詞に触れています。
ラ・ラ・ランド
La La Land

監督 : デイミアン・チャゼル
出演 : ライアン・ゴズリング
エマ・ストーン
J・K・シモンズ
ジョン・レジェンド、他

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Memo1
"映画は女優で"という小林信彦先生の教えに従ってエマ・ストーンが出ているだけで無条件に見ている者にとっては、まあ、それだけで満足。
(その点から言うとウディ・アレン近作2作は"さらに倍")
"Audition"を歌うシーン、そしてエンドクレジット後半に流れる"City of Stars"エマ・ストーンによるハミングバージョン。
『ワン・フロム・ザ・ハート』想起した初期予告編やポスターからのイメージとはかなり違う。
ただ、後半、部屋がエメラルドグリーンの光に包まれ続けるシーン、特にエマ・ストーン顔アップシーンとテリー・ガーやフレデリック・フォレストに同じように照らされていた光が、やや被る(あとテリー・ガーが家を出て行くシーンの後ろ姿を捉えたショットと似たクレーン俯瞰ショットがいくつか)
ウディ・アレン『世界中がアイ・ラヴ・ユー』を"その年のベスト1"にあげていた淀川長治先生が、ある種対極にある『ラ・ラ・ランド』を見たら、どんな感想だったのだろう?ということを考えている。
(『世界中がアイ・ラヴ・ユー』パンフレットの溢れる喜びに満ちたレビューとか読むと特に)
さて、ラストの解釈についてはいろいろ分れるところ。
映画史変遷(一応、ミュージカル映画・画面フォーマット変遷史←『ザッツエンタテイメント』がモノクロの最初の『雨に唄えば』から始まるように)
SUMMITロゴスタンダードスクリーンサイズから、かつて『聖衣』初上映の際の突如、カーテンが横に開きシネマスコープに変わる部分の再現(PRESENTED BY CINEMASCOPEがモノクロからカラーに変わるところも同時に)
そしてアイリス・フェードイン&アウト
(ラストの"The End"の締め方。ここでパノラマという言葉も)
と、変遷史を見せた上でラスト"もうひとつのありえた世界"を描くシーンで使われたのが16mmによるホーム・ムービーというところが"あるひとつの解"として用意されている。(脚本にもわざわざ16mmという指定がある)
つまるところ"映画もまた夢の一種"なのである。
いま見ている実際の風景も、頭の中でイメージしている映像も、スクリーンに映される映画も、その映画の中で描かれる"ありえたかもしれない、もうひとつの世界のイメージも全ては地続きで繋がっている。
横尾忠則さんも映画にまつわる画集「画集・絵画の中の映画」の中で引用されていたが江戸川乱歩先生のこの言葉を痛烈に思いだす。
「現世は夢、夜の夢こそまこと」
"もうひとつのありえた世界"
最初の出会いでキス、バンドへの誘いを断り、ミアの一人芝居は大盛況、セブはフランスでジャズピアニストとしてライブ、そして結婚、生まれてきた子供の性別が男の子と全て現実とは真逆だと考えると、フランスで撮影する映画のオーディションにはミアは落ちたということになる。
(では、その後どのように女優として成功したのか、夫と知り合ったのかは分からないが、プロセスがどうであれ、二人とも夢は実現したこととなるラストは結構、好みの締めくくられ方)
『ラ・ラ・ランド』パンフレットで町山智浩氏が触れているエンディングについての監督へのインタビュー記事
(ここで監督による"一応のひとつの解"が語られている)
Damien Chazelle Reveals the Movie That Influenced La La Land’s Ending
http://www.vulture.com/2017/01/movie-that-inspired-la-la-lands-ending.html
クスっと笑えたシーン
「私の車の鍵も」
「車種は?」
「プリウス」
「どのプリウス?」
(いっぱい吊るされた同じキー←どれだけTOYOTAばかりやねん←関西弁)
「緑色のリボンの」(←この点もはキーカラー)
冒頭、高速道路ダンスシーンでセブの乗る車の後部座席にぎっしりと入ったカセットテープ収納ボックスがチラリ。
姉に「座るな」と言っていたホーギー・カーマイケルが座った椅子が実現したセブの店の入口入ったところに、しっかりと展示されていた。
映画館でミアがセブを探そうとスクリーンの前に立つシーン。
誰ひとり、ミアの方を向いていない(それどころか、何もないようにスクリーンを見ている。セブの横を通り過ぎるカットもある。)
少し奇妙なシーン。
(思えば次項目に書いた逆光ハイコントラスト映像も奇妙といえば奇妙)
IMAX含めTOHOフリーパス・フル活用で劇場を変えて(現時点で)7ヶ所で見たけれど、上映環境によって、これほど印象が変わる映画も珍しい。
タップの音も判別しにくい場合もある。
(ハイコントラストはラストの"もうひとつのありえたかもしれない世界"の16mmフィルムパートのためにわざとやっていると思うけれど輝度による差は大)
パーソナルカラーコーディネート的には色合い(ウォーム・クールトーン)がちぐはぐに見えていた衣装(特に前半戦)も輝度の高いスクリーンで超ハイコントラストが映えた状態だと全く印象が変わった!

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Memo2
ロゴ、メインタイトル、Typography及びグラフィック周りを手がけたのはShine Studio
(おぉぉぉっ!!と唸ったトップロゴなど画像あり)
http://shinestudio.com/projects/la-la-land/
La La Land - Movie References
ロシュフォールの恋人たち』『ウェストサイド物語』『雨に唄えば』『バンドワゴン』『巴里のアメリカ人』『ブロードウェイメロディ』など本作がオマージュ(リスペクト)した該当ミュージカルとの比較シーン動画。
https://vimeo.com/200550228
AllCityによる『ラ・ラ・ランド』Theatrical Campaign
http://www.allcitymedia.com/case-studies/la-la-land
第89回アカデミー賞に『ラ・ラ・ランド』でノミネートされた衣装デザイナー > メアリー・ゾフレス(コーエン兄弟作品多数)によるスケッチが掲載された記事 > http://www.hollywoodreporter.com/news/la-la-land-costume-designer-explains-retro-realistic-look-film-951231
参照にする映画をサンタモニカのビデオ店で借りてきてフレーム画像を印刷した話やセバスチャン(ライアン・ゴズリング)の2トーンシューズのこと、ミア(エマ・ストーン)が昼間に着ている普段着衣装探しのことなど。(H&Mにも!)
(『バンドワゴン』『雨に唄えば』から『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』
セバスチャンの2トーンシューズ)
La La Land Production Notes (PDFファイル54ページ)
エンドクレジットも全て掲載されています。
(動画、画像関連マテリアルは別リンク)。
http://www.lionsgatepublicity.com/uploads/assets/LA%20LA%20LAND%20NOTES%20FINAL%209.7.16.pdf
'La La Land': How to Shoot a Musical Number
"Someone in the Crowd"の撮影風景 (IndieWire記事)
http://www.indiewire.com/2017/02/la-la-land-damien-chazelle-emma-stone-musical-number-someone-in-the-crowd-watch-video-1201783573/
twitter版の方でリツイートしたコダック社のメールマガジンでも紹介されているとおり本作は35mmフィルム(一部16mm)で撮影されています。
PANAVISION社のホームベージにも
http://www.panavision.com/la-la-land-theaters
さまざまな映画・ドラマの「どこで撮影されたの?」なども紹介しているサイトに掲載された『ラ・ラ・ランド』ロケ場所。
http://www.atlasofwonders.com/2016/12/la-la-land-filming-locations.html

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IMAX上映館初日先着プレゼントとして用意されたポスタービジュアル

映画『ラ・ラ・ランド』公式サイト
http://gaga.ne.jp/lalaland/

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2016-06-12

『教授のおかしな妄想殺人(Irrational Man)』ウディ・アレン監督、ホアキン・フェニックス、エマ・ストーン、他

注・内容、オチに触れています。
教授のおかしな妄想殺人
Irrational Man

監督 : ウディ・アレン
出演 : ホアキン・フェニックス
エマ・ストーン
パーカー・ポージー
ジェイミー・ブラックリー、他

物語・アメリカ東部の大学。孤独で気力のない哲学科の教授エイブ(ホアキン・フェニックス)は、ある日不快な判事についての話を聞く。自分がその判事を殺害するという完全犯罪を妄想した途端、よどんでいた彼の人生は鮮やかに色づき始める。一方、エイブのことが好きな教え子ジル(エマ・ストーン)は、教授が奇妙な殺人妄想に夢中になっているとは知らず、恋心を募らせていくが…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

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※Memo1
なんとも見事な、絵に描いたような太鼓腹のヨレヨレ教授エイブ役のホアキン・フェニックス。
人生の意味を失い鬱気味で、その上、自殺願望があって実存主義の危機を語る、昼間から大学内でもウィスキーを隠し持つ(←隠してないけれど)という、なんとも大丈夫かぁー、と思ってしまう男…が、そういった、ちょっと翳りのある雰囲気がよいのかジルはエイブに惹かれていってしまう(この、やたらとモテる主人公はいつも通り)
ジルに誘われ仕方なく出たパーティで、ロシアンルーレットを平然とやってのけるエイブ。
ここで拳銃が奥の棚から出てきた時に、一瞬、目のいろが変わる。
ここでのシーンありきの、レストランで後ろの席にいた人たちの会話を盗み聞いて知る、よからぬ判事を、この困っている人にかわって始末してあげようと思い立つことに。
この物語展開だと『マッチポイント』の倫理的に否だけど、もっと違う罰を背負うパターンか『誘惑のアフロディーテ』のような「んな、アホな」(目の前にヘ リコプターが着陸してきて、あれよあれよの)ご都合主義的オチか(あるいは偶然も、また真理的オチ)、ウディ・アレンの「アンビリーバボー」と声が聞こえ てきそうな『さよなら、さよならハリウッド』の小咄的オチか。
さて本作は…
喜劇か悲劇か不条理な世界をアイロニカルに。
(哲学喜劇とでも、申しましょうか←これ、以前にどなたかの著書で書かれていた気がするのですが、お名前失念)
判事殺害計画を実行に移してから、突如として"生きがい"を感じ、夜はぐっすり眠れるし、朝食もきっちりとれるようになったエイブ(表情も体型も変化)がジルと遊園地に出かける。
その遊園地でルーレットゲームで景品としてゲットした懐中電灯が、まさかの命取りになるとは!?
見どころ→いつの間にかホアキン・フェニックスとエマ・ストーン、どちらもウディ・アレンに見えてくるところが、可笑しくておかしくて。(←脳内変換可。まるでウディ・アレンとウディ・アレンが話してるような)
特にエイブが実際に殺人犯だと判明したあとのジルの身振り手振りが 笑

※Memo2
エマ・ストーンのファッション、可愛い!←そこかい!(関西弁)
衣装デザイナーは『ブルージャスミン』のSuzy Benzinger
『ブルージャスミン』の時はケイト・ブランシェットのためにカール・ラガーフェルドによるシャネルのジャケットを用意したが、本作はいたってカジュアル。
ピアノを習い、哲学を専攻し、詩にも造詣が深いジルが、いかにも好みそうな、タッセルを用いたヒッピー/フラワーチルドレンムーヴメントの頃の柄や素材を元にしたワンピースが素敵!
撮影監督は『僕のニューヨークライフ』『ミッドナイト・イン・パリ』『ローマでアモーレ』『マジック・イン・ムーンライト』とウディ・アレン監督の近作を多く手がけているダリウス・コンジ
Opening credits – typography
(the Movie title stills collection記事より)
http://annyas.com/screenshots/updates/irrational-man-2015-woody-allen/
Ramsey Lewis Trioの「The "In" Crowd」がほとんどテーマ曲のようにバンバン流れる。あと、David O’Neal「Angel in the Snow」(←美しい曲)が音量的には小さいけれど印象的。 
IRRATIONAL MAN Soundtrack
Song/Music List

http://www.lyricsoundtrack.com/movies/irrational-man-soundtrack-list

ロケ地
ロードアイランド州のウェストグリニッジやサルベレジーナ大学/Salve Regina University、ビーヴァートレイル州立公園(灯台付近の海岸に立って下記、ポスターのような"ホアキン・フェニックスごっこ"ができる!)
こちらは大学での撮影画像
http://www.woodyallenpages.com/2014/08/2015-film-braylin-college-salve-regina-historic-hill-chez-pascal/
画像(約170枚)や各国のポスター、他『教授のおかしな妄想殺人』関連の記事がまとめられたWoody allen Pages
http://www.woodyallenpages.com/films/irrational-man/


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映画『教授のおかしな妄想殺人』公式サイト
http://kyoju-mousou.com/

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2015-04-23

"恋は魔法?"『マジック・イン・ムーンライト(Magic in the Moonlight)』ウディ・アレン監督、コリン・ファース、エマ・ストーン、他

注・内容、台詞、ラストに触れています。
マジック・イン・ムーンライト
Magic in the Moonlight
監督 : ウディ・アレン
出演 : コリン・ファースエマ・ストーン
ジャッキー・ウィーヴァーマーシャ・ゲイ・ハーデン
アイリーン・アトキンスハミッシュ・リンクレイター
サイモン・マクバーニー

物語・魔法や超能力など信じない皮肉屋のイギリス人マジシャン、スタンリー(コリン・ファース)は、ある大富豪をとりこにしているアメリカ人占い師の正体を暴いてほしいと頼まれる。南フランスの富豪宅を訪ねるも占い師ソフィ(エマ・ストーン)が発揮する驚異的な透視能力にただただ驚かされ、それまでの人生観を覆される羽目に。その上、かれんな容姿で明るく活発な彼女に魅了されてしまい…(物語項、シネマトゥデイより抜粋)

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Memo1
「タロットカード殺人事件」のウディ・アレン本人によるトランプマジックあたふたも楽しかったけど本作におけるコリン・ファース演ずるスタンリー(モデルがいるらしい)の"天才悪魔フーマンチュー"的というか"ハイ、わたし中国は広島の生まれ"ゼンジー北京師匠的マジシャン姿もいきなり怪しオモシロでつかみバッチリ!しかも超毒舌(ファンがサインを求めてきても「あー、ハイハイ」とばかりに無視 w)
本作の時代設定もあって、いわゆる妖精事件を扱ったシャーロック・ホームズをピーター・オトゥールがフーディニをハーヴェイ・カイテルが演じていた『フェアリーテイル』を思いだした。(神秘主義と科学のせめぎ合いという意味でも)
ウディ・アレン作品の中では軽め(とはいえ職人芸)だが、この上なくロマンティックなトーンとラストシーンをもった本作、いいなぁー
突然の雨に逃げ込んだ天文台。
子供の頃、空が怖かったというスタンリー(このあたりの会話で実は未知なるもの、大いなるものに対して畏怖の念を持っていたのだなーということが垣間見られる)
天体望遠鏡のための天井を開けたとき見えたのは雨が上がった空に輝く月。
"人生は喜劇か悲劇か"
それはウディ・アレン作品の幾つかの作品でもよく見られるテーマ。(『メリンダとメリンダ』のように、それこそ同じ事柄をふたりのメリンダから喜劇編、悲劇編とはっきりとわけて描いていた作品もある)
そして今回はマジックか本物のの占い師(霊能)か、ロジックかスピリチュアルかの対照的図式。
スタンリーが初めてソフィに会ったとき「中国に何か関係している?」と言い当てられてドキッとしたのと同時に実はソフィに対して一目惚れ的にもドキッとしていたのでは?
(その後スタンリーが信頼している伯母さんとの自分だけしか知らない秘密を当てられてすっかり、これは本物の超能力霊能だ!とあっさり信じてしまう←この転向具合がアレンらしい隠しアイロニーw)
よくよく考えてみると友人がスタンリーを騙すために仕組んだ大芝居。このことがないとスタンリーとソフィは出会ってなかったわけだから、そう、それこそまさに"恋は魔法"
ラスト
(前段階として降霊術シーンで返事として机を叩くような音が1回の場合はイエス)
自分がどんなにソフィーのことを愛していたかを告げているスタンリー
「その大きな瞳と笑顔にもう一回会いたい。聞こえるなら返事をしてほしい」
するとドンと机を叩く音が1回。
「ソフィー?」
もう一度机を叩く音が1回
「僕と結婚してほしい」
また1回
ふりかえるスタンリー。
ソフィの姿が。
キスをする二人でエンドクレジットへ。

Memo2
撮影はダリウス・コンジ
『ミッドナイト・イン・パリ』『ローマでアモーレ』のトーンは本作にも引き継がれアレン好みのウォームカラーで整えられている。
タイトルデザイン
Black on Whiteによるお馴染みのタイトルカード
Typefaceは他の多くの作品と同じWindsorでした。
(特に「&」の部分に特徴がよくでています)
衣装デザイナーはウディ・アレン作品には欠かせないソニア·グランデ
スケッチと電話インタビュー。デザインに際して使用した写真や絵画も掲載されたNational Post記事
http://news.nationalpost.com/arts/movies/woody-allens-costume-expert-on-magic-in-the-moonlight
監督が青色について嫌がっていること(前述通りウォームトーン好み)を常に念頭においているということや素材についても語っている。
ソフィの(ラスト近く、スタンリーと仲違いして富豪と結婚することに!?となった際の)婚約指輪と伯母さんにまつわるジュエリーがVan Cleef & Arpelsのハイジュエリーが用いられていました。
(エンドクレジットの一番最後に謝辞が)
『王様のブランチ』でのウディ・アレン特集。
アレンの仕事場「マンハッタン・フィルム・センター」でのインタビュー。
地上波でこれぐらい長い特集は初めてかもという約15分。既出インタビューだと思うけど『マジック・イン・ムーンライト』コリン・ファース&エマ・ストーンインタビューも少々。
演出術などを語ったのち『マジック・イン・ムーンライト』についてこう締めくくり→「とてもロマンティックでマジカルな映画をつくりました。見れば気に入ると思うけど、もし気に入らなかったら僕に電話して文句を言えば善処するよ」

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映画『マジック・イン・ムーンライト』公式サイト
http://www.magicinmoonlight.jp/

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2015-03-29

『バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)』Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance) アレハンドロ・G・イニャリトゥ監督、マイケル・キートン、エマ・ストーン、エドワード・ノートン、ナオミ・ワッツ、ザック・ガリフィナーキス、他

注・内容、台詞、ラストについて触れています。
バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡)
BIRDMAN OR (THE UNEXPECTED VIRTUE OF IGNORANCE)

監督 : アレハンドロ・G・イニャリトゥ
出演 : マイケル・キートンエマ・ストーン
エドワード・ノートンナオミ・ワッツ
ザック・ガリフィナーキス、他

物語・かつてヒーロー映画『バードマン』で一世を風靡した俳優リーガン・トムソン(マイケル・キートン)は、落ちぶれた今、自分が脚色を手掛けた舞台「愛について語るときに我々の語ること」に再起を懸けていた。しかし、降板した俳優の代役としてやって来たマイク・シャイナー(エドワード・ノートン)の才能がリーガンを追い込む。さらに娘サム(エマ・ストーン)との不仲に苦しみリーガンは舞台の役柄に自分自身を投影し始め…

Mirdman

Memo1
「バットマン」を演じたマイケル・キートンが、かつてヒーロー"バードマン"だった主人公リーガンを演じる。
エドワード・ノートンは『ハルク』
ナオミ・ワッツは『マルホランド・ドライブ』で役者に憧れ(『キングコング』にも出てた!)
そしてエマ・ストーンは『アメイジングスパイダーマン』に、と逆説的批評性はキャスティングから内容にいたるまでが微に入り細に入り繰り広げられる。
冒頭直ぐにこんな台詞
(代役が必要になって探す段になってプロデューサーのジェイクとの会話←ザック・ガリフィナーキスがいつもとは違った印象の役回りで好演!)
「ウディ・ハレルソンは?」
「ハンガーゲーム撮影中」
「マイケル・ファスベンダー」
「X-MEN撮影中」
「ジェレミー・レナー」
「誰?」
「"ハートロッカー"の」
「アベンジャーズを」
「あいつまでもか」
と、ことごとくダメ。
最後は楽屋でインタビューを受けているロバート・ダウニーJrがテレビに映ってアイアンマンとアベンジャーズの続編について語っている姿が 笑
"白いブリーフは似合わない"
と、いうかめちゃくちゃ似合っている(と、言うと失礼か)。プレビュー最終日、ラストシーンを前に通りに出たところをガウンが挟まった上にオートロックがかかってしまい劇場に戻ることが出来なくなる。
仕方なくガウンを諦め、パンツ一丁になってメインストリートに出て表玄関から劇場に入ることとなる。
「バードマン?」「バードマンだ」
道行く人々がスマホで写真、動画をバシバシと撮る。
(これが功を奏して一躍時の人に。しかし、プレビュー公演はパンツ一丁で客席から入っていくことに…)
そのあとのニューヨーク・タイムズの批評家との会話(リーガンがぶちまける台詞「レッテルを貼るだけだ」など批評に対してボロクソに)、明けて酔いつぶれて目を覚ますリーガン、ついにはバードマンそのものが…。
(あ、白パンツとは別でエドワード・ノートンのまるで志村けんさんのコントのような白タイツも強烈ですが 笑)
エマ・ストーン演じる娘、サム。
施設でやらされたというトイレットペーパーにひたすら棒を記入する。
(彼女にとって、父リーガンがFacebookもtwitterもYouTubeもやらずにズレていることがたまらなく嫌なのがわかってくる伏線があっての前述、プレビュー最終日後のリーガンとの会話の台詞がよい→「人類誕生から今までがたったこれだけ」「いかにちっぽけかがわかる」「これがネットの力よ」)
この楽屋での少し理解し合えるシーンがとてもよい。
(それはそのままラストにも繋がる)
ラスト
(一応、生きているという前提で以下)
リーガンがそれこそ"無知がもたらす予期せぬ奇跡"によって(鼻をとばすが…)公演は大成功。批評も好評。
入院したベットで目を覚まし、周囲の人たちやサムと会話。
マスクのような包帯(まるでバードマン)を外し、
見上げる空には!
そして花瓶に水を入れに外に出ていたサムが病室に戻るとリーガンがいない。
(!?飛び降り?)
窓の下を見て、空を見上げるサム。
見たものは
暗転して笑い声でエンド。
(このいかようにも取れる終わり方は最強だ。何故だか、変に力が湧いてくるのは何故だろう?
傑作!)

Memo2
エマニュエル・ルベツキによるまるでワンカットで撮影されたかのようなカメラワーク。
(これは現実と幻想が切れ目なく地続きで描かれている本作にピッタリ。おそらくは監督からの要望もそういうことだったのかな?と推測)
さらにはブロードウェイの劇場とその周りの風景含めての空気(暮れてゆく、或いは明けてゆく時の流れ)まで捉えていて、なんとも魅惑的な撮影。そこをドラムのビートがいざなうように動いていくカメラ、視点。
(サムが劇場屋上で腰掛けて通りを見下ろしているあたりの色合いといい空気といい、最高です)
前述のそのドラム、アントニオ・サンチェスによる音楽が同じく切れ目のない浮遊感を保ち続ける。
(これまた、いつの間にかリーガンの心情と呼応するようになっていく感じが圧巻)
Main Title Design はBLT Communication,LLC
(主にKeyArt含め膨大な量のアートワークの数々を製作)
http://bltcommunications.com/Home/

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』
公式サイト

http://www.foxmovies-jp.com/birdman/

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2014-04-30

タイトルデザイン_42 (CineTitle、他)『アメイジング・スパイダーマン2(THE AMAZING SPIDER-MAN)』マーク・ウェブ監督、アンドリュー・ガーフィールド、エマ・ストーン

注・内容、ラストに触れています。
アメイジング・スパイダーマン2(THE AMAZING SPIDER-MAN)』
監督  マーク・ウェブ
主演 アンドリュー・ガーフィールドエマ・ストーン
ジェイミー・フォックス
デイン・デハーン

ポール・ジアマッティ
サリー・フィールド

物語・スパイダーマンとしてニューヨークの平和を守るピーター(アンドリュー・ガーフィールド)と恋人グウェン(エマ・ストーン)。彼は彼女の父親と交わした約束に揺れ動いていた。そんな中、オズコープ社CEO死去により息子でありピーターの旧友でもあるハリー・オズボーン(デイン・デハーン)がニューヨークに戻ってくる。ハリーがかかっている病気はピーターとの関係を最悪のものへと変化させてしまう。さらに新たなる敵、エレクトロ(ジェイミー・フォックス)が出現。そして…

Spiderman2

Memo1
(もしやグウェンと三角関係シーンが、と)噂されていたメリー・ジェーン出演部分はカットもしくは3以降に持ち越されて?グッとピーターとグウェンとの恋愛部分(と前作でグウェンの父親と交わした約束との間で悩むピーター)が軸となる構成に。
そのためか、登場するヴィランたち(エレクトロ、グリーン・ゴブリン、ライノ)はまとまって戦わず順を追ってひとりひとりと交戦するように描かれている。さらにグウェンも加わってのエレクトロとの戦闘は彼女のアイデアと協力なくしてはありえないものとなっている。1作目よりもはるかにマーク・ウェブ監督らしさが出た仕上がり。
前作は17歳。父親にココアをすすめられたりもしていたグウェンだったが、本作では卒業する年齢ということでなのかメイクが濃くなっている。(あとヘアスタイルとかファッションも)
オープニングで描かれるピーターの父と母の最後。このシーンの快調なテンポが素晴しい。オズコープ社でのピーターの両親、ハリーの父親ノーマンとの研究に関して起こっていた出来事についての経緯も描かれている。
エンドクレジットであの映画との関連付けが初めて明らかに。(←次なる展開へのフリ?ちなみにIMAX版ではこの部分が加えられていないらしいのですが未見につき未確認←さらに、これは単なる"あの映画"宣伝だけという話のようです←ややこしい…)
少年とスパイダーマンというモチーフは前作に引き続き今作でも。ラスト、サイ型パワードスーツを身に纏ったライノと対峙する場面で。グウェンの死後、全く姿を現さなくなったスパイダーマンがメイ叔母さんの言葉とグウェンの卒業スピーチで気持ちを立て直し新たなる決意のもと登場するシーン。
(ここでライノと一戦というところだが、いざ!と出た瞬間エンドクレジットへ。このダラダラと戦闘シーンを続けず、すっと終わらせるラストは好みだなぁ)
次回作はピーター、MJ、ハリーが軸となるのだろうか?(←エマ・ストーンが出演しなくなるのが少し寂しいが←まあ、変則構成にすれば可能だが…)

Memo2
関西ではUSJアトラクションのスパイダーマン3Dに絶対的信頼度があるからだと思いますが予想通り3D上映の方に人気が集まっていた(←と、初日の予約状況を頻繁に確認しての個人的分析)
スコアがジェームズ・ホーナーによる、いわゆる正統派サントラからハンス・ジマーと6人の音楽家ザ・マグニフィセント・シックス(The Magnificent Six)へと変更。意外とこの作曲家変更が「1」との印象を大きく変えた要因のひとつかもと思ったり。
タイトルデザインはBlur Studio
"End Title"クレジットはCineTitle
(Big Film DesignのRandy Balsmeyerが参画)
Welcome to CineTitle
http://www.cinetitle.com/

アメイジング・スパイダーマン2
http://www.amazing-spiderman.jp/site/

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2013-12-25

「ヒックとドラゴン」の監督のひとり、クリス・サンダースによる傑作!『クルードさんちのはじめての冒険(Croods)』(劇場未公開)

クルードさんちのはじめての冒険(Croods)』監督は「リロ&スティッチ」「ヒックとドラゴン」(クリス・サンダース&ディーン・デュボア共同監督)のクリス・サンダース

Croods_2

Memo
今年の全米興行ランク1位を獲得し興収1億8700万ドル、世界興収では5億8700万ドルというメガヒット作品が何故か日本では見事に劇場未公開にしてソフトスルー。
洞穴から出ないクルードさんち。
何故なら外は危険でいっぱいだから。
「新しいものはダメ」
「好奇心も、夜遊びもダメ」
「楽しいことは全部ダメ」
「とにかくダメ」
それでも落ちる夕陽を見に洞穴の岩肌を登る娘、イープ。
ある日、イープは夜中なのに洞穴に差し込んでくる光を追って丘の上に。
そこで火を使うことが出来るガイと出会う。
彼は世界は終りに近づいているから、ここを離れて高い山に向かうしかないというのだ。
一緒に行こうと誘われるが家族をおいてはいけないイープ。
「生き延びたらこれで連絡して」と貝の笛を渡される。
そして、その時(世界の終わりの始まり)はすぐにやってきた…
ボイスキャストが素晴しい!
父親役にニコラス・ケイジ、逆に今いる世界の外へと出ていきたい娘イープをエマ・ストーン、家族を失い連れ出すガイにライアン・レイノルズ
もし実写で何か別の映画を撮ったとしてもはまりそうな組み合わせ。
出てくる原始世界のアニマルや植物が美しい!←「アバター」のふわふわ系植物想起(これ3Dだと、かなり綺麗に浮くはず)。
虎(の始祖?カラーリングが鳥類)が「ヒックとドラゴン」のトゥースレスみたいで猫好きもふにゃ~ってなる映画。手がカワイイ!(なんと火のついた松明まで持てる!)←ここの最初は獰猛な虎かと思っていたら「猫かよ〜」になる終盤のシーンは笑った。
そしてガイの相棒、ベルト(ホントにベルト、そしてとても賢い)。
「THE END」のあとの指揮(?)ぶりも。
さらにエンドクレジット後にラテン系振付の象ネズミ(?)3匹も。
冒頭の朝食・卵争奪戦(約10分近く走りまくる)からクルードさんちのキャラ紹介、チームワークのよさが描かれる手際よい導入部(せっかく得た卵を順にすするのだが、最期に順番がまわってきた父親には一滴残ったのみ。「いいんだ、この前も食べたし…」)。
この食事のための狩りのシーンは中盤、もう一度登場するが今度は頭を使って鳥を捕まえる方法に。そして分け合うという考えも。
考えるということをレクチャーするガイ。
岩に絵を描いて「ここで考える」と脳を指さす。
(イープの弟、タンクの絵も描いている)
そこでこの台詞。
「パパ、僕には脳がない」
この後、いよいよ迫り来る大地殻変動から怒涛のラストへと本当に見事なたたみかけ方です。(イープと父親の関係もしっかりと)
音楽はアラン・シルヴェストリ

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2012-06-23

アンドリュー・ガーフィールド&エマ・ストーン主演、マーク・ウェブ監督『アメイジング・スパイダーマン』(The Amazing Spider-Man)

注・内容、台詞に触れています。
サム・ライミ監督による「スパイダーマン」3部作を再起動させたマーク・ウェブ監督による『アメイジング・スパイダーマン』出演はアンドリュー・ガーフィールドエマ・ストーンマーティン・シーン、サリー・フィールド、リース・イーヴァンズキャンベル・スコット

物語・両親の謎の失踪によって、ベンおじさん(マーティン・シーン)、メイおばさん(サリー・フィールド)と暮している高校生のピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)。父親の失踪の謎を探るためにオズコープ社インターン研修に潜り込んだ際に実験室で生成されてた蜘蛛に噛まれたことからスーパーパワーを得ることに。そして…。

Asm

Memo1
「大いなる力には、大いなる責任が伴う (With great power comes great responsibility.)」がメインの軸足だったものを少し薄めてピーターとグウェン・ステイシー(エマ・ストーン)、ピーターと失踪した両親の謎を中心軸に持ってきた本作。ピーターもただひ弱いカメラ小僧ではない設定。その分グウェン・ステイシーとの青春映画的側面がスッと浮かび上がって、とてもよい。
やたらとスマートフォン(機種未確認)で話をするピーター=スパイダーマン。ある時は高層ビル屋上でメイおばさんに「卵を買ってきて」と頼まれたり(←これ、ラストでいきてきます)、ある時は地下水道でグウェン・ステイシーにオズコープ社に行って解毒剤を作って欲しいと頼んだり、まーホントによくかけます(この感覚がマーク・ウェブ監督らしい)

フットボール練習場で。
ピーターとグウェン。
「キスが上手い」
この台詞、実は「Amazing KISS…」と言ってます。
ラスト近く、この台詞と一連の流れ。
グウェンの父、ステイシー警部の葬式の後、雨の中ピーターの家にやってくるグウェン。
(葬式に現れなかったピーターに)
「パパに約束させられたのね、もう会うなって…」
場面変わって
授業に遅刻して教室に入ってくるピーター。
前の席にグウェン。
先生に「もう遅刻しません」
「守れない約束ならしないで」
そしてピーターがボソッと「守れない時もある」
少し微笑むグウェン。

(このシーン、よかったなぁ。この調子でいくと代筆原作のような展開ではなくて元構想のスタン・リーが描きたかった話になるのかな、と続きを期待)

原作と製作総指揮のスタン・リー、例によってカメオ出演(とても判りやすく、しかも笑いも取れてた図書館員の役)←スパイダーマンとリザードがヘッドフォンをして音楽を聴くスタン・リーの後ろで戦っているw
エマ・ストーンが元々の髪の色であるブロンドに。多分、本来のエマ・ストーンからすると本作のような巨大バジェット作品は本線ではないので、あえてブロンドにと予想。(あとスパイダーマンのコスチューム赤との色彩的バランス?)
ラストの解毒剤散布について、いろいろ意見が出てきそう、と予想。

※追記 ↓(Twitterにプラス記載)
サム・ライミ監督「スパイダーマン3」でグウェン・ステイシーを演じたのがブライス・ダラス・ハワード。と、いうことは「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」では見事にエマ・ストーンとリレー共演を果たしていたことに。
(この設定だけで、よくわかってらっしゃるマーク・ウェブ監督→)好きな人と教室で席が前後並ぶだけでドキドキぢゃないですかー

Memo2
エンドクレジットによるとタイトルデザインはBLUR STUDIO。IMDbでのタイトルデザイナー名義はKevin Kolodinsky(視覚効果監修も)
撮影カメラにはRED。システムは3ality Technica - TS5 3D Rig with RED Epic
オズコープ社へ向かう7番街のシーン、オズコープ社屋上でのシーンはフルCG。背景のニューヨークの実写部分にはREDで撮影されたものをタイル状に繋いでいるとのこと。このシークエンス3Dは効果絶大!

Memo3
謎を残したまま続編へ
(原作を読んできた人にはニヤリとする伏線)
・両親(リチャード&メアリーパーカー)失踪の謎の行方は?
・オズボーンとは?
・ラスト、リザード=カート・コナーズ博士が牢の中で話していた人物は?

アメイジング・スパイダーマン - オフィシャルサイト
http://www.amazing-spiderman.jp/

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